第140回のNPO三方よし研究会が開催されましたので、ご報告いたします。
日時:令和元年7月20日(土) 16:00~18:00
会場:東近江市 八日市ロイヤルホテル
当番:東近江薬剤師会、八幡蒲生薬剤師会
<ゴール>
〇在宅緩和ケアの実際について学び、知識、技術を習得し、多職種がそれぞれの日常業務で生かせるようにする。
〇在宅緩和ケアを必要とする末期がん患者さんが、安心してお家に帰れる地域づくりをする。
【情報提供】
〇初任者研修のお知らせ(楠神さん)
〇カルナハウスヒツジ飼育のお知らせ(前田)
◯三方よし会員(個人・法人)加入について(小梶さん)
【学習会】
(司会 大石先生)
その①
「在宅緩和ケアの医療器材について」
(ニプロ株式会社 澤昌志さん)
・インフューザーポンプについて
〜機械式PCAポンプとディスポ式PCAとの比較〜
その②
「在宅の緩和ケアにおける薬剤師の役割~金沢の取り組み~」
(徳久中央薬局 小林星太(しょうた)さん)
・金沢市の中心部、野町にあり、常勤は5名、2名が在宅専門。患者は60〜80名。
・24時間調剤・訪問体制を取っていることが大きな特徴。
・石川県は自宅で亡くなるかた5.7%→在宅医の不足?いや在宅医はいる。ただ麻薬を扱える医師が少ない?
・終末期には様々な苦痛症状が出てくる。実際にやってみると、思った以上に需要が高かった。
・2013年から右肩上がりに在宅看取り患者が増えている。
・麻薬品目、また退院時共同指導の回数も増えている。
・がん患者の在宅死亡割合の推移〜年間70名以上のがん患者の在宅看取りに介入している。
・得意としているのはPCA。ポンプは7台用意。麻薬注射剤の投与期間は7日までが半数。
・PCAポンプで上手く疼痛緩和すると、穏やかな死を迎えることができることを実感している。
・メディカルホスピタルという金沢でのネット体制あり。
その③
「在宅ホスピス薬剤師って?」
(なの花薬局近江八幡店 柏井眞弓さん)
・110回の三方よし研究会で紹介させてもらったが中々周知されてきていない。
・H18.6月医療法改正により在宅ホスピス薬剤師の制度ができた。
・認定研修会は4日間びっしり組まれている。
・1在宅総論、2疼痛管理について、3患者心理、4その他(ホスピス病棟見学等)
・更新制度もあり。現在は48名在籍している。
・県薬剤師会のホームページにも在宅ホスピス薬剤師リスト等が出てくるので依頼に活用して欲しい。
【講演】
「在宅ホスピスのあれこれ~オピオイド持続皮下注入について~」
(渡辺緩和ケア・在宅クリニック 渡辺剛さん)
・食道外科医。滋賀医科大学にも赴任していた。
・京都ではがんで約4300人(31%)の方が亡くなっている。市内の緩和ケア病棟は16床(3.7%)。
・川越厚先生の元で学び、現在当院ではホスピスを重視している。
・クイズ:
1包括的がん医療モデルは、最後まで抗がん剤治療をすることを進めている→×
2ホスピス入院のためには抗がん治療中止が必要である→△
3入院ホスピスの診療報酬算定の要素の一つに生存退院率がある→◯
4独居患者の在宅看取りで、事前に了解があれば民生委員が死亡届を提出できる→×
5本邦の前向き試験で、在宅ホスピスは入院ホスピスより予後不良が報告された→×
・腫瘍内科医からみた緩和ケアの現状と理想〜ギリギリまで治療がされている現状。
・治療している期間は、訪問診療の必要性はそれほど感じないが訪問看護の必要性は感じている。
・自己調整鎮痛法(PCA)
・腫瘍内科・外科医は67%が予後についてすぐ報告している報告がある。
・ホスピスでは麻薬使用割合は9割、そのうちCSI使用率は8割ほど、期間は亡くなる1週間ほどで
・在宅ホスピス緩和ケアで患者・家族だけでなく治療スタッフを支えること〜私からのメッセージ。
【パネルディスカッション】
「東近江医療圏域で在宅緩和ケアを進めていくために」
パネリスト:
医者として:花戸さん
訪問看護として:井上さん
ケアマネジャーとして:川上さん
薬剤師として:瀧川さん
行政として:久保さん
●久保さんより
・東近江地域では自宅で亡くなりたい割合は45%→実際は病院77%。がんに至っては9割が病院で亡くなっている。
・自宅死亡割合は緩やかに上がってはいる。
・ターミナル期の患者の支援体制を整えるためにケアマネジャーへのアンケートを行った。
→入退院支援の手引きの改訂を行っている。
・また東近江看護職ネットを昨年立ち上げ、フィードバックカンファレンスを行っている。
●井上さんより
・東近江圏域では15のステーションあり。
・昨年93半数ががん末期。2例は看多機利用者。
・当ステーションは昨年利用者262名、その内45名ががん患者、末期18名、安定27名。
・期間は最長10ヶ月、最短1日、平均29日。
・麻薬の必要だった方は3人いた。
・制度としては、外泊時に訪問看護が利用できます。ここだけ覚えておいてほしい!
