三方よしカレンダー

2025年2月23日日曜日

第206回三方よし研究会のご報告。

 第206回三方よし研究会が開催されましたので、ここにご報告させていただきます。

◇日時;令和7年2月20日(木) 18:30~20:30
◇会場:ZoomによるWEBで開催(近江八幡市地域医療支援センター 多目的室
(当番:湖東歯科医師会 )

ゴール
○入院中から退院後への継続した口腔ケア提供体制の課題を理解する
○地域病院における、周術期口腔機能管理と湖東歯科医師会の連携について把握する
○それぞれの職種における入退院支援、周術期における口腔機能管理へのかかわりを考える

【情報提供】 
「第8回日本地域医療連携システム学会・三方よし研究会地域公開講座」
令和7年3月16日(日)13:00~16:00 会場:あかね文化ホール  
 大会長:三方よし研究会実行委員長 花戸貴司 
主催 :NPO法人三方よし研究会 後援:東近江市



花戸先生:
3月16日、「あかね文化ホール」にて、第8回 日本地域医療連携システム学会 三方よし研究会 地域公開講座が開催されます。
会場は無料ですので、ぜひ皆さまご参加ください。
また、地域のさまざまな活動についてもご報告いただく予定です。


湖東歯科医師会 口腔機能管理支援センターのご案内
湖東歯科医師会  住井歯科医院 住井正勝様
口腔機能管理支援センターは、湖東歯科医師会内にあり、今年で開設4年目になります。
当センターでは、訪問歯科診療を行っております。ご連絡方法については、以前から周知しておりますが、原則として保険診療の範囲内で対応しております。そのため、対象者は移動困難な方に限られます。
移動困難な方で、当センターの利用を希望される場合は、歯科医師会までご連絡をお願いいたします。
以上です。よろしくお願いいたします。



藤居先生:
30分学習に入る前に、当番であります一般社団法人湖東歯科医師会会長小川より一言ご挨拶申し上げます。


小川先生:


本日の第206回三方よし研究会は、湖東歯科医師会の当番会ということで、お世話になります。
先ほど住居先生からご案内がありましたように、当会は口腔機能管理支援センターを中心に、在宅訪問や施設への訪問診療を行っております。
その他にも、ヴォーリズ記念病院や近江八幡市立総合医療センターの病棟にて、口腔ケアも行っております。今後、これらの需要はますます高まることが予想されます。そこで、本日は専門職だけでなく、多職種の皆様とともに、周術期や退院後のケア、口腔機能管理について、意見交換をさせていただきたく存じます。
どうぞ最後までよろしくお願いいたします。

【30分学習会】
・「歯科医師等派遣事業」結果および入院中から退院後への継続した口腔ケア提供体制についての考察
滋賀県湖東健康福祉事務所(彦根保健所) 医療福祉連携係 稲岡智加様
歯科医師等派遣事業結果及び入院中から退院後への継続した口腔ケアについて

滋賀県湖東健康福祉事務所の稲岡と申します。
本日は、「歯科医師等派遣事業の結果及び入院中から退院後への継続した口腔ケア提供体制についての考察」について発表させていただきます。
昨年度まで東近江保健所に在籍しており、また、今年度、近畿公衆衛生学会で発表させていただいた内容と重複する部分もございますが、発表させていただきます。
まず、歯科医師等派遣事業の概要について説明いたします。
本事業は、歯科のない病院における入院中の口腔ケアと、退院後の在宅療養における口腔ケアの推進を目的としています。
具体的な事業内容は、歯科のない病院に歯科医師や歯科衛生士を派遣し、入院患者に専門的な口腔ケアを実施するとともに、看護師等に口腔ケアの知識や技術を指導するというものです。
本事業は、平成27年度から県全域で開始され、東近江圏域においては、地域の歯科医師会である湖東歯科医師会と、圏域内の歯科標榜のない2か所の病院が実施し、事業結果等を当事務所が調査しました。
その結果から、入院中から退院後への継続した口腔ケア提供体制について考察しました。
スライドは県内の事業参加病院の一覧です。今回調査した東近江圏域の2病院をA病院、B病院と示しています。
調査方法です。事業を実施した2病院(A病院、B病院)に対して、事業結果及び病院担当者が感じている事業成果などについて、担当者代表1名に調査票を記入いただき、追加で聞き取りをして回答を得ました。
調査内容はスライドの通りです。結果です。
A病院については、平成28年度から令和5年度の8年間で532名の入院患者に口腔ケアが実施されました。
看護師の口腔アセスメントで抽出された患者に対し、歯科医師1名、歯科衛生士1名の体制で口腔ケアを実施します。
嚥下リンクナースや病棟担当看護師なども同席しています。
また、入院中に歯科治療が必要になった方90名に訪問歯科診療が実施されました。
続いてB病院です。令和元年度から令和5年度の5年間で263名の入院患者に口腔ケアが実施されました。
対象者や出動者はA病院とほぼ同様です。訪問歯科診療を実施した方は3名から4名とお聞きしました。

その他、2病院においては、入院患者の口腔ケアに加えて様々な取り組みをされています。
例えば、全入院患者に対する口腔アセスメントの実施、水を使用しない口腔ケア方法の導入、研修会の開催などです。
院内の体制作りとして、口腔ケアマニュアルの作成、電子カルテ内への口腔ケアカルテ導入、嚥下リンクナースの設置や事業当日の同席などです。
退院後も口腔ケアが必要な患者さんについては、看護サマリーに記入するなどして情報提供されています。

続いて、病院担当者が感じている事業の成果は次のようなことです。
患者さんに対しては、例えば、歯石の清掃、出血した部分に対する処置など、看護師などでは介入しきれないケアを専門職が実施したこと、歯科医師や歯科衛生士との連携により、適切な時期に訪問歯科診療が実施されたこと、歯科専門職から指導を受けたケアを実施することにより、患者の拒否が減り、協力を得やすくなったことなどにより、入院患者の口腔内環境が改善しました。
職員に対しては、全入院患者に口腔アセスメントを実施することで、病棟内での口腔内評価が充実しました。
また、看護師等に技術や知識が伝達され、職員の口腔ケアに対する意識が向上したこと、適切な口腔ケア用品を使用できるようになったことなどです。
一方で、今後の課題としては、定期的な研修の実施等により、看護師等のスキルを維持・向上すること、入院前から患者さんの口腔内状況を把握し、入院中から退院後もアセスメント結果に即した対応ができるシステム作りというご意見をいただきました。
以上の結果からの考察です。1つ目は、歯科専門職の指導により、看護師等の口腔ケアについての知識、技術が向上し、入院患者の口腔内環境が改善しました。

2つ目は、統一した口腔アセスメントの実施や電子カルテによる情報共有により、病院内の口腔ケア提供体制が構築されました。
一方で、病院外の関係者との情報共有については、必要時に看護サマリーに記入するなど、看護師個人の意識に頼っている部分が大きいと考えられます。

まとめです。事業を実施した2病院においては、看護師と病院職員の口腔ケアに関する知識、技術が向上し、入院中の口腔ケア提供体制が構築されました。
一方で、退院後も適切な口腔ケアが提供されるためには、退院時に病院から地域へ情報提供がされる仕組みづくりも必要です。

今後は、湖東歯科医師会との連携のもと、医療機関における取り組み状況の把握、好事例の共有、圏域の入退院支援における検討などを通して、圏域全体で入院中から退院後の継続した口腔ケア提供体制を構築できるよう努めたいと思います。
以上で発表を終わります。ご清聴ありがとうございました。

「医科・歯科連携の推進への取り組み~院内歯科を標榜しない病院と歯科医師会の連携~」近江八幡市立総合医療センター 看護管理室 山田明美様


本日は、貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。
近江八幡市立総合医療センター看護管理室の山田と申します。
当院は、先ほどご紹介にありましたように、歯科を標榜しない病院として、地域の歯科医師会の皆様のご協力を得て、この度連携させていただくことになりました。本日は、その取り組みについてご報告させていただきます。よろしくお願いいたします。

本日は、
 ・近江八幡市総合医療センターの概要
 ・周術期の口腔ケアの意義
 ・院内歯科を標榜しない病院と歯科医師会の連携について
 ・連携状況

まず、当院の概要ですが、東近江圏域で唯一の3次救急医療機関として救命救急センターを有し、急性期医療を担う病院です。
診療科は23科を標榜しております。詳細はスライドをご参照ください。
次に、口腔ケアの意義についてご説明します。皆様ご存じかと思いますが、超高齢社会となり、様々な疾患が増加しています。
これらの疾患を抱える患者さんの治療を成功に導くためには、治療前後の歯周病や虫歯の治療、口腔ケアが重要とされています。
人の口腔内には多数の細菌が生息しており、中には歯周病や誤嚥性肺炎の原因となる細菌が多く含まれています。

虫歯や歯周病の炎症によって生じる毒性物質が血管内に入り、全身に回ることで、糖尿病、動脈硬化、心内膜炎、肺炎などを引き起こしたり、悪化させたりすることが知られており、口腔ケアの重要性が認識されるようになりました。
特に周術期においては、虫歯や歯周病、動揺歯の放置による手術は、麻酔時の歯の損傷や術後の感染症、肺炎などの合併症の発生要因につながります。
当院は歯科がないため、各診療科で個別に医師から患者さんに歯科医院への受診を促していましたが、手術までの時間が短く、受診できなかったり、情報提供が不十分であったりする状況でした。

