三方よしカレンダー

2026年9月21日月曜日

第227回 三方よし研究会のご報告

 第227回 三方よし研究会を近江八幡市立総合医療センターさんの当番で、「身寄りのない患者に対する連携支援について―行政・地域との連携強化―」をテーマに開催しましたので、のご報告させていただきます。



1. 【情報提供】(18:30〜18:35)

•「東近江地元推し活会議」の案内(報告:東近江敬愛病院 間島 先生) 

 10月26日(月)17:00〜18:30に東近江敬愛病院にて「東近江地元推し活会議」を開催いたします。本企画はもともと院内の企画として始まりましたが、原先生や大口先生のご提案により地域の方々にもご参加いただくこととなりました。

 地域包括ケア時代における地域密着型の中小病院として、単に病気を治すだけでなく、医療をきっかけに人が集まる地域のコミュニティ・プラットフォーム(地元づくり)を共に考える趣旨で実施されます。
 当日は全国の中小病院の取り組みを取材・発信している武田洋介先生をゲストに招き、講演およびグループワークを実施予定です(参加費無料、リアル開催)。

•「緩和ケア病棟20周年記念講演」の案内(報告:ボーリーズ記念病院 加藤 氏)
 


 2006年10月に開設された緩和ケア病棟が20年目を迎えるにあたり、11月15日(日)午後に20周年記念講演会を開催予定です(詳細は後日メーリングリストで案内されます)。

2. 【挨拶】(18:35〜18:40)
•開会案内(進行:花戸 貴司 先生)

 小串先生が別の保健所の会議に出席されているため欠席である旨が連絡され、開会いたしました。

•開会挨拶(近江八幡市立総合医療センター 院長 本郷 文弥 先生) 


 本年4月に着任された本郷院長より、専門の泌尿器科診療や救急現場で身寄りのない患者への対応に直面していること、多職種が連携して考える本研究会への参加を楽しみにしていた旨が述べられました。

3. 【学習会】(18:40〜19:00)
•題名:「身寄りのない患者の連携支援について」
•進行:谷川 摩里子 氏
•講師:近江八幡市立総合医療センター 患者総合支援課 副看護長 北川 陽子 氏

•講演内容:
 社会的背景と現状:滋賀県では2040年に65歳以上の単身世帯が16.8%に達し、2050年には5世帯に1世帯が単身世帯となる見込みです。身寄りのない方の増加に伴い、保証人不在、退院後の住居確保難、医療費未払い、意思決定支援、死後手続き等の課題が顕在化しています。
 身寄りのない人の定義:親族が全くいない人だけでなく、長期間疎遠な人、関わりを拒否している人、支援を断られている人、虐待が疑われる人など頼ることが困難な事情のある人全般を指します。ガイドライン策定の背景:身元保証事業の破綻トラブル、成年後見制度の利用停滞、身元保証人がいないことのみを理由とした入院拒否問題(平成29年の消費者委員会建議や成年後見制度利用促進基本計画)を踏まえ、厚生労働省のガイドラインが策定されました。保証人の役割を整理し、既存の制度や公的資源を組み合わせて本人の意思を尊重して支える姿勢が重要となります。
 社会資源と地域連携マニュアル(甲賀市の事例):本人の判断能力や資金力に応じた制度選択(民間サービス、成年後見、生活保護等)が必要です。先進事例として、行政の医療政策部門が中心となって改定を重ねている**甲賀市のガイドライン(第3版)**が紹介されました。理念の共有、チームアプローチ、事前に備える「役割分担シート」、小地域ケア会議の活用、各種フロー図(緊急連絡先・死亡時対応等)など、地域全体で共通の対応方針を持つ仕組みが解説されました。

4. 【事例報告】(19:00〜19:10)
•報告者:近江八幡市立総合医療センター 患者総合支援課 看護師 川居 真美 氏・原田 恵美 氏


 

※個人情報が含まれるため、報告内容を記載せず。

•【事例①】高齢独居の患者 本人の意思を優先し自宅退院とした症例(報告:川居 真美 氏)

 

※個人情報が含まれるため、報告内容を記載せず。

5. 【グループ発表】(19:40〜20:05)

