三方よしカレンダー

2021年8月20日金曜日

第164回三方よし研究会のご報告

 第164回三方よし研究会が開催されましたので、ご報告します。

◇日時:令和3年8月19日(木) 18:3020:30
◇会場:zoomによるwebで開催(東近江市休日診療所内)
(当番:湖東歯科医師会 ぴーまん食楽部 )
◇ゴール
 ○口からの健康づくりを学ぶ
 ○歯科診療の実際
 ○患者様の状況が変わっても適切な支援を続けるために

【情報提供】
・ぴーまん食楽部の活動報告(おいしく食べてフレイル予防の冊子発行など)

・意思決定の為のICT機器活用セミナー(NPOオリーブの実)
【30分学習会】
『口から始める健康寿命の延伸』おおにし歯科クリニック 歯科医師 大西啓之先生


・県内の高齢化率:東近江27.4%ですが、三方よし研究会のこちらの会場の高齢化率はもっと高いです(^^)
今日、お話をする内容

 ・健康で元気に生活するために知っておきたい言葉(フレイル サルコペニア オーラルフレイル)
・食べられないを感じ取る、お口の働きを理解しよう、大切なお口のケア、お口元気で健康長寿
 ・フレイル(虚弱)
 身体の虚弱、こころ認知の虚弱、社会性の虚弱
 ・サルコペニア
 筋肉減少症→サルコペニア予防は健康寿命延伸の1つの大きな要因
 ・オーラルフレイル(口の虚弱)
 フレイルと関連する口腔機能の低下、食欲の低下、低栄養とも関連する
  口腔機能の軽微な低下、活舌低下、むせ、食べこぼし、噛めない食品が増える。
・フレイルの流れとオーラルフレイルの関係
  健康→プレ・フレイル→フレイル→要介護

・食べられないを感じ取る
  ・食べられない環境
     ・テーブルと椅子が合っていない。
  ・白い器に白いご飯は見えにくい。(黒い器に白いご飯はよく見える。)
      ・綺麗な歯、歯茎が下がる、歯茎がボコボコ、バネがあるが歯がない
       (入れ歯が浮き上がっている。)
 ・口腔のはたらき(口腔機能)
 ・食べ物をしっかり噛んで飲み込むことができると、なんでも美味しく食べることがことができ、栄養の吸収が促進される。
 ・歯がそろい、筋肉がバランスよく動くとはっき発音できる。
 ・口のまわりの筋肉をうごかすと、表情が豊かになり、若々しさを保てる。
 
 ・お口の機能の低下によっておこるトラブル
   誤嚥性肺炎:居宅サービスに関わっている方なら、毎日聞く言葉。
  私たちも日々、誤嚥している。唾液の誤嚥はあるが、最近が肺に入ることが原因で誤嚥性肺炎となる。

 ・誤嚥性肺炎予防のポイント

 ・お口を綺麗にして細菌を減らす。
・義歯洗浄剤を使用して、細菌を科学的に減らす。
 ・お口の体操で口腔機能の維持・回復を図る。

 ・お口の機能低下によっておこるトラブル
 ・口腔乾燥症(ドライマウス)
 ・高齢になると唾液の分泌量が減る為、口腔乾燥症になる人が多い。
 ・口、喉が渇く、食事が食べにくい、発音しにくい・・歯が落ちる、口臭など

・口腔乾燥症予防のポイント
 ・こまめに水分をとり、乾燥を防ぐ
 ・歯磨き、マッサージ、お口の体操、良く噛んで食べる。
・お口のトラブルの原因はバイオフィルム
 ヌルヌル、ネバネバの塊=歯周炎、口臭、ネバつき
・全身の健康を守る口腔ケア
 STEP1:歯磨き STEP2歯間部清掃(デンタルフロス、歯間ブラシ) STEP3 洗口(口ゆすぎ)
・義歯のケア
 ・流水で食べかすを洗い落す
 ・義歯専用ブラシを使用する。歯磨き剤は使用しない。
 ・歯、歯肉、粘膜のケア
 ・寝る前は義歯洗浄剤を使用する(入れ歯洗浄剤は週1回程度でOK
・健口ひとくちメモ
 歯や口腔機能を保つことで、健康寿命に役立つことが明らかになっている。
・いきいきした暮らしは口の健康から

 口腔内を清潔に保ち、口腔ケアの色々な働きが良好に保たれると、フレイル予防となり、社会の中でいきいきとした生活を送ることができる。

ご挨拶
 湖東歯科医師会 会長 和田先生

センターからの訪問診療において、歯科と栄養が連携して、良くなったというケースを本日はお話をさせて頂きます。フレイルに関して、栄養をしっかり摂れるように栄養士さんに考えて頂いて、口の中のケアは我々の分野なので連携して取り組んでいきたいと思います。コロナも口腔内がキレイな人の方が感染率が少ないとのデータもあります。

