三方よしカレンダー

2023年6月15日木曜日

第186回 三方よし研究会開催のご報告

第186回の三方よし研究会が開催されましたので、ここにご報告いたします。



◇日時:2023(令和5)年6月15日 18:30~20:30

◇会場:WEB開催(ZOOM開催)

◇当番:東近江介護サービス事業者協議会在宅部門・施設部門(社会福祉法人六心会)


◇ゴール:

○避難行動要支援者避難支援制度について学ぶ。

○避難行動要支援者を実際に支援する仕組みづくりについて実践事例を参考に考える。

○顔の見える関係・ネットワークを作り、連携を深める。

 

進行:六心会 堤洋三さん


 

【情報提供】

・三方よし介護職員初任者研修、介護福祉士実務者研修のお知らせ 〜楠神渉さんより〜



 

【学習会】

「東近江市避難行動要支援者避難支援制度について ~制度の概要と東近江市の推進方針、現状の紹介等~」

・東近江市福祉部 福祉政策課 大丸 和輝さん

 



・阪神淡路大震災にて「災害弱者」という言葉が使われ始め、東日本大震災の時から「災害時要援護者」の避難支援が検討されるようになった。

・東日本大震災では被災地全体の死亡者数のうち約6割が65歳以上の高齢者で、障害者の死亡率は被災住民全体死亡率の2倍、消防団員等支援者も多数犠牲になり、要援護者の避難が大きな問題に。

・こうして避難行動要支援者名簿の作成が市町村に義務付けられ、同意が得られれば避難支援関係者(自治会や民生委員など)に提供できるような制度ができた。

・近年毎年発生している豪雨災害でも、この災害時要配慮者の死亡者数の高さが、課題を物語っており、東近江市でも、避難行動要支援者避難支援制度が策定された。



・ただ名簿作成だけでは要支援者に被害が集中している現状が続いていた中で、令和3年にさらに法律が改正され、さらに法律が改正され、要支援者一人一人の「個別避難計画」の作成が市町村の努力義務となる。

・その計画作成では防災と保健福祉の連携が非常に重要で、普段から見守りながら災害時には支援につなげていこうという趣旨。

・計画と名簿では優先度をつけて作成していくことが大事。ただなかなか全ての項目を埋めていくのは難しいため、医療福祉の専門職も関わりなが関わりながら作成していく必要がある。

・令和5年1月1日現在、東近江市での避難行動要支援者の対象者は4,144人でそのうち実際の登録者は2,445人(対象者対比59.0%、回答者対比で70.4%)。



・取り組みが進んでいる地区、そうでない地区それぞれある。令和3年に計画作成に前向きな回答をいただいた市辺まちづくり協議会と連携してモデル的に全自治会で個別避難計画の作成支援を進めてきた。

・その中での取り組みの工夫としては、自治会長が中心となって聞き取りを行うが、民生委員も同行することでスムーズな聞き取りが可能になった例がある。

・ただ自治会長や役員なども基本毎年交代していく中で、なかなか取り組みが積み重なっていかないという課題がある。そのような中でこの後に出てくる見守りを中心とした福祉委員会のような組織の結成が非常に大事になってくると思われる。

・いざ災害が発生した時に避難するのも判断するのも住民一人一人なので、主体的な計画作りとその支援が重要だと思っている。

 

 


【事例報告】

「五個荘山本町自治会(福祉委員会)における避難支援・個別避難計画作成の取組み」


◯東近江市五個荘山本町 民生委員・児童委員(福祉委員)中沢篤雄さんより


・五個荘山本町は人口621人、世帯数245、男女平均年齢45.6歳で高齢化率は28.8%で大体全国平均と同じくらい。若い世代が近年引越し等で増えてきている特徴もある。

・個別避難計画は「五個荘山本町福祉委員会」がベースとなって活動している。

・前身として2006(H18)年の配食サービス「えぷろん」やミニふれあいサロン、2015(H27)年の「やまもとワンコインカフェ」等、女性中心の有志ボランティア活動がある。

