三方よしカレンダー

2016年9月20日火曜日

第106回三方よし研究会

第106回NPO三方よし研究会

日時:平成289 15日(木)18:3020:30
場所:近江八幡総合医療センター よしぶえホール

ゴール
・心疾患及び心臓血管外科の実際について学び、理解する。
・心疾患を有する高齢者への支援について医療、介護・福祉、行政等多職種で考える。
・グループワーク、発表等を通じて、お互いに顔の見える関係性と連携を深め合い、支援が円滑になる。

【情報提供】
ヴォーリズホスピス開設10周年記念講演会 1023日、疲れている人はぜひ来て欲しい。
脳卒中市民公開講座、がん患者サロン、糖尿病市民公開講座、医療センターだより「よしぶえ」

近江八幡総合医療センター 宮下院長より挨拶
今年で10年が経ちました。10月から地域包括ケア病棟をつくります。在宅復帰への支援をしていきます。来年4月に「入退院センター」を開設します(現在、市議会にて予算審議中)。
よろしくお願いします。

30分学習会】
「心臓血管外科手術で治る心疾患とは 〜手術をすれば元気になります〜」
近江八幡総合医療センター 心臓血管外科部長 松林景二 医師
20134月から開設。丸3年が経過、総手術件数750例、心臓血管手術250例
すべての心臓血管疾患の手術に対応(虚血性心疾患、弁膜疾患、大血管疾患、)
方針:早期回復管理(Fast-Track-Protocol
チームで対応しています。
循環器内科1500件のカテーテル検査、600件のカテーテル治療
以前はすべて滋賀医大に紹介していた。
しかし、当院でも対応するようにし、迅速な対応が可能となった。
手術件数は、心臓手術、大血管手術、下肢静脈瘤(レーザー手術)、徐々に増えている
心臓手術について、
虚血性心疾患:不安定狭心症が手術になることが多い。以前は、人工心肺装置を使って、バイパス手術をしていたが、心拍動下冠動脈手術(OPCAB)を行っている。天皇陛下もこの手術をうけられた。
冠動脈の手術自体は治療だが、動脈硬化は治せない。内科的治療が必要。
弁膜症手術:弁狭窄、弁閉鎖不全症などが原因で心不全になる。心不全を伴う重症弁疾患が手術になることが多い。適切な時期に手術をすると、心不全が改善する。適切な時期の手術が大切。
大動脈疾患:急性大動脈解離、A型大動脈解離は緊急手術が必要。
大動脈瘤、破裂後の予後が悪い。破裂前に手術を。瘤の大きさが大きくならなうちに手術を。人工血管で手術をすると数十年の耐久年数があるので入れ替えは不要。症例によっては、ステントグラフト治療ができる。
手術後は
Fast-Track-Protocol
手術後、3日後からリハビリを開始し、10日から14日で退院。
術後合併症の予防には、栄養管理、運動療法などハートチームによるコメディカルの協力
寝たきり状態が術後回復に最も悪影響を及ぼす
早期離床、早期リハビリが重要

【症例検討】
テーマ「心疾患の方の入院からの在宅支援及び日常生活における取り組みについて」
急性期:近江八幡総合医療センター 理学療法士 森本順子、言語聴覚士 平賀光弘
生活期(在宅期):リハビリセンターあゆみ 作業療法士 深津良太、介護支援専門員 福田恵美

急性期:
84歳、女性
心房細動、多発性脳梗塞、高血圧、糖尿病、
夫、長男夫婦、孫と同居
畑がある
15日、肺炎のため抗生物質治療
8日 severe Asと診断
31日 心臓血管外科に転科
術前は安静、
24日、弁置換手術、Maze手術
翌日、術後リハビリ(手術翌日より座位訓練から開始、歩行訓練)
リハビリ中に38日に転倒のエピソードもあったが、歩行器訓練なども繰り返し、313日退院
急性期の心臓リハビリは、内服などの全身管理下で、積極的にリハビリ行う