ぴーまん食楽部 浅岡先生

口が健康でないと食事も楽しめない。皆さんと一緒に栄養・口腔について考えていきたいと思いますので、本日はよろしくお願いいたします。

【症例報告】 
『訪問歯科診療でかかわった実際の様子』湖東歯科医師会 口腔機能管理支援センター 溝井敬子さん

           
・センターの紹介:(東近江市・近江八幡市・日野町・愛荘町・竜王町が対象)

 2020年延べ対応件数376件、半径16km圏内をカバーしている。
 湖東歯科医師会のHPに詳細が掲載されている。
・実際の治療では、吸引等様々な機会の他、災害用に発電機も備えている。
withコロナ時代、見えないお口は大丈夫ですか?
・栄養をしっかりと摂取できる お口に整っていますか?

※写真を写して症例報告
・欠損している歯があって、噛むということができない。→噛めますか?
・入れ歯が落ちてしまう。→入れ歯の状況を確認すると入れ歯があっていなかった。

・入れ歯が落ちてしまう。→入れ歯の汚れ、入れ歯に無数の穴があいている、→修復することでしっかりと食べられるようになったと喜ばれた。
 ・入れ歯にぎっしりとついた汚れあり。超音波を使用して綺麗にした。実際に取れた歯石はザラザラしている。
・転倒したことが原因で傷ができれば、口内炎ができている。→応急処置として尖ったところを丸める。
 ・入れ歯に汚れがついてしまっていた。→汚れたままの食事は安全ではない。
・入れ歯についていた細菌が、肺の方に入ると誤嚥性の肺炎につながる。
 ・30分歯を磨いても綺麗にならない。→ライトをあてて見ると汚れが酷いことが分かる。→保湿剤で浮かして汚れをとる。→キレイをとるには歯科衛生士だけでは難しい→多職種と連携したい。

大正13年生まれ、97歳、要介護4の方の症例報告
認知症生活自立度Ⅳ、障害生活自立度C2
・動揺歯の抜歯依頼あり歯科介入したケース。
・ポケットの溝23㎜程度で頑張ってケアされていた方。
・お口の中の状態が著しく変化している。
・介護が必要になった時、お口のケアがされていなかった。
・だんだんと、部屋の中が暗くなる。部屋に匂いがする。
・健康な時に作られた着物が部屋に飾らされている。健康な時と同じように口腔を保てるようにしたい!
 栄養状態の評価、低栄養を防ぐ、口腔衛生状態評価、誤嚥性肺炎を防ぐお口作り、口腔機能状態評価、食形態の調整
 多職種で地域でNSTのようなサポートができないでしょうか?

【グループワーク】
花戸:歯科の専門職だけでなく、多職種でどのようなことができるのか?なども協議したい。せっかく東京など遠方からも参加して頂いているので、グループワークではお話もして頂きたい。

テーマ『患者様の状況が変わっても支援し続けるためにはどうすればよいか?』
視点 〇入院から在宅・在宅から施設に移った時、歯科や栄養はどうなっているか?
   〇いつ・どの段階で気づけるか?
   〇それぞれの立場(各専門職)で取り組めること。

 〇多職種で、どのような連携ができるのか?

 【発表】
G:入院中の口腔ケアはしっかりできているので、退院前カンファレンスに歯科、栄養士が入っていないので、在宅に繋がっていない現状がある。他職種で連携した統一したケアができるようにしたい。

2G:歯科の状態、栄養の状態など、その場その場での評価が難しい。食べられるか、食べられないかに焦点が行きがちで、口腔まで視点がいきにくい。しっかりと噛めてことで、両足で踏ん張れる。しっかりと食べることが大切。食が食べにくくなったと際に、すぐにキザミ食にするのは如何なものだろうか?まずは家族と一緒のものが食べられるとよい。多職種連携では、三方よし研究会のようなところで、顔と顔が見える関係を築くのが良いと思う。

3G:このグループでのお話の中では、歯に対する引き継ぎが少ないのが現状。業界では当たり前のことが介護の現場では当たり前ではない。どのようにすれば歯科に関する意識、関心を持ってもらうのが課題である。個人的には、訪問してお口の状況を確認して、相談できる関係がある地域があるので、酷くなる前に気づけるようにしたい。

