三方よしカレンダー

2019年5月20日月曜日

第138回NPO三方よし研究会 私から届けたい一言メッセージのご報告


第138回開催(5月16日)のNPO三方よし研究会。
今回も「私から届けたい一言メッセージ」で多くのご意見ご感想を頂きましたので、ご報告いたします。

・なぜ自宅に帰りたい患者さんが多いのか?帰りたい理由など聞いてみたかったです。(学生 高松さん)

・本人の意思決定支援と家族の意思決定支援の難しさを実感しました。また、自分の家族に置き換えて考える良い機会でした。ありがとうございました。

・ホスピスに入院してからも、本人の意向を重視されている事を学ぶことができ、参加させてもらってよかったです。

・「見通しをもってもらう」「主治医を決めてあげる」「家=在宅ではない」が参考になりました。終末期のケアでなくても退院支援においては、共通していると思いました。(能登川病院 笹谷真弓さん)

・「全員が納得しる最後を。そのためにはしつこいぐらい話合いを」肝に命じます!(MSW)

・ホスピスが近くにある事。当たり前に思っていましたが、とてもありがたい事だったのだと教えて頂きました。これからも安心して暮らせるよう在宅での生活を支えていきたいと思っています。よろしくお願いします。(引間敬子さん)

・話合いがたちいかなかったのではという感想もありましたが、3月までいた阪神地区では、充分な話合いもないまま在宅に戻ってしまい困るケースが多かったです。こちらでは、丁寧に話をして患者さんに寄り添っているのだなっと感じました。(坂東さん)

・本人と家族の意向の違いは、看取り以外の場面にも出てくるので、ひとつ一つきちんと話し合って、納得いくまで行かなくても関わる方全員に、了承してもらえるようにしていきたい。

・ACPについて、市民に伝わる資料があれば教えてほしいです。(いなべ暮らし保険室 水谷祐哉さん)


数多くのご意見ご感想、ありがとうございました。

2019年5月17日金曜日

第138回 NPO三方よし研究会のご報告


138回のNPO三方よし研究会が開催されましたのでここに報告いたします。

日時 令和元年5月16()18:30-20:30
会場 湖東記念病院 新館1階 花の木ホール
当番 医療法人社団 昴会


【情報提供】
  「ヴォーリズいのちのケア講演会」について(加藤さんより)
5/19 13:30〜湖東信用金庫近江八幡支店にて



  「介護初任者研修(主催三方よし研究会)
  「外国人介護研修(主催 まちかどケア)」のお知らせ(楠神さんより)
今年もやります!



  「三方よし研究会総会」のお知らせ(小梶さんより)
6/20 17:30〜きいとにて(次回開催の三方よし研究会前)

  「三方よし研究会理事会」のお知らせ(小梶さんより)
5/30 19:00〜至学館高等学校にて。


  「パーキンソン病患者家族会〜のびのび友の会」のお知らせ(小林さんより)
年間6回14:0016:00まで。

  「筋萎縮性側索硬化症交流会」について(小林さんより)
6/16 14:0016:00東近江総合医療センターきらめきホールにて。



●湖東記念病院 鈴木院長からの挨拶



●日野記念病院 仲院長からの挨拶


●湖東記念病院 周防医師からの挨拶



●訪問看護ステーションすばるの紹介(大谷さんより)

・地域の中に根ざすステーションを目指して日々活動しています。
・当初は3名だったが、現在は9名プラス1名で。昨年サテライト湖東を立ち上げ、エリアも拡大しました。それに伴い名称変更し、訪問看護ステーションひのから、訪問看護ステーションすばるへ変更しています。
・今後もよろしくお願いします。


