三方よしカレンダー

2022年7月16日土曜日

第175回三方よし研究会開催のご報告

本日第175回のNPO三方よし研究会がオンライン、会場合わせてのハイブリッド方式にて開催されましたので、ここにご報告致します。



日時:令和4年7月16日(土)16:00~18:00

会場:オンライン、中野ビレッジ(東近江市)、タハレス(近江八幡市)

(当番:東近江薬剤師会、八幡蒲生薬剤師会)


【今日のゴール】

◯地域連携薬局について理解を深める。

◯薬局の薬剤師の役割について深堀する。

◯多職種が薬局や薬剤師とより密接な連携が取れるようになる。


全体進行;小串輝男先生

【学習会】

司会進行:(大石さん)



⚫️「地域連携薬局」について

滋賀県健康福祉部薬務感染対策課 太田 要さん


・皆さんは普段使われる薬局をどのように決められていますか?
・病院、診療所の近くにある、が一番多い理由?ほか相談しやすい薬剤師がいる、夜でも相談にのってくれる、自宅まで薬を持ってきてくれる、などか

・実は薬局はお薬を出してくれる場所だけではなく、様々な取り組みをしている。

・服薬情報の一元的・継続的把握とそれに基づく薬学的管理指導、24時間対応と在宅患者への対応、医療機関との連携など

・特定機能を有する認定薬局がある…「地域連携薬局」と「専門医療機関連携薬局」

・認定薬局の基準…5つの柱、①患者が安心して相談しやすい体制、②医療提供施設(医療機関、薬局等)との連携体制(顔の見える関係作り)、③地域でいつでも相談・調剤できる体制への参加(薬局間の連携など)、④一定の資質を持つ薬剤師が連携体制や患者に継続してかかわるための体制、⑤在宅医療に対応する体制

・地域連携薬局のできること…プライバシーに配慮した相談窓口、バリアフリー配慮した構造、在宅訪問対応、専門研修を受けた薬剤師が常駐、休日・夜間の相談、調剤対応、医療機関・介護施設との連携

・地域連携薬局はホームページで検索可能

・皆さんも自分に適した薬局選びを、薬局薬剤師さんには地域における役割の増大を自覚し地域医療を支えていただきたい




【講演

「地域包括ケアにおいて薬剤師が果たすべき役割」~多職種連携は多様性を活かすこと~

日本一親切な薬局を目指すてまり薬局グループ代表  橋本 昌子さん



<自己紹介〜現在に至る経緯>

・女性でも生涯をかける仕事を持ちたいと薬剤師へ、その後20年以上の勤務を経て会社を立ち上げ。その後福祉事業部を立ち上げる。

・祖母の死や父のがん、薬剤被害者の講演、自分の病気などが今の仕事につながっている



<在宅医療における薬剤師の役割>

・在宅訪問開始時に発見された薬剤管理上の問題点…薬剤の保管状況、薬剤の飲み忘れ、服用薬剤の理解不足など

・在宅医療における薬剤師の主な役割…患者宅への医薬品等の供給、患者の状態に合わせた調剤、服用歴の管理、薬剤指導支援、副作用等のモニタリング、残薬管理、医療用麻薬の管理、担当医への処方提案等、ケアマネジャー等福祉関係者との連携情報共有

・高齢者の在宅医療における固有の特徴と問題点がある

・多剤処方の問題〜高齢者では特に6剤以上の投薬が有害事象の発生増加に関連している

・個々の患者に適した調剤設計が必要



<介護になった原因は>

・平均寿命と健康寿命との差が男性では9.13年、女性では12.68年ある

・医療に頼っていると介護期間は延長してしまう

・要介護の原因は色々あるが、結局はメタボ関連、ロコモ関連、認知症関連、その他に集約刺される=介護にならないためには、生活習慣病の予防、重度化の予防、認知症ケアが重要



<なぜ福祉事業をはじめたか>

・きっかけは金沢南在宅推進会議、現在の921在宅ネットワーク

・会議で地域課題を抽出すると、高齢化が進んで死ぬ場所が亡くなる、これは大変だと感じる

・2013年に在宅型有料老人ホームひなの家を開所、2014年には訪問看護事業所を開設

・福祉事業で大切にしたいことは、高齢者の方の人格の尊重、その人らしさの尊重

・ターミナル期の方へのかかわりも大事に、デスカンファレンス等も

・2016年にはリハビリ型デイサービス「てまりフィットネス」も開所

・では医療や介護が充実すれば人は幸せになるのだろうか?の問いから、また絆の会in金沢での刺激から、2017年小規模多機能ホーム「ひなの家押野」を開所。開所式には加藤忠相さんにもきてもらった

・70代女性(Mさん)下部胆管癌の終末期ケアをした時の4ヶ月の事例



<他職種連携は多様性を活かすこと>

・各専門職それぞれに課題を抱えている、それはカンファレンスを重ね情報共有することで課題の解決策も見えてくる

・多職種連携にはレベルがある…情報連携→顔の見える関係→お互いに尊重できる関係→信頼関係ができている関係→頼り頼られる(考え方の共有できる)関係

・多様性のある社会とは、様々な価値観を持つ人が自分の存在価値を自覚できる社会ではないか



【ディスカッション】

司会進行:永源寺診療所 花戸貴司さん



『「そうだ、薬剤師に聞いてみよう」こんなことできますか?こんなときどうしよう?』

(回答者)

・てまり薬局 橋本 昌子さん

・丸山薬局  大石 和美さん

・ファースト薬局 瀧川 政邦


<医師小串さんより>


Q. 亡くなった安倍首相が日本にもメイヨークリニックのような地域が支える大きな病院を作るべきだと言い出し、地域の中で総合病院を作っていく流れができているが、衛生材料などを共同購入し少しづつ分けてもらうような試みはされていないのだろうか?

A. そのような話もあったが、結局ニーズがなくたち消えになった。ニーズが沢山あればできると思う(橋本さん)。今東近江では地域医療連携法人が立ち上がっており、細かいところを打ち合わせていくところ、その中で共同購入の話も入ってくると思う(花戸さん)。



