三方よしカレンダー

2022年12月17日土曜日

第180回 三方よし研究会開催のご報告

年の暮れも迫ってきました12月17日の土曜日、第180回目となる三方よし研究会が開催されました。

今回は東近江医師会、近江八幡市蒲生郡医師会さんの主催にて、久しぶりの会場リアル開催とWEBオンラインを組み合わせたハイブリッド形式にて開催されましたので、ここに報告いたします。


【ゴール】

〇医療的ケア児の現状について知る

〇生命の安全と共に、人とのふれあいや学びの大切さについて学ぶ

〇医療的ケア児と家族の「普通の」暮らしについて考える


 【情報提供】

〇東近江総合医療センターによるクラウドファンディングについて

・東近江総合医療センターでは、市の地域医療を守るために日夜救急車が出動している(搬送実績は3年間で約120件、令和3年度は33件)。

・現救急車の現状は2009年製造、2018年に東近江行政組合から譲り受ける。

・ただ走行距離が約20万キロとなり、エンジンの出力低下が著しくなっている。

・そこで12月13日~2月10日まで、All or Nothing方式によるクラウドファンディングを行うこととした。目標金額は2,000万円。

・ぜひこの地域に根差した機能を高めるための役割を全うできるために、クラウドファンディングにご協力・ご支援のほどお願いしたい。



〇小梶さんより

・本年度会費を納入して頂いた方に、小串先生御提供の田中奈保美さん著『ボケてもガンでも死ぬまで我が家』をプレゼントいたしますので、よろしくお願いいたします。



【特別講演】

医療的ケア児と家族の「普通の」暮らしとは?

〜小児在宅医療とうりずんの活動より〜

栃木ひばりクリニック院長、認定非営利活動法人うりんず理事長 高橋昭彦先生




1.地域で普通にくらすこととは

・おはようから行ってきます、活動、ふれあい、おやすみなさいまで、いろいろな行為がある。

・食べるなら食形態、入浴なら肩まで浸かる、出かけるなら行きたいときに交通手段を使う、休むならリラックスする…このようなことが普通にできない小児がいる。

・例えば、トイレのドアを開けて排泄する、人の目を気にしながら外出する、3時間以上続けて眠ったことがないetc...

・このような小児たちに、普通の暮らしを味わっていただけるようにしたい。



2.子どもと家族に関わる理由

・1997年のある日、大学病院のソーシャルワーカーより「お家に帰りたい人工呼吸器の3歳児がいます、先生何とかなりませんか?」との相談を受ける。

・出会って衝撃…この小児の在宅医をお受けしたい!しかし勤務先の病院からは、先生の休みの日にも対応できる人も必要、となるとそれは厳しいでしょうとの指示を受け、断念。

・この依頼を断ったこと、責任をとれる立場でないとお受けできない現実に直面した。

・そうこうするうちに、研修旅行でニューヨークへ。車を走らせていると、ものすごい勢いで追っかけてくる救急車、パトカーが。何か悪いことでもしたのかとドキドキしていたら、あっという間に追い越していった。そう、その日まさに9.11の瞬間に私はいました。ワールドトレードセンタービルから約3キロの地点。この出来事で大きく私の価値観が変化した。

・その時にあるシスターの言葉がすっと胸に入ってきた。「目の前のことをやりなさい。そうすれば必要なものは現れる」(エイズホスピス・イン・ワシントン)

・それが私の開業のきっかけです。




3.ひばりクリニック

・栃木にて2002年5月に開業。2003年1月より小児在宅医療を開始。さらに2008年6月にはうりずん開設。2016年4月には病児保育かいつぶり開設。コロナに負けていられない...

・家庭医の役割としては、急性期・慢性期の対応から、予防・介護相談・調整・感染対策・子育て支援と幅広くある。

・お子さんの予防接種は「かぶりもの」を着用。「ちからをぬけば、いたくないよ~1・2・3!」その後は拍手、がんばったね~えらいね~すごいね~と声をかけ、ごほうびシールをあげる。

・外来診療の延長線上に在宅医療がある。



4.医療的ケアが必要な子どもたち

・医療の進歩により、小さな赤ちゃんや、生まれてすぐに手術が必要な病気を持つ赤ちゃんや、様々な治療を乗り越えられる赤ちゃんが増えている。一方子どもと家族を支える社会資源や必要な福祉サービス、保育等は充足していない現状がある。

