三方よしカレンダー

2024年7月18日木曜日

第199回 三方よし研究会開催のご報告

 199回三方よし研究会が下記の通り開催されましたので、ここにご報告いたします。

◇日時:令和6718日(木) 18:3020:30

◇会場:ZoomによるWEBで開催(東近江地域医療支援センター 多目的室)

(当番:八幡蒲生薬剤師会・東近江薬剤師会)


【ゴール】

ポリファーマシーの対策について再考する

各職種がそれぞれの立場で思う、ポリファーマシーを確認する

東近江医療圏域のポリファーマシーを解消する

 

【情報提供】

・第200NPO三方よし研究会記念大会・懇親会(2024/8/17)のご案内

来月いよいよ三方よし研究会第200回目を記念いたしまして、ホテルニューオウミにて堀田聡子さんの記念講演を中心に開催したいと思います。これまでの歩みを振り返り今後の新たな1ページを開く会にしたいと思いますので、皆さまふるってご参加いただければと思います。その後は記念パーティを予定していますので、そちらもふるってご参加いただきたいと思います。

また開催にあたり、記念誌作成の協賛広告を募集しております。こちらもどうぞお願い致します。

また令和6年度の会員会費の納入もこちらもぜひご協力をお願いいたします。

司会進行:大石和美先生



30分学習会】

ポリファーマシー ~高齢者の薬物療法について~

ゆうなみ薬局 金澤重幸先生

・在宅医療支援薬局について、また地域における夜間・休日対応薬局リストについて…滋賀県薬剤師会ホームページから検索可能。リスト等で把握を。

・高齢者の薬物有害事象増加の二大要因として多剤服用=ポリファーマシー、そして薬物動態/薬力学の加齢変化がある。

・ポリファーマシーとは、単に服用する薬剤数が多いことではなく、それに関連して薬物有害事象のリスクを増加、服薬過誤、服薬アドヒアランス低下等の問題につながる状態をいう。

・ポリファーマシーの形成例として、多病による複数医療機関・診療科の受診、また処方カスケードの発生がある。

・ポリファーマシーに関連した問題点として、薬物有害事象の存在や服薬アドヒアランス不良、服薬困難、同効薬の重複処方、処方意図が不明な薬剤の存在などがある。

・減薬・変更する際の注意点として、ポリファーマシー改善のための減薬手段は確立されていない。また機械的な薬剤の減薬はかえって症状悪化の可能性があるなどある。

・国民的理解を醸成、患者さんと家族を含む一般の方の理解を促していく必要がある。

 



 【症例報告】

ポリファーマシー ~こんな患者さん、いらっしゃいませんか?~


【グループワーク】

テーマ『ポリファーマシーについて』

視点

〇患者さん、利用者さんの薬が多くて困ったことはありますか?

〇それぞれの職種の立場から考えるポリファーマシーとは?

〇薬剤師が関われるタイミングは? その時どのように相談する?

 

【発表】

<1グループ>

 1番目のポリファーマシーの経験というのは、やはり皆さん色々なところで目にされている。色々な病院にかかっていて、いろんなところから薬をもらっている、かかりつけの薬局を持ってまとめてもらえたらいいなという経験、薬剤師が後ろにいることの大事さもあるという意見もあった。

・色々な立場の方から考えるポリファーマシーについては、やはりヤマネさんとか病院の方も、薬には困る経験というものはあるので、やはり薬局とか薬剤師に相談したい、入っていていただきたいという意見があった。特に入院や施設に入られる時などは大事だなという意見があった。

・薬剤師が関わっていくタイミングは、退院時カンファレンスやサービス担当者会議という色々皆さん集まる場で薬剤師が呼んでもらって、関われるタイミングっていうのは少しずつ出てきてるのかなと感じている。ただ、薬剤師側から出た意見としては、いろんな会議だけでなく、やはり普段からいろんな職種の方とオンタイムでどんどん情報をもっと共有しないといけないなと。いろんな患者さんの薬が、実は薬局としては薬を渡してるけど実はもう全然飲んでなかったケースがあったりの場合もあるので、そういうことをいろんな箇所として共有していくことが重要かなというような意見が出た。
・ポリファーマシー解消のためにはどうしていったらいいかという部分は、 やはりその多職種での情報共有という部分と、マイナー保険証でのチェックの機能などが、まだまだ浸透はしてないですけど、出てくるのかなという期待もありながら、処方が重複していたらチェックが働き出せないであったりとかの機能がついているツールであったり、薬剤師、医師、ケアマネさんとかヘルパーさんが情報を共有できるようなシステムがあったらよい。