・2019(H30)年に市社協講演会をきっかけに勉強会を開き、ボランティア活動メンバーを中心とした「五個荘山本町福祉委員会」が発足した。

・現在14名の委員で、定例会では毎回担当者が見守り対象者の状況を報告しあうなどしている。



 ◯東近江市五個荘山本町 福祉委員(前自治会長)稲本正行さんより


・2022(R4)年5月、東近江市自治会連合会の「東近江市避難行動要支援者支援制度」研修をきっかけに、12月に山本町でも避難支援・個別避難計画作成の取り組みが始まった。先立って11月には防災訓練も開催した。

・2023(R5)年1月に「避難行動要支援者個別避難計画作成検討会議」を開催。以後2ヶ月毎に進捗状況を確認し合っている。



◯東近江市五個荘山本町 自治会長(福祉委員長)野瀬芳宏さん


・今後の取り組みとしては、計画作成から避難訓練への展開、登録更新と聞き取りの継続。

・課題は、福祉委員会活動がベースであることから、福祉委員会活動の維持・継続が最も重要(福祉委員の高齢化)。


 

 

進行:花戸貴司先生

【グループ別意見交換】

①避難行動要支援者の個別避難計画づくりへにどのように関わることができるでしょうか

②災害時にはどんなネットワークが必要になるでしょうか

③避難行動要支援者の命を守るためにも平素からできることとはどんなことでしょうか。

 

【発表】

<1G>

・熊本災害も経験したが、災害にあったところは取り組みが進む、ないところは進まないという現状がやはり出てきがちな現実がある。

・施設と居宅によっても違いがある。

・栄養士活動では防災食の取り組み紹介もあった。

・自分の自治会でお隣に声を掛け合って顔の見える関係づくりを始めだした。

・歯科医師会ではポータブル機器や発電機等の用意もされている。

・リハ職としては、フェーズ対応で災害が一段落した後の予防支援、サポートを行いたい。


<2G>

・どの程度の災害を予想するか。そして訪問看護師であれば顔が見えない中で対応していかなければならない実情からすると、顔が見えなくても動けるデータベースの構築、それを共有してわかっておく必要性を感じている。東京では4千人の事例発表のあった東近江市とは桁が違うので強く感じている。人間の耳と形だけでは限界がある。誰かに聞かなくても見える状態をいかに作るか。 



<3G>

・①については、作業療法士としては逃げる際の手段についてのアドバイス、ケアマネとしては避難場所の記入、避難所での必要な物資等についてなどの意見が出た。

・②については、その方に対しての情報カードの話が出た。保健所やケアマネ、行政それぞれの持っている情報を合わせていく連携も大事。

・③ではそもそも書くことができない方へのフォロー、市からの働きかけでケアマネに繋がる場合などある。また正確な情報共有の仕方、後継者の問題を考えておくこと、地域行事に参加しておくこと等の意見が出た。


 

<4G>

・地域包括支援センター、地域コーディネーター、民生委員等の方々が集まるのが大事なのではないか。今回社会福祉法人が活躍しているのはとてもよい取り組みなのではないか。

・色々な情報ツールを駆使して楽しくやっていくのもとても大事な要素なのではないか。

・個人情報のことを全面に出すのではなく、その方の命を守るためには、情報共有が大事なのではないか。在宅酸素や薬情報など。

・民生委員を皆がしっかり支えるということも大事なのではないか。




<社会福祉法人六心会の関わりについて>

・定例会の際に福祉の専門家の立場から意見をいただけることはとても助かっている。

・六心会としても、防災協定も締結して地域と共に進んでいこうと思っている。



【指定発言】

●東近江市五個荘山本町 民生委員・児童委員(福祉委員) 中沢篤雄さんより

・民生委員2期目で1000人いるが、一人でやってこれたのも福祉委員の皆さんがいたから。避難支援計画はあくまで手段であって、これをいかに地に足をつけて取り組んでいけるかが大事だと思っている。滋賀県は災害が少ないと言われてきたが、そのような状況でもなくなってきている現状もあるので、しっかりこれからも進めていきたいと思っている。



