三方よしカレンダー

2023年9月14日木曜日

第189回 三方よし研究会開催のご報告

この度、第189回の三方よし研究会が開催されましたので、ここにご報告いたします。

 

◆日時:令和5年9月14日(木) 18:30~20:30

◆会場:近江八幡市立総合医療センター及びZOOMによるWEB開催

◆当番:近江八幡市立総合医療センター

 

【ゴール】

◯心不全患者の治療やケアを理解する

◯心不全患者の在宅療養を支えるため、それぞれの立場で出来ることを考える


 

【情報提供】

三方よし研究会主催 介護職員初任者研修の中間報告について 楠神さんより

今年は10名が受講。当会会員も多数講師として参加して研修が全体の6割ほど進んでいます。10月末には終了予定となっています。


【進行】小串先生、谷川摩里子さん


【挨拶】

近江八幡市立総合医療センター 白山武司院長より

今年もこの歴史ある三方よし研究会に参加できてありがたく思っています。どうぞよろしくお願いいたします。



【学習会】

地域連携を含めた心不全チームの取り組みについて

近江八幡市立総合医療センター 循環器内科主任部長 中上拓男先生より




・心不全はあらゆる循環器疾患の終末像であり、多くの疾患に併発する。

・心臓病の中で死亡原因の第一位が心不全。

・心不全入院患者数は毎年1万人ずつ増加しており、当院でも同様の増加傾向となっている。

・80歳以上の高齢心不全患者の予後は極めて悪いことがデータで出ている。

・慢性心不全の臨床的特徴としては、高齢・合併症が多い・再入院率が高い・心理社会的要因が再入院に影響する、ことがいえる。

・当院でも、心不全患者は高齢者の割合が高く、介護度が高い傾向がある。

・心不全に対する疾病管理には、様々な医療専門職の協力が必要

・心不全管理プログラムを導入した結果としては、再入院率が16%→4.5%、再入院までの日数が81日→212日と明らかに効果が出ている。

・1990年代から、チーム医療の有効性について、多くのエビデンスが生まれた。ESCガイドラインでも心不全チーム医療は強く推奨されている。

・当院でも心不全チームを発足させた。目標は心不全患者の再入院予防、再入院までの期間延長。心不全療養指導士も当院から6名が誕生した。

・心臓リハビリテーシについては、2011年8月に開設した。

・薬については、特に病院薬剤師と薬局薬剤師との薬薬連携により、退院後の服薬コンプライアンスが改善している。

・栄養指導も大事。日本人の好む食事は塩辛いものが多い。減塩にあたっての管理栄養士の存在は重要。

・看護師の病棟・外来連携として、血圧・体重・服薬記録等につき、心臓病手帳の存在がある。心臓病手帳の使用で、予後を改善することがエビデンスとして明らかになっている。

・心臓病手帳の他に、患者教育ツールとしての心不全教育ビデオがある。
・高齢心不全に対応したプログラムをもとにチーム対応している。

・連携を深めるためにはまず顔の見える関係づくりから。近江八幡心不全地域連携の会を、この三方よし研究会を参考に立ち上げ、隔月奇数月の木曜日に定期開催している。これまで6回開催された。

・心不全啓発のために「心不全シール」も作っている。





【課題提供】

滋賀県心臓病手帳について

訪問看護ステーションゆげ 雨森千恵美先生より

・滋賀県の心不全患者の状況と課題としては、増える高齢患者を地域で診ていく上でのスタッフの知識不足、また県統一の連携ツールや人材育成体制がない、ことがあった。

・「滋賀県心不全在宅医療支援事業」が、令和2年4月に滋賀県の心不全診療の充実化と医療費削減を目的に立ち上げられた。ミッションは、多職種協働によって心不全診療のケアや質を高めることで、心不全患者のQOLを向上させ、健康寿命の延伸に貢献すると共に、地域で安心して人生最期の段階を過ごせるようにすること。

・心臓病手帳の作成は、多職種によるチームで支援し作成することとなった。特徴は、教材(心不全について/わたしのACPシート)と自己管理手帳(びわこ心不全スコア・記録・伝言板の記入など)の2本柱となっていること。


・ACPシートでは、心不全の病状進行のパターンや治療方法、緩和ケア、症状について解説している。

・びわこ心不全スコアは、心不全兆候のいくつかの項目を数値化してスコアリングしていけるようにしている。

・出来上がった教材を使用してみての感想としては、高齢者には内容が多すぎる、点数化に戸惑いがある、ページがとれやすい等の意見があり、今年改訂作業を進めているところ。
・具体的には、指導の有無がわかるように、目次項目欄にチェック欄を設ける、心不全情報シートページを『教材』から『自己管理』へ移行する等々、使いやすいように変えている。


