三方よしカレンダー

2025年8月21日木曜日

第213回三方よし研究会のご報告

 第213回三方よし研究会を開催しましたので、ご報告いたします。

◇日時;令和7年8月21日(木) 18:30~20:30
◇会場:ZoomによるWEBで開催(東近江地域医療支援センター 多目的室)
(当番:八幡蒲生薬剤師会・東近江薬剤師会 )

ゴール
・薬剤師がおこなう在宅療養支援を理解する
・各職種との協力体制の強化




【情報提供】

 東近江市には「SIB(ソーシャル・インパクト・ボンド)」という、地域の支え合いを出資者と共に応援する仕組みがあります。今年度は2件が申請されており、1つは「親子のやってみたいを叶える体験とeスポーツで育む地域育成プロジェクト」、もう1つは太田さんと楠神で進める「感謝がめぐる〜子どもから高齢者まで〜愛とありがとうの循環プロジェクト」です。
 この「ありがとうの循環プロジェクト」説明会を8月30日(土)10:30〜11:30、東近江市文化交流センターで開催します。会場・オンラインどちらも参加可能です。地域で子どもが元気に育ち、医療と福祉が連携できることを願っています。詳細は後日メーリングリストでご案内します。
以上、東近江市SIBの紹介でした。よろしくお願いいたします。

合同会社集楽 楠神渉



【30分学習会】

・在宅医療分野の薬剤師領域における役割・取組と今後について
今後薬剤師に求められる役割は多くなってくると思われるが、今回は在宅業務にスポットを当てて解説したいと思います。

ゆうなみ薬局 金澤重幸先生
本日は、厚生労働省委託事業の資料「在宅医療分野における薬剤師の役割・取り組みと今後」をもとに、今後ますます重要性を増す在宅医療における薬剤師の役割についてお話しさせていただきます。

平素より大変お世話になっております。八幡蒲生薬剤師会の金澤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

・薬剤師に求められる役割の全体像
 まずは、これからの薬剤師に求められる役割の全体像と、日本薬剤師会のこれまでの活動についてご紹介します。その後、在宅医療における具体的な取り組みと課題、多職種連携の重要性についてお話しし、後半では滋賀県薬剤師会および地域薬剤師会の取り組みをご紹介します。
 薬剤師は、誕生から終末期まであらゆるライフステージで健康を支える存在です。服薬指導や管理にとどまらず、健康維持、予防、セルフメディケーション、栄養相談など、医療の入口としての機能が重要になっています。
 例えば、妊娠期には母子健康手帳への関与、小児期には誤飲防止や薬教育、成人期にはセルフメディケーションや栄養相談、高齢期には在宅医療や介護支援など、活動領域は医療・介護・予防・公衆衛生にまで広がっています。

・日本薬剤師会の取り組み
 日本薬剤師会は平成23年度から26年度にかけて「在宅療養推進アクションプラン」を立ち上げました。訪問薬剤管理指導業務の体制整備、地域住民への啓発、行政との連携、薬局リストの作成などが行われ、薬剤師の機能が可視化されることで地域の信頼構築につながりました。
 今後の医療計画においては、在宅医療の需要増加を見据え、地域に応じた体制整備が不可欠です。薬剤師には、急変時や看取り、災害時にも対応できる体制づくりが求められています。また、医師・看護師などとの連携強化やBCP(業務継続計画)の策定など、地域包括ケアの一員としての機能も期待されています。

・在宅医療における薬剤師の実務
 現場での薬剤師の業務は多岐にわたります。
 服薬支援:服薬状況が悪い場合、その原因を探り、剤形変更や理解促進のための説明を行う。
 アセスメント:処方薬がADLやQOLに悪影響を与えていないか確認し、必要に応じて処方提案を行う。
残薬整理:訪問初期の最重要課題。ケアマネジャーからの依頼も多く、服薬管理方法を個別に提案する。
 飲み忘れ防止には「一包化」「お薬カレンダー」「日めくり式カレンダー」や「服薬支援ロボット」などを活用しますが、重要なのは患者に合った方法を選び、継続的にフォローすることです。
 また、多剤服用によるポリファーマシー問題も深刻です。高齢者では副作用リスクが高まり、転倒や意識障害につながります。薬剤師が介入することで服薬アドヒアランスが改善し、生活の質が向上した事例が多数あります。

