三方よしカレンダー

2024年7月18日木曜日

第199回 三方よし研究会開催のご報告

 199回三方よし研究会が下記の通り開催されましたので、ここにご報告いたします。

◇日時:令和6718日(木) 18:3020:30

◇会場:ZoomによるWEBで開催(東近江地域医療支援センター 多目的室)

(当番:八幡蒲生薬剤師会・東近江薬剤師会)


【ゴール】

ポリファーマシーの対策について再考する

各職種がそれぞれの立場で思う、ポリファーマシーを確認する

東近江医療圏域のポリファーマシーを解消する

 

【情報提供】

・第200NPO三方よし研究会記念大会・懇親会(2024/8/17)のご案内

来月いよいよ三方よし研究会第200回目を記念いたしまして、ホテルニューオウミにて堀田聡子さんの記念講演を中心に開催したいと思います。これまでの歩みを振り返り今後の新たな1ページを開く会にしたいと思いますので、皆さまふるってご参加いただければと思います。その後は記念パーティを予定していますので、そちらもふるってご参加いただきたいと思います。

また開催にあたり、記念誌作成の協賛広告を募集しております。こちらもどうぞお願い致します。

また令和6年度の会員会費の納入もこちらもぜひご協力をお願いいたします。

司会進行:大石和美先生



30分学習会】

ポリファーマシー ~高齢者の薬物療法について~

ゆうなみ薬局 金澤重幸先生

・在宅医療支援薬局について、また地域における夜間・休日対応薬局リストについて…滋賀県薬剤師会ホームページから検索可能。リスト等で把握を。

・高齢者の薬物有害事象増加の二大要因として多剤服用=ポリファーマシー、そして薬物動態/薬力学の加齢変化がある。

・ポリファーマシーとは、単に服用する薬剤数が多いことではなく、それに関連して薬物有害事象のリスクを増加、服薬過誤、服薬アドヒアランス低下等の問題につながる状態をいう。

・ポリファーマシーの形成例として、多病による複数医療機関・診療科の受診、また処方カスケードの発生がある。

・ポリファーマシーに関連した問題点として、薬物有害事象の存在や服薬アドヒアランス不良、服薬困難、同効薬の重複処方、処方意図が不明な薬剤の存在などがある。

・減薬・変更する際の注意点として、ポリファーマシー改善のための減薬手段は確立されていない。また機械的な薬剤の減薬はかえって症状悪化の可能性があるなどある。

・国民的理解を醸成、患者さんと家族を含む一般の方の理解を促していく必要がある。

 



 【症例報告】

ポリファーマシー ~こんな患者さん、いらっしゃいませんか?~


【グループワーク】

テーマ『ポリファーマシーについて』

視点

〇患者さん、利用者さんの薬が多くて困ったことはありますか?

〇それぞれの職種の立場から考えるポリファーマシーとは?

〇薬剤師が関われるタイミングは? その時どのように相談する?

 

【発表】

<1グループ>

 1番目のポリファーマシーの経験というのは、やはり皆さん色々なところで目にされている。色々な病院にかかっていて、いろんなところから薬をもらっている、かかりつけの薬局を持ってまとめてもらえたらいいなという経験、薬剤師が後ろにいることの大事さもあるという意見もあった。

・色々な立場の方から考えるポリファーマシーについては、やはりヤマネさんとか病院の方も、薬には困る経験というものはあるので、やはり薬局とか薬剤師に相談したい、入っていていただきたいという意見があった。特に入院や施設に入られる時などは大事だなという意見があった。

・薬剤師が関わっていくタイミングは、退院時カンファレンスやサービス担当者会議という色々皆さん集まる場で薬剤師が呼んでもらって、関われるタイミングっていうのは少しずつ出てきてるのかなと感じている。ただ、薬剤師側から出た意見としては、いろんな会議だけでなく、やはり普段からいろんな職種の方とオンタイムでどんどん情報をもっと共有しないといけないなと。いろんな患者さんの薬が、実は薬局としては薬を渡してるけど実はもう全然飲んでなかったケースがあったりの場合もあるので、そういうことをいろんな箇所として共有していくことが重要かなというような意見が出た。
・ポリファーマシー解消のためにはどうしていったらいいかという部分は、 やはりその多職種での情報共有という部分と、マイナー保険証でのチェックの機能などが、まだまだ浸透はしてないですけど、出てくるのかなという期待もありながら、処方が重複していたらチェックが働き出せないであったりとかの機能がついているツールであったり、薬剤師、医師、ケアマネさんとかヘルパーさんが情報を共有できるようなシステムがあったらよい。

・統合すると、ポリファーマシーをなくすには、医師、薬剤師が指導力を発揮してやる以外に道はないというようなお話をいただいて話がまとまった。

<2グループ>

・ケアマネとしては、とりあえず受診同行に行って、先生との関係をできるだけ近づけるように努力する

・お薬が多いので減らそう、またこの薬ずっと飲んでるけど、このまま飲んでていいの?と質問してくれる先生もいる。

・薬剤師先生の敷居が高いと思っていたが、少し敷居が低くなった気がした。

・この薬よりそっちの方がいいんじゃないか?と思うこともこれまでにあったので、そういうことも言えるような関係性が作れていけたらいいなと思う。

・薬剤師先生をサービス担当者会議に呼ばないといけない。入っていただくことで薬の飲み方や必要性を話していただける。

・情報共有をすることが大事だということがどの方からも出ていた。チームでできることがたくさんあるし、例えばお薬については、訪問看護だけが関わっているから訪問看護さんだけに任せておいたらいいというのではなく、ヘルパーなどの意見を聞きながらチームを作っていくことが大事。

・お薬カレンダーについても、もっとこういう風にしたら薬が飲めるんじゃないかというところも薬剤師さんに相談したらいいのではないかという意見もあった。

・薬を減らすことが目的ではなくて、相談してその人に会う、そしてお薬が飲めるようにしていくということが大事ではないか。

・支援者をたくさん作るのを目標にしようという意見もあった。

<3グループ>

・まず皆さんからそれぞれポリファーマシーに関わるところでの色々なお話を伺い、やはりどう相談していいかわからない、その中で課題にどう気づいていくかというお話があった。

・入院時においては相談をしてこられたとしても、内科系の先生は調整されるが外科系の先生が少なかったりすることがあるというような、実情の話も伺えた。

・薬をたくさん出していただける先生がいい先生だという、地域の捉え方、風潮もあるのではないか。

・多職種が、先ほどどう相談していいかわからないっていうところもあったが、やはりアンテナを張りながらいろんなことを伝えしていくことが大事ではないか。

・薬局は処方箋を持っていくところではなく、やはり地域の薬屋さんとして動きたいという意見も伺えた。

・薬剤師の役割が変わっていく過渡期の中で、大石先生が異常者ではなくスタンダードになることがこの薬剤師会1つの役割という話が印象的だった。

<4グループ>

・このグループは色々な方面から ポリファーマシーについて考えることができたのではないかなと思っている。

・まず、そもそもポリファーマシーになった原因としては、薬の副作用を打ち消すためのものもあれば、なんとなくで続けていたり、あるいは医師と患者さんとの関係性を続ける上で出ていることもあるということだった。

・医師同士でも、やはり退院で処方されているものを減らすというのは躊躇があるという意見もあった。

・入院した時に減らすという時でも、ポリファーマシーカンファレンスを行っている病院でも、急性期で入院期間が2週間などだと、減らした後の経過がわからないためになかなか難しい、この薬は明らかに無駄であるという薬はそないので、それでなかなか減らすことは難しいという意見もあった。

・そこで、入院時には、そレまでの薬局や在宅の方から、患者がどういった現状なのか、薬をどのように使用されてきたのかということを情報共有してもらい、退院前カンファレンスでは、医師、薬局、在宅が全員で今後の経過やどのように変更になったかを話し合う、いろんな職種で継続してコミュニケーションを取り続けることが大事ではないかという意見が出た。

・実際に経験されたこととして、お薬手帳を病院ごとに持っている、お薬を出してくれる先生のところに行きたい、この足のことはこの病院、ここのことはこの病院に診てほしいという感じで、患者がいろんなところに行きたいと話すことがあったり、患者同士の中で、仲良くなった人に聞いて、これ効いた薬やでと人にあげたり、自己調節したり、それで結果的にポリファーマシーに繋がっていくというケースがあると教えていただいた。

・特に市販薬とかサプリメントなども含めると、やはり患者だけで、その場だけで判断することは難しいので、薬剤師が情報提供をしたり、あるいはかかりつけ薬局みたいな感じでどこかで一本化することで、こういったことを防げるのではないかという風に考えた。

・またポリファーマシーの考え方を患者さんにも共有してもらうことが大事ではないかという意見も出た。

・最近のマイナンバーとかで、電子処方箋みたいな感じで電子化が進めば、より薬が被ったりどういった理由で出ているのかみたいなことがわかるので、ケアする側としても減らしやすいのではないかという意見も出た。

【指定発言】

居宅介護支援事業所サンフラワー建部 出口千鶴子 様

今日はありがとうございました。貴重なお話聞かせていただいてありがとうございました。やはりお薬、ポリファーマシーを解消していくのには多職種の連携が大切ということをすごく実感しているところです。 私はチーム永源寺で育てていただいたケアマネジャーなんですけれども、その時には当たり前のように先生や薬局と連携ができてたんですけれども、今、別の地域で働かせていただいていて、それができてない自分がいます。なので、やはりその時のことを思い出して、もう一度、やはり連携を大切にしていくことと、皆さんがおっしゃられてる多職種での情報共有とか、チームで考えるとか、連携するという部分にケアマネジャーもしっかり関わっていかないといけないと感じました。なので、今自分ができることといえば、利用者が介護保険サービスを使われた時には医療関係者の方としっかりと連携してご挨拶に行き、これからよろしくお願いしますと顔繋ぎをしていくことも大事だと思っています。これからお力になれることがあればしていきたいなと思っていますので、よろしくお願いいたします。


認定ケアステーション「まちの相談室」 多田陽子 様

今日は様々なご意見を聞きまして、すごく勉強になりました。ありがとうございました。 私は認定栄養ケアステーション、近江八幡の栄養相談室として、または市の栄養士としても携わっておりますし、その他、薬局さんでの栄養相談であったり、診療所で外来栄養相談をしたり、居宅管理指導とかで、様々な場面で患者さん利用者さんに関わっているんですけども、その都度、まずお薬はきちんと飲めてますか、など声かけはするようにしております。で、もしも残薬があった場合なんかには、薬局さんや先生に相談するようにということはお伝えしています。なかなかやはり飲めていないという人もいらっしゃったり、まとめて飲んじゃうという人もいたりするので、都度都度やはり薬剤師さんのお話、説明というのは大事なところかと思います。例えば、お話する中で便秘が気になるということを言われた場合には、食生活の工夫と共に、薬局さんと相談する場合などもあったりもします。あとは、今携わってる中で気になっているのが、食事内容の改善とか、その検査結果によって、こうこう変えられるかということを検討されてるのかということが、気になったりもします。今糖尿病で、1年ぐらいずっと食事相談に関わってる人がいるんですけども、食生活が変わってきて、ようやく半年後ぐらいから、じわじわ、ヘモグロビンも良くなってきたという方もいらっしゃるんです。けれども同時期に、お薬も追加されているので、そういう意味では、食事も先生の処方もどうしても大事なんだなということを今痛感してるところです。ポリファーマシーに対して、今日の勉強の中で、やっぱり多職種でいろんな人の意見交換をするというところが大事で、情報を共有する、それを聞いて、またさらにその中で食事として関わってくるところも出てくるかなと思いますので、多職種で、チームでやっていくというところがすごく大事だなと改めて思いました。ありがとうございます。


