三方よしカレンダー

2019年2月26日火曜日

第135回三方よし研究会~私から届けたい一言メッセージ~(ご報告)




 私から届けたい一言メッセージを参加者の方より頂きましたので、ご紹介します。



・人生会議というテーマが良かった。

・今回の研究を機に家族で人生会議を実施したいと思います



・この様なつながりの会が全国の様々なところで地域性を活かしながら働くようになればと感じました。今後「三方よし研究会」の話をしていきたいと思います



・すごく興味のわくテーマと思っていたのに、思いのほか参加者が少なかったことに

驚きました。

ACPってまだまだ周囲の理解が乏しいのかな?

2019年2月21日木曜日

第135回 三方よし研究会のご報告

本日第135回目となる三方よし研究会が開催されましたので、ご報告いたします。


◇日時;平成31年2月21日(木) 18:3020:30

◇会場:近江八幡市立総合医療センター よしぶえホール

(当番:ヴォーリズ記念病院 )



○ゴール

・人生会議について学び、考える。

・終活について考える。




【情報提供】 

・ヴォーリズ記念病院 周防院長挨拶


・社会福祉士会研修会のご案内 社会福祉士会東近江ブロック 嶋田さん


・介護職員初任者研修の報告 ケアプランセンター加楽 楠神さん


・糖尿病三方よし研究会のお知らせ ファースト薬局 滝川さん




30分学習会】

『アドバンスケアプランニング(人生会議)について学ぶ』

〜患者・家族の意志決定支援を支えるために〜

ヴォーリズ記念病院 緩和認定看護師 谷川 弘子さん


・緩和ケアってなに?

  苦痛を予防したり、緩和したりすることにより、患者と家族のQOLを改善する取り組み。

   がんと診断された時からケア(日本での緩和ケアは癌、HIVの患者さんに限定さている。)

・がん死亡者数と全死亡者に対する割合

  現在2人に1人ががんで死亡

・日本の人口ピラミッドの変化

  2,040年には、人口ピラミッドが逆三角形になることが推計されている。

   慢性疾患の増加、高齢多死、人口の高齢化、単独世帯と核家族世帯の増加

   多死社会がやってくる!

・介護や看取りのニーズ

  最期を迎えたい場所は、自宅が全世帯で一番多い。

  現実は病院で最期を迎えるケースが76%で希望する死との不一致がある。

・病名や経過、余命

  自分は知りたいと思うか?

  家族に自分のことを伝えたいと思うか?

  家族が病気になった時に、本当のことを伝えるか?(これが難しいと感じる人が多い)

ACP(アドバンス・ケア・プランニング)

  将来の意思決定能力の低下に備えて、今後の治療・療養について患者・家族、医療者とあらかじめ話し合うプロセス

・意思決定のフレームワーク

  アドバンス・ディレクティブ(事前指示)

   自分の臨死期の対応と死後の対応について事前に他社に伝えておくこと

   (自分ひとりですることができる)

・アドバンス・ケア・プランニング(人生会議)とは

  将来に向けてケアを計画するプロセス

  人生会議は話し合いプロセスであり、DNRオーダーをとる作業ではない

・人生会議のメリット

  患者の自己コントロール感の向上

   終末期における患者と家族の満足度の上昇

   遺族の不安、抑うつの軽減

   ※ADの聴取だけでを行っても満足度の変化は見られない。

・患者・家族の話し合い

  患者・家族のOQL向上のためには、患者と家族と治療・ケアのゴールについて話し合い、患者と家族と目標を共有することが重要

・患者・家族との話し合い医療者のバリア

  自らの中にあるバリア(障壁)に気づくことは重要!



【症例報告】  

『緩和ケア病棟(ホスピス)で関わった症例』

 ヴォーリズ記念病院 緩和認定看護師 谷川 弘子さん

・意志決定支援ができた症例

・意志決定支援ができなかった症例



・事例紹介1

  ホスピスから自宅へ

   家族に伝えたいことが病院では十分に伝えられない。

   子どもたちに父親の生様を見せたい。

    在宅看取り:必要なケアの提供が、家族のエンパワーメントを強め、本人が望む形で最後まで在宅で療養ができ、看取りまで迎えることができた。



・事例紹介2

  自宅からホスピスへ

   自分の生前葬を行いたい。「支えてくれたみんなに自分の言葉でお礼が言いたい。」

    ※在宅の多職種と情報を共有することで、短い経過の中でも、本人の望む事ができた事例であった。



・・・



・事例紹介5

  認知症発症、経口摂取ができなくなる。

  本院は以前に「病気になっても、延命治療はりらない。静かに召されたい」と言われており、家族も延命治療を望まなったが、医師より患者の命を短くするのは殺人行為だと言われ、胃ろうを増設。これでよかったのか?