2012年に診療報酬が算定されるようになり、2021年から歯科医師会と医科歯科連携推進に向けて取り組みを開始しました。新型コロナウイルス感染症の影響もあり、少し時間を要しましたが、2023年8月から連携を開始いたしました。
連携内容ですが、目的は手術前に口腔内の清潔を保ち、細菌を減少させることで、誤嚥性肺炎などの術後合併症の発生を抑制し、早期の社会復帰を図ることです。
効果はスライドの通りです。周術期の主な口腔関連トラブルとしては、誤嚥性肺炎、人工呼吸器関連肺炎、挿管時の歯の損傷などが挙げられます。

当院内科と歯科医師会との連携について、依頼内容は周術期に経口摂取が可能な状態にすること、術前の口腔清掃、可能であれば虫歯の治療や填塞、応急処置などです。
また、手術直前まで患者さんがご自身で効果的に口腔清掃を行えるよう指導もお願いしています。さらに、不要な動揺歯の抜歯や炎症処置なども依頼しています。
手術まで1ヶ月という短い期間でのご紹介となるため、完全な治療ではなく、応急処置を術前に行い、術後に継続して治療をお願いするという形で歯科医師会の先生方にご協力いただいております。
こちらが計画書と報告書です。このような内容で歯科医師会の先生方からお返事をいただいております。
当院ホームページの医科歯科連携についてのページから、これらの用紙もダウンロードできます。
滋賀県統一の用紙ですので、圏域外の医療機関でもご利用いただけます。
実際の連携状況です。対象疾患は多数ありますが、当院では心臓血管外科の手術を受けられる患者さん、主に弁置換術を受けられる患者さんと、整形外科領域でインプラントを使用する人工股関節置換術を受けられる患者さんを対象として、まず連携を開始しました。
連携状況ですが、向かって左側のグラフは昨年度の約8ヶ月間の連携状況で、連携率は約38%です。
右側のグラフは今年度4月から8ヶ月間の連携状況で、連携率は約50%と、少しずつ向上しています。
連携歯科医院との連携状況ですが、上のグラフは昨年度、下のグラフは今年度のものです。患者さんの居住区にあるかかりつけ医や歯科医院と連携しているため、連携先は多岐にわたります。
1つの歯科医院あたりの連携件数は、多いところで4件、少ないところで1件程度ですが、今後も連携を拡大していきたいと考えております。

人生100年時代と言われる今、皆様が健やかに生きることを支え、早期に元の生活に戻れるよう、今後とも歯科連携をよろしくお願いいたします。
ご清聴ありがとうございました。

【報告】  
「全身の中で、なぜ口腔だけがここまでケアが必要?」
湖東歯科医師会 阿部D歯科医院 阿部直樹 様



先ほどから、口腔ケアが非常に重要であるというお話が続いておりますが、なぜ口腔内だけがそこまで重要なのか、本日はその点について詳しく掘り下げていきたいと思います。

まず、本日のお話ですが、虫歯と歯周病の違い、それぞれの治療方法、そして全身、特に手術と口腔との関わりについてお話させていただきます。
まずは1つ目です。よく見る図だと思いますが、歯は骨の中に埋まっており、その骨の上に歯茎が乗っている状態です。
実は、本日のポイントとなるのは、歯と歯茎の境目、歯肉溝と呼ばれる部分です。ここが後々非常に重要になってまいります。
虫歯の進行段階として、左からC0、C1、C2と進んでいきます。ここで見ていただきたいのが、矢印で囲んだ歯髄と呼ばれる部分です。歯の中には空洞があり、そこへ骨の方から神経と血管が入り込んでいます。これが歯髄、いわゆる歯の神経です。右側のC3、C4になると、虫歯が歯髄まで及んでいる状態です。歯髄は直接血流と繋がっているため、体内とほぼ同じ状態になります。つまり、虫歯が進行すると、菌が直接血流に乗って全身へ運ばれる可能性があるということです。これが進行した虫歯の特徴の一つです。
例えば、C1、C2のように神経まで達していない虫歯であれば、麻酔をして、削って、詰めて、1回から多くて3回程度の治療で終わります。
誤解を恐れずに言えば、左側のC1程度の虫歯であれば、正直なところ、そのまま入院して手術をしても、特に影響はないでしょう。
しかし、C3、C4になってくると事情が変わります。菌が体内に入り込んでいる状態なので、手術に際して悪影響を及ぼす可能性があります。これは口腔内から見ても分かりますが、赤い矢印で示した根尖病巣と呼ばれる膿が溜まっている状態になっていることが多いのです。
根尖病巣はレントゲンで確認できます。虫歯が進行し、根の先端が黒く抜けているのが分かります。通常、骨が均一にあるべきところが黒く抜けるということは、中に空洞があり、膿が溜まって骨が吸収されているということです。
治療方法としては、白い樹脂を詰めて、中の神経、つまり細菌の培地となっているものを全て除去します。細菌が繁殖できない状態にして、白い樹脂を隙間なく詰め込むことで、菌は増殖できなくなります。その結果、左側に比べて右側の病巣が小さくなり、さらに期間を置くとほとんど確認できなくなります。
同じように、赤い病巣と黄色い病巣がある場合、先に黄色い方を治療し、赤い方を治療する頃には、黄色い病巣はほとんど見えなくなっている状態になります。このように、適切な治療を行えば綺麗に治っていきます。
こちらは歯が残らず、抜歯した症例です。抜歯した歯を見ると、右側の赤い部分のように、膿の袋、嚢胞化している状態になっていることがあります。これを放置すると、体にとって良くない影響を与える可能性があります。
こちらも同様に、赤い矢印の部分に虫歯があり、黄色い部分が神経に接触しています。この場合も神経を取り除き、根の中に白い樹脂を足のように詰めます。しかし、根の形は複雑で、曲がっていたり、先端で90度に曲がっていたりと、様々なバリエーションがあるため、治療には回数がかかることが多いです。
根尖病巣はレントゲンを撮らないと分からないという点も注意が必要です。

次に、歯周病についてです。歯周病は文字通り、歯の周りの病気です。歯の周りとは、歯周組織と呼ばれる歯茎、セメント質、歯根膜、歯槽骨のことです。細かいことは省略しますが、歯茎と骨に感染が起こり、炎症が起こるのが歯周病です。
歯周病は歯の周りの病気なので、末期になるまで歯自体は痛くも痒くもありません。
では、なぜ歯周病になるのかというと、先ほど出てきた歯肉溝に汚れが溜まり、プラークや歯石が蓄積することで、炎症が進行していくからです。
こちらの図は歯周病の進行を表しています。細かいことは省略しますが、重度になると、歯は虫歯になっていなくても、砂山に刺した棒のように、周りの骨だけがなくなっていきます。
歯周病は歯の病気ではなく、歯の周りの病気なのです。
不可逆的な歯周組織の破壊は最短14日で起こるという論文もあり、放置するとどんどん進行してしまう病気です。
歯周病の一例ですが、オレンジで示した部分が本来の骨の高さです。赤い矢印で示した部分のように、骨が大きく失われているのが分かります。
口腔内を見てみると、骨が失われた部分に食べ物や細菌が溜まりやすく、体にとって良くない状態になっていることが分かります。
では、歯周病が全身の手術とどのように関わってくるのでしょうか。

2つの側面があります。1つ目は、人工関節などのインプラントの定着率が下がることです。歯周病による慢性的な感染症は、インプラントの生着率を低下させます。
2つ目は、口腔は呼吸器、消化器の入口であるため、誤嚥性肺炎や術後の全身性炎症反応症候群(SIRS)を引き起こす可能性があることです。SIRSは、炎症性物質であるインターロイキン6が血中に増加する状態で、手術時間が長くなるほど起こりやすくなります。
口腔内が清潔であれば、これらの合併症のリスクを減らし、入院日数を短縮できる可能性があります。
手術前にお願いしたいことは、治療に時間がかかる疾患もあるため、2、3ヶ月前から歯科を受診していただくことです。手術直前に紹介されると、抜歯が必要になる場合もあります。
また、レントゲンを撮らないと分からない疾患もあるため、定期的な歯科受診をお勧めします。

最後に、なぜ口腔ケアが重要なのかというと、口腔内は容易に血流に菌が侵入しやすい環境であるため、体のどの部分よりも感染のリスクが高いからです。以上です。ご清聴ありがとうございました。

【グループワーク】
テーマ『入院~退院後まで、周術期も含めた口腔機能管理を考える』

視点 
〇入院~在宅まで、口腔衛生管理のシームレスな取り組みの実現にそれぞれの職種が取り組めること
〇それぞれの職種における、周術期口腔管理メリット意識した対応を考える
〇多職種が関われるタイミングは?、その時どうする?


