三方よしカレンダー

2020年1月17日金曜日

第146回三方よし研究会のご報告


146回三方よし研究会が開催されましたので、ここに報告いたします。

日時:令和2116日(木)18:3020:30
会場:東近江総合医療センターきらめきホール
当番:東近江総合医療センター

今回のゴール:
・人工膵臓療法について知ろう
・患者の思いに沿った在宅支援を考えよう
・各職種が顔の見える関係を作ることができる

【情報提供】
市民公開講座のお知らせ
令和2年2月29日(土)13:30〜映画「ピア」上映(小梶さんより)
皆さんのお手元に15部ありますので、ふるってご参加とご紹介ください。



排泄ケア研修会のお知らせ
令和2320日(祝)10:00〜(花戸先生より)
有名な先生ですし、保育士さんなどいろんな方に参加して頂ける会ですのでぜひご参加ください。



(司会)
今日の司会は、東近江総合医療センターの地域医療連携室の八島さんです。

(院長挨拶)
東近江総合医療センター 井上修平院長より
「今日議題で上がっている人工膵臓両方を行っているのは、滋賀県ではうちだけですし、何しろ保険がこれまで通らなかったこともあって、話を聴いて頂けるのは貴重な機会だと思います。2025年問題も目前、三方よし研究会のような多職種連携の場はなかなかないので、今日もしっかり勉強していって下さい」との挨拶でした。


30分学習会】
『人工膵臓療法について』
東近江総合医療センター 赤堀浩也医長より



・人工膵臓機の変遷
・人工膵臓とは 血糖管理を安全・確実に行う装置
・従来法では厳密な血糖管理に伴う低血糖発作の危険性、血糖変動の制御が困難
・人工膵臓による血糖管理の利点
・保険適応される場合 ①人工膵臓検査と②人工膵臓療法(2016〜!)に関して
・術後回復強化プログラム(ERAS)によって多職種で管理していく
・ERASを促進するために解決すべき課題がある..栄養管理と血糖管理
・血糖管理に関して、メカニズムはまだ解明されていない
・人工膵臓療法による血統管理のメリット 厳格な血糖管理、看護師の労働負担軽減、入院期間の短縮等々がある。しかしやはりデメリットも。それはコストとメンテナンス。
・人工膵臓の臨床への応用への経緯
・私の場合、たまたま人工膵臓装置を使う経緯に恵まれた。しかし保険適用される前だったため、臨床研究という形で手術周術期に使用することに。
・研究のため、仮説「厳格な血糖管理が抗炎症作用を及ぼす機序」「術後に感染性合併症が起こる機序」を立てて検証していった。
・結果 発生率、インスリン投与量、術後在院日数において、また炎症関連因子の比較調査においても有意差がみられた。
・結論 「人工膵臓療法は、周術期において変動の少ない血糖管理が可能で、術後感染性合併症の発生を抑制する」
・当院での臨床応用の紹介 院内環境整備(装置説明会や院内説明会)等
・症例数は60例以上
・今後の展望 救急集中治療における血糖管理に人工膵臓療法を臨床応用すること
・手術成績向上には 術中出血量の減少、臓器機能の温存、感染症の抑制


【症例報告】
『肺がん・がん性髄膜症患者への在宅支援』
東近江総合医療センター 地域連携室 長岡師長
85歳男性の症例。

【グループワーク】
テーマ『患者の思いに沿った在宅支援』
患者の思いに沿った在宅支援をすすめるためにどうすべきか
85歳男性の症例。


【発表】
 Aグループ
・在宅でみていくには多職種連携が重要だが、スピード感も大事。ケアマネ、訪問看護、またかかりつけの先生へもキチンと伝えていかないと、何かあった際の対応で困るだろう。
・物品の貸し出しや管理も、危険性含め話を詰めておくことが必要。
・家に帰った際、救急対応の話し合いも大事(ドレーンが入っているのに行きつけの病院でなく全く知らない病院に行ってしまうなど可能性もあるので)
・家族の不安を訪問看護で対応してもらえるような配慮も必要。