 

【連絡事項】

・第200回 三方よし研究会 令和6年8月17日(土)16:00~18:00

○会場  ホテルニューオウミ


今回もここまで読んでいただき、ありがとうございました。

次回は第200回記念研究会になります。皆様とおであいできるのを楽しみにしております。


2024年6月21日金曜日

第198回三方よし研究会のご報告。

 第198回三方よし研究会開催しましたので、ご報告いたします。

◇日時;2024年6月20日(木) 18:30~20:30
◇会場;きいと/WEB開催(ZOOM開催)
◇当番:東近江介護サービス事業者協議会在宅部門・施設部門(社会福祉法人六心会)


★ゴール
○しがDWATの仕組みについて学ぶ。
○能登半島地震の被災地・被災者の支援活動から今後の支援と備えを考える。
○顔の見える関係・ネットワークを作り、連携を深める。

【情報提供】 
東近江圏域介護職員初任者研修の受講生の募集について:楠神
現在、応募者が5名と少ないので、ぜひ皆様からもお声をおかていただきますようにお願いいたします。


【学習会】<能登半島地震の被災地支援①>
①しがDWATとは(概要)【10分】
社会福祉法人六心会理事長・(公社)滋賀県社会福祉士会災害支援対策委員会 堤 洋三さん
 ・能登半島地震で始動した「しがDWAT(災害派遣福祉チーム)」の概要について



〇DWATとは?
・滋賀DWATは「Disaster Welfare Assistance Team」の略で災害時における、長期避難者の生活機能の低下や要介護度の重度化など二次被害防止のため、一般避難所等で災害時要配慮者(高齢者や障がい者、子ども等)に対する福祉的支援を行うことを目的として、福祉的支援職等で構成するチームであり、2020年に発足している。

〇滋賀県災害派遣福祉チーム(しがDWAT)の設置。運営の目的は?
・大規模災害発生直後から生じる福祉的課題にいち早く介入することにより、状態の重度化・災害関連死など二次的徽害の発生を防ぎ、避難生活終了後、被災者が安定的な日常生活に円滑に移行できるよう必要な支援を行うため、福祉専門職等で編成される滋賀県災害派遣福祉チームを設置・運営した。
・滋賀県のDWATは9団体で活動している。
・登録には研修を受講していただく必要があり、2023年8月現在、218名の方が登録済。
〇災害が起こった時どんな活動をするのか
福祉避難所等への誘導、災害時要配慮者へのアセスメントの実施日常生活上の支援、相談支援、避難所内の環境整備など関係機関,他職種チーム,被災地社会福祉協議会当と連携活動をします。
★1チーム当たり5~6名程度.て、しがDWATチームを構成し、各チームにチームを統括するリーダーを置きます。
チームの活動期間は、災害発生後、概ね4日~1力月程度を活動期間とし、チーム1回当たりの派遣期間は、移動日を含めて5日程度を基本とする。ただし、必要に応じて期間を調整することができるものとしている。
(1)福祉避難所等への誘導
(2)アセスメントの実施
(3)日常生活上の支援
(4)相談支援
(5)避難所内の環境整備
(6)関係機関・他職種チーム。被災地社会福祉施設等との連携
(7)その他、ネットワーク本部またはリーダーが必要と認める活動

〇経過
・1/5に石川県理事より各府県知事へ派遣依頼があり、滋賀県も活動を開始した。
・詳細は次の方の報告でさせていただきます。

②能登半島地震における「しがDWAT」の活動の実際【20分】
ケアプランセンターカルナハウス 前田 岳史さん


・しがDWTA総論
 令和6年4月時点で47都道府県全てにDWATチームが設置されています
・『災害時の福祉支援体制の整備に向けたガイ霧ライン』の概要
 近年の災害においては、高齢者や障害者、子ども等の地域の災害時要配慮者が、避難所等において、長期間の避難生活を余儀なくされ、必要な支援が行われない結果、生活機能の低下や要介護度の重度化などの二次被害が生じている場合もあり、これら災害時要配慮者の避難生活中における福祉ニーズへの対応が喫緊の課題となっている。
 このような状況を踏まえ、災害時において、災害時要配慮者の福祉ニーズに的確に対応し、避難生活中における生活機能の低下等の防止を図るため、各都道府県において、避難所で災塞時要配慮者に対する福祉支援を行う『災害派還福祉チーム」を組成するとともに、避難所へこれを派遣すること等により、必要な支援体制を確保することを目的として、官民協働による「災害福祉支援ネットワーク」の構築に向けた取組を推進するだめのガイドラインを策定する。

・DWAT活動内容
 チーム員の領域

  ①福祉避難所への誘導
  ②災害時要配盧者へのアセスメント(健康調査、ラウンド)
  ③日常生活上の支援
  ④相談支援・福祉(要配慮者)相談窓口、なんでも相談
  ⑤一般避難所内の環境整備

 リーダーの領域
  ⑥本部、都道府県との連絡調整、状況等の報告
  ⑦後続のチームヘの引継ぎ
  ⑧被災市区町村や避難所管理者との連携
  ⑨他職種との連携
  ⑩被災地域の社会福祉施設との連携

〇今回の令和S年1月1日能登半島地震にかかる派遣について

経緯
・1/5石川県知事より各府県知事へ派遣依頼
・1/8しがDWAT関係者、県庁、県社協でミーティング
・1/8全社協より滋賀県へDWAT派遣依頼
・1/9滋賀県知事よりしがDWAT協定団体へ登録メンバーの派還依頼
・1/10協定団体との会議 以鋒、派遣者を確定していく
・1/12第1クール開始
・1/23 2月末(第'2クールまで)の派遣者の確定
・2/1 第6クール開始 ※活動拠点が滋賀県庁内DWAT本部事務所に変更
・2/9  第8クール開始 活動拠点が富来舌性化センターに変更センター
・2/20 3月末まで(第20クールまで)の派遣者の確定
・3/1第13クール開始 活動極点が志賀町地域交流センターに変更

私は8~9クールでDWATとして出務してきた。
携帯、ZOOM,キントーン等を活用して、連絡をとりあった。

・しがDWATでの連絡体制:本部~現場~多職種連携
・日報
 業務終了後、各クールリーダーより県庁担当課、県社協担当課へ日報をメールで送付。その日の状況を伝える。県社協事務局はその日報を全DWAT員及び協定団体へ共有する。
・LINE共有
 しがDWATクールメンバー専用共有LINE。現在81名在籍。その日の日報含め状況を逐一報告・共有してきた。応援もありモチベーションアップへつながる。
 多職種専門機関同士ではオープンチャットも活用。コンタクトリストや活動予定を共有し、特に巡回把握に重宝した。

〇私自身の動機・きっかけ
 阪神大震災(大学3年:京都の自宅で試験勉強していた5:46、揺れと共にテレビや本棚が飛んだ。京都は震度5)、東日本大震災(たまたま休みで寄った店のテレビ中継で知る。支援に行きたくとも、どのように動いたらよいのかが分からなかった)を経て、次何かあった場合は貢献できないかと思っていた矢先、ケアマネ協会が滋賀県DWAT本部と協定を締結。養成研修の募集があったため応募し研修受講。そして1年経った段階での今回の能登災害。育った地域(野々市~旧松任市、現在の白山市)に近かったこともあり、ぜひ行けないかとDWAT応援要請に応募して参加へ。

〇派遣・クールが決まって
 前泊含む4泊4日。ケアマネとして月の4日間を空けるのは至難…請求の時期や訪問の時期を避け、2/9~12で応募、決定。
さて、いざ決まって次は何を準備したらいい?(全然予想がつかない)DWAT事務局さんから送られてくるメールや共用LINEを何度も見るが今一イメージがつかない。
ひとまず給付管理を終え、電車に乗り込む。
金沢駅につき、今回のクールメンバーと合流、その後前クールから申し送りを受ける。ビブスがまぶしい。緊張が身体を走る。

・しがDWAT第8クール(2024.2.9~2.12)

  クールメンバー
   ・介護支援専門員(居宅介護支援事業所勤務)
   ・相談支援専門員(相談支援事業所勤務)
   ・訪問介護員(訪問介護事業所勤務)
石川県庁でのブリーフィング
  ※富来活性化センターでは、集約化により避難者増!
  「しがDWAT『愛知DCATのサポートのため、志賀町の富来活性化センターへ向かってほしい」
    ↓
  「「しがDWATさん、出発です!」「お気をつけて!」『いってらっしや~い」

富来活性化センターがある志賀町とは。。
 人口18,267人
世帯数7,864世帯
志賀町の高齢化率44.8%
富来活性化センター(旧冨来町役場)は、能登半島の志賀町の北部。施設内には町民のためのホールや会議室があります。避難所の居室などは、この会議室やホールを利用しています。行政手続きができる富来支所も併設しています。

・避難所ではこんなことをやってます!
 福祉相談窓口しがDWAT
(常駐)愛知DCAT
 避難所の運営愛知県
 環境支援地元病院から派遣の介護士チーム
 巡回支援熊本JMAT(医師らの派遣チーム)
 静岡DWAT(地域リーダー)
 佐賀保健師(コロナ対策)
テントシャワー、福祉の相談窓口、ヘアカット、愛知県の生活支援、ラジオ体操

周辺地域と避難所は断水水を求めて地域の人たち避難所の給水車に水を汲に来る日々。土日は地元漁協などの炊出しやキツチンカーが来ていた。

・室内の状況
段ボールバット1人1台。
室内では飲み物を飲むことはOK。
食事は廊下やラウンジでとる。
土足厳禁。
着替えは男女別のテントを使う。
仮設トイレを利用。
 (2/12日時点で入居者163名車中泊の方もいる) 
※日中は自宅の片づけなどで不在者が多い。高齢者が残っている。

1日の流れ(一次避難所:富来活性化センター)
7時45分金沢市を出発 → 9時30分志賀町・富来活性化センター着活動開始 →15時志賀町。富来活性化センター →16時~16時30分志賀町役場で、多職種ミーティング → 18時 金沢市着活動終了

・避難者の声(ラウンドでの聞き取りなどから)

  便秘になった(便秘になった。運動できない。眠れない。1月に車いす専用の入浴車が来た。夫の介助が大変。・自衛隊のお風呂で転倒して骨折した。同じ地域の人と部屋が一緒。みんな知っている。
・猫を飼っている。猫が心配なので家族が交代で車中泊している。
余震が怖い(・長男家族は自宅の片づけ。断水しているが地下水を沸かして自宅のお風呂に
入っている。余震が怖い。ここにいればみんないる。薬がなくなった。かかりつけ医が被災した。どこの病院へ行けばよいのか。しばらくは何もする気が起きなかった。ようやく手続きに来れるようになった。)

