三方よしカレンダー

2021年11月18日木曜日

第167回三方よし研究会のご報告

今回も第167回三方よし研究会がオンラインにより開催されましたので、ここに報告いたします。




日時:令和3年11月18日(木)18:30~20:30

会場:ZOOMによるWEB開催

(当番:びわこリハビリテーション専門職大学)

 

【ゴール】

○地域の中での大学の役割を知ってもらう。

○ノーリフティングケアについて理解する。

○介護者の身体的負担の軽減方法について検討する。

 

【情報提供】

田内さんより

近江八幡にて整体院を行っています。ご興味のある方はぜひご連絡下さい。


 

 楠神さんより

I-martスーパーマーケットにてヘルス&ワーク倶楽部を立ち上げました。ご興味のある方はぜひご連絡下さい。

 


 

【山川正信学長よりの挨拶】

当大学は昨年できてから、即戦力・実践力の養成に力を入れてきました。色んな地域に出向き、現場で生かせるように貢献していきたい。これからもどうぞよろしくお願いいたします。



進行 岩崎さん



【本学の取り組み】

理学療法学科 山内正雄学科長より


・地域共生社会の実現に向けて、生涯スポーツ論、労働衛生論、災害支援論、ボランティア論、子育て支援論、教育支援論、地域共生論といった科目を用意しており、キャリア形成に向けてヘルスプロモーション、生涯スポーツ、生活工学を柱に様々な学習、実習を行っている。

・実践として北坂地区にて高齢者体操教室を開催したり、環びわ湖大学・地域コンソーシアム大学地域連携課題解決支援事業へ参画している。東近江市在住の高齢者へのいきいき体操健康講座、まちリハ体力測定へも参画している。



【学習会】

『テーマ1』

「介護する人・される人にとって、安全で快適な介護を実現する〜ノーリフティングケア」

作業療法学科 垰田和史教授より




・介護する人の健康問題としては、腰痛・肩こり・ケガ・心身疲労・コロナ感染がある。そのうち看護職、介護職での腰痛発生率は5割と非常に高い。

・腰痛は負傷に起因する疾病の37%を占め、業種別発生割合では保健衛生すなわち介護看護業界が35%を占めている。

・腰痛を引き起こす業種別にみると、昔多かった製造業や運輸交通業は対策が取られ年々件数が減っているが、保険衛生業は右肩上がりとなっている現状がある。

・腰痛の発生要因としては、作業要因・環境要因・疲労回復阻害要因・個人的要因・ストレス要因の5つが世界的に認められている。

・イスなら4つの支えがあるが、人間の腰は一本の支えしかない。

・この点世界から日本は遅れてしまい、欧米では抱き抱えるのは法律違反となっている。

・職場における腰痛予防対策指針が出され、2013年に改定されたが、そこで介護者、看護師の腰痛をなくすために示された原則として、抱き抱えての介助をさせてはいけない、ノーリフティングケアの実施が示された。

・具体的な器具として、移動式または固定式のリフト、スライディングシートなどがある。

・日本では高知県が全国で一番進んでおり、ノーリフティングケア宣言を行い、全県一丸となって取り組みを行なっている。

・高知県では1億4千万かけて対策を行なっており、滋賀県も高知県を真似て3年前から社協を中心に取り組みを行なっている。

・全国の社会福祉施設における死傷病災害件数では、全国平均が右肩上がりなのに対し、高知県だけが下げ止まっている。そのため他県から高知県に介護者がやってくる状況まで出てきている。

・ノーリフティングケアが利用者さんの安全につながり、結果外来受診の減少にまでつながっている。

・びわこリハビリテーション専門職大学は、ノーリフティングケアの普及を応援しています。








『テーマ2』

「誰かに伝えたくなる!?在宅介護者に向けたスライディングシートの使い方」

作業療法学科 鈴木先生



理学療法学科 川崎先生、山口先生



・スライディングシート動画の紹介

・滋賀県ではノーリフティング=「抱え上げない介護」という言葉で広めようとしている

・今はこんなように介護が変わってきている。興味のある方はノーリフト協会のホームページをご覧ください。




【グループワーク】

進行:花戸先生

テーマ「介護者の負担を軽減するには?」

・介護者の身体的な負担にはどのようなものがあるか?

・身体的な負担を軽減するにはどのような方法があるか?



【発表】 

G

・スライディングシートは素晴らしい。

・特に介護する方、家族さんに伝えたい、知ってほしい。

・側臥位で使っている場面、新たな使い方を知れた。

・介護される側の気持ちも考えることができた。

・リフトについては、大きさなど在宅では使いづらい。

・スライディングシートは表皮剥離、褥瘡予防に役立っている。

・感染の観点から、シートは利用者ごとに変えたほうがいいのか?消毒の仕方は?

…びわこ学院では1人1枚用意している。30005000円なので、備品として。洗剤でも洗える。交換時期としては入浴などハードユーザーは半年くらいで布が滑らなくなるが、普通自宅で使っている時にはそれほどではないはず。


G

・シートの存在は衝撃的だった。

・病院ではリフトは環境的・費用的に課題がある。浴室環境には入れられるかも。

・特養では3台導入されていて、使用できる職員数に課題がある。

・シートは導入しやすい。課題としてはシートを持ち上げて使っている人がいるなど。

・在宅では脊椎損傷、パーキンソンやターミナル期の利用者さんに有効だったとの意見あり。

・滋賀県ではスライディングシートの購入が、障害者施設の利益となる循環システムが出来上がっているので、ぜひそういったところで購入して頂きたい。申込先はびわこリハビリテーション専門職大学まで。



G

・やはり教育が一番大事ではないか。ノーリフティングなどは新しい知識になるので、知識をアップデートしていかないと職員の質を底上げできないのではないか。

・やり方としては、まずは動画などをみてからやってみないと分からない。

・職員共有のためにはマニュアルも大事。

・やり方やテクニックばかりを伝えても反発が出てくることもあるので、目的を共有することが重要。



G

・シートを使っていたのに使わなくなった事例から、いかに継続させられるかが大事という話になった。

・患者一人に1枚、またその場にある、使いやすい場所にあるなど。

・福祉用具のレンタル商品に入っている、ベッドのレンタルに付属してくる、購入助成もある、などあると普及するのではないか。

・最初の教育も重要。



G

・使っていない方には使って欲しいし、褥瘡によい。

・寝たきりだけでなく座っている人にはスライディングボードもある。

・リフトを現場で徹底できてくると介護者の負担は減ってくるのではないか。

・まだ必要性ある介護に関わっていない人もいるので、事前に知っておくことも重要。

・スライディングシートは高いイメージがあったので、スーパー袋やゴミ袋でも代替できることもある。

・ぜひまたこのような教室に学びに行ってもらいたい。



【コメント】

びわこリハビリテーション専門職大学 作業療法学科 垰田和史教授

・教育は大事だと思っているので、三方よし研究会でまたこういった機会を作ってもらえたらと思っている。

 

【びわこリハビリテーション専門職大学スタッフ先生のご紹介】 

理学療法学科 宇於崎先生


作業療法学科 河津先生


理学療法学科 川崎先生、山口先生


理学療法学科 池谷先生

 

 

【次回のお知らせ】

第168回 三方よし研究会

令和3年12月18日() 16:00〜(いつもと時間が違います、ご注意を!)

漫画家 魚戸おさむさんの講演ほか。

その後はオンライン忘年会を予定しています。







今回もご出席の皆さま、お疲れ様でした。

腰痛対策、ノーリフティングの理念から実践までとても学びと気づきの多い会となりました。

また次回もお会い致しましょう!


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。