Bグループ
・在宅でみていくには、やはり家族の力が不可欠。そしてその家族の揺れ動く心に寄り添うことがポイントだと思う。
・すぐ病院に戻れることも伝えてあげることも大事。
・家族の思いを受け止める、言いたいことを言える環境が大事。アンケートで工夫されている施設もある。
・家族が安心して在宅でやっていくためには、地域で成功体験の症例を積み重ねていくことも大事ではないか。よく聞かれるのは「他の家族さんはどうされていますか?」の言葉。財産とも言える体験の蓄積をもっと積み重ねていけるシステム作りがほしい。


Cグループ
・こちらのグループは見事にバラバラな職種が集まった。薬局、歯科衛生士、ケアマネジャー、行政、施設、癌患者として。
・記憶に残っているのは、「健康は口から老いていく」ということ。
・意思決定支援について話が盛り上がった。癌患者へのアンケートも今年はしている。
・専門的医療者とど素人の患者とで大きなギャップがあるということをお互いに認識しなければならない。患者側は先生側の説明を全部は理解できないと言っていい。
・要は意思決定支援とは、患者側が、医療者側の意見を逐次確認していけるということが大事。医療側だけでなく、患者側も意識して「聞ける」姿勢も持っていかなければならない。


Dグループ
・患者さん自身の思いをもっと聞いていくことが大事。
・情報はしっかりと提供していかなければならいない。
・経過観察をしているが、では癌ではどうしたら良いのか、なかなか難しい。
・本人と家族の意見が必ずしも同じではないところに、支援者として寄り添っていくことの難しさがある。



【コメント】
永源寺診療所 花戸医師より

・この患者さんは、入院前はかかりつけの先生にかかっていたんですよね。「本人」の言葉がここしか出ててこない。家族はここで揺れ動くが、もっと前から揺れ動かなかったのか。ここまで半年の期間がある。もっと早くに本人の思いを家族皆で話し合うことができたのではないか。
・専門病院の主治医が話し合うのは難しいのかもしれないが、開業医の先生なら話し合っていくことはできるのではないか。
 ・また本人が自宅に「帰れない」理由とは?ドレナージで近隣の開業医に見てもらえるのかの不安?たぶん「できない」理由を言い出せばキリがない。私は基本「家があれば帰れる」と思っている。
・東近江医師会としても、開業医の意向確認、そして家族との話し合いができるような仕掛けを提示している(要介護認定調査時の問診票)。
・カンファレンスするときに在宅チームは?外泊のときなど。外泊時も訪問看護1~2回は使えることなど、必要な情報は提供できる。家族も不安になりやすい、この死の間近の状況では月単位、週単位で状態も変わっていくので、かかりつけ医も「いつ帰ってきてもいいよ」というくらいしかできないだろう。やはり専門医とかかりつけ医を持つのがいいのではないだろうか。そして専門医が2ヶ月3ヶ月で意向をきくのはやはり短すぎますよね。そこはかかりつけ医であったりするかな?と思います。



長岡さん
皆さんの貴重な意見を参考に、これからも入院前から退院支援を心掛けていきたい。


【連絡事項】
・次回:第147回 三方よし研究会 令和2年2月20日(木)18:30~20:30
(会場:近江八幡市立総合医療センター 当番:ヴォーリズ記念病院 テーマ:認知症について)


・222日(土)ひまわり館にて
「商助でつながるお互い様のまちづくりシンポジウム2020





・新しく来られた方の紹介



・三方よしメーリングリスト、三方よし研究会会員の紹介



今回も人工膵臓療法に在宅復帰の課題ワーク等々、多くの学びがありました。
次回も多くの皆さまのご参加をお待ちしております。
ここまで読んで頂きありがとうございました。


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