【発表】
1G:



1グループは支援センターの方、管理栄養士さん、薬剤師さん、歯科医師、そして私、歯科衛生士で話し合いました。
テーマは「入院から退院までのシームレスな口腔管理を考える」ということです。
先ほどの歯周病や虫歯のお話の中で、支援センターの利用者さんが手術を受けるにあたり、「なぜ体の遠い場所にある歯を治療しなければならないのか」と納得できずに怒っていらっしゃったという話がありました。
しかし、今日のお話を聞いて、その理由を深く理解できたため、今後は利用者さんにしっかりと説明できるという意見が出ました。
ですので、やはり歯科側は説明を丁寧に行うことが大切であり、情報発信も積極的に行っていく必要があるという結論に至りました。
薬剤師さんからは、「歯科医院に行く際はお薬手帳を持参してほしい」という意見や、「薬局で薬剤師が歯科衛生士と連携して情報提供するのも良いのではないか」という提案がありました。
また、「今後は専門職だけでなく、多職種が連携して情報を広めていく時代になるため、このような意見交換の場をもっと作っていくことが重要だ」という意見もありました。
ヴォーリズ病院の方からは、現在の取り組みやチームで連携することの意義、そして連携によって職員の意識が変わったというお話がありました。
管理栄養士さんの意識も向上しているということで、このような多職種連携の取り組みがもっと広まれば良いと感じました。

次に、「多職種が連携できるタイミング」について話し合いました。
ライフステージごとに考えると、管理栄養士さんからは「離乳食の時期から歯が生え揃う時期にかけて、食べ方の指導が重要であり、実際に指導を行っている」というお話がありました。
歯科側からは、「自己管理ができる中学生時期へのアプローチが重要であり、そこで正しい知識を身につけてもらうことが今後の課題だ」という意見が出ました。
薬剤師さんからは「歯科医院への受診を促すポスターがあれば薬局に貼ります」という協力的なお言葉をいただきました。
栄養士さんからは、「患者さんに必ず歯科医院へ行っているか質問している」というお話がありました。
このように、多職種の皆さんが「全身の健康のためには歯の治療が重要である」という認識を持ち、「歯科医院へ行きましょう」と患者さんに勧めてくださっているので、歯科側としては、先ほども出たように、丁寧な説明を心がけることが非常に重要だと改めて感じました。
そして、とにかく口腔への意識を高めることをもっと広めていくことが大切です。
そのためには、一番身近な「おいしいものを食べると幸せになれる」ということをアピールしていくことが、1グループの結論となりました。
以上です。ありがとうございました。

2G:



2グループでは、病院、ケアマネージャー、居宅介護支援事業所、歯科衛生士、作業療法士のメンバーで話し合いました。
ケアマネージャーからは、改めて口腔ケアの重要性を感じ、入れ歯や口腔トラブルの把握をしなければならないという意見が出ましたが、一方で、フォローの難しさも現状の課題として挙げられました。
居宅介護支援事業所からは、デイサービスとの連携が進んでおり、担当者会議などで情報共有できているケースもあるという情報提供がありました。
病院の歯科衛生士からは、口腔衛生管理加算の算定について、往診可能な歯科医師が少ないという課題があり、加算算定の体制が充実すれば良いという意見が出ました。
病院からは、口腔ケアチームによる院内での口腔ケアの充実を図りつつ、地域との連携を強化していくことが課題であるという意見が出ました。
特に、歯科指導と歯科受診への繋ぎ方が課題として挙げられました。
病院では、アセスメントツールを用いて入院時に口腔状態を評価しているので、その評価結果を継続的に活用し、地域との連携に繋げていく必要があるという意見が出ました。
共通して言えることは、在宅へのスムーズな移行が依然として課題であるものの、それぞれの職種が連携することで課題解決に繋げていけるのではないかという点です。
以上です。


会場1G:




会場は3つのグループに分かれており、私はその1番目のグループに参加しました。
歯科医師の和田です。第1グループでは、歯科医師2名、看護師1名、保健所の歯科衛生士2名の計5名で話し合いを行いました。
病院の看護師さんからは、手術期の現状についてお話がありました。手術前は口腔ケアが実施されるものの、手術後は紹介された歯科医院へ患者さんが行かなかったり、情報が十分に伝わっていない歯科医院へ紹介してしまったりするケースがあり、術後のフォローが難しいという課題があるとのことでした。
また、周術期の口腔ケアの重要性が十分に周知されていないため、保健所としても啓発活動が難しいという意見が出ました。
現在、ケアマネージャー向けに口腔内の状況を把握するためのシステムを構築中であり、一般の方にも分かりやすく利用しやすいシステムにしたいというお話がありました。

歯科医師からは、周術期の口腔ケアは重要であるものの、患者さんへの丁寧な説明が不可欠であるという意見が出ました。
自分の歯で噛めることは、術後の栄養吸収を助け、生活の質を高めることに繋がります。また、口腔内が清潔であれば、食事も美味しく楽しむことができます。患者さんにしっかりと口腔ケアを受けていただき、術後も快適に過ごしていただきたいと考えています。
手術後に口腔ケアが継続されない理由としては、交通手段の不足、術後の痛みや体力の低下などが考えられます。
そのため、術後は訪問歯科診療が必要になるケースが多いと思われます。訪問歯科診療の体制を強化するため、マンパワー不足ではありますが、体制を整えていく必要があると感じました。
今後、湖東歯科医師会の口腔機能管理支援センターの規模を拡大していく必要があると考えています。できる限り尽力してまいりますので、よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。

会場2G:



皆さん、お疲れ様です。今日、急遽お邪魔いたしました新潟医療福祉大学の鎌田と申します。
私は現場の人間ではないため、専門的な用語を用いたお話はできませんが、グループでのディスカッションの振り返りをさせていただきます。
私が参加した2グループでは、小串先生と3名の歯科医師の先生方(会長先生をはじめ)、歯科衛生士さんと私の計6名で話し合いました。
私の方からは、取材のような形で色々とお話を伺う形となり、グループワークのテーマ自体にはあまり深く踏み込めなかったかもしれません。
まず、歯科医師等派遣事業(滋賀県が県全域で実施した事業)についてお伺いしました。補助金が終了した後、打ち切りになった地域もあると聞きましたが、この地域では補助金終了後も事業を継続された点が個人的に非常に印象に残っており、その理由を詳しくお尋ねしました。
様々な立場からの見解があるかと思いますが、特に医療センターのケースでは、医療センターが歯科との連携を必要としていたことが大きな要因だと感じました。もちろん、診療報酬の算定という評価があったことも重要ですが、医療センターと地域の歯科医師の先生方の両方に、熱心でリーダーシップを発揮する先生方がいらっしゃったことも大きかったと思います。属人的な部分もあるかもしれませんが、人と人との繋がりの中で事業が進んでいくことを改めて感じました。
また、看護師が患者さんをピックアップする際のアセスメント(スクリーニング)の手法についてもお伺いしました。当初から現在の形があったわけではなく、病院や三方よしの研修を通じて試行錯誤を重ね、現在のモデルができたとのことでした。
現在も進行形であり、今後も発展していくとのことでしたが、単にパッケージを組み合わせるのではなく、試行錯誤しながら良い形を作り上げていく点がこの地域の強みだと感じました。
コメンテーターのような感想ばかりで申し訳ありません。ほとんど私の個人的な感想になってしまいました。
お邪魔した身でありながら、大変恐縮です。入院から退院後の流れに関する議論はあまりできませんでしたが、話題に上ったのは、やはり幼少期、乳幼児期からの歯科教育の重要性でした。
リテラシーの問題で、どうしても対応が難しい患者さんが残ってしまう現状、特に要介護や認知症になった場合の対応の難しさを感じました。歯科衛生士さんからも、要介護状態になってからの対応に追われるだけでなく、もっと早い段階で何かできたのではないかという思いがあるというお話がありました。
また、治療や予防という観点だけでなく、患者さんやご家族がどうしたいのか、どうありたいのかという視点も重要だという話になりました。
歯科医師の先生からは「生きがい」というキーワードも出て、歯や口腔機能そのものだけでなく、患者さんの生きがいを視野に入れた支援の必要性が示唆されました。
例えば、女性であれば「朝起きて口紅を塗れるようになったら嬉しい」といった、患者さんの気持ちに寄り添った言葉かけや目標設定も大切かもしれません。
口腔機能管理は、そのためのツールとして活用できるのではないかというお話は、素人の私にも非常に共感できる分かりやすいものでした。
長くなりまして申し訳ありません。小串先生、このような形でよろしかったでしょうか。
本日は大変緊張いたしました。ありがとうございました。


3G:



東近江市役所障害福祉課の村田と申します。本日は、3月27日開催の第207回三方よし研究会にて、通院支援プロジェクトの担当として発表させていただくにあたり、会場の様子を拝見することと、関係者の皆様と情報交換をさせていただくことを目的として参りました。
本日は、歯科医師2名、歯科衛生士1名、そして私を含めた市の障害福祉課職員2名のグループで意見交換を行いました。
主な内容としては、私たちが日頃から障害のある方々に関わっていることから、多職種連携の重要性について意見を交わしました。
今回、初めて知ったこととして、県からの委託事業で、歯科医師会と歯科衛生士会が連携し、希望する作業所へ年1回定期的な歯科検診を実施しているという情報がありました。
これらの作業所は、日頃から口腔衛生に対する意識が高く、年1回の検診を継続することで、利用者の方々への指導も行き届いているとのことでした。
定期的な検診が、関係者の意識向上に繋がるという事例は、今後他の作業所にも広めていきたいと感じました。
一方で、私たちが関わる方の中には、障害特性により歯科医院への通院が困難な方や、初めての受診に強い抵抗を示す方も多くいらっしゃいます。具体的には、じっと座っていることや、口の中を見られることに強い不安を感じる方がいらっしゃいます。
そのような親御さんからは、「どのような歯科医院に連れて行けば良いのか」「無理矢理連れて行くべきか」といった相談をよく受けます。
作業所やグループホームを利用されている方は、定期的な検診を受けられる機会がありますが、自宅に引きこもっている方などは、そのような機会がありません。
そのような方とお会いして話を聞くと、口腔ケアが全くできていないケースも少なくありません。
これまで、そのような方に対して有効な情報提供ができていなかったのですが、今回、口腔衛生センターの情報を得ることができました。
今後は、口腔衛生センターの情報提供はもちろんのこと、必要に応じて医師会や歯科衛生士会の皆様との連携も視野に入れ、地域の口腔衛生向上に貢献していきたいと考えております。
まとまりのない話で恐縮ですが、以上となります。

