三方よしカレンダー

2022年5月21日土曜日

第173回 三方よし研究会のご報告

173回三方よし研究会を開催しましたので、ご報告いたします。

◇日時:令和4年5月19日(木) 18:3020:30
当番:医療法人社団昴会


ゴール
 ○ 人工関節置換術について知識を深める
 〇 フィードバックカンファレンスについて知識を深める

【情報提供】
 ・三方よし研究会総会の書面決議についての案内


【30分学習会】
テーマ『人工関節置換術について』
講師:医療法人社団昴会 東近江市立能登川病院 関節センター  川那辺圭一医師


 ・各種人工股関節には、次の種類がある。
   股関節、足関節、膝関節、肩関節、肘関節
 ・人口股関節に至る原因
   外傷、繰り返しの過度な荷重ストレス、先天性形態異常、疾患
 ・滋賀県人口関節センターにおける手術数(2021.42022.3
   人工関節112件、人工膝関節76件、骨折61件、総数:330
 ・滋賀県人工関節センター 独自の取り組み
   1.動画によるクリティカルパス(治療計画)を作成
   2.出血量を減らす工夫による自己血貯血やドレーン留置もしていない
   3.カクテル麻酔により手術後の疼痛を大幅に軽減
   4.両側同時手術も3週間の入院
   5.年齢制限はなく高齢者(85歳以上)にも積極的に手術を行っている。
 ・患者さんの心配事
   ・手術が怖い
   ・手術後の痛みが心配
   ・トイレに何日も行けないのでは?
   ・リハビリがつらいのでは?
   ・日常生活が今より不便になるのでは?

  ※心配を少しでも和らげられるよう動画によるクリティカルパスを独自に作成
・動画を用いたクリティカルパス
   ・出血量を減らす工夫
   ・手術時間の短縮
   ・トラサミン(止血剤)の使用
   ・低血圧麻酔(100如何にコントロール)
  ※人工股関節300g以下 人工股関節50g以下

   ・術後疼痛の対策
   ・腰椎麻痺で手術(静脈麻痺併用)
  ※出血量、感染、血栓症などの合併症の減少が報告されている
   ・カクテル麻酔
    24時間効果持続   
  ※人工股関節術では術後直後の痛みがほとんどなくなった
   ・人工関節に年齢制限はない
    人工膝関節(平均年齢74歳)、人工股関節(平均年齢66歳)
  ※手術を受けてでももっと歩きたいという本人の希望が大事
   ・人工関節の良い点と問題点
    〇良い点
     ・痛みがほとんどなくなる
     ・関節の動きが改善される
     ・歩容の改善
  ※心配機能・精神衛生の改善
    ×問題点
     ・術後感染(1/200
     ・深部静脈血栓症
     ・脱臼(人工股関節)(1/100
  ※人工関節の耐久性
     ・人工関節(股・膝)は重症心疾患を40%減らす
      理由:運動ができるようになる
         痛みがなくなりストレスから解放される
         鎮痛剤は心疾患の危険因子
  ※10年後には生存率に15%の差が出ている。

・長期成績
   人工股関節:緩まない確率(術後20年)80% (術後30年)70
    ・人工股関節展示室(人工股関節ミュージアム)
    ・今年(R4)の7月以降能登川病院内に設置予定
    ・様々な人工関節を展示
    ・手術前後の患者さんの歩行をビデオで視聴
    ・動画を用いたクリティカルパスを実際に試して頂く
    ・人工関節手帳の配布
  ※外来受診をしなくても見学できるようにしたい




【情報提供】
 テーマ『 病院と地域をつなぐ~コロナ禍でもフィードバックカンファレンス~ 』
 講師:訪問看護ステーションゆげ 管理者 雨森千恵美様




 
  ・看護師同士がつながる。
   ☆看護師ネット:病院看護部長、地区支部役員、職能委員、地域連携室、
    訪問看護ステーション、地域(施設、外来)看護師、助産婦、市町保健師

  ・フィードバックカンファレンスとは?

   目的:急性期と在宅の両方から実施した退院支援、調整などを振り返り、
      共に「看護」を深めるため、経過を知り、その意味を考える

   効果:次に繋がる、よりよい退院支援・看護実践
      療養者と家族が安心して在宅医療に移行できる
      病院看護師と訪問看護師など、お互いの立場を理解し協働できる

 

講師:近江八幡総合医療センター 総合内科 向原千夏様

  ・倫理カンファレンス
    テーマ:ALS 〇さんの支援について
  ・大腸がんターミナル期の支援について

~~~効果~~~ 
   ☆認定看護師の指導を受ける機会となり、質の高い看護実践につながる
   ☆看護師以外の専門職ともつながる
   ☆本人・家族の思いを共有する
   ☆相互関係や信頼関係の構築に役立つ
   ☆☆感謝の気持ちを♡

~~~まとめ~~~
     ☆地域看護力が向上する
   ☆質の高い医療が提供できる
         ☆フィードバックカンファレンスで元気に!


