第128回 NPO三方よし研究会
第30回 糖尿病三方よし研究会 共同開催(ご報告)
日時:平成30年7月21日(土)16:00~18:00
会場:東近江市 八日市ロイヤルホテル
当番:糖尿病三方よし研究会、東近江薬剤師会、八幡蒲生薬剤師会
ゴール:
・高齢者の糖尿病治療や療養、また治療薬について学ぶ。
高齢者糖尿病患者への療養支援を体得し、日常生活に活かすことができるようになる。
・療養病棟に入院中の高齢重症糖尿病患者の在宅復帰について考える。
患者の思いに寄り添い、多職種がそれぞれの専門性を活かして検討し、在宅復帰を実現させる。
・今回は糖尿病三方よし研究会が当番世話人として開催しており、参加いただきますと糖尿病療養指導士滋賀(CDE滋賀)の研修単位(0.5単位)が認められます。
〇情報提供
①
風船バレー 10月27日(土)開催:近江温泉病院より
②
医療福祉在宅看取りの地域創造会議総会 8月26日 14:00ピアザ淡海:猿渡さんが講演されます。
③
カルナハウスに羊がやってきました。カルナハウス:前田さんより
④
進行性難病のコミュニケーション支援~なぜ必要か?どういう人に必要か?在宅支援のポイントは?~ 8月8日(水)14:00~16:00
〇学習会
①
糖尿病三方よし研究会の活動報告 糖尿病三方よし研究会 代表 桝田昌之助様より
②
最近の糖尿病治療薬~ご存知ですか?現場の薬剤師が解説~ ひまわり薬局 岡林陽介様より
主な経口血糖降下薬一覧を基に説明して頂いた。
ビグアナイド薬
チアゾリジン薬
スルホニル尿素
速攻性インスリン分泌促進薬
DPP-4阻害薬
α-グルコシダーゼ阻害薬
SGLT2阻害薬
低血糖の「はひふへほ」
は:腹が減る
ひ:冷や汗
ふ:震え・ふらつき
へ:変な行動(異常行動)
ほ:ほっておくと倒れる(昏睡)
血糖降下薬は、低血糖だけではなく注意する点は薬剤により様々
薬剤に合った用法がある
薬で困ったこと、悩みごとがあればかかりつけ、もしくはお近くの薬局で相談する。
③
高齢者の糖尿病治療~そんなに厳しくしなくて良いのです~ 布引内科クリニック 山田衆様より
HbA1cの基準は、妊婦6、普通7、高齢者8としていたが、
高齢者なら全て8で良いのかとの意見があり、サルコペニア、フレイル、MCIなどの状況によって異なる判断が必要とされている。認知症については、DASC-21での評価も有効である。
厳格的な血糖コントロールよりも、安全性を重視した適切な血糖コントロールを行う必要がある。
現在は3つのカテゴリーに分けて血糖コントロール目標を定めている。
医者だけでは治療することは難しいので、本人、家族、多職種の人と一緒に検討していきたい。
〇グループワーク事例紹介
お家に帰りたい療養病棟に入院中の高齢重症糖尿病患者さん むべの里居宅介護支援専門員 引間敬子様より
脳尿病、透析治療、糖尿病網膜症。
成年後見制度を利用中で保佐人より、退院したいとの本人の希望ありとの連絡あり。
医師からの退院許可はでていない。
〇グループワーク
テーマ1:重症患者さんの在宅復帰の賛否について
テーマ2:どのようにすればこの患者さんの思い(お家で暮らす)を叶えられますか?