・多職種連携と事例
薬剤師は、医師・看護師・ケアマネジャーと情報を共有し、処方改善や副作用対策に貢献します。
実際の事例では、利用者が食欲不振に陥った際、薬剤師が抗コリン作用の強い薬を原因と特定し、医師に処方変更を依頼。その結果、食欲と体重が改善し、ケアプランも経口栄養補助から通常食へと見直されました。

・滋賀県薬剤師会・地域薬剤師会の取り組み
滋賀県薬剤師会では「在宅医療支援薬局情報サイト」を公開し、地域ごとに薬局の所在地や対応内容を検索できるようにしています。さらに「緊急時対応可能薬局リスト」も整備され、災害時や感染症流行時にも備えた体制を構築しています。
地域薬剤師会では、ケアマネジャー合同研修会、がん化学療法レジメン研修会、在宅薬剤師による講演などを実施し、会員薬剤師の研鑽を支援しています。また、簡易クリーンベンチの貸出や「在宅ホスピス薬剤師制度」も運用し、終末期医療に対応できる薬剤師の育成を進めています。

・まとめ
薬局は「医療と介護の橋渡し役」として、地域で様々なサービスを提供できる存在です。どうぞ今後も気軽に薬剤師にご相談いただければと思います。

【症例報告】
・薬局在宅訪問1症例の報告
 長年歩いて(約1km)訪問されていた患者さんですが足の痛みがひどくなり、長距離を歩けなくなりました。最近薬の量が合わなくなり、薬剤師在宅訪問の依頼がありました。

スマート調剤薬局 上野克彦先生
それでは、私の薬局で関わった在宅の一症例について、ご報告させていただきます。
本日は「スマート調剤薬局における在宅支援の一症例」ということで発表いたします。

・患者プロフィール・背景(個人情報を含む為、修正。)
 対象は今年●●歳になる女性で、独居です。20年来、約1kmの距離を歩いて受診されていました。服薬コンプライアンスは良好で、月1回程度の受診を継続されていました。
 しかし2022年11月頃から神経痛の症状が悪化し、さらに2023年9月には認知症治療薬が追加されました。同時期より足の痛みが強くなり、徒歩での受診が困難となり、ご子息の送迎で通院されるようになりました。
 また、訪問看護師より「コンプライアンスに乱れが見られる」との情報提供がありました。薬は大きく余ってはいなかったものの、整理が不十分であったため、2023年10月から一包化を開始しました。そして2024年1月より、2週間に1回の在宅訪問を実施しています。

・服薬経過
 患者さんの服薬歴を振り返ると、2006年の初診時は高血圧と高コレステロール血症のみでしたが、年月とともに神経痛や骨粗しょう症などが加わり処方薬が増加しました。2013~2014年頃から神経痛のコントロールに苦慮され、小杉先生のご尽力でタリージェ増量などが試みられました。
 最終的に2023年11月7日には、タリージェなど各種、さらにトアラセットが朝昼夕就寝前に追加となりました。その後2024年8月2日にはタリージェが削除されていますが、認知症症状の進行も影響しているのかもしれません。

・在宅での支援内容
 在宅訪問開始後は、2週間ごとに薬剤をお届けし、服薬状況を確認しています。服薬カレンダーを用いて整理し、当初はすべて一包化していましたが、患者さんの希望で就寝前の薬のみPTPシートのまま残しています。現在は大きな服薬エラーはなく、概ね順調に服用されています。ただし、痛みが強く残っているため、就寝前のトアラセットの減りが早い状況です。