【グループワーク】

各グループでの意見交換

●テーマ
1.心臓病手帳の利用状況、及び普及のためにはどうすればよいか

2.心不全患者の再入院予防について、在宅療養中どのような取組ができ

るだろうか


【発表】

<1グループ>

・手帳自体の存在を知らない方が多かった。研修で聞いたが使ったことがないという意見も。

・心不全の管理は難しいので手帳は有効だと思うし、広めて使いたい。

・普及としては、診断された時に病院や診療所で渡す、患者としても使いやすいようにクーポンなど得点があってもいいのでは?という意見もあった。他窓口で提示を促す、手帳を持っていると示せるものがあれば情報を記入していける、などが上がった。

・再発予防としては、デイサービスなどで記入してもらう、主治医からもポイント等を記入していただく、訪問看護からは体重増減等に気をつけるなど上がった。

・特に一人暮らしだと管理が難しい、またデイなどのように皆で集まるなど、一緒にがんばるのもいいのではないかという意見が上がった。


<2グループ>

・連携としては、認知度をあげていく、民生委員さんなど地域に密着している方の協力も仰ぐ必要がある。

・在宅に戻った時には状態が落ちることを見越して、また病院も受け入れ体制を取っておく、在宅では連携して状態把握できるようにしていくのが大事。


<3グループ>

・普及としては、こういった手帳を持っていますか?と聞くことがまず大事。また診療所や行政の窓口にポスターなどを貼って知ってもらうのはどうか。また退院時に連携して使用していただくなど。

・再発予防としては、手帳のつけ方について、訪問看護師がつくなどして勉強会を行う、個別に指導をしていくなどの意見が出た。内科系疾患については訪問看護師がつくと良くなるという意見も出た。

・薬については、薬を飲めない背景を押さえること、本人の経済的や環境的な背景等に関し、場合によっては行政も介入して環境整備していく必要性もあるとの意見も出た。


<4グループ>

・手帳を知らない、持っていないという方が多かった。

・民生委員など住民啓発できないかを考えたい。やはり人から人へ伝わるのが一番効果が大きいとの意見が出た。

・若いうちに取り組むことも大事ではないか。

・再入院防止のために、連携していくその推進役、取りまとめ役がやはり必要、それは誰か。

・栄養指導と心臓リハビリテーションにつき、地域の中でできることがあるのか、そこは専門にかからないといけないのかにつき教えて欲しい。


<5グループ>

・啓発としては、町のクリニックにて配布してもらうという意見が出た。

・再発予防としては、デイサービス等で記入していただく、理解(おくすり手帳が普及しているので、心臓病手帳をお持ちの方はお薬手帳にシールを貼るなど工夫する)・連携・環境づくりの3つが大事ではないかとの意見が出た。


<小串先生より>

・知らなかった、持っていない、という意見が多かったが、できたばかりなのだから知らないのは当然。むしろ「このような素晴らしいものができた、ありがたい、これを大いに活用していこう」と捉えようではありませんか。




【指定発言】

●ゆうなみ薬局 金澤重幸先生より

 この手帳についての我々自身の理解を深めることが、普及の鍵ではないか。薬剤師会でもできることはないか検討していきたい。病院から退院されるときにトレーシングレポートをいただけるようになり、患者さんに的確に対応することができて非常に助かっている。また退院前カンファレンスに参加できるようにしていきたい。




●近江八幡市健康推進課 中村真悠子保健師より

 私は地域で悪くなる前の予防の段階で地域住民と関わっている関係で、手帳を使用している方との関わりは少ないが、予防の観点から現在の取り組み等を紹介したい。

・滋賀県の死因別死亡数の割合では、心疾患が悪性新生物に次いで2位の位置にある。

・滋賀県の標準化死亡比としては、急性心筋梗塞の割合が突出している。

・近江八幡では乳幼児から少年期、青年期壮年期、高齢期と、年代別にアプローチしている。

・減塩と血圧についてのロゴを作り、公用車に貼って啓発に励んでいる。

・また小学生向けに血圧授業を行なっており、「血管くん」なる正常血圧啓発キャラクターも作成している。薬局でも血圧や減塩ポスターを貼ってもらっている。先日は地元スーパーでもイベントを行った。

・近江八幡市民であれば、血圧計は無料で貸出し可能、またオリジナル血圧手帳もダウンロードできるようにしているので、どうぞ活用していただきたい。




 

 

【情報提供】 患者総合支援室 近野さんより

・排尿支援プロジェクトについての紹介



 

【連絡事項】

第190回 三方よし研究会 令和5年10月19日(木)18:30~20:30

お題 認知症啓発、徘徊模擬訓練、ケアマフについて

当番 東近江市役所、社協、まちづくりネット




今回は心不全についての深い学びがいただけました。近江八幡総合医療センターの皆さま、ありがとうございました。

また次回もどうぞよろしくお願いいたします。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


 