〇発表
Iグループ:そもそも本当に自宅に帰りたいのか?生活の視点と医療の視点に分けて考えた。全般をカバーできるかを検討すると自宅は難しいので、サ付なども検討が必要。また独居なので良い伴侶を見つけられると良い。
Hグループ:本人の帰りたいとの思いを大切にしたい。保佐人は医療的なことを知らないことがあるので、丁寧に説明した上での連携が必要。又在宅復帰までは無理かもしれないので外泊なども検討したい。できるだけ、本人の支援を行いたい。
Gグループ:患者さんの在宅復帰の賛否について考えた。まず本人のADLの確認が必要。又インスリンについては、ヘルパーさんや訪問看護師さんの支援も仰ぎたい。多職種・近所との連携が在宅復帰には欠かせない。
Fグループ:本人が自宅に戻って何をしたいのか?をお聞きした上で、実際に帰るのが良いのか?再検討を行いたい。自宅に戻られた際には、看多機などを利用するとサポートできる可能性がある。
Eグループ:入院中にどれだけ通院でカバーできるかの確認、練習が必要。またインスリンの投与を3回から2回などの変更が必要だと思われる。病院と自宅では生活が変わるので、障害があっても生活できる環境作りが大切。又本人の理解度を高めていく必要がある。有事の際に戻れる場所を退院前に構築するのが望ましい。
Dグループ:どのようにすれば帰れるのか?の相談を行った。視力低下が見られる中でどのように生活していくのか?インスリンの注射はどこでするのか? 訪問系のサービスが必要となるので、多職種、住民さんの見守りサポートなどの地域資源を把握・利用していきたい。
Cループ:今の状況では帰宅は難しく、一時帰宅などで情報を収集していきたい。又金銭面でどの程度支障がでるのかの把握も必要。どのようなサービスが利用できるのか、地域によって地域資源が異なるので把握が必要。自宅にすぐに戻るのではなく、中間施設経由で自宅に戻ることも検討したい。
Bグループ:本人の帰宅したいとの思いを大切にしたい。病院の医師は反対しているので、だれが在宅復帰を決定するのか?とりあえず、やってみて再入院となる可能性があっても、まずはやってみることが必要だと思う。視力低下があるので、自宅でどのように生活ができるのかの確認も必要。透析、食事など、どのような手配が可能かを検討する。
Aグループ:入院される前は貯えがあり、自費のサービス利用されていた。インスリンの自己接種が必要であれば、訪問看護の利用が考えられるが、現在の要介護2の介護度では、ササービスの利用は難しく、在宅復帰は難しいのでは思う。
コメント① むべの里 居宅介護支援事業所 引間敬子様より
当事例における在宅復帰後の状況を報告します。
退院後は週3回の月・水・金の透析を実施している。インスリンは一人では難しいので、訪問介護さんに一部支援をお願いしている。又服薬カレンダーの管理を薬局に依頼。緊急時は24時間対応可能な訪問介護と内科の医師に対応して頂くことにしています。
介護支援専門員としてはリスクが高いケースであったが、外出訓練を4回行い、退院後の生活をイメージすることができ、本人の強み・弱みを考慮し多職種で検討できたことが在宅復帰に繋げることができたと思います。
訪問介護:本人が入院される際に自費での入院準備などに入らせて頂いていました。自宅に戻られてからも支援に入っていましたが、自宅での転倒がきっかけで療養病院への入院となった方でした。退院を希望された際には、保佐人、薬局など多職種との連携を行い在宅復帰することができています。自宅に戻ってからは、在宅での生活には高いリスクが生じているが、なんとか訪問介護の事業所でできることを検討して介護保険内外でのサービスで、医療とも連携して支援していきたいと思います。
コメント② 弓削メディカルクリニック 大竹要生様より
本日は素晴らしい議論を聞かせて頂くことができ、ありがとうございました。
本人の望む生活に近づける形で、リスクも鑑みた上で議論されていたのが印象的でした。介護支援専門員の立場は苦悩されることがあります。報告ではありませんでしたが、患者さんの為を思って決断するのですが、思うように進まなかった時、介護支援専門員は苦悩されたと思います。だからこそ、今回事例提供されたのだと感じました。今でこそ、このような研究会があり、多職種で検討する機会があればこそ、在宅復帰が実現した事例だと思います。今回のケースでは医師が一貫して反対されていましたので、この人に身にもし何かあったらどうするんだとの思いにも馳せて欲しいと願います。
医師は在宅での資源について十分に知らない可能性もあるので、在宅での利用できる資源について、説明することも大切だと思います。総合診療の立場で、今後も一緒に検討できればと思いますので、よろしくお願いいたします。
〇自己紹介
小串先生より初めての方の紹介。
〇その他
ベタケアーの野田様より、情報誌の紹介。
花戸先生より、三方よしメーリングリストの紹介。
小原様より、三方よしポストの紹介。
〇次回のお知らせ
日時:平成30年8月9日(木)18:00~
会場:永源寺コミュニティセンターもみじホール