●東近江市福祉部 福祉政策課 インクルージョンマネージャー 中村準一さんより

・今日はとても参考になるご意見をいただいた。この制度がまだまだ浸透していない現状は行政としての努力もさらに必要だと思っている。その中で五個荘山本町の取り組みは非常に有意義でありがたく思っている。しかしやはり医療福祉専門職の力は大きいと思っている。例えば薬剤師の一言等が当事者にとって参考に大事になってくる。自分で生き延びようとするには、専門職の知識が必要となっている。そして情報の共有化と管理につき課題を解決していけるようにしたい。自治体の強みを活かして次代の命を守る地域を作っていっていただく、その支援に今後も取り組んでいきたい。今日はありがとうございました。

 

 

【連絡事項】 ・187回 三方よし研究会

○当番:八幡蒲生郡薬剤師会・東近江薬剤師会

「ポリファーマシーについて」



ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

また次回もお待ちしております!

2023年5月18日木曜日

第185回 三方よし研究会のご報告

 

第185回 三方よし研究会を開催しましたので、ご報告いたします。

 

◇日時:令和5年5月18日(木) 18:30~20:30
(当番:医療法人社団昴会 )
ゴール
○ 脊椎疾患について理解を深める
〇 医療依存度が高い若年者の退院支援について理解を深める


 小串先生:本日は昴会の担当です。皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。



 【情報提供】 
東近江圏域介護職員初任者研修
楠神:三方よし研究会主催で、今年で8年目となる在宅生活を支援する介護職員を確保する為の介護初任者研修を開催しますので、ぜひ、関心のある方にお声をかけてください。小串先生、花戸先生はじめ地域医療福祉関係者が講義・演習を行っていただき、有意義な時となります。

介護福祉士実務者研修
楠神:初任者研修の修了生から国家資格にチャレンジしたいとの声を多数いただき、昨年度より、実務者研修を開催します。多数の皆様のご参加をお待ちしています。


 

【情報提供2】
・あいさつ


上田様:本日は昴会の当番で、第185回 三方よし研究会を開催させていただきますので、よろしくお願いたいします。
・昴会市民公開講座のご案内
上田様:5/28午後1時から、八日市の文芸会館で「心臓病でなくならないために」をテーマに開催しますので、ぜひご参加ください。コロナ禍を経て、このような公開講座も再開することができました。

【30分学習会】
テーマ『腰部脊柱管狭窄症 最新治療のイロハ 〜保存加療から手術加療まで〜』 
  発表:医療法人社団昴会 日野記念病院 滋賀脊椎センター 田中 真砂史 医師


腰部脊柱管狭窄症の定義からイロハ、 イ:基本的な保存療法 ロ:最新の薬物療法 ハ:最新の手術療法 について分かり易く説明していただきました。
キーワード
 ・ABI検査
 ・腰部脊柱管狭窄症の薬物療法、分離、ブロック療法、運動療法、物理療法
 ・痛みには急性痛と慢性痛がある。
 ・侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛
 ・簡易ツール、
 ・我が国で神経障害性疼痛に使用できる薬:(ミロアガバリン、プレガバリン、アミトリプチリン)
 ・退薬症状あり要注意。
 ・薬物療法無効例には手術を!(除圧術、開窓術、固定術)

※質疑応答・感想 …チャットの利用
Q:楠神(CM)患者さんは手術前に不安な気持ちを持っておられる方もおられますが、好事例なども説明していただけるのでしょうか?
A:田中先生 他の患者さんのレントゲン写真なども見ていただき、説明させていただいています。

 【事例紹介】
テーマ『若年者で医療依存度が高い患者の退院支援~本人の希望を叶えるために~』
発表:医療法人社団昴会湖東記念病院 地域医療連携室 小澤
医療法人社団昴会日野記念病院 内科 山田伸一郎 医師 地域連携室 上田