・2月11日(日)には余震も。センター内が一瞬凍りついた時間。

・こんなことで戸惑いました
 ①情報共有
・入退居者情報は、運営の愛知県しかわからない。
・福祉チームヘデータでの受け取りができない。
・個人情報の取り扱いの見解。
・入退去者の確認作業に時間がかかった。

②アセスメント
・要配慮者は約30名。問診票のみでアセスメント表が作成されていなかった。2月12日から台帳作成開始。
・各DWATでアセスメントの様式が統一していない。

③役割の混乱
・コロナリ患者が増加。常駐の医療従事者がいない。
・入院も避難所の退所もできない。喚起や環境の見直しが必要だが誰がやるか決まっていない。
・服薬管理などを福祉チームに求められた。

④活動時間の短さ・移動に時間がかかる
・日中は不在者が多い。夕方から夜間の状況が把握できない。
※第9クール以降、これらの課題は少しずつ解消されていった模様(しがDWA『の日報より)

4日間、何もできないまま過ぎてしまったが、役割を明確化して、振り返りを行った。
・リーダーとしての工夫

【情報共有への働きかけ】
 愛知DCA「のクールメンバー総入れ替えの時期を見計らって、新たなクールメンバーとのミーティングの際に、建物内の避難者名簿、建物内配置図等を共有すること、および共同で更新していくことを提案(そのかわり原本データは愛知管理とし、しがDWATはあくまで把握管理のフォローとして協力するというスタンス)

【役割の明確化】
 愛知DCATも3名、しがDWATも3名。であれば例えばリーダー、事務班、実行班と役割を分け、それぞれ2人1組で行動していくスタイルを提案
(この方針はその後ずっと踏襄していってもらえた様子。そのため13クールでも採用)

・支援を終えて
 支援終了前の2/12(月)15時前。前日から判明したコロナ陽性者への対応でバタバタしていた矢先、次クールから『電車の通過駅沿線での出火事故により、現地に向かえない」との連絡。結局京都一敦賀一金沢ルートを避け、東京駅ルートで向かっていただくことになり、待ち合わせ場所で合流できたのは21時過ぎ。そのため8クールメンバーとは金沢駅で別れ、リーダーだけ後泊することに。夜遅くの引継ぎ、そして次の日第9クールメンバーの出発を見送ったのち、一人帰路へ。地元駅についた時の変わり映えない光景に、何気ない平和な日常のありがたみをしみじみ感じる。

・しがDWAT12クール(2024.2.29~3.4)
ほっとしたのも束の間、まさかの3月の最初に支援員が不足しているとのことで、再度出務した。
2回目は地域リーダーとして出務していただきたいとのこと。
地域リーダーとは?~本部と現地隊員とのつなぎ役
本部とのリーダー会議により、今回のミッションは撤退支援で入ることになる。

・撤退支援のロードマップ
【今後のチーム数について】
3/8までは4チーム、3/9から3/12までは3~1チーム、3/13から1チーム、3/16で活動終了予定

2/29は1日かけて前地域リーダー静岡DWAT(&サブ北海道DWAT)から引継ぎを受ける
バトンをつなぎながら支援していくことの難しさ(静岡新聞より)
静岡県のチームに求められた最大のミッションは遷麓所の活動を段階的に地元支援者に移していくこと.『今いる避難者の支擾に道筋を付けなければ静岡DWATの1期生で、DWATの渡辺麻由さん(39)は焦りを感じていた。静岡の活動は3月1日まで.滋賀チームにリーダーを引きつぐが、撤退時期の判断や、避難所所閉鎖を見据えた出口戦略を描く必要があった。2月下旬になっても.パトンのつなぎ先"のめどはたっていなかった。
渡辺さんが向かったのは、志賀町の社会福祉協猿会.地域福祉のキーマンを探すためだ。偶然にも、生活支援コーディネーターの村山康子さん(69)がいた。認知症サポーターチームやリハビリ体撮団体の長も務め、福祉活動の中心人物でもあった。
村山さんは「自分たちの手で地域を縄とかしなければならない」と、仲間たちと非難所の巡回を既に始めていた.渡辺さんは『道が駒けた」と安堵した.村山さんを通じて町内の福祉サービスの再開状況なども把握できた。避難所で行ってきた相談支援などの活動を『地域に受け渡していくことは十分に可能」と判断した。
DWATの活動は直接的なケアにとどまらない.新たに福祉サービスの利用が必要か、民生委員による見守りを依頼するのか.避難者が自宅に戻ったり、仮設住宅に移ったりした後も支擾が途切れないネットワークづくりが重要となる.「これが3 ・ 12でも決定的な課題だった」と、岩手県社会彊祉協臆会の加藤良太さん(5 0)は強調する。「だから、じんと再生の橋渡しが必要なんです。」

・1日の流れ(地域リーダーとして)
7時金沢市を出発 → 8時30分志賀町役塙着 活動開始 → 15時半
志賀町(西山台)地域交流センター活動終了 → 16時~志賀町役場支援者ミーティング本部・地域リーダー会議 → 18時 金沢市着

〇終わりに
・今回課題として感じたこと
①展開の速さと時間の大切さ:4日間はあっという間に過ぎる
・刻々と変わっていく状況にいかに対応していくか。
・想定外のことが当然のように常に起こる。その中でミッションを進めていく必要がある。すばやい判断、的確な指示も必要。
・そのためには、3人のクールメンバー間の役割分担と密な連携がとても重要。
・ロジ班はうらやましかった。そのような機能・体制は理想だが…
②連携の媒体:ガラケー?スマホ?PC?
・グループ内のやりとりはやはりLINEが便利。他DWAT隊ともそのやりとりが一番多かった。そうなると通話含めてスマートフオンが必要か。
・Wi-Fi環境があるかも、日報等送付には便利。
③ミッション・目的・業務内容をどうメンバーに伝え、共有していくか
 ・やはりマニュアル、行動計画は大事。そして常の情報共有とミーティング。声を出しあってズレを修正していく。互いの考えの違いはあって当然、尊重しつつ解決点を見つけていくお互いの努力も必要。
・様式の統一も必要。各DWATそれぞれが別様式で記録したりしている。今後良いものは積極的に取り入れ、統一を図っていければ。

④DWA「全体の中での位置づけ、前後クールとのバトンの引継ぎ、引き渡しをどうしていくか
 ・本部の方針、現場の状況を冷静に理解し見極める。その上でどれだけ前から引き継げて、後に引き渡せるか。整理と伝達方法が必要。
・その意味で引継ぎはできれば最低1日は業務を被せる形でほしい。(13クールからはリーダーのみ1日被せる形での編成に)

〇個人としての感想
①普段行っている業務・取り組みそのものだった
・避難者の方々のアセスメント、自立支援に向けた目標の設定と取組み。各専門機関との調整連絡。地域で生活していくための地域の特色と地域資源の把握。普段行っている(心がけているといった方が適切か)ことそのものでした。

②こればかりは経験していくしかない
・現場といっても、第8クールと第13クールそれぞれミッションも動きも違う。それはどのクールも同じだったと思う。それぞれに学びは違う。そしてどんな状況が今後来るか分からない。常に準備し、そして縄強していくしかない。

③連携こそ命
・今回も後方支援としての県社協さんはじめ様々な方々の努力の結晶が支援につながっている。このシステムは素晴らしい。しかしどう連携していくかで事態は大きく変わっていく。一人ではなしえないことを自覚し、連携の方法をこれからも学んでいきたい。

・今後に向けて(備え等)
②ケアプランヘの反映
同様に、自分の担当者の住んでいる場所がどのような地形上にあるのか、どこに避難所があるのかを確認、個別ファイルにファイリングしておくと共に、ケアプラン第一表にも反映させて、本人ご家族・関係事業所とも共有しておく。

・これからに向けて(DWATとして)
①縦と横のつながりを継続して保つ努力
・定期的な研修や交流会などの他、地域での防災訓練へのDWATとしての参加、その共有(グループLINE等)など

・他府県のDWA丁との合同研修、交流の機会もあれば。
・そのためのDWAT員所属の事業所・施設の理解を求めていく努力も合わせて必要。

③様式の統一、各局面ごとのマニュアルの更新
・現場では様式を揃えたり準備することはまずできない。あらかじめどこまで準備できるか。今回の局面ごとのマニュアルを活かしてブラッシュアップしたい。またこれだけDWATが全国で整備された状況では、必要な様式から(アセスメント用紙、各避難所把握用紙など)統一フォーマットがほしい。

④メンバーの増員
・いつ何時、どのくらいの規模の災害がくるか分からない。いざという時に動けるメンバーを平時から養成し募っていく必要性がある。
・そのためのDWAT養成研修、フオローアツプ研修を。
・これからに向けて(法人・個人として)

①さらに経験を積んでいきたい
・備えの程度が、そのまま災害時の対応に直結する。予測は経験から精度を上げていける。
・出来上がったBCPは果たして使えるのか?そのためにもDWAT派遣等、災害対応経験は貴重な経験となる。
・同じ状況もまた-つとしてない。なるべく多くの場面につきシミュレーションできれば。

②備えなし=自分の家の管理が他にゆだねられる現実
・今回志賀町ミーティングでは地元保健師が仕切って対応されていた。地域と人をよく知っていたからこそだと思った。
・一方避難所や施設は他県が常駐官理していた(志賀町は愛知県がほとんど)。地元の職員がいない。備えていなければ、能力・ノウ八ウある他団体が自分の家を仕切ることになる。

③いつ震度8が来ても自らと家族と施設を守るために
・帰宅して一番思ったことは、家族とありふれた日常のありがたみ。これがいつ崩れてもおかしくない。ただ一人では何もなしえない。家庭で、施設で、地域で、皆で、対策を(何度も)話し合っておきたい。


【事例報告】<能登半島地震の被災地支援②>
被災高齢者福祉施設への支援活動の実際【15分】
地域密着型特別養護老人ホームきいと 高口 誠さん



・被災した社会福祉施設の現状と利用者の支援の体制や仕組みにかかる課題について
・応援派遣概要について

【派遣依頼元】
能登福祉救援ボランティアネットワーク
(調整:滋賀県老人福祉施設協議会)
【応援派遣先施設】
社会福祉法人礎会グループホームなかよし

【六心会派遣期間】
3月11日~3月16日、2名(介護福祉士2名)
5月16日~5月20B、2名(介護福祉士1名、理学療法士1名)
5月26日~5月30B、1名(介護福祉士1名)

被災施設で自律的に支援に入れることができるスタッフが必要。つまり、現地で自己完結可能なスタッフが求められていると想定。
車中泊、上下水道が見復旧な状況の中、10名にスタッフが手を挙げそのうち、条件を満たした。3名が派遣された。

・応援派遣先施設について
1/1の震災でグループホームなかよしの施設が被災。
同日中に同法人の自立支援センターみずほに避難。
自立支援センターみずほのホールを間借りして利用者18名が避難生活を行っている。

【職員数】 16名
【シフト】日勤9:00~17:30現地職員3名、応援派遣職員2名
夜勤16:30~9:00 現地職員2名、応援派遣職員1名
申し送り8:45,16:30の2回
【周辺のインフラ】
3月時点では電気は使用可。上下水道は使用不可。
トイレはポータブルトイレ、入浴は簡易シャワーで対応。