2023年8月17日木曜日

第188回三方よし研究会のご報告

 第188回三方よし研究会が開催されましたので、ここにご報告いたします。

◇日時;令和5年8月17日(木) 18:30~20:30
◇会場:ZoomによるWEBで開催(東近江地域医療支援センター 多目的室)
(当番:湖東歯科医師会 ) 

ゴール
○ オーラルフレイルが与える全身への影響を理解する
○ 各職種がそれぞれの立場で気づく、オーラルフレイルのサインを確認する
○ どのタイミングでどの職種に連携するのか 

【情報提供】
・湖東歯科医師会 会長就任挨拶 湖東歯科医師会 会長 歯科医師 小川勝弘 様

 6月より湖東歯科医師会の会長をしております小川です。本日は、オーラルフレイルをテーマに研究会を開催させていただきます。物を嚙む機能が低下するなどして、食事量が減り低栄養になることがあります。そのようなことの予防について検討することができないかと本日の企画を行っていますので、よろしくお願いたします。
 

・健口いきいき動画のご案内 湖東歯科医師会 歯科医師 輪田茂樹 様

 湖東歯科医師会の和田です。コロナの為に会の活動が低下していましたが、健口いきいき動画を作成しました。QRコードから動画を視聴することができますので、ぜひご覧ください。


・第9回多職種キャリアアップ研究会 多職種キャリアアップ研究会検討委員 楠神 渉

 多職種キャリアアップ研究会の楠神です。今年で9年目となる多職種キャリアアップ研修会を10月1日(日)13:30からG-NETしがで開催します。第1部で地域医療と防災でまちづくりについて、森本先生にお話を伺ったのち、第2部、3部で災害時に対応に等について考える機会となります。ぜひ、ご参加ください。

【30分学習会】
 ・オーラルフレイル予防・歯科衛生士の挑戦! 安土学区まちづくり協議会 あづちチャレンジ事業活動報告

 NATURE RYT200ヨガインストラクター 歯科衛生士 溝井敬子 様
 ・オーラル=口腔 フレイル=虚弱
 オーラルフレイルの予防に向けて歯科衛生士の取り組みを報告させていただきます。その前にヨガを取り入れた、予防運動を皆さんと一緒に行いますので、ご一緒にお願いいたします。(実際にヨガ体操を実演していただきました。)
 ・・・このような体操を安土学区のコミセンで行っています。「くちトレ・椅子(チェア)ヨガ」も実施していますので、もしよろしければご参加ください。ヨガをしているようで、これが口腔機能の訓練になっています。
 また、通いの場で出来る!!簡単口腔機能チェックを今年は予定していますので、報告できればと思います。これからも「くちトレ・椅子(チェア)ヨガ」が広がるように取り組みを進めていきたいと思います。

 ・高齢者質問票からの口腔機能低下者への取り組みについて

 東近江市健康医療部健康推進課保健センター介護予防係 保健師 中野由美子 様

 東近江市の歯科保健事業では、身近な地域でのサロンやまちリハ、出前講座などで歯科健康事業を実施し。高齢者のオーラルフレイル予防や、健康状態の把握に努めています。

 高齢者質問票(フレイルチェック表)は以下の通りです。


  令和3年度に3259人にアンケートを実施した結果、歩く速度が遅くなった、硬いものが食べれなくなった等が上位を占めました。また、硬いものが食べれないと回答されたうち、歩く速度が遅くなった方と相関関係で見られ、全身のフレイルに先立って、オーラルフレイルが生じている可能性があります。咀嚼機能も嚥下機能も両方該当した人が75名(17%)おられる。
 オーラルフレイルの定義=老化に伴う様々な口腔の状態の変化に、口腔健康への関心の低下や心身の予防能力低下も重なり、口腔の脆弱性が増加し、食べる機能障害に陥り、さらにはフレイルに影響を与え、心身の機能低下にまで繋がる一連の現象及び過程。

 アンケートを実施しての3つの気づき。

 ①    集計結果
 ②    検診データ:全体の4割が歯科受診ありと回答。(半年前に比べて硬いものが食べにくい、お茶や汁物でむせる38.1%)
 ③    地域サロンからの市民の声;相談を受ける場所までいけない。→「対策」個別歯科指導が必要。

令和4年度「(新)訪問歯科相談」取り組みを実施。
 対象者 平田地区19名 ※訪問前に、レセプトにて歯科受診歴、内科既往歴、検診などを確認。

 ①    1回目(初回訪問):保健師及び歯科衛生士による同伴訪問(健口スマイルシートなど)
 ②    2回目(1か月五後電話):歯科衛生士(歯科受診の有無確認など)
 ③    3回目(5か月後郵送):歯科衛生士(健口スマイルシートの送付など)