歯科医師…輪田さん、藤井さんより>


Q. 多職種連携で歯科医師がハズされてしまう現実に関してはどのようにお感じでしょうか?

A. 私どものところでは歯科医師先生も協力連携医になっていただいている。ただ訪問診療ができる患者さんとなると結構ハードルが高いという印象がある。在宅訪問では誤嚥性肺炎をどうにかしたいと思っており逆に聞きたいところ。

〜湖東医師会では訪問診療に特化した地域連携室を作っている。そちらでニーズが高くなっている。訪問診療に関しては「まさか来てくれるとは思っていなかった」との声が大多数で、私どもとしてはいつでも対応しますと申し上げている。誤嚥性肺炎についてはマンパワーが必要ということも事実。



<訪問看護師蚊野さんより>


Q. ①使用期限の分からない場合が在宅では多い中で知る方法があれば、②薬のセット等で訪問していただくのに月2回の縛りがあるので中々進まないが良い方法があれば、③患者情報はどこまでお持ちか、④薬のより詳しい内容につき誰に聞いたらよいか、について教えていただきたい。

A. ①薬袋を必ず残してもらいたい。調剤日が必ず書いてあるので。3ヶ月や半年が目処になる(橋本さん)。②月4回は入れる(橋本さん)。月4回+急性増悪など緊急訪問枠をかませていけば、かなり入れるはずなので、月2回で限定している薬局があれば変えるのも一つ(大石さん)。③基本患者から聞き出す+病院の情報をICTで限定的に見れるのもあるが、大事なのは連携しつつ把握することだと思う(橋本さん)。④薬の情報については、薬剤師は6年間勉強しているので、知らなくとも調べ方を知っているので、ぜひ聞いてもらいたい(橋本さん)。



<介護支援専門員前田さんより>


Q. 多剤服用をやめないご本人さんへの働きかけは?また多職種連携をする際に各先生方を巻き込む声かけや時間的な工夫があれば。

A. 多剤服用については、相手の理解力にもよるが、何のためにこの薬を飲んでいるか、作用につき図に書いて納得していただくのが一つの例です。担当者会議については「熱意を込めて」声かけをしていくことが必要ではないか(橋本さん)。

〜「前のめり感」も大事。この三方よし研究会のグループ分けでも、そのような方が何人ほどいるかでグループ分けはいつも悩み工夫している(花戸さん)。



<施設管理者堤さんより>


Q. 2月にコロナが施設で発生した際に、入院対応ができずに施設対応となった中で考えさせられることがあった。処方薬としてはラゲブリオ等の投与も今後の発生の際には検討しているが、カプセルが大きく飲みにくい。服用の仕方につき何か良い案はないものだろうか?また家族同意のプロセスについて聞きたい。

A. ラゲブリオの脱カプセル後の懸濁液の経口投与については、各施設・医師において判断してくださいとなっている(滋賀県薬務課)。家族同意については、本人家族の同意につき医者がとることになる(花戸さん)。



<行政木下さんより>


・多職種連携が竜王町ではありがたいことに進んでいる、気軽に皆が聞ける関係が築けていると思う。サービス担当者会議は先生が言われるように本当に大事だと思っている。今日のお話でお薬の大事さがよく分かったので、また連携して対応していきたい。



<Web参加者…大熊さんより>


Q. 必要がない薬、多い薬、副作用の強い薬の処方で不利益を被っている認知症の患者さんに対して、それを見つけられるのは薬剤師さんしかいないが、各医者先生に話すのは非常に難しいことと思われるが、どのように対応されておられるのか?

A. 老人ホームでは看護職、介護職等と話し合った結果を先生に投げかけて、減らした場合の体調をみていくことで減った方がいる。根拠を持って手紙を書くなど(橋本さん)。あの手この手を考える。宴会に出て先生の人柄を把握し伝え方を工夫するなど。やはり心の見える付き合いが重要ではないか(大石さん)。近江八幡の総合病院では、薬剤部の薬剤師先生から医師先生に聞いていただくという方法を取ることもある(瀧川さん、林さん)。東近江では二人主治医制で対応できていることもある(花戸さん)。



<Web参加者…廣島さんより>


・一部の錠剤等ではPTP(包装シート)に使用期限を含んだコードや記号、あるいは刻印のあるものもあるが、まだまだ少ない現状がある。ましてや最低薬価など。 



【最後に橋本さんより】

 現在226名の職員がいる中で思うことは、人が一番大事だということ。その人にいかに働きやすい環境を提供できるかのことばかり考えている。結局働きやすいというのは、ワガママが通ることではない。しっかりしたルールがあってこそだと思うし、その意味で物差しをある程度作って決めている。またやったことの評価も大事、その制度も作っている。そして自分が成長していける職場であること。これからも人が輝ける職場にしたいなと思っている。




<自己紹介>

・初めての参加者を中心に自己紹介



このようにして無事に研究会は終了しました。

橋本先生、とても有意義な時間でした。ありがとうございました。



18:10からは恒例の三方よし研究会 オンライン納涼会も開催されました。

会場は2会場とオンラインに分かれ、ソーシャルディスタンス等に配慮しながらもビンゴ大会等大いに盛り上がりました!

皆さま、お疲れ様でした。



【次回】

・第 176回 NPO三方よし研究会 令和4年8月18日(木)18:30~20:30



また次回も皆さまにお出会いできますことを願っております。

ふるってご参加ください。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。