小澤様(MSW):50歳代女性の症例紹介
 ・プラダー・ウイリ症候群(肥満・糖尿病・低身長、性線機能不全などの内分泌的異常及び特異的な・・・。)
 ・転倒し胸部打撲→肋骨骨折と診断。
 ・介護保険だけでは適切な支援を補えない為、難病申請を行い負担の軽減に努めた。
 ・本人:作業所に行きたい。 父:妻の介護もあり施設に預けたい。
 ・回復期リハビリは対象疾患でなく、受け入れできない。医療療法病棟、介護支援も受け入れ困難。
  →一般病棟へ転院。
 ※若年層で継続的な医療処置がある患者にどのように支援をしていけば安心して生活ができるだろうか考えさせられる症例。

山田様(医師):歩くこともギリギリ歩ける。日中は酸素がなくてもなんとかやっていける。体重も減り、夜だけASVを装着している。すべての原因は肥満になり、体重もこの半年で40㎏以上減量している。医療病棟ではなく、知的障害の方が入れる施設を検討しています。

上田様(MSW):起き上がりは、手すりを使用しての動作可能。独歩にて統内歩行安定(50mの連続歩行)

 
Q:(宇都宮様)地域包括ケア病棟には何日目に転院されましたか?
A:(小澤様)入院当初からです。

 【グループワーク】
テーマ『若年者で医療依存度が高い患者の退院支援~本人の希望を叶えるために~』
①どのような支援があれば自宅退院ができますか
②施設入所を希望された場合、どのような施設がありますか
③その他意見や感想があれば

【発表】
1G:どのような支援があればですが、1Gではこういうサービスがあるからスタートしたのではなく、このようなケース大変だよなってところから議論が始まりました。在宅に向けては、どのような望みを持っておられるのか、アセスメントしながら、みんなの安心を得られるようにしたい。そのうえで、グループホームなども検討できるのではと思います。その上で、介護保険だけでなく障害分野の活用なども選択肢にあげていきたい。

山田先生:140㎏位あって息ができない時に入院されている。今は69kgまで減っている。自宅で痩せる方法がなかったのか?と思います。できれば、60kg前半になって、もっと元気になって帰っていただきたい。

 2G:まず、家に帰るのと、施設に帰るので、いろいろと意見がでました。お父様への介入、お母さまへの負担の軽減を考えたうえで、自宅に戻ることも検討したい。お父さまだけでなく、近隣の住民さんも巻き込んで支援していきたい。施設の可能性については、高齢者向け住宅の選択肢もあるかと思う。この方が自宅に帰ることが幸せなのか? 将来的なことも考えると施設も選択肢に入れるのがよいかと思います。難しいケースですね。

 3G:まず、自宅に帰るのであれば、お父様に介護をしてもらうのは難しいので、レスパイト入院も併用しながら、自宅に戻るのがよい。その際は栄養士さんに指導いただき、美味しく食べれて、管理もできるとよい。またナーシングホームも選択肢にあがる。どんな困難ケースも見ていただけるショートステイもあり。

 4G:一番多くでたキーワードがグループホームでしたが、実際は難しいのではとの意見がありました。この方経過をご存じなSWに意見を聞いたが、作業所に行くのは現時点では難しいのでは。関係者会議を開催して、お母さまのケアマネと連携する。10年、20年先を見据えた支援を行っていきたい。

 5G:今回、自宅退院できますかの質問に対して、経済的なこと、お父様への支援、試験外泊してみるのではよいのは。作業所に行きたいとの本人の思いを叶えられるのでは。ご両親が在宅を望まれていない理由、本人が自宅に帰りたい理由を探ることが大切。コロナ禍で本人が頑張っている姿を両親が見れていないので、その様子など見られると、両親の気持ち変わるのではとの意見がありました

 〇指定発言:神崎中央病院   地域医療連携室 中島様

多職種と意見交換でき、自分の見ている目線の狭さを感じました。私の立場では在宅復帰に向けた支援方法を考えましたが、間島先生からは、5年度、10後の介護者の状況を考えた時に、本当に在宅に戻ることが幸せなのかの検討が必要との意見もありました。また、在宅のサービスも提案していただき、勉強になりました。