 支援できた人 ①16人/19人 88.2%
        ②9人

 市民の声
  ・交通手段がなく、歯科受診できていない
  ・家族に歯科受診を頼めない(内科優先、継続受診となるため)
  ・歯科治療の必要性を感じていない。
  ・訪問歯科などわかっているが、利用していない。

訪問歯科相談 事業の成果
 個別対応をさせていただき、出前講座では全体のお話はできるが、個々のお話ができないので、歯ブラシを見せていただくなど、細かなところまで助言することができる。
 ・口腔に対して意識の向上
 ・適切な義歯ブラシや舌ブラシの使い方(洗う、下磨きなど)
 ・義歯についての疑問の解消(ぬめり、がたつきなど)
 ・唾液腺マッサージ(食事前や、洗面時に行う)
 ・生活習慣病に対して、糖尿病連携手帳の活用
 ・家族に対して、口腔ケアの方法とタイミングを実施できた。

 今後は質問票の結果から、個別アプローチを行っていきたいと計画しています。
 介護予防事業は地域全体として取り組む必要があります。今後も引き続生き、先生がたには助言をいただくことができればと思いますので、よろしくお願いたします。

 ・東近江圏域における在宅医療推進について~口腔機能管理支援センターを柱にした取り組みについて
 湖東歯科医師会 口腔機能管理支援センター長 住井歯科医院 歯科医師 住井正勝 様

 湖東歯科医師会では、口腔機能管理支援センターを設けて、ここ4年取り組みをしています。口腔機能管理支援センター設立までの流れを簡単に説明させていただきます。
 2025年には支援が必要な方が増えると10年前に予想しておりましたが、その当時は、歯科訪問していただけるのか?訪問歯科をどこに問い合わせをしたらよいのか?など問われる、そのような時代でした。そのような状態でしたので、まずは窓口を一本化した方がよいだろうと、多職種連携に関わりながら、在宅歯科医療連携室を石黒先生に来ていただいて開始しています。当初は歯科衛生士の石黒先生にお願いして、研修等の企画をしておりました。その後、2代目として歯科衛生士の溝江先生に入っていただき、名称を口腔機能管理支援センターとして活動を開始しています。詳しくは、東近江保健所の小畑様に詳細を説明させていただきます。

滋賀県東近江健康福祉事務所(東近江保健所) 歯科衛生士 小幡鈴佳 様


 今回10年目となり、昨年度からまとめをしたいなってお話があり資料を作成していましたので、ご紹介させていただきます。
 県の事業ですので4年間で取り組みをさせていただくことにしました。当初は、住民さんへの周知も不十分で、歯科って訪問してもらえるのって感じでした。そのような状況ですので、在宅歯科医療を滋賀県でもしましょうとなり、湖東地区は医療連携が先進的に進んでいましたので、県より湖東歯科医師会に依頼する流れとなりました。当初は歯科衛生士の石黒先生に湖北から通っていただき、この地域で5年間走り回っていただきました。石黒先生には帳簿の整理や、ポータブルの機器の貸し出し、市の広報に掲載するなど周知も行っていただいています。
 相談件数も年に200件を超えるなど増加しています。そのような中、チームでの取り組みの必要性も高まり、7年目から口腔機能管理支援センターと名称変更して、歯科衛生士の溝井先生に入っていただき、取り組みを行っています。

これまでの成果は以下の通りです。
 訪問歯科診察を受けた方が、圏域ではH25年の339人に対してR4年は1179人と3.48倍に増加。(滋賀県では2.97倍)また、訪問歯科衛生士指導を受けた方が、圏域ではH25年の206人に対してR4年は876人と4.25倍に増加。(滋賀県では3.36倍)となっています。

成果のまとめ
 ・相談機能としての役割が担えた
 ・口腔機能管理の重要性が地域に広まった
 ・多職種との連携が進んだ
 ・在宅歯科医療を担う歯科医師、歯科衛生士の人材育成が行えた
 ・在宅医療の関係者への口腔機能管理の知識の普及が進んだ。体制整備の支援ができた
 近年力を入れている取り組みとしては、在宅歯科医療をチームで行うだけでなく、同行していただいて、空気感も含めて学べる機会にもなっています。
特別養護老人ホームなどにも積極的に研修に来て欲しいとの声もいただいている。