被災者グループホーム内部の壁がはがれて倒れている。
窓もゆがんで外れているか、ゆがんでいる。
発災時は利用者はホールにいたので怪我はなかったが、他の場所に入れば危険が高かった。

現地での活動
・移動見守り・介助
・排泄見守り.介助
・食事配膳・下膳・見守り
・服薬介助
・口腔ケア
・集団レク・個別レク
・周辺業務(入浴後のドライヤー、手指消毒お茶準備、就寝時の布団準備等)

みずほ内の様子:支援センターで働いている人と、利用者が混在している。
机が三つあり、障がい施設が、食事をとる場所をとなっている。
机の脚があたる、立ち上がりだったりとか、
手作業されている人の後ろで休んでおられる人がいた、日中は交代でベッド休んでいただいた。(6つしかベッドがないため。)
Pトイレを使用。上下水道が復旧しておらず、介助用トイレがなく、Pトイレを使用。プライバシーなど気にしておられない状態。
簡易シャワーなどがあり、利用者も入浴が行えていた。
マットを敷いて、川の字で眠られた、雑魚寝状態で一人が起きると、皆さん起きてしまう状態。7月に新しい施設が完成予定であり、それまでなんとか持ちこたえようと頑張られていた。

・応援派遣での学び
~応援を受ける立場として~
平時における体制の整備

【震災を想定した訓練】
福祉施設として日々のOJTの中で、震災を想定した訓練を行う。
【事業所内の窓口担当者の配置】
支援物資担当者、職員派遣担当者を複数人配置しておく。
支援物資の選定、申請、管理。物資の管理場所の確保。
派遣職員の必要人数、役割の明確化。宿泊場所の確保。
コントローラーの重要生

震災が発生すると、想定していた事よりも想定していない事の方が多い。
その時点で「何が大事か」「何が優先か」を考え、対応する事が求められる。

施設、行政、地域、他施設との繋ぎ役として
「柔軟性」を持ち、状況を見ながらの「決断力」が必要とされる。

・支援を継続していくため
~応援を受ける立場として~
・応援派遣の目的についての理解
ご利用者への接遇、介助方法、環境設定等、気になる点はある。応援派遣の目的は現地職員の方々の「負担軽減」であり「指摘・助言」ではない事のご理解を。
・現地職員の方々から多数の差し入れあり。
応援派遣職員に対する感謝の気持ちだと捉えて、受け取って欲しいとのお言葉あり。
・現地職員の方々も「話しを聴いて欲しい」
職員の方々も被災者。自分達自身の事を聴いてもらいたいという気持ちを持っておられる。現地職員の方々とのコミュニケーションも積極的に。

〇今後の課題
~応援を受ける立場として~
 被災後、応援を受け入れるため、受援体制の構築をどのように進めるか?
発災直後からフェーズ5までの想定をしておくことが重要。

<3月派遣>
①災害ボランティアセンター運営支援活動の実際【15分】
東近江市社会福祉協議会 地域福祉課 中西 知史さん・谷 和之さん・北川 美香さん
 ・被災者にとって必要な災害支援ボランティア活動の仕組みやあり方

谷さん:
災害ボランティアセンターの運営支援で現地に行かせていただきました。
災害ボランティアセンターは、災害発生後2~3日後に設置される。ただ今回は、ボランティアセンターが立ち上がっても、被害が大きく、実際に受けいれが始まったのは1月下旬からとなりました。
社協がしている理由は、社協の強みにボラセンを持っているので、災害時においても活かすことができる。終えたら終わりではなく、それ以降に地域に戻し、地域づくりにつなげていくことが必要。

北川さん:
私たちは石川県七尾市に行きました。
1日の流れ
 9:30~10:30:ボランティ受付、オリエンテーション、マッチング
    ・注意事項を伝える(ボランティアさんが安心して活動できるように)
    ・1日80人程度のマッチングを行っている。その人の得意なことを活かせるよう
配慮している。
10:30~14:30:資材を受け取り移動、活動
   ・ゴーグルなど活動先に応じた必要な機材をお渡している。
14:30~15:00:活動修了後センターへ帰着し、活動報告
   ・その日の活動の進捗、伝達事項の報告をしていただく。
15:00    :活動終了

現地へ移動・活動~仮置き場への搬出
 家財やがれきなどを集積所へ運搬。ごみの分別ルールが厳しく、仮集積所に3時間の待ち行列ができることも珍しくない。

中西さん
少しずつでも支援の手が届き、復興は進んでいる。でも・・・。
・遠慮や諦め・・・どこに相談してよいか・・・「助けて」と言えない。でも困っている。
・地域社協や民生委員など地域の活動者や福祉の専門職の顔が見えなかった。
・住民主体の復興により、地域づくりを意識していく必要性を感じた。
災害からみえる日頃のくらし~私たち住民や専門職が大事にしたいこと~
・災害時、支援の手は何とかなっても、人の意識や気持ちは変わらない
・互いの暮らしぶりを知る住民だからこし、ちょっとした変化に気づける。災害時も同じ。
・平常時からお互いを見守り、支え合えるつながりが大切。
・医療や福祉の専門職が日ごろから、住民と顔の見える関係があると、住民もいじというときに頼りやすい。

【グループ別意見交換】
 ①学習会、事例報告を通して、能登半島地震の被災地・被災者支援においてどのような課題を感じたか
 ②感じた課題に対して、今後の復興に向けてそれぞれの立場でどのような取組みが必要と思うか
 ③滋賀県、東近江圏域での発災に備えて、最も重要な取組は何か


【発表】

会場1:過酷な支援現場での活動されているが、まずは自身の身を守りつつ、支援にはいることが大切であるとの意見があった。発災直後には、司令塔が不在との課題が見えてきたように思います。そのためにも、普段からの顔の見える関係の大切さを改めて感じました。

会場2:派遣をされた職員のコーティネート機能が不足していると、行ってもすることがなくってしまう。DWATなどの体制をえることが大切。地域、地域にそれぞれのやり方があるので、尊重したい。

1G:課題のところは避難所の方の声、「水が足りない」などだけでなく精神的な不安などの声もあがっている。連携の効率化が大切。今後、災害の支援にあたっては、災害拠点の訓練はあるが、実際発生した際に、どのようにするのかのイメージが難しい。また、7月4日に訓練があるので、お時間のある方はご参加ください。
前田さんはじめ皆さんは、なんとか4日間のスケジュールをあけていかれたが、その穴埋めをどのようにされたか?お時間がある時に教えていただけばと思います。

2G:普段訪問している時のスキルが役に現地で立つ。支援に入る人の当たり前と、被災者の方の当たり前は違うので注意したい。支援に入った人と、現地の人とですり合わせを行い、マニュアル化したい。食事面では栄養面も配慮する必要がある。

3G:震災の課題としては、災害がないので、イメージができていない。高齢化が進んでいるので、支援が必要な方が増えている。
能登地域では結束力が強くて、自助・互助が進んだのではとの声があがっていた。
あと、専門職として何ができるのか?日ごろから、利用者さんがどこに避難されるのかを把握して、地域とのつながりを日ごろから作っていきたい。発災に備えて、何かあった際に、どこに集まったらよいのかなど、把握できていない。また東近江市は外国人が多いので、その配慮が必要。


【指定発言滋賀県社会福祉協議会 事務局次長兼地域福祉課長  高橋  宏和さん

・グループ別意見交換の発表を踏まえ、被災地支援において大切にしたいことや発災に備えた平素からの取組み等について
高橋さん:県社協の高橋です。本日は、非常に勉強させていただき、感謝申し上げます。今日は最初に前田さんよりDWATの紹介がありました。DWATは避難所を支援する目的でつくっていました。正直、突然ふって沸いた形で、初の活動となりましたが、前田さんはじめ、迅速にいていただき、大変助かりました。
そんな中で、いろんなことがあるんだと思いました。いろんなこと、幅ひろく想定しながら、人を増やしていきたいので、DWATの活動に注目していただきたいです。
じつは、連携とか協働には課題がありました。志賀町のDWATに行く用事がありまた。拠点の隣には、災害支援センターがありましたが、連携が見られませんでした。批判ではありませんが、日頃からの連携ができないと、災害時も役にたたないと思いました。受援が大切だと改めて感じています。計画にも受援を入れておかなければなりません。
本日は参加させていただき、ありがとうございました。


北野さん


まず、このような場に参加させていただき、ありがとうございました。
しがDWATの派遣が決定した際、突然のことでしたので、どの程度の方に手をあげていただくことができるか分かりませんでしたが、発表いただいた前田さんには2回も参加していただくなど、皆さんには福祉職の専門性を活かしてご協力をいただきまして、ありがとうとうございました。
派遣に行く中で、思っていたことと異なる派遣先での要望が入るなか、日々、皆さんには様々なことをお願いするなかで、事務局としても、苦しいこともありましたが、皆さんの協力のおかげで、支援ができたことに感謝しています。この場をお借りして、お礼を申し上げます。
今後、滋賀県で発災した際には、能登支援での良いところは取り入れて、だめなことは、そうならないように、日頃から県下で繋がりなど作れたらよいのかと思います。
ありがとうございました。


【連絡事項】 


 ○当番:八幡蒲生郡薬剤師会・東近江薬剤師会上野先生:来月は、金沢先生と、上野先生で担当しています。昨年度はポリファーマシーをテーマにしていました。また次月についても、同じポリファーマシーをテーマで行っていきたいと思います。来月もよろしくお願いいたします。会場は三師会の会場をお借りする予定です。次月開催日時:令和6年7月18日(木)18:30~ 


2024年5月16日木曜日

第197回 三方よし研究会の報告。

本日、 第197回三方よし研究会が開催されましたので、報告します。

◇日時:令和6年5月16日(木) 18:3020:30
◇会場:ZOOM活用によるWebで開催(東近江市立能登川病院)
(当番:医療法人社団昴会 )


ゴール
○心不全について学ぼう
〇心不全療養指導士を知ってもらおう
〇多職種連携における療養指導の強みを話し合おう

 【情報提供】
・市民公開講座のお知らせ
5月26日(日)13:00~16:00「第11回心臓病で命を落とさないために」をテーマに市民公開講座を八日市文芸会館で開催します。参加費無料ですので、皆さんの参加をお待ちしています。


 

・介護福祉士実務者研修のお知らせ三方よし研究会主催の今年で9年目となる介護職員初任者研修と、3年目となる介護福祉士実務者研修を開催します。今年より歯科医師の小川先生、薬剤師の大石先生にも登壇いただきます。チラシを三方よし研究会のメーリングリストで共有しますので、関心のある方にお声をかけていただけると幸いです。


 

【30分学習会】
●テーマ『心不全について』 20
 発表:医療法人社団昴会 湖東記念病院  循環器内科 木村昌弘医師




心不全とは
心不全の定義は、心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気。
心不全診断後の5年生存率は60%でstage3の胃がんと同じ。