支援センター太陽 木本様


中島さんからも視野が狭くなっているとの意見や、多職種連携の醍醐味を言っていただきました。私が思ったのが、支援センター太陽は地域に近い存在であり、障害の分野では難病の方も対象に入り、支援ができるようになっています。多職種連携や資源を開発していくことも大切ですが、脊髄の疾患があり、進行性の難病をお持ちの方が、作業所が使えることになり、家に帰れた際に、「おかえり」と言ってもらうことが励みになられた。その後、今後のことも考えて、グループホームに入られています。資源だけでなく、生活の満足度をあげることも考えていきたい。フォーマル、インフォーマル関係なく、本人がしたいことを応援すると、結果的に資源開発に繋がります。

 

宇都宮様:

本日、滋賀県の看護協会で診療所の外来の看護師さんを対象に、外来で始める在宅療養支援をテーマにした研修を行ってきました。今回の出していただいた方も、実はかかりつけてずっと通っていて、でもその通院している時に、ほんとはいろんなことが崩れ始めていた大変な場面があったんだけど、どうしても忙しい外来中は、特に障害の相談員さんとやりとりするだとか、自宅でどうなんだろうかとお父さんの気持ちを聞いてみる、そんなことがなかなかできないのだけど、外来の場面で、意識してやれていくことで、なるべく、山田先生も先ほど仰ったように、早い時期の関りや、出会いを前に持っていくことが大事だなっていつも思います。そんなことに繋がったらいいなって、それが本当の意味でのかかりつけ医療機能ではないかと思っています。そのようなことを考えさせられけーすでした。どうも、ありがとうございました。


花戸:今日、皆さんとディスカッションできて、ありがとうございました。結論をだすだけでなく、多職種でこのように意見交換して一緒に考えることが大切ではと思いました。仲間や役割、居場所、そのようなことも考えたい。お父様がいなくなったあとも生活していけるように考えていきたい。このようなことが地域共生社会に繋がっていくと思います。

上田:皆さん、貴重なご意見をありがとうございました。このような機会を大切にしていきたいと思いました。

【連絡事項】 
・令和5年度 三方よし研究会 総会 令和5年6月15日(木)18:00~18:30
・第186回  三方よし研究会 令和5年6月15日(木)18:30~20:30

2023年4月20日木曜日

第184回 三方よし研究会開催のご報告

この度、第184回の三方よし研究会が開催されましたので、ここにご報告致します。

 

◆日時;令和5年4月20日(木) 18:30~20:30

◆会場:ZOOM活用によるWEBでの開催

◆当番:近江温泉病院




【ゴール】

●東近江でパーキンソン病の方の現状を共有する

●東近江でパーキンソン病の方をどのように支えていけるか検討する


 

【連絡事項】

・NPO三方よし研究会事務局長の小梶猛様の訃報につき、あらためてご報告致し、参加者にて黙禱を捧げました。

 小梶さんはこの三方よし研究会の副会長であり、事務局長として立ち上げから定款策定、会計管理、理事会総会の仕切りといった細かな事務作業、会の宣伝に至るまで、いわば三方よし研究会の推進役、偉大な顔としての役割を担われ、この度堂々たる最期を迎えられました。

あらためてご冥福をお祈り申し上げます。


 


【司会】


近江温泉病院 前川遼太さん




【活動報告】

「東近江市介護予防体力測定委託事業の結果報告」

発表者:久保田友季子さん(近江温泉病院 理学療法士)