今後対等していく課題
 ・入退院支援の中での歯科的支援の強化
 ・介護保険システムにおける口腔機能向上体制強化に関する支援
 ・人材育成

 口腔機能管理支援センターでしかできないこと
 ・歯科医師、歯科衛生士の人材育成
 ・困難事例への訪問歯科診療の実施
 ・歯科衛生士の無料訪問アセスメントの実施
 ・歯科衛生士を雇用していない歯科医師の在宅医師医療への参画
 ・内科との連携が必要な事例に対するコーディネートの実施
 ・退院時カンファレンスやサービス担当者会議への参加など

 これまでの成果と課題を踏まえた今後のセンターの業務としては、特に以下の3つに力を入れていきたいと考えています。

 1. 各通所・入所施設における口腔機能管理体制整備への支援
 2. 入退院支援への仕組みづくりへの参画
 3. 各市町の地域ケア会議や一体化事業への参加
  また、お口いきいきチェックシートをこの地域で作成していますので、ぜひ活用してください。
以上です、よろしくお願いたいします。

【グループワーク】
テーマ『オーラルフレイル予防対策について』
視点
 〇オーラルフレイルかもという視点で、患者様や利用者様の変化に気づいたことはありますか?
〇それぞれの職種の立場から考えるオーラルフレイルの気づきになる症状は?
〇多職種が関われるタイミングは?、その時どうする?

【発表】

1G:
訪問看護師でも、訪問して口を見る機会がないので、口腔ケアがなかなかできない場合があります。デイサービス、ショートステイにつないで、口腔の状態を見ていただくことも検討した。また、栄養士さんはサービス担当者会議に参加する機会が増えてきているので、そのような際に声を出していくこも大事。口のことをケアマネさんも気になったら、歯科衛生士さんに入っていだだくように支援されることもよいと思う。京都ではチームで口腔ケアに取り組んでいるとのこと。歯科衛生士さんには取り組みをPRしていただくとよいと思う。
宇都宮様:できれば外来受診時に食べているかい?歯は大丈夫?などと入院してからでなくて、外来でそのようなことが普通に確認される、そんな風景になればと思います。

2G:
口腔ケアが後回しになっていると話がありました。口腔がフレイルにつながるとの認識がないように思われる。サロンなどでは男性の方で咽が気になることがありました。また施設でも、義歯が合わなくなった際に、すぐに外して食事形態を柔らかくするなど、口腔の状態が悪化することがあります。
夜、寝る前の口腔ケアが特に重要であると先生からお聞きしました。義歯など、口腔ケアを行うなかで、ADLが上がった症例もあり、口腔ケアの大切さを感じています。オーラルフレイルの周知の機会を持っていただくこと、啓発の機会が必要とのことで、グループワークで意見交換していました。

3G:
先ほどから話がでているように、支援者が病気に目がいってしまって、口腔ケアが後回しになってしまうことが、ケアマネにもあるとのこと。支援者だけが後回しにしているだけでなく、住民さんも身体の衰えは気にされる方が多いが、口の中のことを気にされていない方が多いように思います。高齢の方でも口から食べているかたはお元気でいられることを、周知していきたい。そのうえで、必要時に溝井さんのような専門職につないでいきたい。

4G:
軽い認知症の方で義歯が合わないことを伝えられずに食事量が減っていたが、歯科衛生につないで改善した事例報告がありました。また、竜王町では、歯科衛生士の訪問を積極的に行っておられる。歯科衛生士さんからは年齢に関係なく誤嚥は40代から見られ、そのような方は口腔の衰えが見られること、口腔に関することは全ての年代において大切であることなども周知していきたい。

5G:
オーラルフレイルは気づいたときは進行していることがあり、質問票を使用して調べていくと、言葉が不明瞭になっている時も気づきのポイントの一つであることが分かりました。
ただ、病気になられている方(訪問診療など受けられている方)より、歯科に通える能力のある方が歯が悪い方がおられるようにも思われるとの意見もあります。そのような方を、どういうふうに歯科受診に繋げていくのか? つなぐ際に誰に相談すべきかパッと顔が浮かびますか?と問うと皆さんの手が上がったので、この地域は連携が進んでいると思いました。オーラルフレイルにおいては、大きな病気ではなくて、ふとおかしい、と感じた時が大切であると思います。

指定発言
・国際医療福祉大学大学院 医療福祉ジャーナリズム分野 修士卒業生 歯科衛生士 北澤浩美 様


皆様の発表を聞かせていただいて、本当にこの地域は素晴らしなって思います。言葉が不明瞭などと気づいたときに、医療的なことだけでは、人はついていかないところで、ヨガの溝井さんのような取り組みが大切ではないかと思います。
私たちも、花戸先生が作られてドクターズレストランや、クリニックなどで活動できれば、
歩く速度が遅くなった、咽るなど、普段の中で様子を見て支援ができればと思います。
オーラルフレイルは高齢者だけの問題ではなく、あらゆる世代で大切で、例えば小学生がぽかんと口をあけているとか、そういったことも口腔機能の衰えです。
多職種の皆様には、なにかあの人おかしくない、たべるのが遅くなったなど、どんどん歯科に対してなげかけていただき、それを皆さんと一緒に考えていければと思います。