〇指定発言
・公益財団法人 近江兄弟社 ヴォーリズ記念病院  看護師 浦谷安美様


本日は、口腔機能管理について様々な立場の方からお話を伺う貴重な機会をいただき、誠にありがとうございました。
当院では、2019年から歯科医師派遣事業に参加し、現在月2回、先生方に患者様の口腔内を診ていただいています。
専門的な視点から口腔内の状態を評価していただいた後、口腔ケアに関する具体的なアドバイスをいただいております。
当院の口腔ケアチームは、医師、看護師、言語聴覚士、管理栄養士で構成されており、多職種連携で活動しています。入院時には、OH(口腔衛生状態)の評価を行い、その結果を看護計画に反映しています。また、各専門職がそれぞれの視点から口腔ケアの必要性を判断し、ケア開始に繋げています。
開口困難な患者様や、口腔乾燥が著しく口腔内が汚れやすい患者様に対しては、回診で教えていただいた方法をスタッフ間で共有し、技術習得に努めています。
年に1回、歯科医師会の先生方を講師にお招きし、口腔ケアの方法やケア用品の取り扱いに関する研修会を開催しています。
これらの取り組みにより、職員の意識と技術は徐々に向上していると感じています。
口腔ケア用品も以前に比べて充実してきました。口腔内環境が改善したことで、食事ができるようになった患者様もいらっしゃいます。
今後の課題としては、入院時の口腔内評価で終わってしまっている現状を改善し、実践と評価を繰り返していくことが挙げられます。また、退院支援に繋げることも重要な課題です。
入院中に実施していたケアを、退院後も継続できる方法にアレンジし、ご家族へ指導していく必要があります。
退院後の歯科フォローをどのように行うか、入院中に計画を立て、退院時に情報提供することが、今後の目標です。
今後も継続的に口腔機能に関する意識を高め、多職種連携によるケアの実践と、地域連携の強化を図って参ります。
ありがとうございました。

・独立行政法人国立病院機構東近江総合医療センター 歯科口腔外科医長 堤 泰彦様



東近江総合医療センター歯科口腔外科の堤です。
多職種連携についてですが、当初はなかなか理解が進んでいませんでした。しかし、勉強会を重ねることで徐々に理解が広まりました。当初は、手術期の口腔機能管理というと口腔ケアというイメージが強く、「綺麗にするだけなら勝手にやっておいてください」というような認識でした。
そこで、説明の仕方を変え、「周術期の治療の支持療法として関わります。周術期の治療の助けになります」ということを強調したところ、理解が深まりました。現在では、全身麻酔の手術前や化学放射線療法前には、ほぼ全例で口腔外科を受診していただき、対応できる体制を整えています。特に、手術や全身麻酔においては、口腔外科を受診しないと麻酔を受けられないという認識が浸透しており、多職種連携は良好に進んでいると感じています。
歯科があることのメリットとしては、手術時の歯の脱臼や、化学放射線療法による重度の口腔粘膜炎に対する治療を即時に行えることが挙げられます。口腔粘膜保護剤であるエピシルは歯科でしか処方できませんが、当院には歯科が標榜されているため、迅速に対応し、治療中断を防ぐことができています。
現場の意見としては、情報の引き継ぎが課題として挙げられます。入院から退院までの情報の伝達はもちろんのこと、看護師への情報伝達も重要です。私たちは毎日ケアやチェックを行うことができないため、看護師に情報を正確に伝え、それを次の看護師へと繋いでいく必要があります。現在、各病棟を回り、看護師への情報伝達を強化しています。
課題としては、院内に歯科があるため、かかりつけ歯科医院がない患者様の場合、院内での治療を希望されることが多く、地域連携への移行が難しい点が挙げられます。また、単位時間カンファレンスへの参加も、マンパワー不足のため難しい状況です。今後は、地域歯科診療所への移行や、作業所から入院された患者様の退院後の情報共有をどのように進めていくかが課題です。

もう一点、地域歯科医に紹介した場合の懸念点として、化学放射線療法中の患者様の場合、治療内容の変更や骨髄抑制の悪化などが起こり得るため、情報伝達が十分に行えるかという点があります。院内であればデータチェックで対応できますが、地域歯科医との連携では、例えば抜歯などの侵襲的な処置を行う際に、出血が止まらないといった事態が起こり得る可能性も考慮し、情報伝達の体制を構築する必要があると考えています。
以上です。

花戸先生:

私から情報共有させていただきます。先ほどグループワーク中に調べた情報ですが、例えば本日発表のあった近江八幡総合医療センター様の平均在院日数についてです。皆様ご存知かもしれませんが、例えば整形外科の平均在院日数は21.8日、約3週間です。また、心不全などで循環器内科に入院した場合の平均在院日数は11.8日、2週間弱です。
皆様ご存知のように、急性期入院期間は非常に短縮化しています。そのため、入院後すぐに口腔ケアに取り組もうとしても、退院となってしまうケースが多く、いかに早期に関わるかが重要となります。脳梗塞なども同様で、急性期は非常に短く、すぐに回復期へ移行します。このような現状を皆様にも知っておいていただきたいと思います。
したがって、いかに早期に関わるかを考慮すると、平時から連携を密にし、関係性を構築しておくことが必要だと感じました。
また、周術期に入院される患者様で増加傾向にあるのが、心不全の急性増悪と誤嚥性肺炎です。誤嚥性肺炎には口腔ケアが非常に重要ですが、先述の通り急性期は非常に短いため、在宅や退院後のケアに重点を置いた平時からの連携が重要だと考えます。
以上、本日参加させていただいた者としての意見です。


【連絡事項】
・「第8回日本地域医療連携システム学会・三方よし研究会地域公開講座」
令和7年3月16日(日)13:00~16:00  〇会場 あかね文化ホール 
大会長:三方よし研究会実行委員長 花戸貴司  主催:NPO法人三方よし研究会 後援:東近江市

・第207回 三方よし研究会 令和7年3月27日(木)18:30~20:30


○当番 東近江地域障害児(者)サービス調整会議通院支援プロジェクト 会場:東近江市役所 東庁舎

次回第207回三方よし研究会、皆さんとお会いできることを楽しみしていますね。


2025年1月16日木曜日

第205回三方よし研究会開催のご報告

205回の三方よし研究会が下記の通り開催されましたので、ここに報告いたします。



日時;令和7年1月16日(木) 18:3020:30

会場:ZOOM活用によるWEBでの開催

(当番:NHO東近江総合医療センター)

テーマ 「医療・介護・福祉等に従事する方々の安全・安心を守るために」


【ゴール】

●医療介護福祉現場におけるハラスメントの現状を共有する

●医療介護福祉現場におけるハラスメントの対策を学ぶ

●患者さんを支援している方々が、安全・安心に支援を行っていくために必要なことを考える


【情報提供】

・日野記念病院町民公開講座のご案内

2/1()日野町わたむきホール虹にて)



・第8回日本地域医療連携システム学会のご案内

3/16()あかね文化ホールにて)



・第25回地域共生ケア全国ネットワーク研究交流フォーラムのご案内

3/14()15()大阪たかつガーデンにて)

 



45分学習会】

進行:吉田さん(東近江総合医療センター地域医療連携係長)

『職員を大切にする在宅・医療現場におけるハラスメント対策〜組織と地域の取り組みを考えるきっかけに〜』

森ノ宮医療大学看護学部看護学科 教授 武 ユカリ先生



・在宅医療現場の暴力・ハラスメントには4つのパターンがある。①医療介護従事者→医療介護従事者(パワハラ・セクハラ・職場いじめ)、②医療介護従事者→利用者ご家族(虐待・詐欺・窃盗)、③利用者ご家族→利用者ご家族(虐待・DV・介護殺人)、④利用者ご家族→医療介護従事者(カスハラ・在宅ケアハラ・ペイハラ)。今日は④についての話。

・在宅現場に関連する刑事事件はここ数年でも実はよく起こっている。しかし2020年の埼玉県医師殺害猟銃立てこもり事件などはまだネット検索できるが、看護師やヘルパーへの事件などは報道されにくくネットでも検索が難しい現状。しかし実際には起こっているということ。

・これらの事件を経て、警察庁から都道府県及び都道府県警察に向け、医師会及び医療機関との連携の推進を促す通達が何度かなされている。

・カスタマーハラスメントとは、顧客等からの暴行、脅迫、ひどい暴言、不当な要求等の著しい迷惑行為をいう。

・その判断基準は業種や業態、企業文化の違いから、違いが出てくる可能性があり、在宅医療現場での判断基準、対応方法の統一、現場共有が重要。

・在宅医療現場の特徴1…支援の対象者であり、暴力ハラスメント行為があっても、ケアの必要性からサービス中止、契約解除が容易でないこと。

・特徴2…利用者の自宅は援助職の職場でもあるということ。

・特徴3…小規模事業所であったり対策に対する学習の機会が少ないなど、暴力ハラスメント対策が難しいということ。

・暴力ハラスメントの種類と定義を共有しておく…身体的暴力/精神的暴力/セクハラ分類、要求に着目した分類など。

・あらかじめ判断基準を明確にするために、在宅医療現場の特性から具体例を共有しておく

・不当・悪質・ハードクレームの特徴を知っておく。一般的なクレームとの違い。

・状況レベル別の対応策を考える。

・無防備な傾聴をしないこと!