・薬剤師としての関わり
 私が考える在宅薬剤師の役割は、単に薬を届けるだけでなく、適切に服用されているか確認すること。その結果として治療効果が得られているか、副作用が出ていないかを評価すること必要に応じて主治医へフィードバックすることだと考えています。

・まとめ
 在宅業務を実施している薬局は、県薬ホームページなどで検索可能です。当薬局も在宅対応薬局として掲示しておりますので、必要な際はご参照いただければと思います。
以上で症例報告を終わります。ご清聴ありがとうございました。

【質問&回答】
・花戸先生:上田先生、いつもありがとうございます。大変わかりやすく、患者さんに寄り添ったご対応をされていることがよく伝わりました。先生のお言葉の中で「とりあえず患者さんのところに行って、確認・評価をし、そして報告する」という姿勢は、まさに在宅薬剤師の鏡のようなご対応だと感じました。
 一点確認させていただきたいのですが、在宅での対応の際に、訪問薬剤管理指導として、ケアマネジメントのケアプランに組み入れるような定期的な取り組みは、先生のところでは実施されているのでしょうか。

・上田先生:参加して一緒に話し合いをする、ということですか。そうですね、それはまだ実際にはできていないのですが、毎月、訪問看護の事業所の方が予定表といいますか、プログラムを持ってきてくださっています。私のところには、電話での相談や、ケアマネジャーさん・訪問看護師さんからの相談を受けられる体制を整えています。比較的、訪問看護師さんからは頻繁にお電話をいただいています。

・花戸先生:他の薬局さんとかどうなんですかね。
・上田先生:そうですね。先ほど最後のスライドでもお示ししたように、在宅を標榜している薬局は多いと思いますので、その点を参考に判断していただければよいかと思います。
・金澤先生:最近はケアマネジャーさんから依頼をいただくことが増えており、依頼があった際にはできるだけ担当者会議に参加させていただくようにしています。担当者会議では、ケアマネジャーさんをはじめ、看護師さんや介護職の方など多職種の方々と一緒に検討を行います。私が参加した際には、残念ながらご家族は不在でしたが、患者さんやご家族を交えて話し合いを行う機会も増えてきていると感じています。現在、訪問薬剤管理指導を算定しています。医療保険での算定は訪問薬剤管理指導、介護保険をご利用の場合には居宅療養管理指導として対応しておりますが、当薬局ではいずれも算定させていただいております

【グループワーク】
テーマ『薬剤師の在宅療養支援について』
 〇それぞれの職種の立場から考える薬剤師の在宅療養支援とは?
 〇薬剤師が関われるタイミングは? その時どのように相談する?

【発表】
1G:


 第1グループを代表して発表させていただきます。ファースト薬局の薬剤師、金澤と申します。第1グループのディスカッションで出た意見として、まず薬剤師に求められる役割の一つに、オピオイドなど麻薬の調剤や、ポリファーマシーへの対応といった、専門的な知識が必要とされる業務にしっかり関与していくことが挙げられました。
 また、心不全の急性増悪など、緊急時の対応についても、契約をしている以上は24時間対応が求められることから、薬剤師が柔軟に、そして他職種と連携しながら関わっていくことが重要であるとの意見がありました。
 個人的に印象に残った点として、一包化の印字についての話がありました。中には1日6回服薬する患者さんもおられ、個別に一包化や印字で対応することは、在宅で薬剤師が関わる上で服薬アドヒアランス向上につながる大切なポイントだと感じました。以上で、第1グループの発表を終わります。

2G:


