第156回三方よし研究会、今回もこのコロナ禍が続く中、ZOOMによるオンラインでWeb開催致しました。
今回は年末ということもあり、その後の懇親会も兼ねて恒例の土曜日の午後4時からの開催となりました。
今回は年末スペシャル企画としまして、特別講師をお呼びいたしました。
講師は秋山正子さん。『双方向の医療を目指して』との題でご講演いただきました。
秋山さんは認定NPO法人マギーズ東京の共同代表,また株式会社ケアーズの代表取締役にて白十字訪問看護ステーションや暮らしの保健室などでご活躍されていますが、もうこのブログに目を通される方ならよくご存知でしょうから詳細は割愛するとして...
一応ホームページのご紹介を。
本日は暮らしの保健室勉強会からの事例をもとに2事例ほどご紹介いただきました。
病院と在宅医療との連携の中で、それぞれの専門職が悩みながらも患者さんやご家族の思いを実現したいと模索していく過程を通して、生と死について考えさせられた時間となりました。
「膵臓がんは出会った時がさよならの始まり」...担当主治医の思い。
「思いをつなぐ支援」について考えされられました。
また頑固な患者さんに寄り添った主治医と専門職。
依頼された訪問看護ステーションの訪問看護師は「聞き書き」でご本人の重い心の扉を開いていく。次第にまとめられていく冊子。
聞き書きから見えてきた、ご本人、ご家族のストーリー。
聞き書きを行なった訪問看護師が成長する瞬間。
主治医の葛藤。
そして
「治療と何もしないところの分岐点に良識的な医療があり、ケアの力が重要なのだ」
という結論に辿り着いた主治医の納得。
思わず話にのめり込んでしまいました。
その後の質疑応答での印象に残った言葉では...
・家族を癌で亡くされた利用者側の立場から、退院前カンファレンスに参加できずもがいた経緯と思いの開陳。
・「聞き書き」...ウチの訪問看護ステーションはプラスアルファが売りだから!との所長のプッシュアップ。
・聞き書きを教育の場でも活用していきたい。富山では授業で取り入れていたり、南砺市では病院の中に聞き書きができる看護師もいる。
・聞き書きは傾聴ではない。書くために聴くのでアクティブリスニング、積極的に引き出す。
・山口では病院でも地域医療セミナーにて、実習の中で直接対話を重視している。
・非常にスピーディに連携しなければならないケースでは、ケアマネジャーもコロナ禍でなかなか訪問できない中、ICTによる情報共有が便利だった。
・90歳ヒアリングは関係構築に有効だった。自治医大の佐藤元美先生は聞き書きにハマっていて、岩手ではあちこちで盛ん。斉藤さんも盛岡の人なので、岩手の流れを汲んで学んでいる。
・今医学生5年で病院実習期間だが、夕張でも在宅と大学の授業ではやはり全く違うと感じたので、今日はよい刺激になった。自分も双方向の医療を目指したい。
・振り返りの会を継続していくのが大事。
・もう一歩踏み込めないバリアはどこにあるのか...
・「看護から看護へ思いをつなぐことが必要なんです!」司会をしていて画面越しに思わず泣きそうになった。病院から聞くとは。
・聴く場が必要。また望みは捨ててはいけない。
・コロナだから何のコミュニケーションもないというところもあれば、逆に丁寧にしなければならないというところと分かれている。
・ミモザの家がどの地域でも欲しい。
・共に歩む→伴に歩む。横並びでのコミュニケーション。
等々、さまざまな意見が出て非常に考えさせられました。
その後は恒例初めての方のご紹介を経て閉会となりました。
その後はこれまた恒例の懇親会へ。
皆さんそれぞれに楽しんでいただけたことかと思います。
次回第157回三方よし研究会は、東近江総合医療センターさんの主催で来年1月21日(木)、時間は18時よりオンライン開催を予定しております。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
また次回、お待ちしております。