ステージによる心不全分類は
 ①症状による分類
 ②stageによる分類
 ③心機能(左室収縮能)による分類の3つがある。

痛みの軌跡

心不全のstageは不可逆的で、stageC以降を心不全という、

BNPは心不全の診断、治療に有用なマーカー。
 35~100 :前心不全~心不全(前心不全、または心不全の可能性がある)
 100~200:心不全(心不全の可能性が高い) 
 200以上  :高リスク心不全(近い将来に心不全悪化による入院などの必要性が生じる可能性が高い)
 35以上で精査または循環器専門医に紹介が必要。※一度心不全を発症したら、「いかに増悪(再入院)を防ぐか」が大事

 心不全治療薬の歴史
三種の神器(β―遮断薬、ACE阻害薬 ARB、スピロノラクトン)が登場してから、劇的に治療方法が改善された。

Bブロッカー、MRASGLTiARNI
パラダイムシフト、この4つの薬剤を組み合わせることが有用である。
以前は6カ月かけて斬増していたが、近年は4剤を30日以内に投与することを目指す迅速法がある。
※導入のタイミングは心不全入院時
しかし薬価の問題も無視できない。

HFpEFの多用性があり、一人ひとりにあったテーラーメイドの治療が必要。

患者さんが何を目指しているのかの考え方が大切=Shared Decision Making

 本邦における心不全患者数
2030年委は130万人となり、心不全パンデミックと言われている。(30%以上が高齢者)

高齢心不全患者の増加に伴う問題

 患者:ADL低下、嚥下機能低下や栄養状態の悪化、認知症などによる服薬管理困難、併存疾患の増加
  介護者:介護者の身体的負担・時間的制約、経済的問題、患者との関係性、ACP
 社会的:介護保険やサービスなどのリソース不足
そこで、ACPの視点や、多職種連携が重要となっている。

心不全の再入院率は最初の1年で30%となっており、主な原因は自己管理不足である。
現在、セルフケアの維持や増悪しないために、心不全療養士がサポートに入っている。
当院では心不全手帳を配布して活用している。

心不全と癌や老衰との違いは、予後予測・治療の差し替えが困難な点。

ACPの考えとして、患者本人が家族と医療者や介護提供者と一緒に意思決定能力が低下する場合に備えて、あらかじめ終末期を含めた今後の医療や介護について話し合うプロセスであり、患者さん、ご家族が話し合い、考えるきっかけを作ることが大切。

かかりつけ医と、病院医師では見る視点が異なり、かかりつけ医は、生活や介護を重視、また病院医師は医療・治療を重視している。共に大切なことであり、地域連携により、各医師の強みをいかし相互にサポートしていく必要がある。
そのためには、病院と、かかりつけ医のギャップを埋めるためには教育も必要であり、お互いが分かり易く連携していけるようになりたい。

 ●テーマ『心不全療養指導士とは』 10
  発表:医療法人社団昴会 湖東記念病院  心不全療養指導士 竹内麻美看護師・大野彩加看護師


心不全療養指導士とは
日本循環器学会で2021年に認定制度がスタートしている。
この制度は、超高齢者化社会を迎えて心不全患者が急増している現状を踏まえ、心不全の発症、重症化予防のための療養指導に従事する医療専門職に必要な基本的知識及び技能など資質の向上を図ることを目的として創設された。
病院に限らず看護師、保健師、理学療法士、作業療法士、管理栄養士、薬剤師、臨床工学技士、公認心理士、歯科衛生士、社会福祉の国家資格を取得していれば、取得できる資格である。

資格を取るまでの流れ
STEP1入会~STEP8資格取得までの流れで、認定後、5年毎の更新が必要となる。

当院での活動
病棟看護師1名、理学療法士1名、地域医療連携室看護師1名の3名がいる。
心不全手帳を使用している。

退院前カンファレンス
・在宅スタッフとともに、入院中の経過を共有し、在宅で継続して個々に応じた管理ができるように、多職種で役割を明確化している。また退院後の外来日に自宅での生活の様子を聴きとり、診察に同席などしてサポートしている。在宅での体調変化や受診相談等はケアマネジャーや訪問看護師との連携している。

情報シートは2021年から導入しており、カンファレンスを行ったうちでシートの利用は8割、現在は全患者で利用している。 

今後の展望
6月の診療報酬改定にて、強心薬在宅維持点滴加算や在宅診療指導料に心不全が追加されている。薬剤師や訪問看護師と連携を密にし、スムーズな調整と退院支援を充実させたい。
そして外来、入院に関わらず、療養指導を行い、安心して住み慣れた地域で生活しているように支援していく。
在宅で安心して療養していいただけるように病院側の支援体制も整えたいと思います。当院退院の際には様々な支援をいただき、ありがとうございます。

 

【事例紹介】

テーマ『独居の高齢心不全患者の在宅療養支援について~多職種連携を通して~』

        発表:医療法人社団昴会 湖東記念病院  地域医療連携室 竹内麻美看護師


 せせらぎ居宅介護支援事業所 橋本美佐子ケアマネージャー


【グループワーク】
テーマ『多種多様の療養指導について』
グループに分かれて以下の内容について話し合ってもらう
 ・ACPのタイミングや方法について
 ・服薬アドヒアランス・コンプライアンス不良の方へのアプローチの仕方
 ・それぞれの立場で関われる療養指導とは 


【発表】

1G:
独居の方は服薬管理が難しい。またACPについてもタイミングを見てお話をするのが難しく感じている。心不全療養士のことを知らなかったが、多職種が関わることで、変わってくるのかなって思っていいます。まずは様々な職種と連携を深めていきたい。
ACPについて要、要で定期的に確認していきたいと思います。ケアマネジャーの研修内容も令和6年度に変り、学びを深めていきと思います。

2G:
事例紹介では多職種が関わっておられ、いろんな視点でみることできた。また、心不全療法士の役割りを知ることができた。勉強することでスキルも磨けたらと思いました。ACPについて薬剤師としては、かかわることがすくなかったのですが、ケアマネから支援内容など聞き学びになりました。
ACPは1回だけでなく、各ターニングポイントで相談する事が大切であると感じています。

3G:
ACPが熱心なドクターからは家族さんの意思に基づいてしまうことがあるので、その時に,本人さんはどうでしょうか?と確認することにより、本当の意味でのACPができる。
満足のある生き方が大切である。ACPは本人と家族のコミュニケーションも大切であり、そのような場を持てるようにしていきたい。
男性と、女性は思いも異なり、男性は自宅、女性は迷惑をかけたくないので病院を選択されることが多いように感じている。性別による違いなども考えていきたい。

4G:
ACPはタイミングが大切であり、信頼関係を気づいてから確認するのがよい。訪問薬剤など月1回の訪問では聞きづらいので、治療のタイミングなど、何かのきっかけで聞けるといいなってお話がでていました。この圏域には未来ノートもあり、後期高齢者にはノートの説明もされているので、活用していきたい。
多職種にはそれぞれの役割りがあるので、その情報を繋いでいくのが大切。退院時には、ケアマネに在宅では何ができて何ができないのかをきちんと伝えることにより、服薬管理などしかりと行うようにしたい。介護やケアに係っている人と連携していくことが大切。

5G:
グループワークではそれぞれの心不全の取り組みを共有しました。今回の事例は素晴らしかったとの意見がでています。ACPについては、それぞれの立場でしっかりと確認されていたかと思います。
グループメンバーにこの事例に係った保佐人の方がおられ、いろいろと苦労もあったが、皆さんが関わっていく中で、支援の輪が広がっていた。ACPは誰が何処でするではなく、様々な場で多職種が行う事が大切。

6G:
事例については、本人の希望に寄り添って、細やかなサポートをされており、素晴らしかった。ACPに関して、やはりタイミングが難しい。元気なうちに、そのような話をしてもピンとこなかったり、中には怒りだされる方もおらえる。一方、関心を持ってもらえる方も多いので、知ってもらうだけでも良く、元気なうちから意思確認を行っていただく必要がある。
東近江市の介護保険申請、更新時の問診票にはACPの欄が加わっているので、軽度のうちからそのようなお話ができている。


◎指定発言:近江八幡総合医療センター 心不全療養士 看護師 松田悠子様

当センターでは、看護師、薬剤師、理学療士、栄養士の7名が心不全療養指導士を取得しています。 今年も5名程度が受験しようと今頑張っています。2021年に心不全チームが発足し、2021年夏ぐらいからと心不全指導をし、心不全の入院患者さんに行っています。
内容としては心不全とはとして、病気についてや、心不全手帳の記入、食事や内服、 運動など日常生活について、あとACP人生会議という内容を約1週間かけて行っています。
病棟では1年目から4年目など若いスタッフも多く、経験年数にもばらつきがあるので、 指導内容に差が出ることが予測されました。
指導内容の統一を図るため、厚生労働省が出演している心不全教育ビデオを活用しています。
心不全手帳は滋賀県が心臓病手帳を使用し、血圧、体重、症状の 記入を習慣化できるように取り組んでいます。心不全指導を導入した結果としては、 再入院率が16パーセントから4.5パーセントへ減少。また再入院までの日数が81日から222日と伸びており、効果は出ていると考えています。だが、 心不全入院の全員には指導が行えていない現状です。
コロナ禍ということもあり、認知症がない人や特許の人を対象にしてきました。
そのため、認知症のある人や介護が必要な人には指導が行えず、入退院を繰り返している現状もあります。
コロナでの面会制限も緩和されたため、本人だけではなく家族へのアプローチが可能となってきている。今は少しずつ本人だけではなく家族への指導も始めています。
ACPに関しては、ACPイコールDNRを取るとか、もしもの話をするために何を話していいのかよかなどの抵抗感が医療者にも強く、なかなか進まなかった現状がありました。
そのため、講義のACPのためにもしばなカードを導入しました。これは35枚カードがあり、痛みがないかや 家で過ごしたい、家族に迷惑をかけたくないなどが書かれており、そこから自分が大切にしたいと思うカードを選ぶというものです。
ACP人生会議といきなり言われても、患者さんは答えられないことが多くあります。しかし、カードを使用することで自分の考えを整理することができます。そのカードを選択した理由などを聞くと、患者さんの人生観や 患者さんの違う一面を知ることができるようになりました。元気な時のACP、繰り返す心不全の時のACPでも患者さんの気持ちは変わると思うので、 1回だけでは終わらず、何度も繰り返ししていく必要があります。
心不全指導には病棟看護師の他に外来看護師も入っています。ACPには薬剤師や医師も入ることがあります。
心不全指導が終了すると、医師、病棟看護師、外来看護師、薬剤師、理学療養師、栄養士、ソーシャルワーカーが参加し、心不全指導を行って、患者さんの反応などをみんなで情報提供を行い、退院後、外来フォローができるように連携を行っています。 外来看護師からは、心不全指導を以前行った人の心不全手帳の記入の状態や自己管理の現状の報告があります。
心不全指導が始まって約3年となり、ようやく連携が少しずつ取れてきたと実感しています。ただ、当院の外来フォローではなく、地域のクリニックのフォローとなると連携が取れていないのが現状です。
今後は地域連携を行っていきたいと考えています。現在、近江八幡心不全地域連携の会を奇数月、 第4木曜の18時半から20時で開催しています。
三方よし研究会と同様にグループワークと勉強会という内容で、医療センターでの現地参加とズームでの参加もできます。連携を深めるためには顔の見える関係作りが大切だと考えているため、現地での参加をお待ちしています。
次回は来週523日で、内容はリハビリについてです。以上です。ありがとうございます。

