第172回の三方よし研究会が今回もZOOMオンラインにて開催されましたので、ここにご報告したします。
◇日時:令和4年4月21日(木)18:30~20:30
◇会場:近江温泉病院(オンライン開催)
(当番:近江温泉病院)
(総合司会 小串先生)
【ゴール】
○高齢者、障がい者の自動車運転について理解を深める
○自動車運転免許返納後のサービスを知り、アドバイスを行うことができる
【情報提供】
・介護福祉士「実務者研修会」の案内 (楠神さん)
昨年までの初任者研修に引き続き、ご要望に答えてそのステップアップ版の実務者研修会を三方よし研究会主催で行うことになりました。この講習を受けると、国家資格である介護福祉士資格の受験資格が与えられます。値段も県下最安値、しかも豪華講師陣。是非ともご希望者はお申し込み下さい。場所は司学館高校です。
【30分学習会】
司会進行:(奥野)
『障害者を取り巻く移動に関する問題(自動車運転を中心に)』
発表者:近江温泉病院 作業療法士 奥野さん・仲野さん
・2016年の研修から3年経った2019年、「滋賀県運転と医療に関する協議会」を立ち上げることができた。
・令和3年度の交通事故は高齢者ドライバーで20%、若年ドライバーで14%。高齢者だけではない。
・安全運動相談窓口あり「#8080」
・自動車運転に関する法制度と近江温泉病院における自動車運転の支援の流れとして、教習所紹介者が71名いる(そのうち入院41名、外来30名)。
・運転に必須な高次脳機能は、遂行機能、注意機能、反応時間(処理速度)、記憶、視空間認知機能がある。このうちTMT(持続的注意機能)の評価が大事。
・動画による注意機能の評価の例。
・認知症に関する運転の法制度の紹介。
・認知症にかかる取り消し&自主返納件数はは、法改正前の6倍以上!
・運転中断者は運転継続者の約2倍抑うつ症状が起きやすい=代替手段による生活支援が必須。
・運転の目的…仕事、通院、買い物、送迎、趣味、通勤通学
・返納後の移動の代償手段…徒歩、自転車、ちょこっとタクシー、シニアカー、電動車イス、移動販売、介護保険&障がい福祉サービス、地域の支援など。
・電動車いすも事故が増えている。チェックポイントあり。
・東近江市の公共交通機関…バス、電車、タクシーさまざま
・東近江市の移動支援…配食サービス、介護タクシー、買い物支援、生活支援サポートなど。
・今後の可能性…自動運転技術の開発状況、現在はレベル3。
・まとめ
【情報提供・症例報告】
テーマ「自動車運転免許返納に向けた取り組み ~多発性脳梗塞を呈した症例に対する、急性期から短時間通所リハビリテーションでの関わり」
【症例報告①:急性期病院からの報告 湖東記念病院 設楽先生・リハビリスタッフ】
・69歳男性。頚動脈狭窄症にて経皮的頚動脈ステント留置術。
・頚部検査にてモバイルプラーク初見あり外来紹介受診、80%狭窄で入院。
・頚動脈狭窄治療の選択肢のうち、CAS(カテーテル治療)を選択(90%以上が頚動脈内膜剥離術よりこちらを選ぶ)。
・手術終了後1時間してから突然意識レベル低下、左空間無視・左不全麻痺が出現。翌日MRIにて右大脳半球に散在性脳梗塞あり。
・翌日にリハ開始。4日目には呼びかけにより発語返答が可能に。7日目には会話可能であるが同じ話や辻褄の合わない会話が多い状況。
・19日後には見守りにて50〜60mの独歩が可能なレベルへ。
【症例報告②:回復期リハビリテーション病棟からの報告 近江温泉病院 作業療法士:福本さん】
・歩行はふらつき多く、注意散漫さあり。
・車椅子では見守りが必ず必要。転倒防止対策が必要。
・車いすの後ろから乗り上がるように座ろうとしたり、いきなりリハビリ室まで来てしまうような行動がみられた。
・この時の注意機能検査では、注意力、判断力ともに正常な人の倍時間が掛かっていた。
・初回評価では運転の再開は困難と思われた。
【症例報告③:通所リハビリからの報告 近江温泉病院 作業療法士:西山さん】
・退院後、在宅でどこにもいけない生活に怒り、運転の練習を希望。
・通所は電車とバスで。自転車走行は可能に。
・退院後、独断で運転し整備不良で帰宅困難になった経緯あり。
・ドライビングシュミレーターでは2つのことを同時に処理できず、反応時間が遅くなってしまう。選択反応検査では、飯能時間が1秒以上かかり見逃しがある。
・結局約半年の介入でも大きな改善は見られなかった。
・まとめ
【グループワーク】
司会進行:永源寺診療所 花戸貴司先生
・実際に・・・周囲で自動車運転に関してお困りのエピソードはありますか?
