第147回 三方よし研究会が開催されましたので、ご報告いたします。
日時:令和2年2月20日(木) 18:30~20:30
会場:近江八幡市立総合医療センターよしぶえホール
(当番:ヴォーリズ記念病院 )
【ゴール】
・認知症に関して取り組みを学び、各地域での課題を考える。
・各地域での情報共有を行い、各々の地域で活かす。
【情報提供】
・三方よし研究会 市民公開講座 映画「ピア」上映会
八日市文化芸術会館 2月29日(土) 13時30分~
・「湖東歯科医師会 第8回 在宅歯科医療研修会超高齢社会における認知症対策」
3月1日(土)13時00分~16時00分
・東近江圏域介護職員初任者研修の報告
【理事長挨拶】
・ヴォーリズ記念病院 三ッ浪健一 理事長挨拶
本日は認知症の“ひと”理解をテーマにしています。有意義な研修となりますようにどうぞ、よろしくお願いいたします。
【30分学習会】
『認知症の”ひと”の理解』
〜気持ちに寄り添ったかかわりへ〜
介護老人保健施設 ヴォーリズ老健センター 支援相談員 村上温子様
・大脳の働き:私たちの生活では記憶が重要な役割をしている。
・昔 痴呆:なにも分からなくなった人→だから問題行動を起こすんだ。
・今 認知症:わかることもたくさんある人→だから行動・心理症状を起こしてしまう。
・トレイの場所を間違えてしまう→ゴミ箱を間違って、トイレだと思い、ズボンをきとんと下げて、排せつすることがある。(便器の形を忘れてしまっただけ。)
※本人は決して「間違ってしよう」とか「誰かを困らせてやろう」なんて、思ってやっているのではないのです。
・「わからなくなった」わけでなく、「わかりにくくなった」だけ。しようと一生懸命考え、自分なりに正しいと思うことをしているだけ。
・曜日や日にちがわからなくなると、いったいどれくらい不安になるのか?→仕事をしている、していないに関係なく、日にち曜日が分からないとモヤモヤする。→仕事や目の前のことが手につかなくなる。
・「子どもにご飯を作らないといけないから帰ります」という言葉って!?→私たちも家族を引き合いに出して用事を断ることがある。→円満な人間関係が築かれている。(帰りに食事に誘われて、大河ドラマを見たいからと断るのではなく、子供を駅前で迎えに行かないからと断わることがある。)
※これは認知症の方も同じ。最初は帰りますから始まり、引き留めると「子供にご飯を・・・」と続く。これは、みんな一緒、円満な人間関係を築こうとされている。
・認知症の初期の状態では、覚えらないだけで何度も質問を繰り返す。周囲は大変であるが、丁寧に説明を繰り返せば、認知症の進行を緩やかにして、重度にならずに寿命を全うできることもある。
・認知症の方は、「今、この時を生きることに専念している」クリスティン・ブライデン
↓
・利用者さんの“今”をベストな状態に。その為の多職種連携!
【グループワーク】
テーマ『認知症患者を支える取り組みを考える』
〇各職種での関わり方、どのようなポイントで有効なアプローチを行っているのかを共有する。
〇本人の意志決定を支えるために、地域でどのような取り組みができるのか考える。
〇学習会を通じての感想、学びを共有する。
【発表】
Aグループ:小串先生の仰った、大問題は大事な問題だと言われたことがグループワークの中で心に残りました。このグループではケアマネからは環境を整えること、看護師からは服薬管理が大切との意見も頂きました。個々にあったケアが必要。意思決定については、本人の意思を推定するように、家族が望むような最終章を迎えられるように支援していきたい。
Bグループ: 栄養士からは認知症になられても食事の記憶は残っているので、工夫したい。介護の方からは認知症の方が特別ではない、尊敬の念を持ちたい。ケアマネは本人の代弁者との意識をもっている。様々な職種の中で、少しでも早く本人と話せる関係を作って、地域でケアできる環境を作れると良い。当社はアリセプトを販売しているが、薬だけでは駄目で地域力が大切だと感じています。
Cグループ:入院中は認知症状が悪化しやすいので、本人が何を思って活動しているのか?を推測し、安心して活動できる環境を作るようにしたい。退院後は誰が介助するのか、地域の理解はあるのか?など地域性も把握していきたい。行政などから認知症に関する正しい知識を地域に発信して頂けるようにしたい。本人様も含めて家族が安心してケアできる環境作りが大切。