 

◎訪問看護ステーションゆげ 管理者 雨森千恵美様


皆さんお疲れ様です。訪問看護の立場から少しだけお話します。
私も滋賀県の心臓病手帳に関わらせていただいて、そしてここで説明をさせていただいただきましたが、その時は心臓病手帳って何? 全然中身知らないしって感じでした。その後、皆さんが、今日の事例も含めて心臓病手帳を活用してってくださるんだということが分かっただけでとても嬉しかったなと思います。
特に在宅では多職種が関わることが非常にポイントになるように思います。その人柄を、いろんな角度から捉えて、 そしてACPも含めて、どうなったらこの方は幸せなんだろうかということを皆さんで考えながら支えていくということに対しては、心臓の方でなくても、いろんな病気の方、皆に共通することかなと思っています。ですので、ACPについても、心臓の方以外でも同じようなことを繰り返して 意思を確認していくっていう作業になるかと思います。
ただ、心不全の方っていうのは、比較的、良くなって、またすぐ悪くなってとの繰り返しで、タイミングがありますので、いかに在宅では入院を回避するかっていうことで、 少しでも体重が増えてきたら、すぐに外来につなぐなど、早期発見して早期治療につなぐ、そして入院を回避するということを目標に連携しているというように思っています。
実は私たちの訪問看護に 依頼のあるケースっていうのは、ほとんど末期のステージに入っていて。なかなか管理が難しく、入退院を繰り返しているという方です。もっともっと、こういう方をどうやって支えたらいいのかっていう、ちょっと難しい症例なんかも、皆さんと議論できれば思っております。
来月、リハビリのことをまた教えてくださるということですが、 今回も訪問リハビリっていうものがこの職種の中に入ってなかったかなと思います。 入院中の心臓リハビリっていうのは盛んにされてると思うんですけど、そこがちょっと在宅に引き継がれてない現状がまだまだあるのかなという課題も感じました。
その辺り、また来月を楽しみにしたいと思います。皆さんどうもお疲れ様でした。ありがとうございました。

【連絡事項】 
・第198回 三方よし研究会 令和6日年6月20日(木)18:30~20:30
18:00から総会を開催、18:30から災害支援をテーマに開催しますので、皆さんの参加をお待ちしています。



 

 

        令和6年度 東近江圏域介護職員初任者研修のご案内

介護の知識技術を学びたい・介護の仕事に興味がある方へ
東近江圏域介護職員初任者研修は、NPO三方よし研究会が運営する全日通学制の介護職員初任者研修だから安心です。医療・介護の現場で活躍中の豪華講師陣。即戦力が身に付きます!
ぜひ、この機会に研修会にお申込みください。







2024年4月18日木曜日

第196回 三方よし研究会開催のご報告

第196回の三方よし研究会が開催されましたので、ここにご報告いたします。




日時:令和6418日(木)18:30~20:30

会場:ZOOM活用によるウェブ開催

当番 :近江温泉病院


ゴール:

〜交通外傷による若年・遷延性意識障害を取り巻く現状を共有する〜

交通事故対策機構・中部療護センターのお話から、その取り組みを学ぶ

○交通外傷による若年・遷延性意識障害を有する方のリハビリテーションの事例を通して、急性期から回復期そして慢性期までの流れの中で、その後、生活への思い・課題を受けて、それぞれの立場で思いを共有する


 

全体進行:小串輝男先生

【情報提供】

ぴーまん食楽部より

東近江市とタイアップして「介護保険 はじめの一歩」という案内を始めています。詳しくはメーリングリストにも挙げていただきますので、ぜひご覧ください。



医療法人昴会より

526日に八日市文化芸術会館にて、市民公開講座「第11回‘心臓病’で命を落とさないために」と題した講座を行います。参加無料ですのでぜひお越しください。




 司会進行:近江温泉病院 石黒さん




【学習会】

「独立行政法人・自動車事故対策機構(NASVA)、そして中部療護センターの取り組みの紹介」

(※中部療護センターは、自動車事故による重度後遺障害者(遷延性意識障害者)専門の病院です。)

⚫︎独立行政法人・自動車事故対策機構 中部療護センター長 矢野大仁先生より



・中部療護センターは自動車事故対策機構(NASVA)から運営委託されている。〜千葉療護センター/東北療護センター/岡山療護センター/中部療護センター 

 ・中部国際医療センター(高度先進医療を担う総合病院)中部脳リハビリテーション病院(脳疾患に特化した病院)、中部療護センター(交通事故による重症頭部外傷に伴う遷延性意識障害患者を対象にした総合的医療、看護、リハビリ)の棲み分けとなっている。

中部療護センターの入院実績としては、2001年7月から2023年3月までに334例が退院しており、その内、カルテが残存している293例を解析した結果を示す。

・平均年齢は36.4歳。男性が7割。交通事故の内訳は自動車・バイクで半数以上。

・脳損傷の内訳はびまん性側索損傷が一番多い。合併損傷の内訳では胸部臓器損傷が一番多い。

受傷から中部療護センター入院までの期間 平均416日。

・リハビリは理学療法から作業療法、音楽療法、鍼治療にも力を入れている。内容として、バランスボール、ハンドリフレクソロジー、端座位訓練、座ろうくん、顔面マッサージ、用手的微振動、入浴時のROM可動域訓練、アロマテラピー、ハイチューを用いた嚥下訓練など。

・月2回、多職種での合同カンファレンスを行なっている。

まとめとして、中部療護センターでは様々なリハビリによって機能改善を図るとともに、五感を刺激することによって意識中枢に働きかける治療を行っている。





⚫︎NASVA大阪主管支所 次長より




ナスバの被害者援護業務の対象となる方…自動車事故を原因とし、「脳」、「脊髄」または「胸腹部臓器」を損傷し、重度後遺障害が残ったため、介護が必要となった方バイク事故も対象。加害者、袚害者問わず(自損事故も対象)。

対象にならない方…自転車✕歩行者の事故、自転車✕自転車の事故、海外での自動車事故、競技中の自動車事故(レース)

介護料の支給…自動車事故が原因で、脳、脊髄又は胸腹部臓器を損傷し、重度の後遺障害を持つため、移動、食事及び排泄など日常生活動作について常時又は随時の介護が必要な状態の方に介護料を支給する。

・最重度後遺障害(特Ⅰ種受給資格)…Ⅰ種受給資格(常時要介護)のうち、損傷部位ごとに一定の要件を満たす方(自力移動、自力摂食、意思疎通不可、四肢麻痺、完全麻痺、人工介助呼吸など)は審査により「特I種」受給資格となり、支給金額が増額。

・「特I種」について(まとめ)

I種受給資格(常時要介護)のうち、損傷部位ごとに一定の要件を満たす方については、審査により特I種受給資格となる(脳損特1種、脊損特1種それぞれに要件あり)。

・支給金額について(3ヶ月分まとめて支給)特I種 最重度 ¥85,310〜¥211,530。I種常時 ¥72,990〜¥166,950。I種随時¥36,500〜¥83,480。

・支給対象(訪問サービス)全額自費で負担した場合のみ(障害者総合支援法の応能負担はNG)…ホームヘルプ(家政場もOK)、訪問入浴、訪問看護、訪問リハビリ(デイケア)、通所サービス(デイサービス)。

・支給对象(介護用品)介護用・医療用のものが対象、全額自費で負担した場合のみ(障害者総合支援法の応能負担はNG)…ベッド(介護用)、車いす、褥瘡予防具、吸引器、リフト、スロープ etc

・支給対象外の例(一部)…一般用のベッド・低反発クッションなど、車いすのアクセサリ・塗装など(趣味的なものや直接障がいを補わないもの)、取付工事を伴うもの(天井走行リフト)※対象外品の修理、部品交換もNG。
・支給制限(支給できないケース)…療護施設(療護センター・委託病床)に入院(ナスバの運営する病院・ナスバが委託している病院等)、他法令に基づく施設(生活介護•療養介護+施設入所支援)、介護保険、労災保険(「介護(補償)給付」はNG)、その他介護料に相当する給付(国家公務員災害補償法の規定による介護補償給付など) ※重複して利用した場合は返還

・支給制限(支給できないケース)…「主たる生計維持者」の合計所得金額が1,000万円超の場合(世帯合計ではない)→9月~翌年8月まで停止。課税証明を毎年NASVAへ提出(例:不動産売買、贈与)。

・短期入院・入所費用の助成…月々の介護料とは別枠で支給。原則、2日~14日以内の入院・入所(目的間わず、事故起因でなくてもOK)。検査・治療だけでなく、レスパイト目的でも可。リハビリ目的の場合は30日以内に延長可。年間45日・45万円の範囲(入院・入所先に縛りは無し)。

・受給資格申請について…NASVAが書類を受付した日から支給される。

・終わりに…もし、自動車事故で被害に遭われた方がおられましたら、お気軽に「最寄りの支所」までご相談ください(滋賀支所 (077-585-8290)大阪主管支所 (06-6942-2804))。





【事例報告】

交通外傷により若年・遷延性意識障害を有する方(40代女性)のリハビリテーションの事例を通して、急性期から回復期そして療護センターでの現状報告と、退院後の生活・ケアへ向けて

済生会滋賀県病院より

(済生会滋賀県病院リハビリテーション技術科 作業療法士 藤田拓郎、理学療法士 西川晃希、言語聴覚士 籏生麻衣)



・疾患名…#重症頭部外傷 #左小朒挫傷 #左前頭側頭葉胕挫傷#右前頭葉脳挫傷#急性硬膜下血腫#左後頭骨骨折

・社会的背景…ADLの自立した40代女性 大手企業勤務(主任)、既往歴:甲状腺疾患(治療済み)、両親と3人暮らし、兄が長浜在住 右利き。

・受傷時…2024年7月23日 信号のない道を横断中、側道から進行してきた軽自動車がブレーキとアクセルを踏み間違えて急進行し接触された。フロントガラス含め、自動車に破損はほとんどなく、自動車に乗り上げられ、地面にたたきつけられたとのこと。救急隊接触時、歩道に倒れていたが、意識レベル1桁であったため淡海医療センターへ搬送された。CT撮像のため妊娠反応検査を実施されていたが、待機中に意識障害を認め、頭部CTで左前頭葉および左小脳に脳挫傷を認めたため当院紹介搬送となった。

・経過…2023/07/23 開頭血腫除去術+外減圧術+ICPセンサー留置、7/24 脳室ドレナージ術、7/28 気管切開、8/3 ICPセンサー抜去、8/5 呼吸器離脱、8/16 V-P shunt造設、8/24 胃瘻造設、8/28 頭蓋形成術、9/26 近江温泉病院へ転院。

・退院時… JCSI-30。開眼はされているが視線合わず。しかし、視覚刺激に対して眼球運動が出ている様な反応も出現しだしていた。四肢の緊張は認めているが、随意的な反応はなし。追視や指示に対しての動きは認めず。左上肢不意に動かす場面あり。反射では無い動きも出ている様子であった。端位練習や注入前後での車いす移乗をすすめるなど、レベルの改善を目指し刺激入力、離床機会を増やしていたが、起き上がりや姿勢変換時の頸部への刺激でむせやえずき度々有り、嘔吐につながってしまう場面も多々あり。嘔吐に注意しつつ離床すすめていった。