第1グループ発表

 事例を聞いての早い段階で、自宅退院困難者だと分かるとか、大変だという意見や、民生委員さん、福祉関係の介入はどうだったのか、やっぱりチームエージェンシーなどの仕組みを作っていくのが大事だろうという感想がいろいろ出てきておりました。

 今後は身寄りのない方、親族がいない方、未婚の高齢者はどんどん増えていきますが、やっぱりその人のバックグラウンドを知っている人などの情報が大事と、一人暮らしの人の生活は困難と決めつけるのではなく、みんなで話し合って決めていけたら良いのではないかという意見が出ておりました。
 昔は保健師さんが地域のことをよく知っておられましたが、最近は保健師さんの介入は少なくなってきていて、地域包括支援センターさんに相談することが多くなってきております。今、平時でもこれだけ身寄りのない方などの支援は大変なので、災害時はもっと大変になると。民生委員さんとか消防士さんとか、人を支えていく支援体制を今後作っていくことが大事です。どんどん農業従事者などなり手が少なくなっていく中で、住民同士のつながりが大切になってくるのではないかという話が出ました。
もちろん、かかりつけ医や薬局さんもとても大事になってくると。
 困難事例にいつ気づけるか、誰が声をかけていくのかが大事だし、その人にとって必要な人は誰だろうという視点から考えていくことが大事だと。最後は人と人とのつながりで、地域のつながりが大切となってくるという話が出ました。困ったら上田さん、それが一番という話が出ました。

第2グループ発表

 大阪のベテランな方もお入りいただいて。病院としては東近江敬愛病院さん、近江温泉病院さん、それから竜王の地域密着の山下さん、ボーリーズ記念病院という形で参加しました。ケース一つずつに議論したわけではなくて、注目したのが甲賀市のマニュアルです。ここをなんとか私たちの東近江圏域に、まずはたたき台として持ち込んで解決ができるんじゃないのかなというのが皆さんの創意でした。 
 たちまち1年でできるようなことではないので、中期計画として3年ぐらいを目指して、今回こういうことを皆さん共有できたので、何かアクションを起こしてやりましょうという話ですので、この後どういうようにしていくか作戦を練らなければいけないので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。」


伊丹の病院の連携室におります、塚本と申します。大阪在住で、大阪の方がいろいろ歴が長いです。市町村によって違いがめちゃくちゃあると
いうことの話と、でも属人性も大事にしながら、やっぱりスタートアップのようなガイドラインがあるということが共通認識を持てるんじゃないかということで、めちゃくちゃ元気をいただきましたので、諦めずに頑張ります。」

•第3グループ発表(発表者:神崎中央病院 中島 氏)


 3グループの意見なんですけれども、まず事例といたしまして、今をときめくリアルな事例だなというご意見が出ました。ただちょっと後ろ向きなご意見も多かったんですけど、前向きな意見としては、2人目の事例の方、キーパーソンが友人さんということでしたので、ご友人さんがいられたという点は良かった点ではないかなというご意見も出ておりました。
 また第1例目の退院前に、自宅がとても戻れるような状態じゃないというところが退院してから分かったというところは、退院前に住宅訪問を通していれば解決ができたのかなというようなご意見がございました。
 当3グループの方にはケアマネジャーさんの方もおられたのですが、身寄りのない方が救急でご入院された場合、ケアマネジャーさんにご連絡が来て『来てほしい』『衣服を持ってきてほしい』『薬を持ってきてほしい』というようなご依頼がすごく多く、またその対応にもやはり困ると。ケアマネジャーさんも一人なので体が分裂したりすることができないので、そういった対応というのもやはり困っていくというようなことを言っておられました。
 また衣服を取りに行く際にも、お一人でお家の中に入ってしまうと『何か取った』というふうな問題にも発展しますので、そういった際は違う事業所の方、民生委員さんであったり包括の方にお声がけさせてもらって、必ず2人1組以上にご自宅等に入られるというふうな注意を払っておられました。あと、例えばやはり支援に介入する問題になった時もご本人さんの同意が必要になってきますので、第1例目の方みたいに『自分は大丈夫』と言われてしまうと、ちょっと介入が難しいという点もやはり今後の問題かなというふうには言っておられました。
 お話のまとめといたしまして、重点的なものがいくつかございました。まず一つ目が必要なのは、こういった問題を三方よし研究会というような場であったり、他の場で発信していくこと、まず問題を掘り起こすことが第一として大切であるというご意見がございました。
 次にありましたのが、関わった方に挨拶や関係を持って、さらに多職種の幅を広げていくということで、その中で事例にもありました『私の仕事はここからここまで』というような各々の立場の仕事の幅は確かにあるのですが、やはりその職種の方々のご意見をひとつにまとめることで、『私の場所だったらもうちょっとここができるかな』『私だったらもうちょっとここができるかな』というふうな話し合いの場があると、さらに早期解決につながるのではないかというご意見もございました。
 こういった困難事例等をまず初めに受けてくださるのが急性期の病院さんになりますので大変なところはございます。また他の関わっていく職種の方々、ケアマネさんであったり包括の方であったり民生委員さんであったり、様々な問題が今後身寄りのない方というのは発生してくるとは思うのですが、そういった場を解決できる場、このような三方よし研究会という場であったり、その他研修会等があれば、今後より解決策が出てくるのではないかなと思いました。以上です。