・日常業務の中で報告・相談・情報共有しておくこと。

・対応方法を在宅医療介護で統一、共有しておくには、専門職としての役割を再確認する。暴力ハラスメントを容認する、被害を受けることは、私たちの仕事の一部ではない。

・また利用者と家族、地域の関係多職種にも協力を求めること。ハラスメント対策には、良好な地域連携が必要、有効。

・状況レベル別の対応策を考えておくこと。チーム・事業所・地域での連携に必要なこととして、明確な方針と基礎知識を習得しておく必要がある。

・ハラスメントを容認しないことが大事。要求に応じてしまうと、当事者の要求が正当だと誤解させ、要求や行動がエスカレートし、問題が増悪、深刻化してしまうから。

・セクハラ被害を受けた場合…明確な意思、すぐ報告、書面口頭での警告へ。

・暴言を受けた場合…会話を最小限にし、3つのカエルを有効に使い、時間を決めて対応し、記録を残しておくこと。

・堂々巡りの対応困難者に対する適切な初期対応を知っておく。納得ではなく「諦めてもらう」。傾聴しすぎず押し返す。一回1時間が限度。激昂している時などはもっと短時間に。利用者宅での監禁につながる可能性がある。

・命の危険を感じたら、とにかくケア提供よりも身の安全の確保を優先する。すぐ逃げる!など組織内の方針を明確にしておく。

・暴力ハラスメント…被害を受けても「仕方ない」ことに絶対にしないように!

 


 


【事例報告】  

『東近江総合医療センターにおける対応困難事例 』

東近江総合医療センター 林 医療安全管理係長/立堀 専門職


・事例①…COVID19+誤嚥性肺炎にて入院、その後入退院を繰り返した方、毎日医師や地域連携室に電話や面会をしてくる事例

・事例②…肝機能障害のため、緊急入院してきたが、本人から息子に電話をして、息子がその都度何度も病棟に対応を迫ってくる事例

・事例③…急性腎不全の急性期対応後の転院、多発性硬化症があり、自宅で対応。入院中は過度な謝罪要求、また重度褥瘡があり退院適応ではないにも関わらず無理に退院に持っていこうとした事例

・事例④…Googleレビューでの誹謗中傷への対処方法について苦慮した事例

・まとめ…ハラスメントにつながるきっかけ、継続した関わりの難しさ、医療機関のカスタマーハラスメントの相談先が現状ない。ただ病院としてはスタッフを守ることも重要ということ。


 

【グループワーク】

それぞれの立場で、ケアや支援等を行っている中で困っていることはありますか。

ハラスメントの対策として取り組んでいることはありますか。

皆様が安全・安心にケアや支援を行っていくために、必要なことや求めたいことはありますか。

 

【発表】

○1グループ

センター対応のアサイです。1グループの発表させていただきます。
1
グループ本当にいろんな方がおられまして、訪問看護さんであったり、病院さんであったり、ケアマネさんであったり、 包括支援センターさんであったり、障害の方の相談員であったり、いろんな方のお話を聞くことができました。
で、今日の研修と通じて皆さん言われてたんですけれども、やっぱり 

・どこの職場でもいろんな方と関わるお仕事ではあるため、今回のハラスメントのようなことがあるんやなということ。
1人でしんどいことがあった時に1人で関わるのではなくて 2人で関わる、1つの機関で支えられなかったり上手くいかないことはケース会議したりして複数期間で関わるということを大事にしていかなければならない。

・各現場で「この方うちにも来はりましたわ」みたいな話で病院同士、各機関が繋がってると上手くいくこともあるのではないか。

1つプロだなと思ったのが、 訪問看護さんより、ハラスメントがあり支援をお断りする方がいた場合に、単純にお断りするのではなく、次の訪問看護であったり、ヘルパーであったり、次のステージ、担っていただける方をちゃんと決めてから支援を引き継いで中止したという話があった。


○2グループ

・ネットの話もあったが、もしかしたら自分も書かれてるかもしれないと自分ごととして感じながら聞かせてもらった。

・家庭の問題が周囲に広がっていっているように感じる、家庭状況も変化していっている中で問題も複雑化してるんじゃないか。
・デイサービス勤務をしていて、その場での話と担当者会議での話が全く違い、手のひらを返したように攻撃をしてくる方などもいて、複数で対応していくことも大事。
・病院では、亡くなってしまう、死んでしまうということがとても納得ができない方がやはりいて、そこは病院側も本当に苦労されている現状、お察しします。
・病院の中でも1つ心がけていることとして、「相手の感情は理解する」ようにして対応することを心がけていること、責任ある立場の人がクレーマーの側に立って、当事者を攻撃することは絶対にしないと肝に銘じているという意見があった。
・滋賀県でもハラスメントのマニュアルがあるので、それを参考にしてほしい、ホームページでダウンロードが可能。

・やはり三方よしのような集まりで色々と意見を出し合うことが大事なのではないか。



○会場グループ

・記録がちゃんと残っていることで証拠としての信用性が上がるので、記録はちゃんとしておいてもらった方がよい。

・ネット中傷に関しては、もう書かれてもほっておく、気にしないというのがやはり大事ではないか。

・実際に警察の方に医療機関から相談があるケースはそんなに多くはないということだが、当院でも特に認知症の患者さんなどは手が出たりというのはもう日常茶飯事で、医療従事者がやはり我慢している実態がある。その中で相談員は本人と従事者との間に入って、できるだけ直接会いソフトに対応していこうとしているので、上手に使ってもらい、言いにくいことは伝えてほしい。そのように皆で協力して対応していくのが大事なのではないか。 



【指定発言】

・東近江市地域包括支援センター センター長 河島 克彦 様

 東近江市ですが、地域包括支援センター3か所あるうち、本庁の地域包括支援センターに私はいますが、 市役所でも役所の職員への不当要求への対応ということで職員全体でも研修をしている状況です。その中で、地域包括支援センターとしては、総合相談、介護予防のケアマネジメントやケアマネジャーへの支援、権利擁護では虐待対応などをやっていますが、個別の支援だけではなく支援者への支援をしていくということで、先ほど武先生のお話にもあったように、サービスの種別によって状況は違う、包括支援センターは独特の役割もあるのかなと思っているところです。

 その中で、先ほどの講義の中で大変印象に残ったところがいくつかあったんですが、やはり感じ方に個人差があるというところ、また一般的なクレームと悪質的なクレームというのはちゃんと分けて判断しなければならないということ、そして傾聴しつつ 押し返すみたいなバランス感覚なんかも、すごく難しいんですけど、やはり大事なんだなと今までの経験も振り返りながら思いました。何よりも初期対応が大事ということで、センターの方でもなるべく2名対応であったり記録に残したり、最初に時間制限を設けて話すなど、いろいろな工夫もしている中で、ケースのアセスメントをちゃんと組織の中、センター内、町内、町外と、随時連携をしていく、共有していくということがすごく大事だなと感じました。

 カスハラの方がだんだんとエスカレートしてくると、リアルタイムに担当部門が共有できていないことが、さらに炎上させていく要因にもなりますので、ボルテージが高まってきた時には、この情報共有というのはすごく大事だなということを思っております。

 何よりもやはり組織対応ということなので、強い組織、体制を作っていき、また引き継いでいくということがこれから大事なのかなというようにあらためて思いました。大変今日は全体として勉強になりましたし整備できました。ありがとうございました。


・東近江警察署 刑事第一課長 西野 雅之 様

 今回このような勉強会に呼んでいただきましてありがとうございました。本当に、私も勉強になりました。医療従事者の方が日頃からこのようにすごく苦労されている、我慢されてることが多いということを思いました。当然警察として、事件にならないから相談してくれないなどは全くありませんし、ことが大きくなる前に相談していただければ、事件にならなくとも相手に注意など指導はできますので、またお声がけしていただけたらいいと思います。ただ、やはりどうしても、話を傾聴に努めたにもかかわらず、どんどんそれが大きくなっていき、要求が過大になっていったりすることもあります。

 さきほども武先生の話でもありましたが、やはり兆しというものは絶対あると思います。その兆しを見逃さずに、毅然とした態度で対応するのも必要なのかなと思います。ただ、そう言ってしまうとなかなか企業は難しくなってしまうので、その辺のバランスがすごく難しい、そこで苦労されてるのかなと思いましたので、また今後とも何かあればいつでも言っていただければいいのかなと思います。