Dグループ:ケアマネがケアする人を支える視点になっていたので、その人にフォーカスする視点を持つためにも認知症理解を深めたい。その人にあった環境を作ることが大切。
地域での取り組みは、地域性があるので、地域と施設が協力して徘徊保護訓練などしている地域もあるが、まだまだ古い地域では家族が見て当たり前との認識もあり、簡単にできることから取り組み、認知症理解を深めていきたい。又その人が大事にされていることを、知っていきたい。村上先生のお話は、誰が聞いても分かり易いので地域でもこのようなお話をして頂きたい。
Eグループ:話の中で、認知症と向き合う大切が述べられていた。普段関わりにない人もいるので、分かり易く説明して頂けて良かった。問題を捉えるのも、その人の生き方を知り、行動への理解を深めることが大切。日々のケアでは患者さんだけでなく、家族さんも支える視点が大切。そのようなことも学んでいきたい。又予防についても、どのようなことができるのか知っていきたい。地域の中では公民館で予防に向けた取り組みをされているので、祖専門職も地域の取り組みを知り、紹介できるようにしたい。
Fグループ:感想として、人となりに寄り添うことの大切さを知ることができた。まずはその人を知ることから入りたい。ケアにおいては正しく情報を発信して患者さん、家族さんとゴールを決めていきたい。又認知症の方に役割を持って頂けるようにしたい。
今後、キャラバンメイトさんより、子どもたちから認知症理解を深めるような取り組みができると良い。又加賀の方で取り組まれている仕組みとして、自分史を作り配布するような取り組みがある。その人を知った上での寄り添うケアに繋がっているので、何ができるか検討していきたい。
Gグループ:医者が何ができるか・・・、何もできない。医者は認知症の方から相談を受け、なんとか治そうと取り組むが、暴言を吐く人にリスパドールを処方したら歩けなくなったなど、本人さんの為に繋がらないこともある。何ができるかと言うと、環境を変えることが大切。徘徊しても大丈夫な地域や病院を作ることも考えたい。言葉言うのは簡単だけど実施するのは大変。近江八幡市では認知症があっても生き生きと生活できる地域を目指している。本日、GWに参加された行政の方が決意を新たにされたとの発言もあり、多職種で取り組んでいきたい。
【コメント】
・滋賀八幡病院 認知症看護認定看護師 下舞 真由美 様
本日は学習やGWに参加させて頂き、多くの学びを頂き、今後の支援に役立てていきたいと思います。今、共生、予防の視点で取り組みが始まっている。認知症の方は記憶が失われているが、寄り添うケアをすることで良い方向に向くことがあります。
看護師は安全の観点からも○○しないでください等の助言をして不快にしてしまうことがある。○○ありがとうございます、など出来ることに着目して取り組んでいきたい。
当院では、その人らしい生活が送れるように支援を行っています。当院での取り組みなど興味のある方は見学等もできますので、ご連絡ください。
・近江八幡市長寿福祉課 社会福祉士 川﨑 千琴 様
本日のGWでは多数の意見を頂き、多職種で様々なことを考えて頂いていることに心強く感じました。
近江八幡市は82,070人の人口の内、2025年には4,050人が認知症になることが見込まれています。近江八幡市では警察と市で協定を結んでいて、徘徊者の情報連携などを行っている。徘徊者の保護については、昨年度は約50件が今年度はすでに90名を超えており、年々所増加している。虐待を受けられて高齢者の方の8割が認知症であり、適切なケアができていないと思われる。本日、資料を配布した「認知症サポートガイド」は認知症の状態に応じて今何ができるかを知って頂くことを主な目的とした冊子です。広く市民の方に認知症のことを知って頂きたいと思います。又近江八幡市では、オレンジサポーターにも啓発を行っている。
市民さんに認知症を知って頂くことにより早期に相談に乗れるような体制を目指しています。
【連絡事項】
・三方よしメーリングリストの紹介
・三方よしポストの紹介
・第148回 三方よし研究会 令和2年3月20日(金)10:00~16:00
○当番・会場 三方よし実行委員会・東近江総合医療センター
(排泄ケアに関する専門職研修)
・第149回 三方よし研究会 令和2年4月16日(木)18:30~20:30
○当番 近江温泉病院 ・ 会場 近江温泉病院(専門職大学の見学も!)
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