三方よしカレンダー

2022年9月19日月曜日

第177回 NPO三⽅よし研究会のご報告

177回 NPO三⽅よし研究会を開催しましたので、ご報告いたします。

⽇時:令和4915⽇(⽊) 18302030


会場:ZOOMによるWEB開催
当番:近江⼋幡市⽴総合医療センター 

テーマ:独居で⾝寄りのない⽅の在宅看取りを地域でどう⽀えるか
ゴール:①⾝寄りのない⽅の在宅看取りに関する⼿続きを理解する
    ②独居で⾝寄りのない⽅を地域で⽀える連携について考える

進⾏:⾕川摩⾥⼦ 様


 【挨拶】                  
近江⼋幡市⽴総合医療センター院⻑⽩⼭武司 様

この会は、長く続けられているとお聞きしています。普通に治療する病院だけでは解決できないことがありますので、皆で考えて解決に向けて取り組んでいきたいと思います。今回は看取りがテーマですので、どうぞ、よろしくお願い致します。

【学習会】 独居で⾝寄りのない⽅の在宅看取りに関連する⼿続きについて
近江⼋幡市役所⻑寿福祉課⾕⼝茂樹 様



・世帯構成の推移と見通しについて
  単身世帯が徐々に増えており1985年の20.8%に対して2040年には39.9%になる。
  高齢者単身世帯も増加し1985年の3.1%に対して2040年には17.7%となる。
65歳以上のいる世帯数の構成割合の推移について
  65歳以上の者のいる世帯の26.3が単身世帯
  親と未婚の子のみの世帯も2割近くまで増加している
70歳代の単身者の構成の変化について
  70歳代の単身は増加傾向であり、特に男性の方について、19855.3%であったものが、2015年には25.2%にまで増えている。

・身寄りがない方とは、
  身寄りがない人
  身寄りはいるが、家族や親類へ連絡がつかない状態にある人
  身寄りはいるが、家族の支援が得られない人

・本人が決定できない場合に生じる場面ごとの課題
  場面①自立した生活の危機を感じる。
  場面②重大な医療処置を受ける。
  場面③重大な医療処置が終わり退院する。
  場面④ADLIADLの低下で日所生活の再構築が必要
  場面⑤死亡が予見され対応する(死亡した後で対応する。)

・高齢期に求められる意思決定の内容とそれを実現するために必要な活動を場面ごとに整理すると、日常生活自立支援事業や成年後見人制度の利用によって、社会参加が継続できている事例があることがわかる。

【事例提供】

    独居で⾝寄りがない在宅看取りを希望していた事例の紹介
   近江⼋幡市⽴総合医療センタ患者総合⽀援課近野由美 様

 事例経過
「自宅で看取りを望まれながらも、病院で最期を迎えた身寄りの無いAさんの終末期支援」
※事例の詳細は個人情報の為、掲載なし。

〇振り返り
・初回のストマ外来受診時、ストマケアのことに目を向けてしまったこと。
・車椅子移動のAさんの生活の様子を確認できなかったこと。
・予後について確認が不十分であったこと。
・介護保険申請からの進捗状況を確認できていなかったこと。(郵送されていたが、気づけず間に合わなかった。)
・在宅看取りのサポートについて認識不足があったこと。(独居の方の在宅看取りは難しのではと思っていしまった。)

②ケアマネとしての関わり
しみんふくし滋賀近江⼋幡居宅介護⽀援事業所 藤野純⼦ 様



「三方よし 多職種連携」(ケアマネとしてこの事例に関わった支援内容を紹介)
※事例の詳細は個人情報の為、掲載なし。

〇振り返り
 ・退院後45日目、疼痛に耐えられず「楽にして欲しい、殺して欲しい」と涙ながらに訴えられたが、在宅の訪問診療等の手続きが間に合わず、支援できず。
 ・本人は在宅を希望されていたが、本人に薬調整目的で入院することを提案して、入院となる。
 ・在宅での環境を整えるのに、関わる期間が短かったがそのことを言い訳にしてはいけない。(退院38日目にケアマネとして介入したので、実質1週間の支援となる。)

【グループワーク】
 進行:花戸貴司先生
テーマ

    独居で身寄りのない方の在宅看取りの事例に出会ったことはあるか
    今後、独居で身寄りのない方が在宅看取りを希望されたとき、地域と医療機関ではどのような取り組みができるだろうか
 

【グループ発表】
1G:

訪問診療に来て頂く先生を探す事も大変です。近江八幡では訪問診療できる医師が限られており、事例の方も医師を探すのが大変だったと思うとグループでも意見がでていました。
訪問看護からも依頼する際に、どこの先生がよいか?と聞かれることがあり、情報を伝えるが、最終的に決まられるのは、本人、家族となる。東近江市では二人の先生に担当して頂く主治医2人制がとられており、急性期の先生と在宅の先生の連携も取りやすいとの情報提供もありました。今後、身寄りのない方が多数でてくるが、ケアマネ、ヘルパー、訪問看護を逆の立場で支援することも必要だと思います。藤野さんは、事例の肩を病院に送ったことを後悔されていましたが、よい支援をされていたので、後悔してほしくないなっとグループで意見があがっていました。
事例については先生の指示書がどうしても必要なのかなっと、必要でなければもう少し動きやすくなるのではと意見がありました。

宇都宮先生:魚住先生から良い意見を頂いていましたので、お話して頂きたいです。

魚住先生:介護保険当初は意思決定できない方への在宅看取りができるか?の疑問がありました。それを試した経験をお話しさせて頂きました。独居の方でしたが同居の方がなんでもしれくれて、最期は遺骨を遠方までは運んでいただいたケースがあります。
先ほど、指示書の話しがありましたが、介護保険ができてから変化がなく、指示書も変わらないし、身分制度も変わらない。それを根本的に少しずつでも見直していきたい。例えば、吸引がヘルパーができるようになったとか、医師の指示で在宅看取りを看護師がしても良いなど、少しずつ変わってきている。