・事例から〜住民さんの意識は変わってきている。
・これからも皆さんと共同し頑張っていきます。
●川上さんより
・当事業所は5名ケアマネジャー、150名を担当している。
・独居の方の事例〜脳梗塞後遺症、廃用症候群、急性胆嚢炎の病状。
・地域の薬剤師さんの存在の大きさ。オムツ届けなども。インフルエンザの際の薬剤投与等。
・かかりつけ医がいることの安心感と存在の大きさ。
・この事例で課題だったことは本人と家族のACP(人生会議)ができていなかったこと。
・主治医意見書の問診票で、人生の最終章はどこで過ごしたいですか?という項目がある。その活用。
・ケアマネジャーとして、本人の意思決定支援、丁寧に確認していくこと、家族へは不安な思いに寄り添うこと、悔いが残らないようにすることが大切。
・亡くなる場として、家の他に部屋も関係している。
・娘が毅然として「お母ちゃんは自分で(家で亡くなることを)選んだんだから、(病院で亡くなれなくて可哀想だったねの声に対して)そんなこと言わんといて」と仰っていたことが印象に残っている。
●花戸さんより
・慢性期のケアは疾患ごとに違う。
・悪性腫瘍のケアは実は難しい、最後1ヶ月の対応が勝負。
・認知症では感情・環境を大切にすること。
・医療からケアに集中する。そのような地域にしていく。介護認定の時の問診票での問い。
・在宅移行にはコツがある。
・がんの状況が変わってきた。74歳までにがんに罹患する確率は54%。がん患者の生存期間は平均30ヶ月、2年半。ずっと病院・在宅では難しい。役割分担ではなく、シェアすることが大事なのではないか?
●滝川さんより
・東近江医療圏域の病院は11ある。
・昨年の注射薬の調剤は2例(東近江市と竜王町)。
・現状の問題点 当圏域では、点滴や注射薬を必要とする患者は、自宅で過ごすことが困難なこと。
・なぜ注射は嫌がられるか?やったことがない、めんどくさそう、大変そう、関わる時間がない、訪問看護さんに任せたら...バカヤロー!(猪木風に)
・甲賀病院や済生会滋賀病院での処方例などから、現状は待ったなし!
→在宅緩和ケアを進めていくために、私たちは...いくぞー!(この後の懇親会にではないよ)
●渡辺先生より
・素晴らしいです。
・ここにおられる方はやる気のある方。
・病院の医者の考えも変わらないと実はいけないと思っている。
(パネルディスカッション)
●小串先生
・司会をしてきて「進歩してきたな」と感じる。
・訪問看護師さんには足を向けて寝られない。今沢山の看護ステーションができたから立って寝ている...
・三方よしは雪だるま、どんどん大きくなっていくのではないか。
●川上さん
・薬剤師さんには飲む介助や精神面のフォローなどで本当にお世話になった。
●小串先生
・川上さんの話を聞いて、死ぬ場所を私もこれから考えないといけないなと思った。
●久保さん
・瀧川先生には糖尿病三方よしでもお世話になっている。
・地域の皆さんが活躍できるように、行政としてできることを考えていきたい。
●小串先生
・瀧川先生、これで3例目はできるのではないか?
・渡邊先生、薬局は選べないんですか?難しい。
●井上さん
・麻薬もそうですし、服薬の管理を、との依頼も多い。薬剤師さんがもっと関わってくれるとありがたいと思うし、役割分担ができることを期待しています。
●滝川さん
・地域づくりは若いうちからやっていかないといけないと思っている。
【初めて参加の方の紹介、三方よしポスト、メーリングリストの紹介】
【次回】
社会福祉協議会の中西さんより
8月8日(木) 18:30〜 蒲生コミュニティセンターにて
【表彰】
小串先生、地域医療功労賞のお祝い〜
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