・2020年9月より、東近江市からの委託事業として、市内サロン参加者(延べ約588名、平均年齢76.1歳)の体力測定結果を報告する。

・1日の流れとしては、講義の後体力測定を行い、自主練習指導を行った上で、後日測定結果を「体力年齢」としてお知らせし、歩行動作計測結果を分析してお知らせした。

・結果① 参加者の体力と骨格筋量については、男女ともに足の筋力・骨格筋量以外はほぼ良好な結果だった。

・結果② 歩く姿勢については、歩行中の股関節を後ろへ伸ばす角度は、実年齢、体力年齢と有意に相関していることが分かった。

・結果③ 体型については、男女ともに隠れ肥満から肥満が多く、女性に関してはやせも一部認められた。

・結果④ 運動習慣については、運動習慣のある者は実年齢より約4歳若い、さらに運動習慣あり自主練習を行った者は実年齢より約7歳若いという結果が出た。

・結果⑤ サロン別の特徴としては、運動系のサロンは機能良好、非運動系のサロンは機能不良の傾向がでた。

・結果⑥ 地域別の特徴としては、蒲生八日市がご高齢の方が多く機能不良、永源寺は機能良好、湖東は上肢良好下肢不良、能登川は下肢良好上肢不良との傾向が出た。

・まとめ 男女ともに足の筋力については全国平均より低く、スクワット等足を鍛える運動が重要/歩き方、栄養面の意識、運動習慣も重要/体操指導には地域やサロンの傾向ごとの個別対応の考慮も重要、ということが分かった。



【30分勉強会】

「パーキンソン病についての基礎知識」

発表者:中馬孝容先生(滋賀県立総合病院 リハビリテーション科科長)




・特定疾患としては、圧倒的に潰瘍性大腸炎・パーキンソン病の方が多い。

・パーキンソンとは一つの症候群ではないかという捉え方がある。一つの疾患に様々な症状が合併しており、最初にどの科の先生にかかるかで診断が変わってくるという側面がある。

・最初のとっかかりとしては、落ち込みなどで精神科にかかるなどがあるので、最初が重要。また運動障害の前に嗅覚障害(なんの匂いかが分からない)、睡眠障害、便秘がくることも多いことにも注意が必要(Braak仮説が一時流行ったがそこからも納得がいく)。

・パーキンソンといえばとにかくドパミン枯渇がメインだが、中枢ドパミン神経系にはいくつかある。震戦などをもたらす黒質線条体路は有名だが、中脳から辺縁系、皮質へいく経路もあり、意欲、遂行機能、実行機能への影響も言われている。



・通常ドパミンがシナプスを介して伝わっていくが、そのやりとりが上手くいかないために、補充としてL-dopaがいくつかあったり、ドパミン分解の阻害剤などがある。そのため薬が沢山あるように思うが、いかにドパミン濃度を一定に保てるかの工夫を各脳神経内科の先生方が行っているから。

・有病率は人口10万人にあたり100〜150名ほど。

・昔の教科書なら50歳代がピークと書かれていたが、現在は80歳でもかかる方がおり、高齢になるにつれて罹患率も増加しているといえる。

・病変細胞にレヴィ小体といわれる蛋白封入体がある、原因遺伝子の中にある物質、酸化ストレス、ミトコンドリア異常も原因の一つといわれている。

・症状としては、大きく4つ、振戦、固縮、無動、姿勢反射障害。さらに自律神経障害、精神症状、疼痛、疲労などの非運動症候、前傾姿勢、すくみ足などあり。

・抗パーキンソン病薬の効果は、数年間は安定する。しかし経過とともに薬効が短くなるwearing-off現象、内服した時間に関係なく症状が変動するon-off現象が出てくることが悩ましいところ。



・パーキンソン病診療ガイドライン2018より、早期薬物療法の開始の推奨、L-dopa開始とそれ以外での薬物療法のどちらがよいか、wearing-off患者へのドパミン付随薬追加の提案などが示されている。

・海外文献では、パーキンソン病と診断されたらまずExercise、運動した方がいいよと推奨されている。

・350名ほどの患者への調査で、困っていることとして、介助が必要ない方では手足の震え、解除が必要な方では前傾姿勢が1位。

・パーキンソン病の姿勢と歩行については密接な関連がある。姿勢が悪くなると腕の振りが少なくなり、体幹の回旋、骨盤の回旋も少なくなり、歩幅が狭くなるため、腰痛を生じやすく、胸郭の動きも小さく、深呼吸もできていないことが多い。また股関節・膝関節が曲がり歩行時に踵接地が難しいためいざというときに後方へ足を出せずに検討リスクが高くなる。