 訪問看護ステーション レイグナーシングで理学療法士をしております、吉田と申します。第2グループの発表をさせていただきます。
 グループのメンバーは、保健師1名、ケアマネジャー2名、医師1名、理学療法士1名、薬剤師4名、歯科衛生士1名でした。薬剤師の方が多く参加されていたため、さまざまな問いかけに対して幅広いご意見をいただきました。
 まず保健師の先生からは、精神疾患や結核、高齢者の方を担当する中で「薬の副作用が強く出るケースが多い」というご相談がありました。また、高齢の方では車の運転が難しくなり、「日常生活やお薬について、どこに相談すればいいのか」という声も寄せられるとのことでした。
 これに対して薬剤師の先生方からは、特に過疎地域においては一般的な薬以外にも風邪薬やビタミン剤を渡すことがある、といった実例が紹介されました(ただし東近江市地域ではなく、別の地域での事例とのことです)。また、注射薬が必要な場合には訪問看護師との連携が不可欠であり、空アンプルの回収なども薬剤師が対応しているとのことでした。さらに「薬が不安で飲めない」という声もあり、その際にはしっかりと説明を行い安心して服薬できるよう支援することが大切だ、という意見がありました。
 次にポリファーマシーへの対応についても議論がありました。心不全で20種類近い薬を服用している方では副作用としてかゆみが強く出ることがあり、その場合、病院の薬剤師は内科医に相談し、減薬の可能性をその都度見直しているとのことでした。最終的な判断は主治医が行うとしても、薬剤師が医師とともに適切に関与し、利用者やご家族の安心につなげていくことが重要だとされました。
 また、ある薬剤師の先生は必ず担当者会議に出席されているとのことで、その姿勢も紹介されました。私自身、訪問看護師として担当者会議に参加していますが、薬剤師と一緒に出席する機会はまだ少ないのが現状です。今後は認知症のお薬相談をはじめ、さまざまな場面で薬剤師さんと協力しながら関わっていければと思います。
以上で、第2グループの発表を終わります。貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。

3G:


 小串が発表させていただきます。
 私のグループは、ケアマネジャー2名、薬剤師2名、医師1名で構成されていました。
新規の患者さんでは残薬が多いことがしばしばあり、患者さんが自己判断で薬を中止してしまうケースが見られました。そうした場合、薬剤師さんに相談することで、対応が可能であるという意見がありました。
 また、複数の病院にかかって同じような薬剤が処方されていることも多く、直接医師に申し出ると嫌な顔をされることもありますが、薬剤師さんを通すとスムーズに受け入れていただき、重複する薬を中止できた、という報告もありました。
 軽度の認知症の患者さんが「こんな薬は飲めない」と拒否される場面がありましたが、その際に薬剤師さんが「なぜこの薬が必要か」を優しく丁寧に説明してくださり、患者さんも納得して服薬に至った、という安心につながるエピソードも紹介されました。
 薬剤師さんご自身からは「ぜひ現場を見てみたい」という強い思いが語られ、実際に現場訪問を望まれていることも分かりました。
 また、100円ショップのカレンダーを活用し、薬を貼り付けて間違いなく服用できるよう工夫されている取り組みも紹介されました。
 医師からは、難病の患者さんに訪問薬剤師を依頼し、丁寧に服薬支援を行っていただいたものの、残念ながら患者さんは亡くなられたというケースがあり、薬剤師さんにとっても非常に残念であったとの感想がありました。
 一方で、お薬手帳とケアマネの連絡帳を見ながら、患者さんの状態をタイミングよく把握できた事例や、往診に薬剤師さんとケアマネジャーが同席し、重要な情報を共有できたという報告もありました。
 最後に、金澤先生からも、患者さんとの連絡が途絶えた場合についてご発言を希望されていましたので、追加でお願いいたします。どうぞ。



 金澤です。患者さんが施設に入られたり、お亡くなりになられたりすると、それまでせっかく連携を取っていたケアマネさんとのつながりが途切れてしまいます。時々お電話をして、「どなたかお困りの方がおられましたらご紹介ください」とお伝えすることもあるのですが、継続的にケアマネさんとつながっていけるような仕組みや方法があれば、ぜひ教えていただきたいと思います。


【指定発言】
・社会福祉法人日野町社会福祉協議会 居宅介護支援サービスひだまり 後藤貴久子様(介護支援専門員)