・ST評価…リハ介入直後は嚥下反射誘発して少量水分摂取は一応可能な下機能。ただし食いしばりかなり強く舌で押し出すことも多く実用的な経口摂取は全く見通しはたたなかった。その後も間接訓練などで介入継続していたが、後々に食いしばりや歯ぎしりも認めなくなる一方で嚥下機能は廃用で実用的な経口摂取はやはり目処たたない状態。話しかけているときに唾液嚥下を繰り返すときは、覚醒が比較的よい時。入眠してしまうと唾液下はできず。声かけしているとまばたきで応答するような反応も時々認めるが実際どれくらい理解されているかは不明な状況。




近江温泉病院より

(近江温泉病院 総合リハビリテーションセンター 理学療法士 下村尚葵、作業療法士 岩崎茉有、言語聴覚士 福本大尚、看護師 坂本恵梨)



・回復期入院時評価…JCS: I-30。運動障害:弛緩性麻痺、感覚障害:遷延性意識障害により精査困難、車椅子座位保持時間:30分。

・入院時の様子…頭部外傷により遷延性意識障害が生じ胃瘻を造設しており、主な生活範囲はベッド上。日常生活において、寝返りや起き上がり動作で眼振や嘔吐を繰り返しており、積極的な離床は困難。車椅子座位においても唾液や痰を誤嚥し嘔吐をすることも多々あった。痛み刺激や体交等身体を動かす刺激に対して開眼するが、刺激が無ければ閉眼していることが多い/開眼しても追視せずに、焦点があわない(目的を持った眼球運動はみられない)/痛み刺激に対して払いのけるような身体の動きはみられない。

・吸引・嘔吐頻度の減少…退院時目標:吸引回数を減らすことができる。嘔吐することなく日常生活送ることができる。短期目標:姿勢・昼食量の評価・服薬調整とし、端座位・立位保持訓練で介入した。

・離床時間の拡大…退院時目標として、2時間以上の車椅子座位保持ができる。自宅への外出を目指して離床時間を確保することを目指す。3年後の在宅復帰に向け、家族が退院後の生活をイメージできるように(主に、在宅生活のスケジュール、自宅への入り方)。短期目標として、2時間の車椅子座位ができる。昼食の胃瘻を車椅子座位で行い、日常生活に汎化させるとし、病棟と起き上がり・移乗方法の統一、車椅子の選定を行った。介入内容は端生位保持による筋持久力訓練。

・非言語的コミニケーションの変化…退院時目標:家族や友人からの刺激に対して反応を示し、非言語的交流の時間を過ごすことができる。短期目標:一定の刺激に対して毎回同じ反応を示すことができる(再現性のある反応を見つける)とし、聴覚、視覚、触覚等を刺激する作業活動の提供、および顔面や口腔内への刺激入力を行い、反応が得られやすい刺激を見つける→Ipadでご本人のエレクトーン演奏の動画等を鑑賞する/手浴/楽器に触れる/外気浴/付き飴を舐めるといった介入を行なった。
・まとめ…当院入院早期から中部療護センターとの面談を行うことで残りの入院生活の課題を整理することができた。また入院生活やリハビリ見学の中で家族と本人が関わる機会を増やすことで現状の課題・できることを共有することが重要であった。


中部療護センターより

(MSW 林和美)


・中部療養センターの病室の特徴…入院患者様のわずかな意識の回復の兆しをとらえることができるよう、ワンフロア病棟システムを取り入れて、集中的に看護できるようにするとともに、同じ看護師が一人の入院患者様を継続して受け持つプライマリー・ナーシング方式の看護体制を導入している。その上で、日常生活を通じた多くの自然刺激を与え、細やかな配慮のもとに看護を行っている。

・療護センターのMSWの役割と退院支援…およそ3年間の入院。退院先の相談調整、家族の心理的支援、社会保障制度の案内(自賠責・労災の補償、身体障害者手帳、障害者総合支援法、障害年金、特別障害者手当成年後見人、補装具・日常生活用具、NASVAの介護料など)、賠償問題処理の支援、在宅改修の助言、オーダーメードの車椅子作成、外出外泊の支援、特別支援学校の入学・転校の支援、家族への介護指導etc...

・療護センターから退院される患者のうち、およそ4割は在宅に直接退院する。患者の中には自宅が遠方ということもあり、一旦地元の病院に転院して、自宅に帰られる方もいる。その方たちも含めると、最終的には、5割近くの方が在宅で生活している。

・自宅以外の退院先として、療養型病院、障害者病棟、障害者総合支援法の障害福祉サービスが使える住宅型有料老人ホーム、身休障害者施設がある。ご家族の思いを聞きながら、MSWが調整をしていく。



ご家族の思い

(書面より:代読)

 その節は4カ月にわたり大変お世話になりました。日々患者やその家族のためにご尽力いただいていますことに敬意を表します。

 今回の研究会で遷延性意識障害患者のリハビリ事例として使いたいとの依頼がありました。プライバシーが守られた上で事例として議論いただき、これからの課題検討に役立てていただければ幸いと思います。事例の中で「患者家族の思い」について協力依頼がありましたので、以下に思いのまま綴りましたのでご報告します。


1. 急性期の思い

 2023.7.23 交通事故で車に衝突されて救急搬送されたとの連絡を受け取った時は、まだ信じられない気持ちで病院へ向かいました。命が危ない状況だったため、先の事を考える余裕はなく、ただ一つ命だけは救っていただくよう懇願したのを覚えています。1日1日がどうなるかわからない状況が続いたことや目覚めてくれることを信じて、祈る思いで毎日病室に通い症状や治療・介護の様子を記録してきました。7回目の手術で外していた頭蓋骨をもとに戻して急性期の治療は終了しました。主治医からは重度の脳損傷のため今後意識が戻るかどうかはわからないと告げられて不安は募るばかりでした。入院中は病院スタッフの皆さんが親身になってお世話頂いたり、都度様子を教えていただいたりしたことは、私達には心理的に大きな助けになりました。

 また警察での聴取の際、事故時のドラレコ映像を見せてもらったこともあり、暫くは車にはねられた時の本人の恐怖と無念さが頭の中をぐるぐると渦巻いて離れませんでした。今でもその映像が思い出され、胸が締め付けられる思いがして不憫で仕方がありません。


2. 回復期の思い

 9/26に近江温泉病院へ転院して回復期りハビリ病棟に入院しました。本病院では本人の生活環境から刺激を得ることを重視されているようで、趣味のエレクトーン演奏DVDの視聴、育てている観葉植物の写真、親しい友達の面会など、私達からの提案に真摯に対応いただきました。

 面会の度に見せる本人の表情を見て、「大きな目を開けているが見えているのだろうか?」「いま何を思っているのだろうか?」「辛いとか、悲しいとか、寂しいとか感じているのだろうか?」と思いを巡らせ、話しかけますが反応はありませんでした。スタッフの皆さんの懸命なリハビリ治療をいただいている中で、目に見える症状改善が現れておらず、スタッフへの感謝はあるものの、心配ばかりが増幅して消えることはありませんでした。


3. 療護センターへの期待

 現在入院させていただいている療護センターは交通事故による遷延性意識障害患者を受け入れておられる専門病院と伺い、少しでも症状改善ができるのではと期待しています。遠方でありなかなか本人と面会して変化を確認することはできませんが、その分今まで以上にDrはじめスタッフの皆様を信頼してお任せするしかありません。夜災してから半年を過ぎましたが、あっという間の半年で、なかなか将来を考える余裕がありませんでした。療護センターには最長3年間は入院できると聞いています。この間に将来への準備を進めなくてはなりません。「何ができるか」「何をしてやれるか」悩みはつきません。


4. 今後への心配事(症状改善可能性、治療、介護、資金管理など)

 療護センター退院後のことについて、心配事が多すぎて入院中にどこまで準備ができるか不安が尽きません。今はできるところから少しずつこなすしかないと腹をくくっています。


① 症状改善が見込めれば将来の選択肢も変わると思われますし、最低限意思疎通ができるようになってくれること、更には気管吸引がなくなり口から食べられるようになることを祈っております。症状改善しても介護が必要な状態は変わらないと思われるので、可能な最良の介護を受けるにはどこでどうすればよいか?私達も自分自身が介護を受ける年(後期高齢者)になっており、今の状態では自宅に連れて帰るのは到底無理だと思っています。


② これから一生介護が必要になれば相応の費用がかかると思われ、苦しまないで済むだけの財政的な準備が必要です。資金は「どのくらいあればよいか?」「どのように管理すればよいのか?」本人が意識がない中で、誰が、どのようにして契約や支払いを管理していけばよいのか?心配は尽きません。銀行口座管理や携帯などの契約変更などは本人でないとできない事で、代行するには「成年後見人」でないとできないといわれました。そのため現在は可能な部分について親が代行していますが、今後本人しかできない案件については何もできず、不都合が発生する可能性があります。保険や職場の関係が切れた時には、全てを親兄弟で管理せねばならず、成年後見人が未定であればいろんな不都合が起こると心配でなりません。


③ 平均寿命まで人生を全うできるなら、残り40年の時間があります。現在の症状が続き意識回復がならなかった場合、将来の生活はどうなるのか?想像できません。介護を受けながら一人の人として生きていけるのだろうか?心配です。私達にはどこまでできるかわかりませんが、できるだけのことはしてやりたいと考えています。


まとまりのない文章になりましたが、率直に感じた事、不安、心配など思いを書きだしました。

一部を切り取っていただいても構いませんので、ご参考になれば幸いです。

以上



全国遷延性意識障害者家族の会より

(全国遷延性意識障害者・家族の会代表 桑山雄次)(金融庁自賠責審議会・特別委員、国交省被害者保護増進等事業に関する検討会・委員)



【1】 NASVA での治療

1. リハビリを中心とした医療を、通常の180日上限でなく3年近く受けられる

2. 遷延性意識障害からの脱却率は27%(通常は5~10%と言われる)逆に73%は残念ながら脱却できないということである。脱却できたケースも高次脳機能に障豊がでることがほとんど。


【2】その後の生活

①脱却できた場合に、高次脳機能障害に適した支援機関があるのか

・どんな後遺症が残っているのか

・医療機関(特にリハビリ関係施設など)

・福祉施設(デイケアも含めて)

②脱却できなかった場合に※当会はそのような状態の障害者の会

・若年性の「寝たきり」の人を長期にわたって介護できる体制が地域にあれば在宅が可能

・在宅が出来ない場合には施設か長期療養型病院(月額20万円~と言われている)

③在宅の場合

⚫︎主治医(多くの科に通じた医師)と緊急時の後方病院。全身管理を筆頭に、てんかん・褥そう・泌尿器・胃ろうなどの他に、尖足対策、呼吸器りハなどのリハビリやボトックス治療・・・・

⚫︎訪問看護•通院先医療機関

⚫︎生活介護・訪問介護・ショートスティ・入浴サービス・・・・・

⚫︎特に痰吸引など医療的ケアの出来るヘルパーを育てるための環境があるか?(事業所の有無・ヘルパーの確保・研修体制)