・また作業や家事動作は前傾姿勢で行うことが多く(体を外らせて行う動作はなかなかない)、その点も生活指導が必要となる。

・ということで、早くから体

操や運動の習慣をつけることがやはり重要。姿勢を意識し、自主練習の習慣を目指しましょう。達成感があるものがよい。



・診察時、上肢挙上、体幹側屈などに関して、仕方のポイントがある。

・介助が必要な動作として服を着る更衣が多い。これから肩まわりを動かす運動の重要性が出てくる。また転倒は居間が多く、その環境チェック、自助具も重要。

・積極的な運動の効果は確かにある。ちょっと難しめの運動が効果的。

・韓国での調査で、8年間の追跡期間中17%の死亡があったデータから、パーキンソン病の診断後、身体的活動的である場合、死亡率は最も低下していた。また身体活動をしていた人は、不活発な人よりも死亡率は低かった。

・パーキンソン病では運動学習が早期から阻害されているため、適切な強度と頻度を考えた指導での運動がとても大事ということを強調したい。

 


 


【情報提供】

「難病応援センターの紹介」

発表者:井上克己さん(NPO法人喜里)





・気軽に立ち寄れる場、安心して相談できる場として、9年前に設立された。

・3/1に五個荘小幡町にセンターを開設した。

・理事長も私も難病患者。25年前発病した際、とても心配だったが、身近にいた方々に相談できてとても安心した。そこで気軽に相談できる場が大事だと思い開設に至った。

・電話一本で相談に乗ります。当法人で解決できないことは関係機関に繋いだりしている。

・月に1回、難病サロンを開放している。

・センターの端にカフェスペースを設け、6月くらいにはスタートしたいので、また皆さんもきてほしい。

 

 

【情報提供・症例報告】

パーキンソン病患者・家族会「のびのび友の会」育成事業(体操教室)から短時間通所リハにつないだ症例

 

①パーキンソン病患者・家族会「のびのび友の会」育成事業の紹介と東近江市におけるパーキンソン病患者さんの現状

発表者:中野琴奈さん(東近江保健所 主任保健師)



・東近江保健所は東近江市、近江八幡市、日野町、竜王町を管轄しており、保健所が医療費助成の窓口であることから難病患者や家族の様々な相談を受けている。

・難病指定疾患は338あるが、パーキンソン病患者が一番多く、その受給者数は県全体で1751人、東近江圏域で309人いる。

・パーキンソン病はHoehn-Yahr分類3度以上、かつ生活機能障害度2度以上が対象。

・「のびのびの会」育成事業の目的は、患者やその家族(介護者)同士が交流したり、病気とうまく付き合えること、不安や悩みの軽減を図ること、疾病特性に応じた家庭でできるリハビリを習得すること。

・平成2年頃から約30年続いている。名前の由来は、病気の特性に負けないよう、身体を伸ばし、のびのびすることを目指してつけている。



・平成29年度からはNPO法人喜利さんと共催で行っている。

・309名のうち、案内希望の97名に配布し、33名が参加している。

・令和4年度は5回開催し、近江八幡市ひまわり館や東近江市コミセンを使用、内容は交流・歌・体操。

・参加者からは家でできる体操の希望が多く、そのアンケート結果でも大体良かったとの評価をいただいている。

・今後の課題としては、①パーキンソン病にリハビリが有効であることの啓発が必要であること、②東近江圏域全体が対象であり、距離が遠く参加できない人がおられること、③本会以外でも様々な形で交流できる場が必要、と感じている。

 

 

②のびのび体操友の会育成事業(体操教室)からみえた現状と課題

発表者:石山達也さん(近江温泉病院 理学療法士)



・当院には、パーキンソン病に特化したリハビリテーションプログラムLSVT〜BIG/LOUDの認定セラピストが7名いる。

・のびのび友の会での「家でできる体操」を指導した結果、95%がとても良かった、良かったとの感想をいただいている。

・審議応答では、朝起きる時に手を突っ張らないといけないが、どうしたらよいか?狭いところに行こうとすると足がすくんでしまう、リハビリテーションをどこで受けけられるのか分からない...等々上がった。

・のびのび体操から当院リハビリセンター(外来、デイリハセンター)に繋がった方が2名おられた。その紹介(デイリハ利用者に関しては聞き取りの動画を紹介)。

・思いとして〜「今後地域に求めることや、こんな支援があれば良いなと思うことはありますか?」「人に優しい、地域作り、社会作り、これが一番大事だと思う」



 

 

【グループワーク】

〜お題〜

・パーキンソン病を呈された方との関わりの中で困ったこと

(特に診断後どうしたら良いかわからなかった。リハビリテーションがあることを知らなかったなど。)

・パーキンソン病を呈された方を地域で支えていくには?