・統合すると、ポリファーマシーをなくすには、医師、薬剤師が指導力を発揮してやる以外に道はないというようなお話をいただいて話がまとまった。

<2グループ>

・ケアマネとしては、とりあえず受診同行に行って、先生との関係をできるだけ近づけるように努力する

・お薬が多いので減らそう、またこの薬ずっと飲んでるけど、このまま飲んでていいの?と質問してくれる先生もいる。

・薬剤師先生の敷居が高いと思っていたが、少し敷居が低くなった気がした。

・この薬よりそっちの方がいいんじゃないか?と思うこともこれまでにあったので、そういうことも言えるような関係性が作れていけたらいいなと思う。

・薬剤師先生をサービス担当者会議に呼ばないといけない。入っていただくことで薬の飲み方や必要性を話していただける。

・情報共有をすることが大事だということがどの方からも出ていた。チームでできることがたくさんあるし、例えばお薬については、訪問看護だけが関わっているから訪問看護さんだけに任せておいたらいいというのではなく、ヘルパーなどの意見を聞きながらチームを作っていくことが大事。

・お薬カレンダーについても、もっとこういう風にしたら薬が飲めるんじゃないかというところも薬剤師さんに相談したらいいのではないかという意見もあった。

・薬を減らすことが目的ではなくて、相談してその人に会う、そしてお薬が飲めるようにしていくということが大事ではないか。

・支援者をたくさん作るのを目標にしようという意見もあった。

<3グループ>

・まず皆さんからそれぞれポリファーマシーに関わるところでの色々なお話を伺い、やはりどう相談していいかわからない、その中で課題にどう気づいていくかというお話があった。

・入院時においては相談をしてこられたとしても、内科系の先生は調整されるが外科系の先生が少なかったりすることがあるというような、実情の話も伺えた。

・薬をたくさん出していただける先生がいい先生だという、地域の捉え方、風潮もあるのではないか。

・多職種が、先ほどどう相談していいかわからないっていうところもあったが、やはりアンテナを張りながらいろんなことを伝えしていくことが大事ではないか。

・薬局は処方箋を持っていくところではなく、やはり地域の薬屋さんとして動きたいという意見も伺えた。

・薬剤師の役割が変わっていく過渡期の中で、大石先生が異常者ではなくスタンダードになることがこの薬剤師会1つの役割という話が印象的だった。

<4グループ>

・このグループは色々な方面から ポリファーマシーについて考えることができたのではないかなと思っている。

・まず、そもそもポリファーマシーになった原因としては、薬の副作用を打ち消すためのものもあれば、なんとなくで続けていたり、あるいは医師と患者さんとの関係性を続ける上で出ていることもあるということだった。

・医師同士でも、やはり退院で処方されているものを減らすというのは躊躇があるという意見もあった。

・入院した時に減らすという時でも、ポリファーマシーカンファレンスを行っている病院でも、急性期で入院期間が2週間などだと、減らした後の経過がわからないためになかなか難しい、この薬は明らかに無駄であるという薬はそないので、それでなかなか減らすことは難しいという意見もあった。

・そこで、入院時には、そレまでの薬局や在宅の方から、患者がどういった現状なのか、薬をどのように使用されてきたのかということを情報共有してもらい、退院前カンファレンスでは、医師、薬局、在宅が全員で今後の経過やどのように変更になったかを話し合う、いろんな職種で継続してコミュニケーションを取り続けることが大事ではないかという意見が出た。