④家族への支援

⚫︎特に在宅の場合は、ヤングケアラー問題や、ダブル介護、介護者の冠婚葬祭や介護者が病んだときの対策(介護者が介護できなくなったときの対策)

⚫︎NASVA からの介護料(最重症の場合では、月額85,310円~211,530円)


【3】その他のもろもろ情報

①そもそも

・遷延性意識障害者の最大の困難は、コミュニケーションがとれないことである

・医療からは、「治療は終わったので退院して欲しい」と言われ、福祉からは「障害が重すぎて受け入れられない」と言われ続けてきた。これは昔も今もそう(医療と福祉の谷間)。

・15 年ほど前に支援の要請をするため、大都市圏の県庁を訪れたことがあったが、「このような障害の重い人が在宅に居ることを知らなかった。」と言われ、社会的認知の少なさを感じた。

・賠償金額の低さ 弁護士会基準では、微害者であっても1日 12,000円の介護費用が基準となっており、このような金額で24時間介護なら時給は500円である。一括賠償の場合はもっと低くなる。加害者が任意保険に加入していない場合は、自賠責のみになり後遺障害での最高額が4,000万円であり、そこに医療費も介護費も慰謝料も全て含まれる。

②医療

・回復や治療の決定的な方途は見つかっていない

・安静はダメで、刺激を与えることが大事であるとされている

・「意識」の脳での局在場所もよくわかっていない 「意識とは何か」についての解はまだない

・再生医療にはまだ時間がかかりそうである

③福祉(主として在宅介護を中心に)

・一般論であるが、在宅をすれば状態が良くなることが多い

・痰吸引などの研修を修了したヘルパーが必要なのに、そういったことを行ってくれる事業者が少ないそもそも「ヘルパー不足」「看護師不足」は深刻である

・しかも「手のかかる」介護であるのに、介護職への報酬が低い

・日常生活では、福祉に頼らざるを得ないが、福祉が貧困な場合やコロナ禍でヘルパーが来られない場合は、家族介護がメインとなってしまう

④家族の生活

・止むを得ず、仕事を辞めざるを得ないことも多い

・現在の在宅福祉体制下では、重度障害の場合の家族介護者は、1.5人は必要だとも言われている。(主たる介護者と従たる介護者)

・収入も減るし、将来もらえる年金も減ってしまう

・治療法もなく、この生活が続くことによる絶望感、家族である自分たちが介護できなくなればどうしよう?

・「毎日訓練するように」と言われながらも、家族だけでは出来ることには限りがあり、あまりに無力であることを実感する

⑤国交省の施策

・自賠法の改正が2023年6月にあり、被害者保護の財源が確保されたが、人手不足などの問題はどう解決していくのか?

・平成30年度より、グループホームへの人件費の助成制度を始まったが、残念ながらあまり増えていない。

・自動車事故は誰にでも起こり得るが、自動車事故被害者に限らず、現時点では重度の障害者の将来は明るくなく、主たる介護者が介護できなくなったときのセーフティーネットはまだない




 

【グループワーク】

・皆さんの経験や聞いたことなど「交通外傷による若年・遷延性意識障害者への医療・介護・リハビリ―ション・ケア・生活」について様々経験談の共有・それぞれの立場での課題・圏域における課題とあるべき姿や思うことについて

・独立行政法人・自動車事故対策機構(NASVA)、そして中部療護センターへの期待

 

 

【発表】

<1G

・感想のようなグループワークになったが、やはり皆さんこのようなケースをみて心が痛むというような話をされており、親のことを考えてもこれからのことは不安、費用のことも大変不安なことがあるだろうなということを話し合った。

・やはり1番辛いところは、本人の希望というのがなかなか組み取れない、本人がどうしてほしいのかというところがわからないということと話されていた方もいた。

・また吸引可能なヘルパーさんほか支援者がすごく少ない状況というのが社会情勢としてあるので、これがなんとかならないかということも出ました。

・今回の発表で、療護センターやNASVAという有効なシステムがあるということが勉強になったという方もいた。

・また交通事故に会われた当事者の方もいらっしゃり、その頃のことを思い出し、少し涙ぐまれながら、人には言えないような体のしんどさや辛さ、もっとやりたいことがあるけど仕事が十分にできない辛さなどで未だに苦しんでいるというご意見も頂いた。



 

<2G

・やはり継続的なリハビリができないリスク、負担も抱えていることであったり、今できることがどういうことなのかということを考える機会になった。

・ご家族さん、家族会の方のお話から、家族さんの負担も大きさや、コロナが蔓延した状況の中では、サービスもままならずに負担が増えていたというところもお伺いしている。

・障害の受容であったり、今後のいろんなところの不安の部分について質問をいただいたりもしていたが、実際のところ、その障害の受容というのは、もうずっとしていけるものではないんじゃないか、というような話もいただいている。

・住まいの問題であったり金銭の問題については今後続いていく不安でもあるが、最近は、有料老人ホームにつき、色々種類やレベルもあるが両親と子供さんとで入居される方もいらっしゃるという話も情報としていただいた。



 

<3G

・交通事故の方の支援をされた場合、やはりドクターの後を引き受けてくれるような 介護の方があまりおられず、トレーニングを受ける機会もあまりなく、在宅を望んでもかわない方がいた話や、医療的ケア児の場合とても似たようなケースで、介護している両親がやはり高齢になって経済的に大変なケースが多いという話があった。

・今回の勉強会で、うまく施設をつないでいっている仕組みを知りとても勉強になったということ、家族さんの支援を地域の力とか地域のサービスでどこまでできるのかということをすごく考えさせられた良い機会でしたという感想、家族さんも、やはりこう聞いてくれる人がいることがとても大事なのではないかという感想がとても多かった。



 

<4G

・実際交通事故の後の支援が、こういう風になっているんだという驚きを持つことが多く、その中でも今回交通事故にあって意識障害が出てしまい、病院から中部療護センターまでつないでいった事例は、とてもスムーズで勉強になったという話がとても多く上がった。

・家族会の方の話の中で、意識障害は良くて30パーセント弱しか良くならないというところで、やはり、事故は予防していかなければならない、ここが大事だという話があった。

・実際、医療と介護、医療と福祉の中で、介護者が最後介護ができなくなった時のセーフティネットがまだまだ十分ではないというところで、これからそのセーフティネットをしっかりしていかなければならないというところを非常に強く感じた。



 

<5G

・やはりこのようなケースに出会うことがなかなか少ないというところで、NASVAさんや中部療護センターさんのような存在、医療機関のことを初めて知りましたという意見があった。

・グループのMSWさんが元々保険会社で勤めていたとのことで試算を出してくれたが、やはり年間300万円ぐらいしか予算がないというところで、やはり困窮していくのかなという意見も上がっていた。

・発表してくださった先生がグループに来ており色々と質問させていただいていた中で、病院では15人ぐらいのユニットに対してナースさんが67人で看ておられるということで、かなり綿密なケアをされているということ、入院待ちの方がかなり多くおられるということで、早期からの入院調整がかなり大切になってくるというところ、急性期の体の状態が不安定な状態ではなくて、安定してから入られるというところが大事なポイントだということなど勉強になった。



 

<指定発言>

全国遷延性意識障害者家族の会 代表 桑山雄次氏

今日はどうもありがとうございました。

こういった地域でこのような課題共有をされておられるということに対して、やはり非常に敬意を表したいと思いました。なかなかこういった地域に各々が集まって、このような困難な事柄について話し合いをされるというのは、すごくいいことだなと思いました。

その反面、では具体的にどうするんだということになった場合に、どこまで社会資源が今の日本の中であるのかというと、非常に残念な状況だろうなと思っています。

うちの家なども、子供が事故にあった当時は、私も妻もフルタイムで働いてたんですが、子供が事故にあって2年半ぐらいでまず妻が仕事を辞めて、その後私が1人で仕事をしていたんですが、私の母も同居していてその母の介護も必要になってきて、ダブル介護が必要になってきたため、とてもじゃないが妻一人では支えきれないので、私も結局50歳の時に仕事を辞めるということになりました。やめる時に、うーんどうしようかなとも思ったんですが、とりあえず何もなければ、なんとか私が年金もらうまでの期間、食いつなげるであろうという前提の下で、仕事を辞めてやってきました。

うちの場合は、その加害者の方が、幸いにも対人無制限の任意保険に入っていてくれたので、そこから賠償金がもらえたということがあったんですが、私が仕事を辞めてから年金をもらうまでの間の10数年間っていうのは、もう貯金をどんどん切り崩すという生活の中でずっとやってきましたので、子供がもらった賠償金なんかもやはりかなり減ってるのも確かです。

あと先ほども成年後見の話も少しあったかと思うんですが、その制度もやはりまだまだ不備なところがあって、裁判を起こす時など、本人が意見が言えない場合には成年後見人を立てた上で裁判を行うんですが、そうなってしまった場合に、障害者本人のもらったお金というのはなかなか家族であろうが下ろせない。だから例えばあるグループホームがあって、そこにとりあえずは自己負担がこれだけかかるといった場合に、家族がそのお金を払おうと思っても本人の口座から下ろせないんです。その辺りが今の成年後見制度は不備な点が多くあります。

成年後見制度の見直しも進んではいるんですがなかなか結論が出ないというのは、元々成年後見制度が高齢者の財を守るというところから始まった制度なので、若年性で所得を持っている人たちのことはあまり考えていなかったという事情があって、その辺りが非常に話がややこしくなっていってるというのが今の現状です。

最終的には先ほどのグループの中でもちょっと話したんですが、有料老人ホームみたいな所の中でやっていくというのが1番いいのかなという思いがちょっとあります。今のところは、うちの家族会の場合、そういった施設を利用して過ごされるという方が多くなってきています。有料老人ホームの場合には市町村で使っている福祉サービスをそのまま使えますので、在宅という意味合いが変わってきているというか、施設の中で在宅を行うような形になるので、それも1つの作戦なのかなとか、そんなことを思ったりしていました。

ありがとうございました。以上です。



 

近江八幡市障害福祉課

私どもの方も、あまり交通障害のこのような方の支援というのは数多く経験してるわけではありませんので、医療機関ですとか、ご家族の会の方の当事者さんのご意見を聞かせていただきまして、大変勉強になりました。ありがとうございました。

市町村としまして、今後、この方が在宅を選ばれるにしろ施設を選ばれしろ、まずは身体障害者手帳をお取りいただき、障害の福祉施策サービス、補装具ですとか日常生活用具というような形のものを給付するなど支援させていただくにあたりましては、そのお住まいの障害福祉課が入口になりますので、そこの窓口の方に来ていただきまして、身障手帳を取るところから始めまして、それぞれ在宅であれば在宅のサービス、施設ということであれば、手帳に基づいた県内の障害のある方の施設のご相談にも対応させていただきたいと思いますので、何かありました時にはご相談いただけたらという風に思っております。

ありがとうございました。



 

【連絡事項】

第197回 三方よし研究会

2024516日(木)18:3020:30

当番:医療法人昴会

テーマ 心不全について


今回もここまでお読みいただき、ありがとうございました。

また来月もお待ちしております。