G:歯科が入ることによって、入院患者さんの口腔ケアが行え、口臭が減ることを喜ばれている。が歯科が入れていない施設もあり、見落とされている。病院に歯科の先生が来られても300人も入院されていたら、全ての患者さんを見て頂くことは難しい。
東近江では在宅のことをして頂いている先生もいる。提案として、オーラルフレイルに対して気付ける流れを作るようなキャンペーンをしてはどうか?そういった流れを是非、東近江でしていきましょうって、元気のでるお話がありました。

G:特養から在宅など、在宅に戻ると口腔状態が悪くなることがある。在宅から施設に戻った際に口腔のアセスメントが必要となる。口腔ケアに関しては、NSだけでは手に負えない。地域の歯科サービスがどのようになっているのか?口腔について、身体が先に行って、口腔ケアに対する気づきが遅れている。訪問看護、ケアマネに繋げると口腔ケアにつながる。

6G:繋がらへんはいつも連携がよくないとの発表がありました。私はケアマネですがショックだったのは、ケアマネで止まってしまうので、病院での口腔ケアが在宅に繋がらないとの意見がでたことです。

在宅にいる皆さんは、ご飯が食べられなければお粥にするなどの対応をしてしまっています。カンファレンスに関しては参加人数の制限をコロナ禍でされており、例えば3名の参加者としたとき、誰が参加すればよいのでしょうか?
食べることの大切さ、楽しみとしての食、京滋摂食嚥下を考える会ではそのようなことを協議しています。私のYouTubeに動画をアップしているので、見て頂けばと思います。
尚、京都では各圏域に口腔ケアサポートセンターを設置しています。

指定発言
・永源寺診療所 医師 木田直也先生

口に詳しいわけではありませんが、コメントをさせて頂きます。全体として、在宅に関わる住民さんの意識が十分でなく、地道な啓発活動が必要だと感じています。在宅に関わる医師とか訪問介護が意識してチェックする仕組み作りができるといいかなって思います。
グループのケアマネから口の中をどうみたらいいですか?と問いがありました。
比較的だれでも使用できる口腔アセスメント(OHAT)があります。ネットで簡単に手が入りますので、活用して頂ければと思います。 

・住井歯科医院 歯科医師 住井正勝先生

歯科医師の住井です。三方よし研究会には久しぶりの参加となり、大変参考になりました。溝江歯科衛生士から説明があったように、口腔機能管理支援センターが立ち上がりました。どうしても歯科の場合はグループワークにもありましたが、まずは皆さんに口の中を見て頂きたい。見て頂けると介入するタイミングが分かると思います。センターはまだまだ力不足ですが、三方よし研究会のように、歩きながら考えたいと思います。京都の松本さんのお話にありましたように「美味しく食べる」がキーワードかと思います。是非、この地域でも皆さんに美味しく食べて頂けるように歯科医師も関わっていきたいと思います。

花戸先生:少し時間があります。今日は遠方からも参加されていますのでコメントを頂いても良いでしょうか?

野田さん:たまたまグループの方にはお話をしたのですが、介護情報誌で栄養の紹介をしています。栄養をとることと、口から食べることは別。最後まで口から食べることが人生を豊かにすることの一つかと思う。多職種の関りが大切であると思います。関わることで人生を豊かにしていきましょう。

北澤さん:東京ではコロナ患者が増えていますが、私の歯科は閉じることなく診察しています。口をあけることが怖くて治療をやめていた方もおられますが、是非このような時でも口腔チェックをして頂ければと思います。

大熊さん:口をあけるとその国の豊かさが分かります。よど号事件で北朝鮮から戻って来られた方の口腔の状態はよくなったと言われます。今、ひろみさんからも発言がありましたが、口腔ケアを大切にしていきたいと思います。


次回の三方よし研究会の紹介
第165回 三方よし研究会 令和年9月16日(木)18:30~20:30
テーマ:ACP(人生会議)、倫理カンファレンス、特養での関わり。GWでは看取りの医師決定など、それぞれの立場でできることなどグループなども行いたい。皆さんのご参加をお待ちしています。

研究会


実行委員会







2021年8月5日木曜日

「みんなの介護」に記事「自主性を活かした多職種連携の仕組み。「三方よし研究会」が地域の医療をつなぐ!」が公開されました!


株式会社クーリエ「みんなの介護」さんに三方よし研究会の取材をして頂き、インタビュー記事「自主性を活かした多職種連携の仕組み。「三方よし研究会」が地域の医療をつなぐ!」がホームページに公開されました。

https://www.minnanokaigo.com/news/visionary/no59/

地域医療や福祉に興味を持つ100名以上のメンバーが住みよいまちづくりへの参加に至った理由を、活動継続の秘訣とともに小串輝男会長がお話されていますので、是非ご覧いただければと思います。