滋賀県健康医療福祉部医療福祉推進課 梅染さん
 本日参加を受け入れていただいて本当にありがとうございます。県の医療福祉推進課にて在宅訪問看護、介護現場における暴力ハラスメント対策事業というものをさせていただいておりまして、武先生のご講義の中でもご紹介いただいておりましたが、マニュアルを作ったり、研修を看護協会に委託して実施させていただいております。また研修も、今年はもう残すところ大津会場しか残っていませんが、参加希望等あればお問い合わせいただきご参加いただけたらと思いますのと、今年度事業として滋賀県全域で使っていただけるような利用者さん家族さん向けのチラシを作っておりまして、また完成したら 滋賀県全体に通知させていただきますので、よければご活用いただけたらと思います。お時間いただきありがとうございます。



●森ノ宮医療大学看護学部看護学科 教授 武 ユカリ先生

 今日は本当に貴重な機会をいただきありがとうございます。警察の方までご参加いただいているような、こんな素晴らしい会に来させていただいて、理想形を見るような気持ちで、すごくいい会だなと。私毎回来てもいいでしょうかっていう気持ちでいるぐらいです。

 先ほど地域連携のところは少しはしょってしまいましたけれども、 顔の見える地域連携というのがないと、暴力、ハラスメントだけ相談するというようなことは現実的ではなくて、いろんな方が日頃から相談できるような顔の見える間柄というのがすごく必要で、 いろんなことが相談できる中に暴力、ハラスメントのことがあるというような形を作らないといけません。やはりすごくね、セクハラなど特にそうなんですけれど、 すごく相談しにくいんですよ、言葉を言うだけでも。なので、この三方よしの研究会さんは、それがすごく理想な形で、しかもいろんな職種の方が、いろんな事業所の方が、福祉の相談員さんに障害の相談員さんまでいらっしゃって、すごいですね。医療と繋がりにくいというお声もすごく地域的に聞いたりなどもするので、なんて理想的なところなんだとちょっと感動しております。またよろしければ。私、ややま先生とは元同僚なので、研修もご一緒させていただいてるんですけど、またよろしかったら参加者として参加させていただきたいです。今後ともよろしくお願いします。



【連絡事項】

・第206回 三方よし研究会

令和7220日(木)18:30~20:30より 

○当番 湖東歯科医師会


ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

また来月もよろしくお願いいたします。




2024年12月21日土曜日

第204回 三方よし研究会のご報告

第204回 三方よし研究会を開催しましたので、ご報告いたします。
東近江医師会・近江八幡市蒲生郡医師会さんの当番で、第204回三方よし研究会を開催しました。

日時:2024年12月21日 16:00-20:30
会場:八日市ロイヤルホテル



〇講演






内閣官房全世代型社会保障構築本部の稻川武宣氏をお招きして「人口と社会保障のこれから」をテーマに講演していただきました。
講演では、日本の少子化や高齢化が進む中での社会構造の変化に焦点を当て、具体的な課題とその解決策が以下のように示されました。

日本の現状と課題
1.少子化と人口減少
 o 日本の出生率は過去最低の1.20(2023年)。
    人口減少のスピードの問題→果てしない縮小と撤退
    人口減少の構造の問題→「超高齢化」と「地方消滅」
 o 高齢者数の増加に伴い、介護・医療サービスの需要が急増。

2.社会構造の変化
 o 単身世帯や高齢単身世帯の増加。
    2050年には、単身世帯は44.3%、単身高齢者世帯は20.6%に達する見込み
 o 雇用の不安定化や地域コミュニティの希薄化。
    社会とのつながりが弱い人(社会的孤立や複数リスクを抱える人・世帯(リスクの複合化)が増加。年間自殺者数は3万人強となる。
    非正規雇用の割合 1995年:20.9% 2020年:37.2%

3.社会保障の課題 
(社会保障とは→「個人の生活上のリスク」に対して「社会の連帯」によって備え生活を保障する仕組み)
 o 「縦割り」の社会保障制度が複雑化し、効率的な支援が困難。
 o 高齢者や障害者を含めた包括的なケア体制の必要性。
解決に向けた提案


1.地域共生社会の実現
 o 「住まい」と「地域組織」を基盤とした支え合いの強化。
 o 子どもから高齢者までが安心して暮らせる仕組みづくり。

2.少子化対策の強化
 o 育児・教育費の支援拡充。
 o 育児休暇の普及と働き方改革。
プレコンセプションケア:妊娠前の段階で健康状態を整え、将来の妊娠や出産に備えるケアを充実させる。
2030年までをラストチャンスとして、異次元の少子化対策に取り組む。予算規模3.6兆円→2030年代初頭までに予算倍増を目指す。

3.持続可能な地域サービスの確保
 o 地域特性に合わせた事業基盤の強化。
 o 人材育成とデジタル技術の活用。
※将来を先取りした「先行的」な成功事例を作り展開する。(パクる)

東近江市圏域の未来
東近江圏域も含め、人口減少や高齢化の加速が懸念されており、地域全体で取り組むべき課題が多いことが示されました。稻川氏は、「住まい」が「社会保障」及び「まちづくり」あり方に大きな影響を与え、地域独自の成功事例を創出し、それを全国に広げる重要性を強調されました。



〇質疑応答タイム
小串先生:
先進国や東南アジアでも人口減少が進んでおり、医療・介護人材の育成が必要であるとされています。当会でも介護職員の初任者研修を実施しておりますが、今日のお話を伺い、改めて医療・介護の人材がいかに大切かを実感しました。ありがとうございます。

稲川様:
世界的に人口減少が進んでいます。昔は農業の時代において、子どもを増やすことが労働力の確保につながりましたが、現在では、言葉は悪いですが、子どもがコストと捉えられる側面もあります。
介護の分野では、介護報酬を含めた予算が抑えられています。介護保険制度が始まった当初は介護人材が増加しましたが、これからの時代はお金だけでなく、持続可能な生活を可能にするための資源配分を考えていかなければなりません。こうした課題について、皆で議論を深める必要があると感じます。

桜様:
非正規雇用が増えることで結婚が難しくなっている現状は理解できます。しかし、私の周囲には高収入で仕事もあるにもかかわらず、結婚していない方が多数います。そもそも結婚して子どもを産むことが幸せだと感じていないのではないでしょうか。むしろ、リスクと捉えられているように思えます。加えて、子どもが自立して楽しい人生を送るというより、親の言うことを聞かなければならないといった風潮もあります。社会の歪みを感じますが、先生はどのようにお考えでしょうか。

稲川様:
現代社会では、結婚しないことが合理的と考えられる風潮が生じています。ただ、補助金を出せば解決するという問題ではありません。若い世代が何を考えているのか、しっかりと耳を傾けることが重要です。若い人たちがネガティブにならないようにすることが、最大の課題だと思います。おっしゃる通り、問題意識を共有し、若い人たちが希望を持てる未来を示していきたいと考えています。

花戸先生:
私は小児科医です。先日の学会では「なぜ少子化が止められないのか」というテーマが議論されました。子どもを3人以上産む方もいれば、まったく産まない方もいます。また、結婚しない人は非正規雇用の割合が高い傾向があります。まずは経済対策が重要だと感じます。

稲川様:
花戸先生がおっしゃった通り、結婚している方の出生率はこれまで1.8程度で安定していましたが、現在は低下しつつあり、危機感を抱いています。結婚しない、あるいはできない方への対応を真剣に考える必要があると考えています。

溝江様:
小串先生からもご質問がありましたが、他国でも出生率が低下している原因は、日本と同様の問題なのでしょうか。先生のご意見をお聞かせください。

稲川様:
アジア諸国では、大学進学のハードルが高いことや、女性は子育てをすべきだという固定観念が影響している可能性があります。たとえば韓国では、大企業が多く、国際的な仕事をする人々が増えたため、少子化に対する危機感が薄い面があります。一方、日本は国内消費が経済の主軸であり、子どもが減ると消費者も減少するという危機感を抱いています。この点で、韓国と日本では事情が異なります。
以前、人口問題の専門家に聞いたところ、各国の少子化の理由については明確な答えは得られませんでした。非常に複雑な課題です。

〇終わりのご挨拶
花戸先生:
あっという間の2時間でした。これからの10年、20年を見据えて考える貴重な機会をいただき、ありがとうございました。


研修会後には、懇親会にて大阪のヒョウ柄のお姉さまの漫才タイム(^_-)-☆もあり、お腹が捻じれる位に大笑い。充実した時を過ごすことができます。

次回は、東近江総合医療センターさんの当番で、1月16日(木)18:30からの開催です。
今後とも、三方よし研究会をよろしくお願いいたします。


2024年11月21日木曜日

第203回 三方よし研究会開催のご報告

203回の三方よし研究会が開催されましたので、ここにご報告いたします。



日時:令和61121(木)18:3020:30

会場:東近江敬愛病院

当番:東近江敬愛病院・東近江圏域介護支援専門員連絡協議会


【ゴール】

全国での現在の看護職の動向を知る

人材確保に対する取り組みを聞き、自己の施設に反映できる


【情報提供】

    東近江市生活支援体制整備事業 医療・福祉専門職研修会

「暮らしの豊かさを考える専門職研修会〜住民のくらしぶりと活動を知る〜」

+オプション企画(裏面)『地域活動フィールドワーク』

2024.12.20(金)13:3015:30 東近江市保健子育て複合施設ハピネスにて

 



    NPO法人三方よし研究会主催 三方よし研究会地域公開講座

8回日本地域医療連携システム学会

2025.3.16(日)13:0016:00 あかね文化ホールにて


(司会進行:松原さん(地域医療連携部))