6. 【指定発言】(20:05〜20:15)

•朝日新聞 デジタル企画報道部記者 松浦 祐子 氏


 朝日新聞の松浦です。今日呼んでいただいたのは、きっと私が2021年から2025年まで朝日新聞の認知症の専門サイト『なかまーる』というものの編集長をしていたものですから、その関係で成年後見の話ですとか、認知機能が落ちた方の対応というようなことは取材をしたりお話を聞いたりという経験があったもので、そういうことで呼んでいただいたのかなというふうに思います。
 第3グループで先ほど議論に参加させていただいたのですが、本当事例が入院するまでは病院にかかったそれほどの既往症もなくて、介護保険も使っていなくて、生活保護も受けていないという、本当まさしく隙間に落ちる事例がこんなに綺麗に落ちるというか、ものがあるんだなと、すごい難しいなと思いました。それをそれぞれの医療機関の方などが自宅まで行ってやっと課題が分かる、ちょっとした異変を感じて対応された例だというふうに思います。すごいなというふうに思いました。一方で、その後グループで議論をしていて、こういう事例が特殊なのではなくて皆さんある程度経験をされていて、先ほどの発表でもあったのですが、本当ケアマネさんが夜中に呼ばれて薬や衣類を取りに行くなどのところが、ケアマネさんに限らず他の職種の方もあると聞いて、それをシャドーワークと呼んでいらっしゃいました。今、現状としては、きっとこういう抜け落ちたことをお支えするには、皆さんの本当自分の仕事からちょっとはみ出してやっていただいている支援というのが、今支えられているんだなというふうに思って、とても尊いことだと思います。
 ただこれからで言いますと、私、最近医師の偏在の話や過疎地域の医療というのを取材をしていまして、もうどこでもお医者さんが足りない、看護師さんが足りない、介護職が足りないというのが全国的に問題になっている中ですので、皆さんに皆さんの専門であるところだけでやっていくのはますます大変になってくるんだろうと思います。ですので、身寄りなしの話はできるだけなんかもっと地域にいる違う人材の方も巻き込んで、現状こういう場でこういう情報共有をするとともに、違う職種を超えたところでもっと訴えて、専門職でなくてもというお話もさっきグループでもありましたが、もっと関わる人を増やして支えてくれる人を作っていかないといけないなというのを感じました。これからの課題だなと思います。貴重なお話に参加させていただいてありがとうございます。

