第144回NPO三方よし研究会が開催されましたので、ここに報告いたします。
令和元年11月21日(木)18:30〜20:30
東近江敬愛病院 2Fデイケアセンター
当番 東近江敬愛病院
ゴール
・NSTについて学ぶ
・NSTについて学ぶ
・病院と地域での栄養についての捉え方の違いを理解し、病院としてできることを考えることができる。
【情報提供】
1. しが住民支え合い連絡会 12月13日PM1時半〜(街かどケア滋賀ネット)ひまわり館(楠神さん)
2. 12月三方よし研究会 講師堀田聡子さん、4時開会 交流会の案内(加藤さん)
3. 本年度「市民公開講座」開催に伴う協賛広告のお願い(加藤さん)
4. 来年度の三方よし研究会の開催について(開催希望等聞き取りのお知らせ)(加藤さん)
(進行)
【挨拶】
最近雨が降る。寒くなったのは私のせいではない。もみじを眺める会を催してもよい季節になりました。三方よし研究会も144回=12年を迎え、当初の脳卒中連携パスから始まった会も、今や厚生労働省からもこの会を視察し、モデルとなって法律ができるという流れにまでなっているとも言えます。奇しくもこの病院も増改築したのが12年前です。一度NSTの話題で私が話したことがありましたが、今回エキスパートである加納先生からいい話が聴けると思います。どうぞよろしくお願いします。
【30分学習会】
『病院での栄養管理について』
・大津市民病院の時に立ち上げから関わってきました。その熱い想いを少しでも伝えられたらなと思います。
・医療と栄養管理〜オペレーティングシステムの部分が栄養管理といえる。
・東近江敬愛病院のNST委員会の構成〜多職種での関わりを柱にしている。
・活動としては火木プラス第2水曜の委員会。
・2018年度では102名に介入。平均年齢82歳。
・介入理由〜第一位はアルブミン3.0g/dl以下
・NSTによる介入〜必要栄養量の算出から食事量の検討、経管栄養管理など
・栄養ルートの選択〜「消化管が安全に使用できるか」により経腸栄養か経静脈栄養へ
・「栄養」はなぜ摂取しなければならないか?〜必要エネルギー=消費エネルギー+失った機能を回復させるためのエネルギー。
・窒素平衡〜どこかから蛋白質を摂取してタンパクを合成しない限りは生きていく限り蛋白質は失われていく。
・サルコペニアとフレイル(虚弱)サイクルについて。
・機能改善のリハビリにはどのくらいのエネルギーが必要か?〜運動時のエネルギー消費量(kcal)=1.05×体重(kg)×METs×運動時間(h)。最低3METsは必要
・サルコペニアからフレイルをどう予防するか=どうやって筋肉量を維持・回復するか?〜適切な栄養摂取と筋力負荷をかけた運動習慣。
・栄養管理と臨床倫理〜生命の神聖と生命の尊厳の間で考えなければならない。
・大切にしていること=目標をもつこと。そして繰り返し話を持っていくこと。
・ジョンセンの四分割法が整理しやすい
・高齢者の栄養管理においては、回復・延命を目指すのか、緩和を目指すのかの方向性を患者・家族と共有して進めていくことを大切にしている。延命を目指す場合、エンドポイントを予め意識しておくことが必要。
・今後の展望〜病院と地域の間での情報共有の推進、また患者・市民啓発。
【症例報告】
『NSTが関与・介入し、在宅療養へつないだ一例』
[症例]
・90代女性、身長152cm 体重60.8kg BMI 26.1kg/m2
・主訴:リハビリテーションによりADLを回復して自宅に退院したい。
・現病歴:H30.3月に糞便性イレウスの診断。下部内視鏡検査で改善。入院中にADLおよび経口摂取が低下したため、自宅退院に向けてリハビリテーション目的に4月中旬に当院に転院となる。
・昨日回復に必要なカロリー量=1430kal。
・入院後の取り組み〜栄養管理面と薬物管理面、リハビリテーション面。
・入院中に食事摂取量やADLを改善することはできなかったが、経管栄養により栄養状態の維持はできた。医療スタッフ、家族と共に状況と方向性を共有し、状況を悪化させることなく自宅退院に繋がった。
(その後の在宅での取り組み)
・退院カンファレンスを経て介護サービスは通所介護、訪問看護、通所リハビリ、訪問介護。
・その後食事摂取量は食べる時食べない時の波が激しくなり、嘔吐が続くように。
・その後入院を経て最期は自宅で家族に看取られ永眠される。
【グループワーク】
『食事摂取が不安定な患者が退院します。どうしますか?』
【発表】
A. 食事介助の状況から、おそらく要介護5に近い状態だろう。退院後を考えると胃ろうの話もあるが、胃ろうになると介護4になる可能性もあることを考えておく必要がある。自宅や介護環境からは、通所系+短期入所、無理なら訪問系サービスか。NSTとの密な連携を病院時から図っていく事が大事。