 社会福祉協議会ひだまりの後藤と申します。ケアマネジャーをしております。
 本日は先生や薬剤師の皆さまのお話を伺い、大変勉強になりました。
 お薬というのは体に大きな影響を及ぼすもので、飲み忘れがあっても良くない場合があります。実際に訪問すると、薬をきちんと服用できていない方が多くいらっしゃいます。私たちも訪問時には「どうすれば飲んでもらえるか」を考えながら、カレンダーに入れるなど工夫していますが、薬剤師さんのように「なぜ必要なのか」を丁寧に説明しながら服薬を促すところまではできていないのが現状です。どうしても「とにかく飲んでもらわないと」という対応になりがちだと感じています。
 また、中には1回に10錠以上、20錠近くのお薬を服用される方もおられます。そのため薬を飲むだけでコップ2杯分のお茶が必要になり、ご飯が食べられなくなるほどで、実際に食事量を減らしてまで服薬されている方もいます。薬は大切である一方、副作用で体調を崩される方もおられ、この点は改めて重要だと実感しました。
 ケアマネジャーが十分に説明して服薬を徹底するのは、業務の多忙さもあり難しいのが現実です。そのため、訪問看護師さんやヘルパーさんに確認や説明をお願いすることも多いのですが、薬剤師の方に入っていただき、利用者さんへ直接丁寧に説明していただく機会はまだ少ないと感じています。
 今日改めて「薬の大切さ」を実感しました。今後は薬剤師の先生方にもより積極的に関わっていただき、利用者さんが少しでも良い状態で生活できるよう、私自身も意識して取り組んでいきたいと思います。
本日はありがとうございました。

・結の家訪問看護ステーション 所長 辰巳紀子様

 本日は先生方、貴重なお時間をいただきありがとうございました。改めて薬剤師の先生方の役割を認識することができ、大変勉強になりました。 
 私たち訪問看護に携わる者にとって、薬剤師の先生方のご支援は大変心強いものです。グループワークでも花戸先生がおっしゃっていたように、訪問看護の現場ではお薬に関するお願いが数多くあります。今後は薬に関しては薬剤師の先生方にしっかりとお任せし、私たちは「飲めていない」という事実を正しくお伝えすることで、より在宅での薬剤師の関与につなげていきたいと考えています。
 また、退院時から薬剤師の先生方に関わっていただけるよう、ケアマネジャーや病院の方々にも働きかけていきたいと思います。訪問看護の立場からも、薬剤師の先生方にもっと在宅へ入っていただけるよう積極的にアピールしていきたいと考えています。
 現在、24時間対応されている薬剤師の先生方もいらっしゃいますが、夜間や休日は難しいというお話もよく伺います。今後、24時間対応できる薬剤師が増えることで、在宅医療はさらに発展していくのではないかと思います。
 薬剤師の先生方には、今後ともぜひお力添えをお願いしたいと思います。簡単ではありますが、以上で私からの発表とさせていただきます。

【初参加者の紹介】

 パース薬局でお世話になっております、薬剤師の金澤と申します。
 先ほどは発表をお聞きいただき、ありがとうございました。
 本日初めて参加させていただき、多職種の方々と「薬剤師がどのように関わっていけるのか」というテーマでディスカッションできたことは、大変貴重な経験となりました。私は薬剤師2年目で、まだまだ薬について勉強中の身ですが、他職種の皆さんからいただいた質問やご意見は、普段薬のことばかりを考えている中では気づけない視点ばかりで、とても新鮮で刺激を受けました。
 これからは本日いただいた学びや気づきを活かし、さらに研鑽を積んで患者さんに還元していけるよう努力してまいります。
 貴重な機会をいただき、誠にありがとうございました。


小串先生:薬剤師は私たちにとって非常に身近な存在ですが、改めてこうして顔を合わせて話し合うことで、多くの課題が見えてきました。やはり face to face、つまり顔と顔を見ながら話すことの大切さを、今日改めて実感いたしました。
 また、本日初めて後藤さんにご参加いただき、さまざまな学びを得ることができました。本当にありがとうございました。改めて「三方よし」の精神のもと、顔を合わせて話し合うことがいかに重要かを再確認できた一日でした。