・医療的ケアとは、代表的なものとして、たん吸引や経管栄養酸素吸入がある。

・痰の吸引なら必要な時に痰をとる人が必要、気管カニューレならつまる・抜ける前提で再挿入の準備の必要、人工呼吸器ならアラーム対応や電源・バッテリーの問題etc...様々な対応が必要となってくる。



5.小児の在宅医療

・小児在宅医療の役割としては、対象は子どもと家族、専門医療機関は検査・治療から緊急時入院、在宅医は日常的な診療、家族の診療、きょうだい支援、在宅チームでの情報共有連携などがある。

・つまり、子どもと家族の、今と今後を考えるという役割。



6.放送大学DVD~共に生きる社会を目指して~

7.うりずんの活動



8.どの子ども・家庭にも起こり得ること

・退院前カンファレンスから在宅での対応まで~様々な職種での連携対応

・研修医の感想「...これほど多くの準備と時間がかかるのかということを目の前で実感できました。保護者(主に母親)にかかる負担の大きさを医療スタッフ側が退院前より理解し、家での生活を想像しておくことの重要性を改めて学ぶことができました」

・学校へ行こう!その支援。普通小学校へ通学した女の子のおはなし...

・時に関係性は専門性を超える...(こともあるのでは)

・お母さんに会いたい。母と子どもの最期の再会。

・大人への階段。4歳で最初に担当したあの子供が、今26歳となって手伝ってくれています、の写真。(ここでブログ担当は号泣...)

・子供の移行期の課題…体が大きくなる、親も年を取る、日中活動の場が少ない、親亡き後の見通しが立たないetc...

・市役所に就職したかつての患者さんが遊びに来てくれました...

・東日本大震災の教訓。災害の備えは平時から。

・本当に信頼し合っている間柄になっていれば、連絡しあわなくとも、なんとかしてくれるもの...?



9.子どもの日々の暮らしを保障する

・チームで関わる在宅ケア

・経験値0を1に増やすということ。重症児や医療的ケア児とその家族は、経験値0の経験が大変に多い。そこで、その年の子どもなら経験するであろうことを、一つずつ経験させていってあげるようにしている。経験値0→1に増やすことは、子どもの成長と豊かな暮らしにつながる(生まれて初めてうさぎを触っている小児のお写真と共に)。

・ハレの日、ケの日。北海道旅行なども。



10.きょうだい支援の大切さ

・クラウディア・エヴァートさん…きょうだい関係を称えるSiblings Day(4月10日)を提唱した方。日本での最後の公演にも行ってきた。日本ではNPO法人「しぶたね」さんが日本でのきょうだいの日を呼びかけ、制定している。



11.ここがすごい!医療的ケア児支援法

・医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律案の全体像

・ポイントは、家族も支援の対象であること、国や地方公共団体の責務を明らかにしたこと、家族任せにしない方針、普通の児童と共に教育を受けられるよう最大限配慮していること、18歳までの法律ではないこと、地域格差への配慮があること



12.誰も排除しない社会

・2005年困難を抱えた子どもと親に寄り添うため、認定NPO法人だいじょうぶが日光に設立された。

・活動としては、子どもと親の相談室、家庭自動相談室、子育てヘルパー「育児・家事訪問支援事業」、子どもの居場所「ひだまり」、乳幼児の認可外保育施設「キッズルーム」、子どもを虐待してしまう親の回復プログラム「MY TREE ペアレンツ・プログラム」等々あり。

・大切なのは、こども・おとなまるごと支援!



13.元気の出るお話「外出は社会参加!」

・人工呼吸器をつけた子どもの親の会のお兄さんお姉さんが、ヘルパーと一緒に電車を乗り継いで、東京での20周年記念集会へ参加した。

・1車両に5人の車イスに乗った小児とヘルパーの写真!いつかこのような光景が日常的になるように!



14.障害とは

・あるろう重複障害者の集まりに参加した時の、先生の体験談...いつでも急に人は障がい者になりうるのです!


15.多職種連携のための「こころ配り」

・「聴く」「出向く」「つなぐ」



感動と涙涙の80分強のお時間でした...先生、ありがとうございました!

