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2025年3月23日日曜日

三方よし研究会地域公開講座/第8回 日本地域医療連携システム学会の報告

三方よし研究会地域公開講座
第8回 日本地域医療連携システム学会を開催しましたので、ご報告します。

開催日: 2025年3月16日(日)13:00〜16:00
会 場: あかね文化ホール(滋賀県東近江市市子川原461-1)
大会長: 三方よし研究会 実行委員長 花戸貴司 先生

〇開催挨拶
三方よし研究会 実行委員長 花戸貴司 先生




〇基調講演
「病気であっても病人ではない 〜社会構築を目指す〜」
講師: 順天堂大学名誉教授、日本地域医療連携システム学会理事長 樋野興夫 先生



樋野先生は、「がん哲学」と地域医療の連携の重要性について語られました。幼少期に医療機関のない地域で育ち、医師を志した自身の経験を交えながら、「医学の本質は、他人の苦痛に対する思いやりにある」と強調。
「がん哲学外来」は、がん患者やその家族が心の支えを得られる場として機能し、「病気であっても病人ではない」社会を築くことを目的としています。静かな語り口や安心できる環境づくりを重視し、患者の心の壁を取り除くことを目指しています。
また、2021年より中学・高校で本格的に始まった「がん教育」にも触れ、がんを「個性」と捉えることで、病気と共に生きる力を育むことの重要性を指摘しました。
新渡戸稲造や勝海舟の哲学を引用しながら、「人間的な責任としての医療」を強調。科学的な診断・治療だけでなく、温かい人間関係の構築が不可欠であると述べられました。

〇主講演(13:45-14:45)
「住み慣れた地域で安心して暮らし続けるために 〜三方よし研究会と地域の取り組み〜」
講師: 東近江永源寺診療所 所長 花戸貴司 先生



花戸先生は、地域医療・介護の現状と課題について幅広く語られました。高齢化が進む中、訪問診療の重要性が増しており、医師会の支援が地域医療の柱となっている現状が紹介されました。また、介護保険の新規・更新申請に関する知識の必要性や、家族の介護負担の軽減についても言及。
家族だけでなく、自治会、民生委員、専門職、ボランティアが連携することで、より充実した支援が可能になると述べられました。特に、一人暮らしの高齢者の増加に伴い、地域のつながりを強化し、孤立を防ぐ取り組みの重要性が強調されました。
また、健康維持のための生活習慣についても触れられ、共に食事をすることが認知症予防につながることや、地域活動への参加が健康促進に役立つことが紹介されました。特に、運動やフィットネス活動が心身の健康維持に寄与することが強調されました。
防災対策にも言及し、高齢者の避難支援の重要性を指摘。過去の災害事例を踏まえ、地域ぐるみの備えや支援体制の構築の必要性が示されました。
最後に、花戸先生は「地域の力で支え合うことが、健康で豊かな生活につながる」と述べ、住民が協力し合いながら誰もが安心して暮らせる社会を目指すことの大切さを伝えました。


地域活動報告(14:55-15:45)
・蒲生地区 「おたがいさん蒲生」



「おたがいさん蒲生」は、蒲生地区で生活支援サポーターが活動する支え合いの仕組みです。平成29年に市社会福祉協議会の生活支援サポーター養成講座から始まり、「助け上手」「助けられ上手」な地域づくりの必要性を認識した住民が集まりました。
地域の困りごとを共有し、ゴミ出しや買い物支援、話し相手の提供など、多様な支援活動を展開。21回の懇談会を経て令和2年に設立予定でしたが、新型コロナの影響で延期。しかし、活動は継続され、令和6年12月には72回目の懇談会が実施される予定です。
現在16名のサポーターが、相互扶助の理念を大切に活動しており、専用携帯を活用した相談受付や福祉専門職との連携も強化されています。有償ボランティア制度を採用し、支援の質を維持しながら活動の継続性を確保しています。
一方で、人材不足や送迎依頼の偏り、「便利屋扱い」といった課題も抱えていますが、住民が支え合い「安心できる地域」を目指し、活動を続けています。

・愛東地区 「学生カフェFIKA」 愛東くらしの会議 楠神渉



「学生カフェFIKA」は、愛東中学校の生徒が発案し、中学生議会で提言されたプロジェクトです。田舎の小規模中学校から大規模高校へ進学する際の不安や、人見知りによる不登校の問題を背景に、人と交流する機会を増やし、世代を超えた地域交流の場を作ることを目的としています。
当初は提案に対して行政からゼロ回答でしたが、地域団体の支援を受けながら準備を進め、プレオープンでは地元食材を使った料理を提供し、地域の方々と交流を深めました。夏祭りではバザーを開き、運営資金を確保しお揃いのTシャツも揃えられています。
正式オープン後も、流しそうめんやお月見イベントを開催し、子どもから高齢者まで幅広い世代が楽しめる場を提供。参加者は80名を超え、今後も地域に根ざした活動を続けていく予定です。


〇対談、今後の展開


地域医療と地域支援の取り組みが多岐にわたることを実感できる機会となりました。誰もが安心して暮らせる地域を目指し、今後も様々な活動が展開されていくことが期待されます。

〇閉会の挨拶
NPO三方よし研究会 会長 小串輝男先生


〇次年度の紹介
京都府立医科大学 保健・予防医学教室 予防医学部門
京都府立医科大学大学院 医学研究科
分子標的予防医学 教授 医学博士 武藤倫弘 先生


〇司会
chain of smile 代表 小原日出美様


〇物販コーナー















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