・自動車運転にまつわるこんな怖いエピソードがありましたか?(煽り運転、道路の逆走など)
・東近江の地域で実際に皆さんが車の運転ができなくなればどうしますか?返納しないといけない状況で返納できますか?
・サポートカーやシニアカー、電動車椅子など皆さんから免許返納後のサポートとしてアイデアはありますか?
【発表】
1G
・返納は難しい。運転できなくても目的が達成できれば良い。
・代替手段としては、公交通機関の本数の充実。バス停の充実。行政の積極的な介入。
2G
・入院での運転支援の方々はコロナ禍で中々家族と会えないまま目的を達成できない人がいる。運転認識も難しい。
・田舎では中々車なしには生活できない状況がある、また免許証を持つ=自分のアイデンティティにつながっていて、家族から返納を言い出せない事情もある。
・代替手段としては、普段からちょこっとバスなどを利用しておくこと、また乗りたいと思わせるカッコいいセニアカーなどがあればよい。
3G
・返納はやはり中々難しい。乗合タクシーも地元のタクシー会社との兼ね合いがある。
・返納方法としては、タクシー料金と実際の車の維持費を金額で示していく、後付けでサポート機能をつけていく、また公共交通機関に慣れていくなど。
4G
・車好きの夫が免許を返納せず、家出して道がわからなくなり車中泊した事例、認知症担当者が逆走して事故を起こした、廃車にしたのに再度購入していた、ぶつけた箇所が明らかに増えていた=当て逃げ?などの例あり。
・代替手段としては、無料タクシーや車の自動運転などのほか、感情論でなく事例のような評価を伴う説明であれば特に男性だと受け入れやすいのではないかとの意見あり。
5G
・運転しないと不便な環境がやはりある。運転の社会的影響を考えると、きちんとした評価が必要なのではないか。
・セニアカーの後ろからついて行ったことがあるが、歩道が整備されていないなどの課題がある。今まで簡単にセニアカーを勧めてきたが、色々と考えさせられた。
【指定コメント】
●八日市自動車教習所 谷口嘉男様
・自動車が無理だから自転車という話があったが、バランスの悪い乗り物に乗れるのかな、また社会的責任もあり受傷させるだけでなくするリスクも十分考えておかなければならない。
・例えば沖島では車走行がない中で、三輪の車が重要。それでも転倒のリスクはある。
・滋賀県ではH28から必ず自転車保険には入っておかなければならなくなっているということのサポート周知が必要。
●日野町社会福祉協議会 橋元成子様
・日野町でも高齢化率はばらつきが多い。公共交通機関も、自分の使いたい時間にないなどの課題がある。代替交通機関として担えるかというと、使っていっていないといざ使っていくのは難しいかもしれない。
<自己紹介> 初めての参加者を中心に自己紹介してもらう
【連絡事項】
・第 173回 NPO三方よし研究会 令和4年5月19日(木)18:30~20:30
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