写真はたくさん見せて頂きましたが、個人情報の観点からブログでは極力控えさせてもらっていますが、残念残念...まさに「百聞は一見に如かず」


【連絡事項・次回】

第181回 三方よし研究会 令和5年1月19日(木)18:30~20:30

〇当番 東近江総合医療センター(WEBオンライン開催予定)


ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

この後、場所を変えて年末忘年会を十分なソーシャルディスタンスを取ったうえで開催させていただき、先生の熱い思いをさらに聞かせて頂きました。

私たちにもまだまだできることがあると感じさせていただいた、充実した時間となりました。

また来月お会いしましょう!






2022年11月20日日曜日

第179回 三方よし研究会のご報告

179回三方よし研究会がオンラインで開催されましたので、ご報告させて頂きます。     

◇日時:令和41117日(木) 18:3020:30 
◇会場:ZOOM活用によるWebで開催                
(当番:東近江圏域ケアマネ連絡協議会・東近江敬愛病院 )                           

ゴール                         
○ 身寄りのない意思決定のできない患者の支援方法について学ぶ      
〇 意思決定ができない患者の支援方法について、
〇 グループワークを通して多職種で意見交換を行い知識を深める。 



【情報提供】  
ファースト薬局八日市店の紹介       ファースト薬局 
瀧川先生:ファースト薬局が東近江市に開局いたしました。蛇溝町にある、中澤薬局の隣です。お薬のことは勿論、健康のことなどなんでもご相談ください。店舗は緑色の入った四角い建物で、待合室の隣になる相談室を売りにしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

〇新院長の挨拶  
医療法人敬愛会の今後について  
              東近江敬愛病院 院長 間嶋 淳         



よろしくお願いいします。
当院に赴任して約半年が経過しています。この地域、病院を見て参りまして、この地域で役に立っていくにはこうしたらよいのではと感じていることがありますので、これまでの敬愛 これからの敬愛 頼られるコミュニティホスピタルを目指してをテーマにお話しさせて頂きます。
簡単に自己紹介をさせて頂けばと思います。

どちらも地域の基幹病院でした。主に中心には急性期の内視鏡医と思って頂いてよいとお思います。そんな私が、東近江敬愛病院に赴任してさして頂くことになり、皆さんの方が詳しいかもしれませんが、病院の紹介をさせて頂きます。

4月から赴任させて頂き、私の中でこんな感じになっていると感じること。患者さんが病気になると、まずはそれを治すために、急性期の病院にかかられて、在宅に戻られる。すぐにう在宅に戻れない方は、回復病院を経て、在宅を目指すと、大きくこのよう流れになっているのかと思いますが、地域医療構想の中で今ある資源を有効に活用しなければならないというところで、各施設の役割分担を明確にする必要性を感じています。
高度急性期を担う病院はそれに特化して、回復期を担う病院はそれに特化して、地域を担う病院はそれに特化するというのが大きな考え方であると思います。
その中で当院がどのような役割があるかと考えると、急性期から慢性期まで幅広くやっています。これは今の話からすると逆行するのではとお考えの方もおられるかもしれませんが、私は決してそうではないと思います。役割分担することのメリットは専門性を発揮できることだと思います。一方で専門外は非協力的になることもあります。これは私が急性期の病院で勤務していた際につくづく感じることが多かったです。
いわゆる間疾患、間状態の方への対応が不十分であると、具体的には高齢者の方の誤嚥性肺炎だとか、尿路感染症、レスパイトを含めた社会的入院だとか、なかなか忙しくてそこまでできないということもあるのですが、このような方が中途半端な支援になり、しわ寄せがくるのが在宅での医療だとか、介護だとか、そういうところに、しわよせが来ているんだろうなとつくづく思っておりました。
先ほどのテーマで言うと、そのような方の受け皿をしっかりとしないと、地域医療構想の中での、それぞれのセクションで頑張って頂いても、医療構想として成り立たないのではないかと思います。
当院では急性期から慢性期まで幅広くやっているというところ、それぞれの4番バッター、急性期、回復期、慢性期、在宅の医療を上手く繋げられる、そういったところが当院の役割であると思います。
一番最初にコミュティホスピタルの名前を出しましたが、あまり聞かれたことがない方もおられかれもしれません。明確な定義はありませんが、地域の方のニーズに応えるような病院であり、外来診療や、入院治療も行うのですが、そこにとどまらず、地域の実情を踏まえて、求められるように役割を、例えば予防医療であるとか、リハビリであるとか、それだけでなくて医療情報の提供だとか、そういったこともやっていけるような病院をコミュニティホスピタルと言われており、まさしくそういった病院像が私どもの病院に求められており、役割だと思います。
このようなことを通じて、地域おこしだとか、雇用だとか、そういったところまで力を尽くしていくができれば、きっと病院の新しい展開ができると思います。
クリニックと大病院を繋げるような広い意味での地域連携病院、ハブ的機能を持った病院が重要になってくるのではと考えています。こういった連携をベースに在宅と急性期のハブ的な存在となれる病院を目指したいと思います。
多職種の方々が参加される三方よし研究会の皆さんから学びながら、こういった方向性が良いのではとご指導も受けながら、その方向に近づけていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。