大石先生:今回、病院の薬剤師の先生にもご参加いただいております。本来であれば地域の薬剤師も非常に多忙であると思いますが、こうして病院の薬剤師の先生方がこの時間に参加してくださったことを大変嬉しく思います。ぜひ病院薬剤部の先生方のお声もお聞かせいただければ、私自身、今後の取り組みに大いに役立つのではないかと考えております。

東近江総合医療センター(大井先生):今回の研究会は非常に刺激になりました。普段、ケアマネジャーさんや歯科衛生士さんと直接お話しする機会はほとんどなく、大変貴重な時間となりました。皆さんがどのようなことを考えておられるのかを知ることができ、とても参考になりました。私たちは病院の中で勤務しているため、地域の状況については十分に把握できていない部分もあります。今後、皆さまからの要望に対して、病院薬剤師としてできることがあれば積極的に対応してまいりますので、ぜひお気軽にご相談いただければと思います。

小串先生:大井先生に質問があります。
国立東近江総合医療センターの薬剤師の皆さまにお伺いします。ポリファーマシーについては本日も少し話題に上がりましたが、病院の先生方と喧々諤々と議論しながら、実際に薬を減らす取り組みを進めておられるのでしょうか。そのあたりについてぜひお聞かせいただければと思います。

大石先生:やはり私自身、入院時には病院の先生にお任せしながら「この薬はどうだろうか」「減らせるのではないか」といったお話をさせていただいております。そうした連携が、少しずつ病院の先生方と地域の薬剤師との間で築かれつつあると感じています。
今後もそのような関係を継続できることを願っておりますし、それこそが薬剤師、つまり薬の専門家同士がタッグを組むという姿ではないかと思います。
本日のような機会に、病院薬剤師の先生方にもお忙しい中、耳だけでも傾けていただけると大変ありがたく思います。ぜひ代表の方からもお声がけいただければ幸いです。今後もこうした取り組みを一緒に考えていければと思っております。

大井先生:現在、東近江総合医療センターでは「ポリファーマシーカンファレンス」を開催しています。入院時に6剤以上の薬を持参された方を対象に、内科の杉本先生を中心として「この薬は必要かどうか」を検討し、不要と判断された薬については主治医へ連絡し、減薬につなげています。本日は訪問薬剤師の話題ですので、関連してお伝えします。入院時に持ち込まれる薬を見ていると、訪問薬剤師が関わっている方の薬は整理が行き届いており、服薬調整もしっかりされています。一方、訪問薬剤師が入っていないケースでは、薬がバラバラで管理が不十分な印象を受けることが多いです。正直に言えば「きちんと管理されていない」と感じる場面もあります。
 訪問薬剤師の関与があると、薬が整っているため私たち病院スタッフの業務も非常にスムーズになります。今後もぜひご協力いただければと思いますし、先ほど大石先生もおっしゃったように、保険薬局の先生と病院薬剤師がより連携を深めることで、より良い薬物療法につながると考えています。
引き続きコミュニケーションを取りながら、一緒に進めていければと思います。以上です。ありがとうございました。

花戸先生:少しだけ時間がありますので、2点質問させていただきます。
1つ目は、先ほどディスカッションの中では答えが出なかったのですが、訪問看護師さんから「訪問薬剤管理指導や居宅療養管理指導を入れてもらおうとするとお金がかかる」と言われた場合、どのように説明すればよいのか、という点です。この件について薬剤師の先生にぜひお聞きしたいと思います。
2つ目は、先ほど八幡蒲生の金沢先生から「ケアマネジャーさんとつながりたい」とのお話がありました。これはぜひ薬剤師会に定期的に参加していただくことが一つの方法だと思います。毎回でなくても結構ですし、また地域の中で開かれている多職種連携会議、例えば永源寺であれば「チーム永源寺」など、他の地域でも同様の会議があると思いますので、そうした場に参加していただければ、自然と関係性が深まっていくのではないかと思います。
いずれにしても、居宅療養管理指導に入っていただく際に「費用がかかる」という点をどう説明するのがよいか、薬剤師の先生からご意見をいただければと思います。利用者にとっては負担を気にされる方が多いですが、先ほど東近江の服部先生がおっしゃったように、むしろ導入した方が自己負担が少なくなるケースもあると感じています。そのあたりが一番のメリットになるのではないかと、私自身は思っております。