•東近江市社会福祉協議会 相談支援課主幹 是洞温恵 氏


 ありがとうございます。グループの中でも紹介していただいたのですが、今の社会福祉協議会でしている事業の方で、身寄りのない人への支援というところをちょうど取り組みが始まっているところです。社会福祉協議会でやっておりま
す日常生活自立支援事業(滋賀県では地域福祉権利擁護事業という名前で実施している事業)の中で、判断能力が十分でない方の福祉サービスの手続きですとか、それに伴う金銭管理という支援をしているのですが、先ほどから皆さんおっしゃっていたように身寄りのない方が増えていく中で、社会福祉法が改正されまして、その地域福祉権利擁護事業の対象の中に『判断能力が不十分な方』プラス『身寄りのない方』というふうに対象が拡大されるということと、支援する内容も福祉サービスプラス『入院や入所の円滑な手続きの支援』ですとか『死後事務の支援』というようなことも含まれるということになりました。
 事業自体が施行されるのはまだ2027年4月からという予定ですが、もう言うてる間に始まるというところで、ちょっと社協の職員として本当にどうしたらいいんだろうと、正直ドキドキ悩んでいるところではありました。
 ただ、先ほど皆さんのお話を聞く中で、本当に共通した悩みでもありますし、それを皆さんで出し合えるという場があるということもとても心強く思いましたし、本当に一つの事業でできることではなくて、多様な職種の方とも一緒に協議しながら進めていかないといけないことだなというのと、どれだけ制度ができてもどうしてもシャドーワークってどれだけ制度が整っても出てきてしまうと思うのですが、それをそれぞれのなかでのりしろを出すということの大切さもこの地域にはあるんだなということにも気づかせてもらいました。
 専門職に限らず、地域の中にも手伝いたいと思っている方もたくさんいらっしゃるということも分かりましたし、皆さんとも連携しながら、また地域の皆さんも巻き込みながら、身寄りがなくても怖くないというか、身寄りがなくても安心だという地域が作っていけたらなと思いました。

 最初に紹介いただいた方の取り組みの中でも、理念とかを共有されているというお話がありましたので、私達もこの事業が変わるということをきっかけに、何か東近江の中で共通した身寄りのない方への支援の理念みたいなことをより深めるきっかけにさせてもらえたらありがたいな、そのためにもまた皆さんとお話しさせてもらえたらありがたいなと思っています。
 どうしても制度として考えてしまうところもあるのですが、やっぱり身寄りのない方が『その人らしく暮らす』という、その『らしく』という部分を大切にするためにも、皆さんおっしゃっていただいていたみたいに、その方がどんな方なんだろう、どんなふうに地域で暮らしておられるんだという情報を皆さんと地域で共有していく場も大切にしながら、新しい事業に向かえたらと思いました。今日は貴重なお話聞かせていただく機会いただきありがとうございます。今後よろしくお願いいたします。

7. 【初参加者の紹介・連絡事項・まとめ】(20:15〜20:30)

•初参加者・久しぶりの参加者の発言 
   塚本 千恵子 氏(伊丹厚生脳神経外科病院)


 脳神経外科病院として「看取り」だけでなく「生き続けていく人をどう支え、尊厳を大事にするか」が日々の命題である中、参加者からパワーをもらった旨が述べられました。

 永杉 氏(熊本県玉名):


 震災対応後の参加となり、身寄りなし支援における自治体やシステムの地域差を指摘し、属人的にならず地域システムとして落とし込んでいく必要性が語られました。

 ゆき 氏(世田谷):

世田谷でもこのような取り組みができたら良いと感銘が述べられました。


中嶌 氏(神戸):


刺激と励ましを受け、新しい取り組みへの期待と感謝が表明されました。

•連絡事項 

 メーリングリスト案内:参加希望者は案内メールに返信することで登録可能です。
 次回案内:第228回 三方よし研究会は10月15日(第3木曜日)18:30〜開催予定(当番:ケアマネ、東近江敬愛病院、会場:東近江敬愛病院・ハイブリッド開催)。

総括・閉会 

・谷川 摩里子 氏の挨拶:自院の課題提示から始まり、東近江圏域でのガイドライン作成に向け前向きな協議ができたことへの感謝が述べられました。
・花戸 貴司 先生による総括:単身高齢者が増える中、現場において「この人に必要なサービスは何か」ではなく「この人に必要な『人』は誰か」を考え、人と人とが繋がる支援の輪を広げていく重要性が強調され、閉会いたしました。

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