C. 在宅となるとケアマネジャーの役割が大きい。栄養士の栄養状態の管理。病院とケアマネジャーの連携がうまくいくようにすることがキー。食べられるものは一品でも食べてもらったらいいのではないか。好きなものはなんでも、なるべく食べてもらうことを重視する。胃ろうも視野に入れていく。
D. 情報交換を看護職とリハ職で密にして患者にどのような情報を伝えるかが大事。入院前と入院後では介助の必要性も変わってくるので、家族が認知症であったりでも文書で後から見られるように工夫する。食事の姿勢を目で見てわかるように写真で撮っておくなど。日中の生活リズムを作ってもらいながらデイ等に行ってもらう。ゼリー食を食べられているが食事形態も変わってくるので、その辺も医師・看護師等と相談していく。食事の姿勢については、なぜ右側からの介助が必要なのかを具体的に家族へ指導していく必要がある。
E. 入院から在宅への面から考えた。退院時に栄養状態をきちんと確認すること。そして退院前に主治医から家族へ食事について伝えること。栄養状態につき目標を持ったカンファレンスを。退院すると管理栄養士につなげることができないので、退院前に主治医の先生から繋げてもらえるようにする。
F. 評価と介入の点から。評価という点では、この方がどういう食歴を辿ってきたのかを知ること。支援者が誰なのか。口腔・義歯の評価。また認知症はどの程度軽度なのかを把握する。また家の中での環境の把握も大事。介入の点からは、家から出るデイ、家に入る配食サービスや訪問看護やヘルパー、薬剤師などのチェック機能を密にしていくことで重大な事故も防げるのではないか。
G. 退院時にどのように連携していくかで、カンファレンスへの栄養士の参加がない。栄養士がいなくても書類等での情報提供ができないか。NSTの介入状況を伝える。在宅に帰っても栄養士の介入を。ケアマネを通してどれだけ情報を取れるか。
H. 現病歴に脳梗塞があるので、その評価を正しく行う。また認知症のレベルをしっかり評価して在宅につなげる。在宅の先生としっかり繋がる。また訪問リハを入れ、まずは食べられるために口腔ケアをしっかりしていく。あとは自宅でしっかり運動しADLを拡大していく。食べる姿勢も評価していく。食事をどのようにしていくかで訪問看護、通所リハなどをどのようにつなげるか。病院にいるときに栄養士との相談も大事。本人に負担かかり過ぎず家族の願いを叶えていく。環境を変えずに自宅で療養を続けていく。
(コメント)
2ヶ月に渡り食事について取り上げて頂いて嬉しく思っている。ほとんどの人にとって食べることは楽しみ。NSTチームのおかげで退院も以前よりもずっと早くなったと思う。在宅へ行き栄養が行き届かず再入院といったことも往往にしてあると思う。ぜひ在宅の栄養士にも頼って頂き、病院での環境を各家庭でも簡単にできる食事として提供でき、本人の体調を維持し再入院を防ぐ事が重要。患者さんのQOLを高めて家族の負担を減らしていければと思う。病院の栄養士と在宅の栄養士が協力して、 在宅支援がもっと手厚くなれればと思うこと。できたら在宅の管理栄養士が地域と繋がるために、診療所やクリニックと管理栄養士が組めたら、そして病院の栄養士と在宅の栄養士が一緒に退院前カンファレンスに同席できる時代が来ればいいなと思っています。できなくても紙ベースでもいいので。
私も敬愛病院の222222に困ったらすぐにお世話になっている。やはり地域にも在宅医や栄養士、看護師等揃っているので、病院の管理を地域のチームで支えていければと思っている。病院から病院、病院から施設へ移るときには栄養士さんの情報は行きやすいが、在宅に戻られる時こそ病院の栄養士さんも退院前カンファレンスに参加して頂いて伝えて頂きたい。在宅に帰ってからだと誰がキーパーソンになるかが重要になってくると思う。そこはケアマネジャー一人では難しいので、地域の開業医や管理栄養士さんにも退院前カンファレンスで病院側からボールを投げて頂ければキチンとキャッチしていきたいと思います。
【自己紹介】
今回初参加の4名の方のご紹介
【連絡事項】
第145回三方よし研究会 令和元年12月21日(土)16:00〜18:00
当番会場 東近江医師会・近江八幡医師会
共催 近江八幡市立総合医療センターよしぶえホール(花戸先生)
懇親会のお知らせ(瀧川さん)
三方よしポスト・メンバー加入のお知らせ(山本さん)
三方よしメーリングリスト加入のお知らせ(花戸先生)
今回も多くのご参加、ありがとうございました。
来月もどうぞ宜しくお願い致します。
今回も多くのご参加、ありがとうございました。
来月もどうぞ宜しくお願い致します。
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