・実際に経験されたこととして、お薬手帳を病院ごとに持っている、お薬を出してくれる先生のところに行きたい、この足のことはこの病院、ここのことはこの病院に診てほしいという感じで、患者がいろんなところに行きたいと話すことがあったり、患者同士の中で、仲良くなった人に聞いて、これ効いた薬やでと人にあげたり、自己調節したり、それで結果的にポリファーマシーに繋がっていくというケースがあると教えていただいた。

・特に市販薬とかサプリメントなども含めると、やはり患者だけで、その場だけで判断することは難しいので、薬剤師が情報提供をしたり、あるいはかかりつけ薬局みたいな感じでどこかで一本化することで、こういったことを防げるのではないかという風に考えた。

・またポリファーマシーの考え方を患者さんにも共有してもらうことが大事ではないかという意見も出た。

・最近のマイナンバーとかで、電子処方箋みたいな感じで電子化が進めば、より薬が被ったりどういった理由で出ているのかみたいなことがわかるので、ケアする側としても減らしやすいのではないかという意見も出た。

【指定発言】

居宅介護支援事業所サンフラワー建部 出口千鶴子 様

今日はありがとうございました。貴重なお話聞かせていただいてありがとうございました。やはりお薬、ポリファーマシーを解消していくのには多職種の連携が大切ということをすごく実感しているところです。 私はチーム永源寺で育てていただいたケアマネジャーなんですけれども、その時には当たり前のように先生や薬局と連携ができてたんですけれども、今、別の地域で働かせていただいていて、それができてない自分がいます。なので、やはりその時のことを思い出して、もう一度、やはり連携を大切にしていくことと、皆さんがおっしゃられてる多職種での情報共有とか、チームで考えるとか、連携するという部分にケアマネジャーもしっかり関わっていかないといけないと感じました。なので、今自分ができることといえば、利用者が介護保険サービスを使われた時には医療関係者の方としっかりと連携してご挨拶に行き、これからよろしくお願いしますと顔繋ぎをしていくことも大事だと思っています。これからお力になれることがあればしていきたいなと思っていますので、よろしくお願いいたします。


認定ケアステーション「まちの相談室」 多田陽子 様

今日は様々なご意見を聞きまして、すごく勉強になりました。ありがとうございました。 私は認定栄養ケアステーション、近江八幡の栄養相談室として、または市の栄養士としても携わっておりますし、その他、薬局さんでの栄養相談であったり、診療所で外来栄養相談をしたり、居宅管理指導とかで、様々な場面で患者さん利用者さんに関わっているんですけども、その都度、まずお薬はきちんと飲めてますか、など声かけはするようにしております。で、もしも残薬があった場合なんかには、薬局さんや先生に相談するようにということはお伝えしています。なかなかやはり飲めていないという人もいらっしゃったり、まとめて飲んじゃうという人もいたりするので、都度都度やはり薬剤師さんのお話、説明というのは大事なところかと思います。例えば、お話する中で便秘が気になるということを言われた場合には、食生活の工夫と共に、薬局さんと相談する場合などもあったりもします。あとは、今携わってる中で気になっているのが、食事内容の改善とか、その検査結果によって、こうこう変えられるかということを検討されてるのかということが、気になったりもします。今糖尿病で、1年ぐらいずっと食事相談に関わってる人がいるんですけども、食生活が変わってきて、ようやく半年後ぐらいから、じわじわ、ヘモグロビンも良くなってきたという方もいらっしゃるんです。けれども同時期に、お薬も追加されているので、そういう意味では、食事も先生の処方もどうしても大事なんだなということを今痛感してるところです。ポリファーマシーに対して、今日の勉強の中で、やっぱり多職種でいろんな人の意見交換をするというところが大事で、情報を共有する、それを聞いて、またさらにその中で食事として関わってくるところも出てくるかなと思いますので、多職種で、チームでやっていくというところがすごく大事だなと改めて思いました。ありがとうございます。


 

【連絡事項】

・第200回 三方よし研究会 令和6年8月17日(土)16:00~18:00

○会場  ホテルニューオウミ


今回もここまで読んでいただき、ありがとうございました。

次回は第200回記念研究会になります。皆様とおであいできるのを楽しみにしております。


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