・湖東歯科医師会 輪田歯科医院 歯科医師 輪田茂樹 様

フレイの方は、そんなに衰えているわけではないので、自分が一番かと思いますが、どこをどうやるのか?を伝えなくてはと思っています。プレフレイルの段階で止めるのが使命と思っています。
 今、フレイルをどうやって乗り越えるかで介護にいくのか、止められるのか、歯科からいうと、口の中が衰えてくると、入れ歯を入れても噛めないという状態になっています。入れ歯を作るのが難しくなっています。入れ歯をいれないと噛めないと、フレイルになるので、気を付けたい。フレイルの脱却に栄養と運動は欠かせないと考えます。
歩行能力が1分で60m以下だとフレイルの可能性があると言われています。信号機が分速40mで設定されています。フレイル予防に力をいれるのがよいと思います。下からみると、噛めない、発音が悪い、こぼす、こういったことを歯科だけで見つけるのは難しいので、多職種の皆さんの観察力に期待したいと思います。
今日はありがとうございました。

 

その他
大熊様:とても立派に話されていて関心しました。以上が感想です。


宇都宮様:ACP研修会を行いますので、MLを見てください。


西谷様:看護師がリハビリをできるようにと研修会をしています。MLで送付しますので、希望者は参加ください。

小串先生:食べることは生きること、生きることは食べること。これが一番大切かと思います。


 

【連絡事項】 ・第189回 三方よし研究会 令和5年9月14日(木)18:30~20:30
○当番・会場 近江八幡市立総合医療センター
※次回は第2木曜日の開催となりますので、お間違えのないように!
多数の皆様のご参加をお待ちしています。

2023年7月15日土曜日

第187回 三方よし研究会開催のご報告

 この度、第187回の三方よし研究会が開催されましたので、ここに報告いたします。


◆日時 令和5年7月15日(土) 16:00〜18:00

◆会場 東近江総合医療センター(きらめきホール)& WEB(ZOOM)

◆当番 東近江薬剤師会、八幡蒲生薬剤師会


【ゴール】

◯ポリファ-マシーやその対策について学ぶ

◯ポリファ-マシー解消方法を多職種で協議し対策を共有する

◯東近江医療圏域のポリファ-マシーを解消する


【全体進行】 小串先生より


【情報提供】

◯糖尿病三方よし研究会開催のお知らせ

・7月20日(木)18:30〜20:30 東近江地域センター多目的室にて


◯ファースト薬局竜王店スタートのお知らせ


◯ヤングケアラーについての勉強会のお知らせ

・8月17日(木)13:30〜17:00 G-NETしが 男女共同参画センター大ホールにて



【進行】瀧川さんより



【アンケート報告】

●ポリファ-マシーアンケート

〜地域薬局や多職種へのポリファ-マシーについてのアンケート調査〜


・お薬、あなたはいくつ飲んでいるでしょうか?ある患者さんは循環器内科11品目、緊急1品目、整形外科4品目処方されている

・アンケートの目的は、ポリファ-マシーの現状を知り、当会のポリファ-マシー解消に向けた課題を知るため

・ポリファ-マシーに対する取り組みを行なっている薬局は、積極的にが10%、相談に応じてが78%だった。

・取り組み状況としては、主治医と予めポリファ-マシーになりやすい薬を擦り合わせ、継続すべき薬と調節しても良い薬の区別を薬局内で見える化するなどの仕組みづくり、患者さんの病状を聞き取って処方変更を提案する、トレーシングレポートにて伝える、などなど上がっている。

・「ポリファ-マシーは薬局薬剤師が積極的に取り組むべき問題である」と強く思っている薬局がほとんどである一方で、患者さんが望み主治医が処方している以上何ともならない等のマイナスの意見もみられた。

・解消に向けた課題としては、処方意図が明確化できず必要判断が難しい、主治医との連携の機会がなかなか持てない、見極めが難しい、患者さんで沢山もらうことで安心する方がおられる、医師の考えを否定することにつながらないか不安で言いにくいことなどが上がった。


【学習会】

●ポリファ-マシーって何ですか?