30分学習会】
『疥癬』について知って貰う
医療法人社団昴会 湖東記念病院 皮膚科 河野晶子医師

・昨年こちらの地域でもかなり流行り、収束までかなり時間もかかったので、この機会にあらためて基本の話になるが確認していきたい。
・疥癬とは?通常疥癬と角化疥癬がある。
・ヒトヒゼンダニの説明…視力の良い人なら見える?
・感染経路:①直接 ②間接 ③角化型疥癬から←これが一番感染力が強い
・通常疥癬と角化型疥癬の違い:数が全く違う!
・通常疥癬&角化型疥癬ぞれぞれの症状:写真を使って。リアル!
・疥癬の診断:臨床症状の確認の他、顕微鏡検査等。疥癬患者と直接接触する機会のある家族や周辺の流行からも。
・疥癬診断の問題点:ヒゼンダニの検出率は1060%。他の皮膚疾患と類似しており初期には診断がつけにくいのが現状。
・疥癬の治療薬:概ね4種類あり。
・疥癬の治癒判定:1週間間隔で2回連続でヒゼンダニを検出しないかつ疥癬トンネルなどの疥癬に特徴的な症状の新たな発生がないこと。
・疥癬と診断れさたら:治癒をしっかりと。またちゃんと皮膚科で診察を。症状がなくとも治療を行う場合がある。
・最後に:疥癬は直接命に関わる疾患ではないが、治療期間が長く、治療に人手を要する。感染が広がると医療・看護・介護の現場に大きな負担や混乱を伴う。頭の片隅に疥癬を忘れずに置いておいてもらいたい...

☆質問 同室者で疥癬が出た場合の予防方法は現在はどうなっているのか?
→角化型の場合は隔離することとなる。その他は予防治療をまずは行う。


【症例発表】
『在宅支援からホスピス転院に移行した症例』
●湖東記念病院地域医療連携室看護師 西澤和代さん


・事例 90歳代女性。高血圧で内服加療中。80歳代に膀胱癌で放射線療法。
・家族構成 長男夫婦と孫2人。長女・次女はよくお見舞いに来ていた。
・貧血で入院、6日目に退院。退院4日目に再入院。
・入院時下血あり。4日間輸血。看取りへ。
・入院37日目に退院許可、次女と面談。44日目に長男・長女来院。48日目に長女・次女・ケアマネ来院、認定調査後退院カンファレンスへ。
・内容:自宅では長男夫妻は仕事のため、日中は長女・次女の協力を得て、配食サービス、訪問介護、訪問入浴、エアマットレンタル、訪問診療を組み合わせることに。
・入院51日目、在宅看取りはできないとの意向で転院希望。
・入院68日目、ヴォーリズ記念病院転院。 


●ヴォーリズ記念病院緩和ケア認定看護師 谷川弘子さん
「一般病院からホスピスへ転院となった患者の在宅療養に対する思いの変化」


・ホスピスに入ってからのM氏の経過説明。
・看護の介入:食事、生活動作、睡眠、下肢の浮腫に対して、清潔、気分転換、それぞれに対し介入。
・退院外出泊:結局できずじまい。 
・看取り時:できるだけ家族が看取ることができるように、状態変化時に早めに連絡、ご家族が見守られる中での看取りとなる。
・気になった発言:次女の「前院で姉は点滴とかもうしんどいことせんでもと言ったけど、私が治療を希望してやった。しんどかったのかな。」と少し後悔し涙ぐんでいたため、遺族ケアをしっかりやっていかないといけないと思った。
・4側面の評価:身体的な面、精神的な面、社会的な面、スピリチュアルな面について。 
・本人の気持ちの変化:入院初日は「帰りたい」→「私は帰らんでもええで」
・本人にとっての家とは:治療の場から生活をメインとする場へ変わったことにより、気持ちに変化が起こってきていたことから、本人にとっての家とは、住宅環境としての家というより、生活環境・人的環境であったのかもしれない。
・意思決定支援のニーズ:結局がん患者さんの思いを大事にしていくということが、意思決定支援なのではないか。



【グループワーク】
テーマ『本人の意思決定支援』と『家族の意思決定支援』
◯どのようにしたら本人の意思限定支援ができたのか?
◯本人と家族や家族間で思いが異なる場合どのように支援ができたら良いのか?