【事例紹介】
テーマ『 フィードバックカンファレンス ~膵頭部がん患者を振り返り~ 』
事前に実施したフィードバックカンファレンスの様子を動画配信
発表:医療法人社団昴会 日野記念病院 地域医療連携室上田






【グループワーク】
テーマ『 フィードバックカンファレンスを通しての学び 』
グループに分かれて以下の内容について話し合ってもらう
 ・フィードバックカンファレンスの感想
 ・在宅看取りに関して各機関でできる取り組み
 ・在宅調整を行う上で、大切にしていることは何です
 ・在宅調整が困難になった要因はどういったことがありますか?


【発表】

 1G:(感想)

     多職種で事例を振り返れる良い機会である。又退院後のことも知ることができる
   (在宅調整が困難な要因)
     家族の協力をどこまで得られるか?
     在宅医療を担う医師が地域で見つからないことがある。
     物品の調達が難しい。
     在宅で看取りをする際、家族の疲労が溜まらないようにする。

2G:(感想)
     地域の資源である多職種の関りを知ることができる。
   (取り組み)
     これができるいいのにって事ことが、繋がることがある。
     事例を積み上げることで、看取りの不安解消につながる
     家族は、まわりの意見に左右されるので、私たちが看取りができると言わないといけない。(できることを提案する。)→良い事例を伝える。

 3G:多職種で話し合ったりなど、デスカンファレンスも含めて、看取りついて振り返れるこのような機会、課程が大切なので、そこを共有できることが良いと感じている。

   (在宅調整が困難な要因)
    同居家族がいない場合は在宅調整が難しい。
     協力者がいないと調整が困難になる。
    外野の方の意見で、在宅調整が困難になる。(普段関りの無い、遠方の方)
   (取り組み)
    フィードバックカンファレンスでは、医師、看護師、ケアマネ・・などなど、本人家族から聞くお話が異なるので、そのような情報もこの場で共有できることが有意義である。

 4G:退院前カンファレンスとフィードバックカンファレンスの大きな違い、退院前カンファレスには本人、家族が同席するが、フィードバックカンファレンスでは専門職だけで行うことを知ることができた。
   (取り組み)
   在宅調整では、如何に早く情報を専門職間で共有するかが重要である。又進行性のがん患者の場合は早めに意向確認を行えるようにしている。コロナ禍で病院と在宅での情報共有が難しくなっているが、直接会えなくても、動画(ICT)なども活用して取り組んでいきたい。

 G:フィードバックカンファレンスの場で、振り返りを多職種で行うことにより、よい取り組みを共有して次につなげることができる。
専門職それぞれの引き出しが異なるなかで、良いケアを繋いでいきたい。

 

〇指定発言:
・東近江保健所 松浦 様

 皆さんからの報告を聞かせて頂き、本人さんの思いをしっかりと聞いて寄り添うということ、又地域とつながる大切さを知ることができました。病状だけでなく、本人が大切にされていること、楽しかったこと、家族への思いなど、しっかりと繋いでいければと思います。
フィードバックカンファレンスは東近江保険所の医療福祉連携係が窓口になっています。今後、より活用して頂けばと思いますので、よろしくお願いたします。

 医療法人昴会 日野記念病院 緩和ケア認定看護師 西岡 摩矢看護師長
 本日は貴重な機会をありがとうございました。グループワークを通して関わらせて頂き、振り返りを行うことができました。
 患者さんの心の変化などを知り、私自身こうすればと考えることもでき、退院支援を向上させていきたい。多職種で連携してコミュニケーションをしっかととっていくことが必要であり、情報共有することの大切を改めて知ることができました。緩和ケアの認定看護師として、本人、家族、看護師が良くなりたいと治療に取り組んでおられるので、私はどういった気持ちを最後まで大切にして支援したい。

 【連絡事項】 
・第174回 三方よし研究会 令和4年6月16日(木)18:30~20:30
東近江介護サービス事業所協議会(施設部門・在宅部門) きいと ZOOM活用によるWebで開催します。