・死は、誰でも必ず訪れる。

  人生の最期にどうありたいか、誰もが大切な事であるのは分かっているはず

  でも、何となく「縁起が悪いから」という理由で、話すことを避けてはないだろうか?大切な事なのに・・・。

・人生をよりよく生きるために



【グループワーク】

テーマ『「あなたの」「家族の」人生会議してみませんか』

〇あなた自身は「人生会議」をどのように考えますか?

〇あなたの大切な人が意思表示できなくなったら、家族として支えていけることは?






【発表】

Aグループ:今日のお話は市民の方に聞いて欲しかった。参加者の方に看取りを経験された方もおられ、ACPから始まったがPCA(パーソンセンタードアプローチ)、終末期においても、人を中心に考えた関りをしていくことが大切だと思う。


Bグループ:誰が決定権を持つのかなど、いろいろと検討しなければならないことがあるが、最後はみんなで考えることが大切。



C:延命治療を受けた結果どうなるのか?そのようなことも知らないと判断することができない。又人生会議のことを一般の人は知らない。



D:人生会議について、普段からできてないので、機会をもってしていかないといけない。話合いをしていても、気持ちの変化があるので、そのような思いも大切にしたい。何気なく、話せる関係作りが大切だと思う。



E:本人が延命治療を希望されていなくても、家族の意向で延命治療を行った事例もあり。できれば痛みがない方がよいが、全部は病院では対応できないので、在宅でも最期を迎えられるようにしたい。若いころから死について検討しても良いと思う。



F:共感できる事例と、共感できない事例があった。例えば貧血の人に輸血は延命治療にはならないのでは? 一つ一つを考えるのもしんどいので、パッケージプランで最終章を迎えるといいなの意見もあり。昔は延命治療などなく、自宅で最期を迎えられらた。何が良いのか考えたい。



G:介護保険の問診票に延命処置の項目も入った。普段から何度も確認できる機会があると良いと思う。



【コメント】

・滋賀県がん患者団体連絡協議会 副会長 八木 政廣さん


私は癌サバイバーです。

本日ACPのお話を聞いて、大変勉強になりました。私が感じていることを2つお伝えします。ACPなど言葉が躍っているように感じます。市民のレベルに落とすことも大切だと思う。

私は意思決定支援と患者側にとって、テルスリテラシー(患者力)が重要。日本はこの力が低く、家庭医にいかずに医療センターに行く構図がある。患者自身が患者力を持つようにしなければならい。患者力は小さなころからの学びが必要。

意思決定支援について、延命治療といってもそれを行ったことによってどうなるのか?

私の妻もがんですが、以前はなかなかお互いに話すことができなかったが、最近話せるようになった。話すにも判断することが大切なので、このような処置をしたら、何%の回復の見込みがあるなどの情報も頂きたい。



・近江八幡市立総合医療センター 癌性疼痛認定看護師 木本 美由紀さん


ACPについて、急性期病院として、できるのか?と問われたらできるとは思いません。

患者さんがそのような病気になって、がん患者さん同士で話す機会が大切だと思います。急性期病院としては、地域の方々と繋がせていけるようにしたいと思います。



兵庫県対人援助研究所 稲松真人さん


福祉系の対人援助技術の支援等を行っています。今日は7年前の近畿ブロック研究大会の時に三方よし研究会のことを知り、前田さんにお願いして、本日ケアマネ向けの研修会を開催して頂き、三方よし研究会にも参加することができました。本日、参加させて頂き、グループワークの中でも、市民さんにACPのことを聞いて頂きたいなどの意見もあり、医療福祉だけの会でないことを改めて感じることができました。ケアニンの市民向け映画上映会もされるなどの取り組みされるとのことで、本日の人生会議についても市民さん向けに発信される時が来るのかと思います。多くの学びを頂き、ありがとうございました。

次回三方よし研究会(市民公開講座)のご案内
日時:平成31年3月21日 13:00から17:00 ケアニン上映会
会場:八日市文芸会館