 【事例紹介&学習会】      進行:ケアマネ連絡協議会 引間敬子     
テーマ『身寄りのない意思決定ができない患者への支援について』   

 

【事例紹介】カンファレンスの内容について  A病棟・地域連携室:金子早智代 様

それでは始めさせて頂きます。
当院で身寄りのない患者様の治療方針の意思決定ができない患者さんの支援を行いましたので、発表致します。
まず、患者様の紹介をしますTYさま、70歳代後半の女性です。・・・
個人情報保護のため、記載省略

【学習会】 意思決定できない方への支援方法の基準について  医師:加納 正人          ここからは、意思決定支援の総論的なことをお話させて頂きます。
最終的に御飯が食べれなくなった際、食事摂取量が少なくなった際に、その栄養補給をどうするか、以前にこの会でもお話をさせて頂いたように、「生命の神聖」、「生命の尊厳」、そのバランスをどうとるか、といったような非常に難しい問題に実はなってくるということなんですね。
本日の内容は、

社会と高齢化と認知症について
65歳以上の家族がいる世帯構成の推移となります。1986年頃は65歳以上の約半分近くが3世帯課程でした。それが、高齢者がいる世帯の内、高齢者世帯、高齢者単身世帯がグングン増えている状況で、高齢者がいる世帯の内、高齢者単独、又は高齢者のみ世帯が60%に達しています。
滋賀県の状況がどうかと言うと、平成27年の国勢調査では、約8%が高齢者単身世帯、12%が高齢者夫婦世帯、これは全世帯に対する割合です。それが年々変化して、全世帯に占める高齢者単身の世帯の割合が右肩上がりで、かなり深刻な事態となっています。
65歳以上の認知症の患者さんの場合、2020年の数字で約600万人の患者さんがおられる。2030年には800万人程度の認知症との推計。高齢者の約2割が認知症ということになって、つまり、高齢者だけの世帯が増えていくし、その中で認知症により意思決定できない人が増えていくことが見えています。

 〇認知症と意思決定能力
インフォームドコンセント、裁判の判例等であげられている、項目は次の通りです。
(これだけのことは説明しておかないと、説明したと認定して頂けない項目。)
・当該患者の病名及び現症状とその原因
・当該治療行為を採用する理由、有効性とその合理的根拠、改善の見込み
・当該治療行為の内容
・当該治療行為による危険性及び合併症の有無
・当該治療行為を行った場合の改善の見込み
・治療行為をしない場合の予後
・他に取り得る治療方法の有無
手術をしない場合、化学療法の選択肢にあるが、治癒は望めないことなど、しっかりと伝えないといけない。

意思決定能力の要素
理解する力:説明の内容をどの程度理解しているか
認識する力:それを自分のこととして認識しているか
論理的考える力:論理的な判断ができるか
選択を表明できる力:論理的な判断ができるか

さらに、意思決定能力には高い低いがあるが、大きな手術などは高い意思決定能力がないと同意を得ることが難しくなる。

同意能力の評価法 MacArthur Competence Assessment Tool-Treatment(MacCAT-T)


4要素について、評価する手法がある。
選択の伝達・表明
開示された情報の整理
状態、結果の認識
論理性
大変難しい項目で、私も満点を取ることは難しい。

〇同意能力の評価法
何点以上なら同意能力ありといったカットオフ得点が設けられている訳ではない、
点数をつけることにより評価の客観性が高まり、どの領域の能力が低下しているか明らかにすることができ、低下している部分を補って、理解を促進したい意思決定を支援したりすることにも役立つ

十分な栄養管理=生き続けたい(生かし続けたい)延命
人工的な延命は行わずに自然に見送りたい(ナチュラルコース)=十分な栄養管理は苦痛を長引かすことがある。
十分な栄養を入れるかが、選択肢の第一関門となっている。