大井先生:費用の件についてですが、居宅療養管理指導では518点で、1割負担の方の場合は518円となります。医療保険の場合は600点で、同様に1割負担で600円となり、いずれも1回の訪問につきご負担いただくことになります。
この点については、利用者の方に丁寧にご説明するようにしております。

花戸先生:やはり自己負担が増えるとはいえ、薬剤師に残薬をきちんと確認してもらうことで、残薬も減りますし、結果的に入院回数が減ったり、在宅で過ごせる期間が長くなると思います。逆に「もう在宅は無理だ」と言われてサ高住に入居することになれば、費用はむしろ高くついてしまいます。そう考えると、トータルで見れば安く済むということになります。



大石:このような説明でケアマネジャーさんにも納得していただけるのではないかと思います。また、先生方から「薬剤師さんに入ってもらった方がいいですよ」と一言いただければ、利用者さんやご家族も自己負担を受け入れやすいと思います。ですので、ケアマネジャーさんが悩まれる場合には、主治医の先生から薬剤師の関与を勧めていただけるようなお声がけがあると、とても心強いと感じています。

【メーリングリストへの登録】



花戸先生:ありがとうございました。そろそろ終了の時間が近づいてまいりました。
本日はお忙しい中、三方よし研究会 第213回にご参加いただき、誠にありがとうございました。
三方よし研究会では、このように月に一度、さまざまな職種や立場の方々が集まり、顔を合わせてディスカッションを行っています。
また、三方よし研究会ではメーリングリストも運営しており、日々の情報交換や事例の共有なども行っています。
まだご参加いただいていない方で、参加を希望される方は、今回の申込先メールアドレス宛に「三方よし研究会メーリングリスト参加希望」と明記のうえご連絡ください。即日、登録させていただきます。


【連絡事項】 
・第214回 三方よし研究会  令和7年9月18日(木)18:30~20:30

来月のテーマは「独居で認知症のある方の退院支援、特に地域との連携について」とさせていただきます。

ゴールとしては、
・認知症患者さんへの理解を深めること
・地域で多職種の方々がどのように連携できるかを考えること
を目的に進めたいと思っております。

スケジュールですが、まずい医院長からご挨拶をいただいた後、学習会として2名の方にご講演をお願いしています。
お一人目は、当院の認知症認定看護師である中村看護師より、「当院における認知症患者のケアについて」ご発表いただきます。
お二人目は、近江八幡市東部地域包括支援センターのセンター長様から、「近江八幡市における認知症に関する取り組みについて」ご紹介いただく予定です。
続いて事例報告として、当院相談員より「急性期病院から措置入所となった事例」について発表いたします。
司会進行は小串先生、グループワーク進行は花戸先生にお願いいたします。
グループワークのテーマは「独居で認知症のある方が在宅退院に向けてどのように連携を取れるか」「その人らしく安全に過ごせるよう、各々の立場でどのような取り組みができるか」についてディスカッションしていただきます。
最後にコメントとして、グループホーム朴木の山田看護師様から総評をいただく予定です。また、お願いが一点ございます。実は発言者としてお願いするお二人目の方がまだ見つかっておりません。もし「こういう方がおられる」という情報がありましたら、ぜひご紹介いただければ幸いです。
以上、簡単ですが来月のご案内とさせていただきます。

是非、次回もご参加ください。