【院挨拶】

東近江敬愛病院 間嶋 淳院長


本日は、お忙しい中研究会にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。 せっかくご挨拶の時間をいただきましたのでそ今回のテーマの背景と、我々の取り組みについて簡単にお話させていただきます。

ご承知の通り、日本の人口は減少してくるわけですけども、65歳以上の人口は大きな変化がなく、1564歳の労働人口が減少して、今大体4人に1人なのが、3人に1人、支える人が1人減ってしまうわけです。 

そうすると、医療事業としてはほとんど今と変わらない中、働き手はどんどん減ってしまい、1人にかかる負担が非常に大きくなってくるのが、この先2030年後の話です。これは衝撃のデータだったんですが、このデータからは医療福祉業はサービス業に次いで働き手不足が深刻になることが予想されるということで、本当に私たちの業界でどのように働き手を確保するかは、待ったなしの改革が必要なのかなと思います。ただ働き手が減る中で、その働き手の確保だけではなかなか難しく、それと両輪でどのようにしてこの労働生産性、効率の良い働き方を上げていくかというのが非常に大切になってくると感じております。

そんなことはもちろん国も分かっていて、効率的に高齢者をサポートするために地域包括ケアシステムを推進しているわけですけども、 大きく医療と介護、それから生活支援、介護予防に分けて、それぞれの事業所があまり幅を広げすぎずにそれぞれの特性を生かして自分たちの仕事をする、その代わり、その事業所間、職種間でしっかりと連携を取りましょうというのがこのシステムの目指すところです。

医療でいいますと、患者さんの急性期から安定期、重症度に応じて、それぞれの特性を生かして役割分担をしているというのが医療の分野でも進んでおります。当病院もその間をしっかりとカバーできるような形で進めていきたいと思ってますし、そのために地域包括ケア病棟であったり在宅療養支援病院であったり、訪問診療に力を入れてこの数年は運営をしてきています。

本日の研究会で、 働き手が少なくなる中で、地域でどのようにサステナブルな医療、福祉体制を構築できるか、良質なケアというのは働き手が余裕がないとできないと思いますので、労働生産性を上げるために、地域包括ケアのシステムの枠組みの中で各事業所がどのようなことに取り込むことができるのかをディスカッションしていただければと思います。本日は皆さん、よろしくお願いします。

 



30分学習会】

『滋賀県での看護職の動向について』

公益社団法人 滋賀県看護協会 会 草野 とし子様




・滋賀県での看護職の動向について

・看護協会とは…保健師・助産師・看護師・准看護師の資質向上や働きやすい環境づくり等をめざし、個人では解決できない課題に取り組む職能団体。会員の会費により運営。

・滋賀県看護協会の使命…公社団法人日本看護協会との連携のもと、保健師・助産師・看護師及び準看護師が、看護の質の向上を図るとともに、安心して働き続けられる環境づくりを推進し、併せて人々のニーズに応える看護活動を展開することにより、県民の健康な生活の実現に寄与する。

・基本方針…1.社会のニーズに対応した看護を提供できる体制づくり 2.労働環境の改善と充実 3.看護の専門性の強化と推進

・看護職数は増えているが、増加の割合が鈍化している。

・看護師、保健師、助産師になるには(図での説明)

・滋賀県内の看護師養成所は12校。現在の定員は640名。

・滋賀県の出生数及び出生率を見ると、全国に比して出生率は高いが、全国と同様に年々下がってきている(ちなみに滋賀は全国2位の出生率)。

・看護職員の滋賀県への流出・流入状況をみると、令和4年で流出55人に対し流入143人と上回っている(ただし近隣府県のみ)。

・滋賀県の看護師の年齢構成でいうと、50歳以上の割合が増え、逆に30歳代の占める割合が減少している。

・圏域別の人口10万人に対する看護職員数を見ると、保健所や訪問看護ステーションは東近江が一番少なく、病院は湖東地域が一番少ない。

・看護師一人が担当する病床数でみると、東近江が一番多く2.3。逆に湖北が一番少なく1.47

・採用状況をみると、甲賀圏域・東近江圏域では「非常勤・県外」が約15%

・県内病院の看護師の退職理由(労働環境)をみると、看護職以外の職業や雇用形態の変更が多い他、人間関係も高い。

・県内病院の看護師の退職理由(個人的な退職理由)をみると、転居通勤困難が最も多く、次いで結婚、出産があるほか、うつなどメンタル的な問題も高い。

・どのような支援があれば退職しなかったかの問いに対しては、「どのような支援があっても退職した」が一番多いが、尊敬できる上司、業務量に見合った報酬、良好な人間関係、看護部の理解、希望での休みがきちんと取れる体制などが続いている。

平成26年(2014年)滋賀県内訪問石護ステーションの総合的な支援に関する調査より、滋賀県訪問看護ステーションの課題として、①働きやすい職場環境の整備(厳しい職場環境)、②人材を育成・訪問看護の質の向上(研修体制が不十分)、③訪問看護師の確保(看護師確保が困難)、④安定したステーション運営と経営の促進(不安定な経営)が挙げられた。

・「看護師等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針」が、202310月に約30年ぶりに改訂されており、人材不足は、保健医療福祉に携わるすべての職種一丸となってそれぞれの現場で働き続けられる職場づくりに取り組むことが必要だということが謳われている。

・厚生労働省・都道府県労働局・ハローワークの啓発資料より、従業員の祝点に立った「魅力ある職場づくり」が有効とし、取り組みのポイントとして、①「顧客満足度」だけでなく「従業員満足度」も重視すること、②働く人の目線で、継続した取り組みを行うことが重要とある。

・慶應義塾大学大学院教授・前野隆司先生より、「幸せの4つの因子」を知れば「幸福度」を上げられるとして、①「やってみよう」因子、②「なんとかなる」因子、③「ありのままに」因子、④「ありがとう」因子が挙げられている。

 



【活動報告】

『仲間を増やそう人材確保』~東近江敬愛病院での取り組み~

敬愛病院 看護部 西塚 知恵美様


看護理念:地域の人々に、安心と信頼の看護(介護)を提供する

3つの基本方針…1. 働き甲斐のある職場づくりを通して、医療の質の改善に努めます 2. 地域での役割を自覚し、選ばれる病院を目指します 3. 全職員が協力して安定した病院連営・経営が行える体制を築きます

202341に改革を看護部職員総数122名でスタートさせた。

・看護職員の定着および人材確保に向けての取り組みとしては、●看護師確保のための渉外活動 ●働きやすさ確保のための職場環境の整備による人材の定着化 の2つ。

・看護師確保のための渉外活動として、県内の高校・看護学校13施設を訪問、看護協会主催:就職フェアへの参加、マイナビ(転職サイト)への登録院内見学・インターンシップ、近隣の中学生・高校生の職場体験、参加者(職種)に合わせたパンフレット作成などを行なった。

・働きやすさ確保のための職場環境の整備による人材の定着化としては、1.タスクシフト・シェアの推進看護師業務の介護員・クラークへのシフト 2.年間休日数の増加 3.条件付きでの副業許可 4.アルバイト勤務の導入 5.「処遇改善事業補助金」「ベースアップ評価料」による賃金改善 5.つぶやきポスト開設 を行なった。

・人材確保のための制度を導入…支度金制度、職員紹介制度

・身だしなみマニュアルを変更し、髪色自由とした。また夜勤者のマスク色を変更し、残業時間増を防ぐ取り組みを取り入れた。

・業務改善としては、1.配茶業務にはとろみサーバー導入作業時間の短縮化 2.おむつリースの運用変更使用枚数カウント不要 3.療養型病棟バイタルサインの回数変更 4.電子カルテ記録項目の見直し記録の短縮 を図った。

・スキルアップとしては、院内研修を充実させた。これは教育委員会による計画的な研修を企画し、外部講師による研修で意欲的に研修に参加する職員の姿

も見られた。

・また交流会として、忘年会・新年会・歓送迎会をコロナ禍を経て復活させた。

・またインスタグラムで発信を行なっている。

・これらによって看護職員数は徐々に増加傾向にある。

・まとめ…職員の定着と離職防止のためには、現場の声が職場環境を変える第一歩として、働き続けられる環境づくりに取り組むことが大事。

 


【グループワーク】

『地域包括ケアシステム推進に向けた人材確保について』 

~タスク・シフト/シェアについて考えてみよう~

・自分達の職場での人材不足に対する工夫・対策について

・学習会・活動報告についての感想等

 

【各グループからの発表とコメント】

●1グループ

・感想の中でまとめると、やっぱりどこも同じように悩んでいるテーマだったので、すごく興味深く、いろんな話が今回出たなと思う。

・キーワードとしては、人員不足、定着、人材確保、タスクシェア

・自分の魅力、病院の魅力を伝えることがすごく大事

・工夫、対策として、病院全体でアイデアを出し合うことが大事。新しく部署を作ってアイデアを出す、実習生さんに、どんな病院だったら働きやすいか、どんな給料なら働けるかなど、若者の意見をどんどん取り入れたらよいのでは。

・自分の病院を紹介できるような病院になることが大事、またスタッフ11人が大切な存在であるということを大切にしていかないといけない。

 


●2グループ

・看護師の不足もあるが、ケアマネジャーの人材不足も深刻

・その中で、在宅ワークを認めるなど働きやすい環境を整える、コロナ禍を経て、タブレットなどを使用して在宅でも業務を完成できるような環境を整えて定着支援につなげているという意見が出ていた。