 症例:個人情報の為、記載なし

 〇人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン
本人の意思が推定できない場合、本人にとっての最善の方針を医療・ケアチームで判断していきましょう。

 


〇カンファレンス用ワークシート。
一つは医学的な、標準的な改善の判断など、医療的な合意性、妥当性をしっかりと考えないといけないです。カンファレンス用シートを用いて、本人の意向なども踏まえて、今後の対応方針を考えるところがよいです。


ジョンソンの四分割法の表は、解りやすいです。
医学的適応、患者の意向、QOL、周囲の状況

 


〇四分割表の応用方法
1 問題点をできるだけあげてみる。
2 疑問点を検討する。必要な資料や情報を集める。
3 今後、具体的にどのような対応ができるか検討する。

 〇人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン

 


結局、強い医師の考えを追認するだけのものになる?
医師以外の医療・介護従事者がそれぞれの専門家として貢献することが認められるようになってきた事実をむしろ重視すること

 まとめ
・核家族社会の高齢化、認知症人口の増加などから、意思決定能力が低下した高齢者の終末期ケアの選択肢を迫られる場面は今後も増えてくるとみられる。
・できるだけ本人の意向を汲み取る。
・多専門職の医療・介護従事者から構成される医療・ケアチーム
・論点が整理できるツールも利用
・皆が腑に落ちる結論に至るまで検討を繰りかえす
・状況の変化に応じた検討を繰り返す

 

東近江敬愛病院:A病棟看護師の東さん
症例報告:個人情報の為、記載せず。

【グループワーク】          進行:花戸貴司先生        
              テーマ『身寄りのない、意思決定できない患者への支援について』     

 ・どのように関わることで意思決定支援が可能になるのか  
 ・紹介事例に対する感想等         
 ・家族以外に意思決定権があるのは?     
 ・もし自分が意思決定ができない状態になるならどうしたらよいのか            

             

【発表】              進行:花戸貴司先生         
※各グループから1人2分以内の発表でお願いいたします。   

G:感想はとても難しくて、よく遭遇する悩ましい症例。このチームは在宅の情報もあたられたりとか、素晴らしい症例だと言われていました。
1回目のカンファレンスでは決まらず、2回目の在宅でも入ってのカンファレンスで支援方針を決定できたようですので、最初のカンファレンスから在宅の方々を入れて頂きたかった。
家族以外の誰が医師決定に関われるかについては、ご近所さん、久しい友人の方、ケアマネ、、医療福祉関係者など本人が意思を伝えていた全員の人とたちが、意思決定に関わり権利があるのではとのお話でした。

G:若手ホープが抜けてしまったので、代理で報告します。
話を聞いていて、とても難しい症例だと思います。もし、そのカンファレンスに呼ばれても、なかなか難しくて発言もできない。薬剤師の先生からは、元気な時から関わっていた人がいるのから、そのような人、在宅の私たちの聞いて欲しい。そういう人を呼んで生活の視点など持って頂きたかった。その中で、食べれなくなっても、狭まるだけでなく、広がりがあると感じる。
ただ、なかなか意見ができないので、まずは聞いてあげることが大事だと思います。

 G:本当に難しい症例だったと思います。チームを立ち上げて頂いて、とても頑張られたとの意見がありました。
法的にどうだろうか?との意見もありました。自宅で帰りたいと言われた際には、主治医と家族の意見が一致していれば、それでよいのではとの意見がでていました。

 G:東近江保健所の西川と申します。
Gは先生に入って頂いたので事例に感しての感想と質問もさせて頂いています。患者さんを見ている人と様子が結びついていたのか?等の質問もありました。QOLの確保と、医療的な判断も早期に必要な症例で、判断を迫られていた。
家族以外の方で意思決定できるのは、誰かが決定権を決めるのは難しいので、その人を知っている多職種で話あっていくことが大切。

 〇指定発言:永杉 憲弘さん たまな在宅ネットワーク在宅医療連携コーディネーター  

永杉です。今日、皆さんとご発言を聞きながら、病院に行くと肩身を狭く感じるだとかの意見があり、それをどのように改善していくのかが課題だと感じました。
玉名の状況も含めて報告させて頂きます。きとんとしたお話は、宏子御姉様にして頂きますので、私は前座で(^_-)-
最近、たまな在宅ネットワークで関りました、身寄りのない、意思決定が難しい患者への支援についてご紹介します。