(どのような支援、サービスがあるか、理想の関わり方について)

 

【発表】

<1G>

・自分の病気がどう進んでいくのか分からない方にどう接したらよいかで困った。

・情報をまとめたものがあるとありがたい。

・健康教室などで、どこまでしてもらってよいのかの不安もある。

・どんな方でも地域の中で参加できる場があることが大事なのでは。



 

<2G>

・進行の早い方についての対応、痛みのせいで介入がしにくい方、施設に繋ぐにあたり薬価の高さから上手く繋げられないなどの悩みの意見が出た。

・情報の行き届かせ方が大事、大きなところでまとめて関係機関に繋げる場があるとよい。



 

<3G>

・薬を細かく調整していく、運動習慣がなかなかつかないとの困り事が出ていた。

・成功体験、褒め言葉、発症した時の最初の対応が大事。

・エロンゲーション体操の紹介。



 

<4G>

・診断がつかない、OFFの時の介助を指導したいが時間的に合わない、食事の際のとろみをつけるタイミング、運動面をみていくのかパーキンソン病に焦点を当てるのかで困ることがあるとの意見が出た。

・こういった症状があるということをまず知ること、また多職種での連携が大事。



 

<5G>

・オンオフの症状によって介護度が変わってしまうこと、オフが怖くて出無精になってしまわれる方への対応、精神面疾患への対応などが困り事として出た。

・初期段階ではリハビリへの理解が得られないことも多いため、初期段階から運動の啓発が大事。地域への集まりへの参加も大事なので、そのためのボランティアも考慮が必要。また薬に振り回されることがあるので主治医との連携も大切。



 

<6G>

・要支援にもかからない方の情報が取りにくいこと。その方達の移動手段も課題がある。日常的な習慣づくりも大事。



 

<7G>

・パーキンソン病と診断されていないが小刻み歩行等がみられる方への介入方法、意欲の低い方や認知症状のある方への運動習慣の定着化、4大兆候への対処などの課題が出た。

・リハビリとしては的確な指示の出し方、定期的な話し合いの場を持つこと、パーキンソン病患者の体験を聞く場を作ること、悩みを打ち明けることで前向きになれること、チームで支えること、などの対処の大事さが出た。



 

 

【指定コメント】

●中馬孝容先生より

・各グループいろんなディスカッションがなされていたんだなと感じて勉強になりました。地域でみていくことが大切だとは皆分かっているんだけれども、難病の患者さんはそれぞれに特徴がある。早期には歩行や動作で困ることがケアマネジャーへのアンケートでも上がってくるが、要介護度が上がってくると、圧倒的に多いのが嚥下。そして呼吸、言葉=スピーチ。地元で往診してくれるようなSTさんが少ないとのアンケート意見もあった。またほかアンケート結果ではリハの効果は認めてくださっているが、その次に上がってくるのがご家族の精神的ケア。なので患者のみならず家族全体をみていっているという現状が全国的にある。ですので、地域で支えるか、限りある人的資源の中で、うまく情報共有することでどんどんつなげていくことがとても大事だと感じている。その意味でこのような会に参加させていただけてありがたかったなと思っている、ありがとうございました。

 


 

●中野琴奈様より

・本日はありがとうございました。早くから体操など習慣にしていけるように取り組んでいくことが大事だと感じました。保健所ではある程度重症化してから関わることが多いので、早くから関わりを持つにはどうしたらよいかと思っていたので、このような会があることをもっと伝えていきたいと思います、ありがとうございました。

 


 

【次回】

第185回NPO三方よし研究会 令和5年5月18日(木)18:30 ~ 20:30 

当番:医療法人社団昴会

「若年者で医療依存度の高い患者の退院支援について」ほか

 




今回もお読みいただきありがとうございました。

また次回、お会いしましょう。