・ 診療所の中にレストランを作ったら看護師が増えたという面白い意見も。

・ 今の若い方たちは、給料が高い低いということよりも、休みが多い、ワークライフバランス、自分の生活自分の時間を大事にするといった基準でのインセンティブがある。そこを踏まえると定着支援に繋がるのでは。

・普段の病棟業務だけでなく、地域のことが見えると、それが自分のやりがいに繋がっていくという、給与面以外でのインセンティブもある。

・新たな人材の確保でいうと、担当ご家族をリクルートして自分の事業所のスタッフになってくれたという事例も。隠れた人材にも目を向けていくことも重要なのでは。

 

●3グループ

・タスク・シフトシェアというのは、職場だけではなくて、地域においてはヘルパー、看護師、薬剤師、管理栄養士と、職種、地域の
中での事業所、他職種で助け合っているということが当てはまる。

・人材確保については、派遣会社の方からは、たくさん電話がかかってくるけれども、1人雇用することに対しての手数料がかかることで、なかなか雇用には至っていない状況がある。また民間転職サイトを使うにしても、安全性が担保されていないので、なかなか不安があるという意見があった。

・最近の若い方は、転職サイトでたくさんの施設を横並びで簡単に比較できるので、給与面や休日待遇などを比較しできる限り対応のよいところを選ばれてるんじゃないか、その中でも、ハローワークであったりナースセンターなど、安全で公的なところがやってる無料職業紹介を使っていただければいいなと思う。

 

●会場1グループ

・業務が多忙である中で、感謝の気持ちや挨拶などコミュニケーションを図りながら、 お互い思いやりの気持ちを持ち、気持ちよく仕事ができるように善処することで、コミュニケーションが増え、相談しやすい環境を作り、不満があったりでも話がすぐ聞けるようにしていけたら。

・業務改善を図り、自分たちが働きやすい職場環境を整えることで、自分たちも充実した仕事を続けられ、他人にも仕事をおすすめできるし、研修や自己研算を積みながらお互いに協力しあう良い職場環境作りを続けたい。

・子育て中のママさんワーカーでも、子供が熱が出て仕事を急に休みたい時に、周りが気持ちよく休んでいただけるようするなどの、雰囲気の良い職場環境も作りたい。

・学習会活動報告についての感想としては、SNSで発信することでイメージ的に開かれた病院作り、魅力的な職場
、環境が見えるということで、すごくいいことなんじゃないか。

 

●会場2グループ

・改革当時、病棟では本来なら8人で日勤帯を回っているところが4人になってしまって、半減してしまった時が1番きつかった、そ
れがタスクシェアで随分楽になった。

・副業OKとするということは、病院の労働に対する労働対価に不満を抱かれている?また全く違う仕事をすることで、気分転換やリフレッシュが図れるということからは、大きな離職防止の1つのいい効果が現れてるんじゃないか。

・若い方、新卒の方が辞めていく傾向については、市役所や病院でも同じような傾向があるなと共感していたが、その原因が、思っていたイメージと現場のギャップがあることにつき、そこをフォローしてくれる先輩ナース、プリセプター機能が十分役割として果たせてなかったんじゃないか。ただプリセプター自体もすごく悩んでいて疲弊してしまっている現状がある。

・そうしたことの人材育成体制をどのようにしていったらいいかというのを看護協会が委託を受けて多分やっていただいてると思うが、これからそういったフォローの体制が十分
しっかりできていくんじゃないか。

 

●会場3グループ

・ケアは色々な取り組みをしているので、色々変わりつつあると思う。休日が年間100日だったのが122日になったり、 ポストで投稿者が名前を書かずに記載していうところが改善しているのではないか。

・とはいえ看護師不足は深刻で、辞める前の本人の気持ちを掴むことも重要じゃないか。

・就業形態として、ゆったりコース、働く自分のペースに合わせてですね、標準コース、 がっちりコースと自分のスタイルで働ける、給料も別々で、6ヶ月に1回コースを選択することができるという取り組みをされているところもある。

・敬愛病院は福利厚生が充実していて素晴らしい、あとはアピールすることが大事。

 

●指定発言①:しみんふくし滋賀近江八幡居宅介護支援事業所 管理者 藤野純子様

本日は県内の看護師さんの動向であったり経営、病院さんの取り組み、また今発表がありました皆さんの意見交換の中から、様々な職種の方でも現状や取り組みを聞かせていただき、大変勉強になりました。

人材不足の状況においては、ケアマネジャーも今切実な状況となっております。この10月に介護支援専門員の実務研修受講試験が行われたが、全国で見て昨年度より受験者数としては減少の現状になっております。またケアマネジャーの仕事イコール事務量が多い、更新研修が大変、介護保険以外の支援の調整、時に世帯全体への支援をせざるを得ない、あと特定事業所は夜間や土日祝日でも、電話や急遽訪問などの必要に迫られる場面があります。利用者さんや家族さんからのハラスメント被害も、ここ最近の大きな問題になっているかと思います。

そのような中で、 負けへんぞという感じで続けていても、処遇面での改善が、介護職員さんにはついているが、正直ケアマネジャーは追いついていないというのもあります。そんな中、実際にケアマネジャー不足、事業所閉鎖等が出てきています。またホームヘルプに関しても人材不足は大きな課題になってきていますが、在宅生活、特に看取りなどの場合には本当に訪問系の支援というのはなくてはならない存在だと思っております。

このようにケアマネジャーの業務というのは、確かに多岐にわたり、大変な部分があるのは事実なんですけれども、見方を変えれば、特殊で専門性の高い仕事だと思いますし、とてもやりがいがある仕事だと思います。利用者さんや家族さんと一緒に考えながら支援を組み立てる、生活が良くなったり元気になる姿を間近で見ていける、苦しい時に一緒に悩み、考えられる、長い人だと10年以上のお付き合いとなる方もいる、また様々な分野の専門職さんと関わることで、幅広い視点や知識を身につけることができます。

すぐに人材確保が解消されるということは難しいと思うんですけれども、先ほど皆さんが意見されていたように、今いてくださる職員さんの話をしっかり聞く、新しい数も入れていく、特化した部署を設置する、在宅ワークを取り入れワークライフバランスを図る、などなどで、引き続き地域で頑張っていけたらと思います。ありがとうございます。


 

●指定発言②:東近江市役所 寿福祉課 課 今村知美様

日頃は、本市の医療福祉行政におきまして、ご理解、ご協力いただきましてありがとうございます。 本日は、医療、介護の現場の状況や意見などを直接お聞きすることができまして、貴重な機会となりました。ありがとうございました。

現在全国的に介護人材不足が深刻化しており、本市においても同じ状況であると認識しております。第9期介護保険事業計画策定に向けた市内介護事業所を対象に実施したアンケート調査では、回答事業所の約60パーセントが人材が不足していると回答しております。また、事業所の運営上の課題として、人材の確保が難しいが最も多く、次いで代替職員の確保が難しい、人材育成が難しいとの現状があるため、新たな人材確保と育成に加え、現役介護職員の定着化に取り組む必要があると考えております。第9期計画では、施策の方向として、1.事業所と連携し、介護職員等の人材確保、定着に向けた取り組みを支援する、2.事業所やハローワークとの連携により、全世代へ 介護職場の魅力を発信する、3.国、県と連携し、公的な補助による入門的研修やキャリアアップへの養成講座などの受講を促し、事業者と共同した人材確保及び定着支援に取り組むことを掲げており、まさまな取り組みを行っております。

具体的な取り組みとしては、介護福祉人材確保連携会議を年4回程度開催しています。 8月には、介護職人材確保、定着力向上研修会を開催いたしました。市内の介護事業所に勤務する介護職の方を対象に、働きやすい職場作り、カスタマーハラスメントについての内容を外部の講師の方から 講義を受けました。あと、介護事業所や介護職について多くの人に知ってもらおうということで、113日に開催されました二五八祭りでブースを設け、高齢者仕様の補装具をつけての高齢者体験、車椅子使用など福祉体験の実施、パンフレット配布などで事業者の紹介等啓発を行いました。先日1112日には、介護事業所を直接見て知ってもらうため、市内の2つの施設の方、施設にご協力いただきまして、介護の職場見学会を実施しました。現在就職活動を行っている方、介護、福祉の仕事に興味のある方14名の方にご参加いただきました。第2施設の様子を見ることができ、参加してよかった、他の施設についても知りたいなどの感想をいただいています。介護施設への理解が深まり、福祉介護職の施設資格を持っていない方でも働くきっかけ作りになればと期待しております。あと、助成事業としましては、介護職員の初任者研修の受講費用の一部を助成する事業を実施しております。

今後も高齢者は増加する見込みです。介護を必要とする高齢者が介護サービスを満足に受けることができるよう、介護人材不足を早急に解消する必要があります。引き続き、介護事業所、県の福祉人材センター、ハローワークなど関係機関との連携を進め、介護人材の定着、離職防止と将来の介護人材確保につながる介護職のイメージアップに向けた取り組みについて、検討、実施していきたいと考えております。以上です。

 

【連絡事項】

204回三方よし研究会

令和6年1221(土)16:0018:00

当番・会場: 東近江医師会・近江八幡医師会 共催

厚生労働省より稲川さんを及びしてご講演をいただきます。