76歳女性有料老人ホームご入居・・・個人の為、記載せず。

まとめ
意思決定支援を行う為の話し合いは、みんなやったほうがよいが、なかなか出来ない時もあり。そのような機会をつくる時間的な余裕がない時もある。又時には利益相反する可能性もある中で言いだしにくい。
中立的な立場の「たまな在宅ネットワーク(在宅医療・介護連携事業)が担うことで、その物理的・心理的負担を軽減することができればと思います。
話し合いに際して、現在の支援者だけでなく、これまで関りを持っている支援者、時には知人・地域の方々も参加頂き、本人のこれまでの意向暮らし、関係を再度確認しながら、本人の意向を推察し支援方針を決定していくこと。
たまなでは、ガイドライン変えちゃいました。人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン、たまな在宅ネットワーク班を今年4月のたまな在宅ネットワーク定例会で作成しています。
具体的には、本人を支える様々な医療・介護・福祉従事者から適切な情報の提供と説明がなされ、それに基づいて医療・ケアを受ける本人が多職種の医療・介護・福祉従事者から構成される医療・ケアチームと十分な話し合いを行い、本人による意思決定を基本としたうえで、人生の最終段階における医療・ケアを進めることが最も需要な原則である。
・・・さらに、本人が自らの意思を伝えられない状態になる可能性があることから、家族、親族、時には親しい友人や地域の仲間等の信頼できる者も含めて、本人と話し合いが繰り返し行われることが重要であると、厚労省作成版をアレンジしています。
それでは真打登場です。宇都宮先生、よろしくお願いたいます。

 〇指定発言:宇都宮 宏子さん  在宅ケア移行支援研究所 宇都宮宏子オフィス   


宇都宮:よろしくお願いいたます。
私、最初のケースのお話をもう少し、お話を聞きたかったです。もう少し食べて頂こうと、病棟ではムース食まで持っていかれた訳ですよね、関わった病棟ナースや相談員など、大変な思いをされてケアされたかと思い、その場面など、そこをもう少し深堀したかったです。スライドを見てください。
医師決定支援の3つの視点ということで、支援者の意思決定支援で大切なのは、事前の意思表示、これまでの人生の物語を傾聴(意思を推定)することなんですよね。遠くに住んでいる息子さんにお話を聞くとか・・・。今の気持ちは話しかけに対して本人のうなずきなどで知ることもできるが、過去のことを知ることにより、価値観なども分かってきます。
医学的判断においては、ドクターに適切、適時な病状説明、見通しを立てて頂くことによって、口腔内ケアなどの看護、ケアができるようになります。お口の中を潤す、口腔ケアをするなど沢山ケアできることがあるはずです。こういったケアを提供しながら、本人、家族の意向を確認していくことになります。
ベストではなくベターかもしれませんが、本人にとって、幸せ・いごこちのいい暮らしが自実現できるように、チームで共に考えていく。つまり共同意思決定という形で、進めていくことが大事なことだと思いました。
今日の事例では、この医学的判断どうだろうか?ではなくて、迷った時には在宅のケアマネさんなどにも意見を聞いて、この人はどういう人だろうか、何を大事されているのかなど、その人のことを理解しようとするところから始まるのかと思いました。
ありがとうございました。

【連絡事項】   

・第 180回 三方よし研究会 令和4年 12月 17日(土)16:00~18:00             
   ○当番 東近江医師会・近江八幡市蒲生郡医師会  ・ 会場 よしぶえホール                 ZOOM活用によるWebで開催     

             

 

2022年10月23日日曜日

東近江圏域介護職員初任者研修 修了証授与式のご報告

当研究会主催で7月より開講していました東近江圏域介護職員初任者研修、131時間の研修を終えることができ、全過程を修了された7名の方に、三方よし研究会理事長 小串先生より修了証を授与して頂きました。


修了式後には、珈琲&お菓子を頂きながら、研修の振り返りや、今後の取り組みなどのお話に花が咲きました(^^) 研修のアイデアなども頂けましたので、次年度に活かしたいと思います。又早速、明日から訪問介護の職に就かれる方もおられ、嬉しい限りです。


研修会の開催にあたり、ご協力いただきました、講師の皆様、医師会様、保健所様、市町様はじめ関係団体の皆様には感謝の気持ちで一杯です。次年度も皆さまと協力して介護人材の確保・育成に向けて研修会を企画したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。