丸山薬局 大石和美さんより


・ポリファ-マシーとは、単に服用する薬の数が多いことではない、多くの薬を服用しているために、副作用を起こしたり、きちんと薬が飲めなくなっている状態をいう。

・薬が6種類以上になると副作用を起こす人が増えるというデータもある。

・「へらそう薬」を合言葉に。へ…変化があれば伝えてください。ら…乱用しない(正しく使いましょう)。そ…相談しよう、医師・薬剤師。う…嘘はつかずに(のめてない・のみにくい)。

・解決手順…①薬を全て書き出し、一覧にする、②薬の種類を分類する、③飲んでいる理由を1剤ずつ明らかにする、④患者さん・ご家族の意見を聞く、⑤減薬した後の反応をモニタリングする。

・患者さんのトラブルは一人ひとり違う、症状のメカニズムを知っておく。

・おくすり手帳の大切さを理解する。またかかりつけ薬剤師の存在。

・おくすりは指導するものではなく、伴走していくものだと思っている。その思いでこれからも人の人生に寄り添っていきたい。




【皆でディスカッション】



〇蚊野さん(訪問看護師)

・私たちが目にするポリファーマシーとしては、それぞれの病院にかかっていて、それぞれのお薬手帳を持っている、病院ごとにお薬手帳を分けている方に多くみられる。そのような場合はお薬手帳をまとめて持っていってもらうようにして、後は薬剤師さんにまとめてもらえるようなるべく働きかけている。

・祖母が睡眠薬を服用し、その副作用で認知症的な症状が出たために、他病院で認知症薬を処方されていたことがあった。だからお薬手帳をもっていくだけでなく、合わせるということが大事だと思っている。



 

〇口井さん(薬剤師)

・お薬手帳を沢山持っている方は割といて、病院ごとに分けるのが当たり前と思っている人も多い。使い方が周知されていない気がする。手帳をまとめておいてもらえるとありがたい。

・お薬手帳にはシールを貼っていくが、最近は一言「ここが変わった」的なプラスアルファ情報を入れるなど工夫をしていかないといけないと思っている。

 

〇宿谷さん(介護支援専門員)

・薬が多く寝込んでしまった担当さん、結局別の病院に入院した際に薬をすべて一旦抜いてもらった経験がある。受診同行して先生と直接話すことで薬が減る場合もある。またお薬手帳をみせてもらいながら、次このことを聞いてきてくださいねと話したり、メモを持っていっていただくこともある。先生から薬局に電話して確認してくれたときもあった。

 

〇東川さん(病院MSW)

・10種類など数多く飲まれている方はやはりいるが、基本的にはかかりつけ医の処方通りに出されている方が多い。お薬を出してくれるから良い先生と思われている患者さんも多い気がする。患者さんにもポリファーマシーの説明をしてもらえるとありがたい。

 

〇太田さん(薬剤師)

・病院薬剤師を経て薬局薬剤師になったが、業務自体が全然違うが、正直病院の時は薬局薬剤師をなめていた。トレーシングレポートで情報提供はされるが、実際飲めていない患者さんもいるので、そのあたりは薬局側から病院に伝えていかないといけないと思う。

 

〇奥村さん(特養施設)

・大石先生の、薬は指導するものではなく、伴走するものだという言葉がすごく印象的だった。3年前に父を間質性肺炎から最期は誤嚥性肺炎だったが自宅看取りさせてもらったが、父は病気のオンパレードで沢山の薬を飲んでいたが、排便コントロールには最期まで悩みがあった。かかりつけ薬剤師の存在を知り、そのような伴走してくれる薬剤師さんがいたら父の最期もまた変わったのかなとも思ったりした。



 

〇瀧川さん(薬剤師)

・経験年数他要件はあるが、すべての薬剤師がかかりつけ薬剤師になれる可能性はある。患者さんの人生に伴走してくれうる存在がかかりつけ薬剤師だろうと思う。

 

〇澤谷さん(管理栄養士兼病院兼老健施設)

・食事との関係で、貧血の鉄材を処方されている方が、センターで毎日3食しっかり食べることで改善して在宅へ戻り、在宅での状況を聞くと、朝寝ている時は起こさない、夜は早めに食べる、間は栗饅頭だけなどになり、摂取総量が減るので貧血気味となり鉄材処方となることが分かった。その意味では上手く入院なり入所なりを活用することも大事かと思う。

・診療費を払わない方の苦情相談に出向いた際に、若い医者が便秘への効かない薬を出したのでそんな費用は出せないとの言い分だったため、効かない薬ではなく、いきなり強い薬を出して脱水を起こして大変になることもある、段階を経て診ていく通過点にあるから、医療に参加してほしい、そして若い医者もそのうち偉くなるんだから育ててやってほしいと伝えて払ってもらったケースがあった。



 

〇水戸さん(薬剤師)

・外来で私たちもこの薬は強いのか弱いのか聞かれることはよくある。まずはこれ試してみてくださいと伝えることは多い。しかし先生と出会う機会に患者さんの希望としてお伝えすることもある。

 

〇前田さん(介護支援専門員)