2G:

本当に経験豊富な皆さんのお話しを聞いて、書き写すこともできませんでした。私はケアマネ2年目で、まだ看取りの経験もありません、身寄りのない独居の方も担当したことがないので、大変勉強になりました。
先ほどの事例では、自宅で最期を迎えることが叶わなかったとのことですが、様々な人がか関り、孤立した状態ではなく、皆さんに囲まれた最期を迎えられことはとても素晴らしいことだと感じました。私は、最期を聞くことがタブー視されているように思いますが、聞きにくいこでもで信頼関係を築いて、聞けるようになりたいと思います。

永杉:

急性期のドクターである間島先生が、このような三方よし研究会のような場に私達医師をもっと引っ張り出してほしいと思いを伝えて頂きました。

間島:

ありがとうございます。私の思いを聞いて頂き、ありがとうございました。


 3G:
たくさんの意見がでていましたが、時間が限ら得ていますので、5点に絞って発表させて頂きたいと思います。


・お金のことを安心でできる関わりが必要。今回の事例ではお金のお話をして安心させてあげることが必要だったのではと思います。
 ・ケアマネが入られた期間が1週間と短かったので、できるだけ早い時期に支援者が入れるようにする。
 ・本人の意思を確認するのも大切だか、ある程度の時期にきたら、経験のある支援者が引っ張っていくことも必要との意見がありました。
 ・この方は独居でしたので地域の暮らしの中で、見守りの体制があればと思いました。民生委員やボランディアグループなどとも連携していくことができればと思います。
 ・このようなケースこそ、二人主治医制度の導入が大切。
 ・その人の思いを馳せて関わることが必要。

4G:

ファースト薬局で実習しています。実際に独居の方の看取りにかかわった方が4名おられた。それぞれケースを教えて頂き、共有することでは、事前の準備ができたかどうかが大きい。特に疼痛のコントロールが必要。又急変時の対応を多職種で協議して備えておくことが必要。


それぞれの立場、視点で検討することが大切であり、例えば、「早く帰りたい」の気持ちが、どこにあるのか、それぞれの職種の立場で考えたい。お互い情報提供して介入できるようにしたい。 

神崎中央病院:
 


療養型ということがあり、身寄りの方の受け入れが少ない状態ですが、今後身寄りのない方の受け入れも増やして、地域に貢献していきたい。

5G: 

まず、事例提供者の方に対して、短い期間であっても「ありがとう」って言葉が出たところはよかったと思う。信頼関係を気づけたのだと思います。その後どうなったのか?も知りたいとグループからは意見がありました。地域とのかかわりがどうであったのかを考えると、向う三軒両隣とか田舎の行事が少なくなった中でも、会費を11軒もらいに行くとか、回覧場を回すとか、そのようなことが地域の中での顔の見える関係づくりにつながり、助け合いにつながるのではと思いました。家族に看取られても、地域に看取られても、後悔はどのようなケースでもあるかもしれませんが、今回ケースでは支援者を最期まで頼りにされており、本人様にとってよい最期となったのではと思います。

指定コメント:
東近江保健所:松浦さゆり様 

本日、参加させて頂き、とても貴重な機会となりました。東近江圏域では自宅での看取りが17.8%(県16.6%)と徐々に増えています。今後も独居の方の事例も増えてきますので、地域の力が大きく、医療、介護、行政と地域の住民の方も繋がっていくことが大切だと思いました。
事例を聞かせて頂き、病状だけでなく、生活を支えることが大切だと思います。今回の事例で時間が不足していましたが、普段から掛かりつけ医を持っておくことが大事であると改めて思いました。これで良かったのかと、不安なことがありますが、そういう時に、多色でのチームが大事だと思いました。グループワークで良かったのが、独居でも東近江ならなんとかなる。東近江地区は三方よしもそうですが、包容力を感じています。

金田学区民生児童委員:大黒隆様
 

今日のゴールは地域で支えると書かれていますが、地域のイメージは近隣とか自治会とかだと思います。民生委員を6年していますが、地域で支えるというと言葉は良いのです、この辺も都会化しており、地域の繋がりが弱くなっていいます。又、民生委員の力量も異なり、どこまでできるのか?とも思います。民生委員は普段、福祉に目が行っているので、今日のようなケース、医療とは関りがない状況です。
民生委員の研修も福祉が中心で医療とはあまり繋がりがなく、反省も込めて、今まで生活状況の把握だと言うと、主に高齢者の介護を考えていましたが、今日のようなケース、病気にも目を向けたいと思います。このような方は、普段から孤立とか、地域と繋がりがないかたもおられるではと思います。
それと死後のこととも、必要になると思いますが、金銭的なこと遺言等の思い問題もあり、その辺は地域とか、民生委員には手に負えないので、行政や法律の専門家の関わりも必要と考えます。
全体的には民生委員は福祉、介護に目が行きがちであって、今後医療で困っている方との関りを持っていきたい。

花戸:
 

民生委員の方へお伝えしたいのは、直せない病域はあっても、ケアできない病気はないと我々は思っています。何か困った時は民生さんにお願いでなく、何かあったら、民生委員から私たちを頼って頂きたいとの思いです。
介護にかかわる方だけでなく、医療に関わる方も多数おられますので、是非お声をかけてください。

[連絡事項]
 

次回第178回三方よし研究会は1020日(木)1830から2030
当番は東近江市役所、東近江社協、東近江市まちづくりネットで実施しますので、よろしくお願いたします。