2022年10月20日木曜日

第178回 NPO三方よし研究会開催のご報告

本日も第178回の三方よし研究会がZOOMオンラインで開催されましたので、ここにご報告いたします。


◇日時:令和4年10月20日(木) 18:3020:30

◇会場:zoomによるwebで開催

(中心会場 NPOまちづくりネット東近江)

(当番:東近江市、東近江市社会福祉協議会、まちづくりネット東近江 )






全体進行:小串輝男先生



【ゴール】

◯東近江圏域の就労支援を知る。

◯福祉サービスの「受け手」から、「担い手」になる支援策を考える。

◯地域の中での役割&働く場の創設について多職種で考える。

 


司会:金子尚美さん





30分学習会】

『あなたのくらしを一緒に考えます!』東近江市健康福祉政策課:上田仁志さん

 


・自立相談支援事業というものがある。その概要。

・困っていることに対し、受けられるサポートと利用できるメニューをつなぎ、支援プランを作成する。

・就労支援の内容① 就労支援員を配置し、就労決定や定着を応援する。ハローワーク相談員や商工労政課(しごとづくり応援センター)と連携もする。

・準備段階では、就労準備支援事業にて、障がいが疑わしい方等への専門的なサポートが可能であったり相談者本人に合った働き方の提案を行っている。

・就労支援に活用できる資源も様々ある。

・今後の課題は、就労アセスメントの難しさ、関係機関のつながり情報共有、高齢者の活躍できる場の不足、障害者支援担当者との連携、がある。

・就労支援会議の定期開催を令和4年度から行っている。





『社会福祉協議会 _相談支援課の取り組み』相談支援課:光井哲也さん・宮垣千晶さん


・S & S(スマイル アンド スタンド)とは

・社会から孤立している方と地域や社会とのつながりを作り、社会参加や就労へのきっかけ作りを目的とした居場所のこと。

・これまでに行った活動としては、市内の企業からのダイレクトメールの封入作業や、商工会議所からのイベント準備、ハートピア近郊での畑での野菜づくり、二五八祭りスタッフ、フードデイ25(年末食糧支援)などがある。




『作業療法士兼編み物作家のものづくり支援事業』Opull:高田優さん


・2020年、作業療法士として働いてきた病院を退職し、2022年社会福祉プロジェクトOpull(おプル)を起業した。

・Opullとは、「ものづくりを通して、なりたい自分へ」を目指す社会福祉プロジェクト

・きっかけは、医療福祉サービスを受ける方の多くはやりたい作業ができていない、ただ現状のマンパワーや仕組みでは対応が難しい、特に報酬を伴う仕事と役割。なら起業して自分がものづくりを仕事として依頼すればよい、との思いからスタートした。

・仕事としてのものづくりの提供では、役割ややりがいを持っていただく、サービスの受け手から担い手になっていただく、商品を適正価格で販売し報酬としてお渡しする、ことを目的としている。

・医療福祉と地域をものづくりでつなぐイベントも開催している。

・資金確保や広報活動の現状、知ってもらって活動の場を広げる必要がある。

・今後の課題は、実践の積み重ね、ターゲットを明確にしたブランディングやマーケティング、資金確保の仕組みづくりなど。




『若年性認知症の方の働く場&役割作りについて』集楽:楠神渉さん

・2019年に地区唯一のスーパーの閉店が決まり、地元民の困惑が広がった。翌月には住民が中心に再建のための寄付を募り、一定額以上の協賛金が募ったため、新店舗開催に向けて動きした。

・そのため課題解決に向け、スーパーを視察したり、移動販売に同行したり、イメージ図を作ったりした。

・その結果、移動販売車を低価格で譲って頂いたり、店舗を住民皆で改装したりして、2年の歳月を経て新店舗のオープンまで漕ぎ着けた。当日は市長ほか多くの方から応援を頂いた。翌月には移動販売もスタートした。次に健康と働く場をキーワードに、ヘルス&ワーク倶楽部を開始、若年性認知症の方がクッキーを作り提供したり、英語クッキー作り、小物作りなど様々なことを行っている。

・最近では、地域サロンや移動販売とケアマネジャーがつながることで、閉じこもりやフレイル予防支援につながっている。また保健師や作業療法士リハビリとつながったり、子供たちの活動の場に繋がったりしている。