・お薬が飲めているか、お薬手帳の確認は介護支援専門員は大体しているかと思う。しかし手帳の貼り‘紙’は‘神’のように思い、変更や統合不可能な神聖なものを思ってしまいがちなので、多剤服用の弊害を知り薬剤師先生に相談するという思考回路を持つことは大事だと思う。またかかりつけ薬剤師さんの存在も研修では伝えているが、各担当とご家族に介護支援専門員側からも勧めていく必要があると思っている。

 

〇藤本さん(薬剤師)

・在宅薬剤師として、薬局や自宅を回ることも多いが、訪問するだけでは分からないことも多く、かかりつけ先生や訪問看護師さんやケアマネさんなどと連携して把握していこうとすることが大事だと思う。



 

〇川上さん(管理栄養士)

・クリニックや外来患者さんの栄養指導に入ることが多いが、お薬手帳を毎回持参いただくわけでもないので、そこのクリニックのお薬情報は分かるがそれ以外のお薬が分からないことが多い。また外来なので、もっと健康になりたいとサプリメントや健康食品を飲まれている方も多く、なるべく先生や薬剤師さんにちらっと伝えている。



 

〇伊藤さん(医師)

・最初のアンケートにあったが、薬剤師が医師よりも知識が劣っているということは絶対にないので、どんどん意見いただければと思う。ポリファーマシーの経験としては、10種類以上飲んでいる方の家族から、これポリファーマシーなんじゃないか?と聞かれて、他科の先生にも相談しながら減らした経験があるが、このような時は薬剤師さんに相談すればよいんだと学んだ。処方薬だけでなく市販薬の情報も薬剤師さんに相談しようと思う。

 

〇  さん(薬剤師)

・薬剤師への期待も大きいことが分かったので、多職種の皆さんに頼って頂けるような存在になれるよう、お薬手帳のこともそうだし、啓蒙活動も行っていきたい。



 

〇  さん(薬学部学生)

・私は祖父が人工透析、祖母がアルツハイマー型認知症でその介護を家族全員でだが私も小学生の時からしてきて、医療の道を目指した経緯はあるが、患者側からみた景色だったので、実際色んな職種の方が関わっていることまでは気づけなかった。そして今私にはできないこと、また私だからこそできることがあるということを知り、色んな視点をいただけたことでもっと勉強していかなくてはならないと強く思った。このような議論する場があるということは素晴らしいと思った。





〇花戸さん(医師)

・お薬って、この病気にはこの薬を使わなければならないという薬と、便秘や不眠など生活に関わる薬があり、それは運動したりで改善
もできるかもしれない。となると医者と薬剤師さんだけでなく多職種での連携がやはり必要だということになる。

・サービス担当者会議や退院前カンファレンスに出た薬剤師さんどれだけいます?(4名ほど)参加をぜひしていってほしいと思う。



 

【指定発言】

●<医療の立場から>横山さん(滋賀県庁薬務課)

・ポリファーマシーにはとても関心を持っていたので興味深く聞かせて頂いた。大石先生からの伴走という言葉があったが、私たちは服薬指導の言葉のように、指導して飲ませるという考えに立ちがちだが、飲むのは患者さんなので、自ら飲んでいただけるようにすることが大事なんだなと感じた。

・患者さんが何のために飲まなければならないのか、関心をもってもらうことが大事だと思う。自分が何種類飲んでいるか把握しているかどうか。「飲めてますか?」と問えば「飲めてます」としか答えない。患者さんがいかに分かって飲んでくれているかは大事だと思う。

・地域ケア会議などに出ると多職種が様々な視点からみて提案されるので、そのような多職種視点はとても大事だと思う。顔の見える関係をつくっていく、その中で職種で呼ぶのではなく名前で呼び合う関係性をつくっていくことが患者さん利用者さんのためになるんだろうなと感じた。



 

●<介護の立場から>前田さん(介護支援専門員)

・大石先生の話でフィードバックをすることの大事さを改めて感じた。課題や対策をその方に関わる職種皆にどう伝え共有していくのかにつき、真剣に考えていきたい。担当者さんの生活向上とまではいかなくとも少なくとも維持させる、人生に意義を感じて頂けるように、介護支援専門員は特に多職種間の橋渡しを担わなくてはならないと思っている。サービス担当者会議にも薬剤師先生方にもっともっとお声がけしていきたい。本人への多剤は弊害が多いのだろうが関わる職種は多種でありたいし、この三方よし研究会のような場をモデルに連携をとっていければと思う。



【次回】

・第188回三方よし研究会は8月17日(木)18:30〜20:30、湖東歯科医師会さん主催にて開催します。




今回も学び多い濃い時間となりました。また今回は久しぶり(4年ぶり?)の会場参集での会でした。顔の見える形はまたやはり違いますね。

次回もお待ちしております。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。