【発表】
D:
・今回は家族の意向が通ってホスピスへ行くこととなったが、本人も最後は良かったのではないか。
・患者本人が本心を打ち明けられないことも多いのでは。
・本人の思いを組む第三者がいたらよかったのかなと思った。


C:
・本人の意思決定支援をどのようにしていったらいいのかについて、答えはないのではないか。
・本人の意見だけでは それが本心なのか分からない。家族を思ってのことなのかしっかり判断する必要があるのではないか。
・今回本人の思いを細かく聴いておられたのは良いこと。
・決断する時期も、早い段階から本人の思いを聴いていくことが大事。


B:
・主治医がいたので、そのご意見も聴きながらの話し合いとなった。
・帰りたいと本人が言い、病院から主治医を決めてくださいねと言われたときに、これを家族さんがきめないといけないのか、もっと寄り添える方法がなかったのだろうか。  
・主治医の存在。やはり皆不安あるので、先生がちゃんといてくれることの大事さ。
・なぜ家では看られないかの不安をしっかりと聞く。
・家に帰りたいと思われたのはなぜか。本人の気持ちは変わるので、その時々の思いを大切に。
・見通しを示すこと。


A:
・様々な情報を示していく、イメージが浮かぶように。様々な選択肢があるということを伝えていく。
・自宅で看れないのは、急に尻ごみしたのか元々の人間関係なのか。
・お嫁さんにもカンファレンスに出席をしてもらえたらよかった。


G:
・退院する際に本人・家族どちらを優先するか?
・現実は家族の意向を優先していく現状がある。
・今回は話し合いの時間が少なかった?
・橋渡し。説得するのではなく色々な提案をしながら妥当な落としどころを探して行く必要性。
・スタートから対応が遅かった?かかりつけ医の最初の時点で対応できたのでは。


F:
・本人の思いがわかりそうで分からない。
・本人の本音を言って頂くことの重要性から、日常生活の話の中から見出せるように。
・キーパーソンと本人の思いを擦り合わせていく。本人さんの気持ちは変わっていく。


E:
・ホスピスさんが本人の思いを中心にすすめていかれたのは理想的。
・早い段階からどうして過ごしたいのかを確認していくことが大事。
・本人にとっての家というのが住まいなのか環境なのか。
・施設に病院から戻るという例もある。 
・訪問看護は入院中に在宅のイメージを掴めるようにしていくようにしている。


まとめ
●近江温泉病院 西澤さんより

・今日の症例では90歳代の高齢期のご本人とそのご家族が人生の最終段階で治療・生活の場の選択をされる場面でした。
・本人家族それぞれの思いがある中での支援は、支援者も大変だったかと思います。
・決断に至るまでは、痛みや責任が生じる中で迷いに迷われたことと思います。
・私達ケアマネジャーは本人家族の迷いに寄り添い、共に揺れることが多々あります。
・本人家族に迷いが生じる場合、何を選択されても、選ばなかった道には思いが残るもので、それでも迷いを重ねた上での選択の経緯があるなら、それは最善の選択であったのではないかと思います。
・人生は選択の連続であり、ケアマネジャーは幾度となくその意思決定支援の場に出会います。あらためて本日事例で意思決定支援と多職種連携の大切さを再認識できました。ありがとうございました。



●森本医院 森本有里先生より


・緩和ケア医院より、感想を述べさせていただきます。
・普段から私はみんなが納得する最後というものを目指しています。本人も家族も医療従事者も。
・何が大事かというと、繰り返し繰り返し繰り返し!話し合うということですね。この方はその意味では少し不十分だったのではないかなというのが私の感想です。
・たぶん、お嫁さんはお嫁さんで今後悔されているのでは?
生きてきたような最後を迎える...お婆ちゃんもちょっと悪かったんじゃないかな、希望通りに死にたかったら、もっと嫁さんを大事にしておかないとね。


【初めての参加者の自己紹介】


【特別報告】花戸先生より

今回、小串輝男会長が臨床内科医会総会にて、地域貢献賞を受賞されました!
おめでとうございます!
またお祝い会は7月?にあらためて行いたいと思います。




【連絡事項】
・第139 NPO三方よし研究会 令和元年6月20日(木)18:30~ きいとにて
「自然災害について」(南出さんより)