・介護保険ができて20年。地域家族の関係が希薄になった中、新たな居場所作り、相談場所があることが大切だと感じる。住民を中心とした、地域家族各種団体のつながり作りが大事。






【活動報告】

『難病患者の働く場について』 喜里:井上克己さん

・現理事長の体験として、約25年前に多発性硬化症を患い、職を求めてハローワークへ行き、病気をオープンにすると「病気を治してから来てください」と言われた。

・現在もまず「障害者手帳を持っていますか?」と聞かれる。確かにいろんな制度は受けられるが、昔とそれほど状況は変わっていない。

・再生不良性貧血の30代が当作業所に来たが続かなかった事例や、潰瘍性大腸炎の女性のためいつでもトイレに行ける環境の整備、脊髄小脳変性症の方ができるだけ長く働き続ける工夫など、色んな工夫や配慮がいる。

・大事にしているのは、「強み」と「弱み」がわかっていること。

・2013年に難病応援センターが五個荘小幡町に開設予定。ぜひ皆さんに知ってほしい。



【グループワーク】

テーマ『地域の中での働く場&役割作りについて』

視点

〇それぞれの立場(各専門職)で取り組めること。

〇多職種で、どのような連携ができるのか?

〇地域の中での役割&働く場の創設

 

【発表】

1G


・いろんな取り組みを見ることができたし、ここからつながりを作っていくことができればなと思う。でないと続いていかない。

・就労支援は継続していくことが難しい、フォローアップができにくい。

・医療機関は閉鎖的?無料での取り組みもできればよいとの意見があった。

・ヴォーリズ記念病院でも4月より就労移行の支援事業を始めるのでとても参考になった。



2G


・誰かの役に立つということがいかに大事かをあらためて知った。

・アルコール中毒患者さんが、身体は良くなったが社会となかなか繋がれない、リハビリを一生懸命行い回復したが、その先がない、自分のせっかくの強みを社会が生かしてくれない、等々のいろんなジレンマを抱えている人たちがいる。

・どういった人たちと繋がったらよいのか。例えば地域のサッカーチームが訪問してくれたことで身体が動くようになった例もあり、そのようなマッチングの場があるとよい。



3G



・働くと言う事は生きがいにつながる大事なことだとあらためて思った。

・支えようとすると、なかなか悩む。相談窓口はたくさんあるが、知らない人もたくさんいるので、周知がやはり大事。

・働ける場をいかにつくるか。

難病センターやOPullの活動を知り、マーケティング、プランニングもやはり必要、医療福祉からもっと広げて考えていかなければならない。

・医療の強みといえば、その人のできる技術、できない技術の評価こそではないか。



4G



・就労支援の方からは、簡単な軽作業、草むしりなどでも貢献できるとの意見を聞いた。

・商品を買いたいから買うという、一般の方が興味を持つ形に持っていけるのはよいなと思った。

・居場所が感じられるカフェなどの取り組みの形はいいなぁと思う。

・近くにラスクを作っている作業所がある。一般流通の場にでも障害者の物を置けるコーナーができるなどの形になればいいなと思う。


 

5G



・仕事をする側の壁と、仕事を作る側の壁がある。需要と供給があり、うまくつなげられるとよいのだが。

・どの人とつながっていくかが課題。

・単なる単純作業では物足りなく長続きしない。地域の中でどのような方がどういった活躍をしたいのかを把握することも重要。


 

【指定発言】

●東近江市地域包括支援センター  センター長:河島克彦さん



今回いろんな経験で意見が出て興味深かった。家族が就労であるほか、脳卒中、認知症の方々からの相談もある。そのような線としての取り組みから、今回の発表のような面への広がりを感じている。参加することは生きがいや立場作りになることをあらためて感じた。またそれには資源がいる。三方よし研究会がよい情報発信の場であればと思います。         

 


●喜里  井上克己さん



パーキンソン60代ご夫妻の相談をついこの前受けた、それは元僕の上司であり教頭だった。やはり仕事の前に生きがいの視点、どういう生き方をしたいのか、どういう思いで生きてきたのかを知ることもとても大事です。その方の全体を知ることであり、働く事はその1部なんだと思います。



【自己紹介】

初めてご参加の方を中心にご紹介



 

【連絡事項】

179回 三方よし研究会 令和31117日(木)18302030

○当番・会場  東近江敬愛病院、東近江圏域介護支援専門員連絡協議会



今回もご参加の皆さま、お疲れ様でした。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

また来月もお楽しみに!