回復期:入院でADLが著明に低下しているが目標はある
課題抽出(本人の希望)
・自分の足で歩きたい
・自宅で入浴がしたい
・畑仕事がしたい
→リハビリの継続、家族の介護への介入、福祉用具の選定
目標設定
・転倒せず安全な歩行ができる
 リハビリの維持による筋力強化
 歩行器の安全な使用
・自宅で安全な入浴ができる
・畑仕事

当初は転倒のエピソードがあった。夫の認知機能低下、元気がないなどいろいろと問題があったが、外出の機会を増やすことにより徐々にADLが回復した。

病院と連携して
良かったこと:心臓リハに対する安心感
課題:環境因子把握のスピード、在宅→医療への情報発信、かかりつけ医?病院?
入院中から在宅に向けての意識が高められるような取り組みができた


【グループワーク】
症例を通じての感想、意見交換
〜例えばこんなことを話し合いましょう〜
本人の意思、意向を尊重しつつ、再発予防、再入院の予防を図るために、どうすればいいと思いますか。
担当利用者さんが心疾患である場合、どんな専門職に訊いたり、また、どんなことに注意して支援しますか?
心臓リハビリについて、どのように思われますか?
各職場で取り組みたいこと、取り組んでいきたいこと



【発表】
各グループから1人2分以内の時間厳守
・コメント ヴォーリズ記念病院 理事長、総合診療科・循環器科 三ツ浪健一先生

Aグループ:入院中に在宅の情報収集が必要。訪問があったのか? 訪問リハビリは必要?
顔の見える関係が必要。心臓リハビリのパスがあればいい。
Bグループ:心疾患と聞くと怖いというイメージがあったが、症例報告を聞いて安心した。本人と周囲の人の知識が必要(評価の基準など)
Cグループ:病識を持ってもらう。家族への教育。本人の希望を叶えるためには、環境を整えると叶うのではないか?人が目の前で倒れたら、119番の澤田さんに連絡を
Dグループ:リスクの管理、フォロー体制を整える。全体をマネージメントするのは誰?情報共有の方法を考えるべき。
Eグループ:心臓リハビリという言葉を聞いて勉強になった。JAさんの協力があるのではないか?(状況にあった農機具などの提案。)心疾患の管理を適切に、再入院を予防するために、医療職との連携、情報の共有が大切。
Fグループ:本人の意欲が保てたことで、役割が明確になった。カンファレンスでは分かりにくいことがある。見えないことを抽出することができればより安心。医学的なリスクの評価、判断を誰がするべきか?かかりつけ医?
Gグループ:心臓疾患ということだけで、在宅が不安になるのは何故なのか?病院から在宅に帰るためのパスが必要なのではないか?急性期、維持期でのセラピストの役割が重要
Hグループ:うまくいった症例だった。連携もうまくいった。管理するための情報管理、情報共有が大切。心臓の連携パスがあればいいのかな?専門医との連携があればいい
Iグループ:症例を通しての感想(うまくいって良かった)。リハビリをどこまでやっていいのか?内服管理が大切。ケアマネさんは、チェックリストなどの確認シートを利用している。リハビリからのアドバイス(ボードの利用、環境整備)農作業ができるように工夫を。
Jグループ:医療から在宅への情報提供が大切。在宅に行くのだから、もっと自由にさせればいいのではないか?多職種の連携が大切。情報共有が重要。

コメント
楠神さん(ケアマネ):疾患マニュアルを作っている。チェックシートを活用している。講習会などを開催し、レベルの維持につとめている。次回公開予定。
三ツ浪先生(循環器科):リハビリによって術後の運動能力が回復する。心臓リハビリテーションがとても大切。今日の発表を聞いて、さらに安心して利用できるものと確信した。BLSも重要です。AEDの使い方などの研修も





【自己紹介】

次回予告
107NPO三方よし研究会 
日時:平成281020日(木)18:3020:30
会場:愛東じゅぴあ
当番:東近江介護サービス事業者協議会介護支援部会 東近江介護支援専門員連絡協議会、神崎中央病院

東近江保健所より補助金の相談あり
時期:1月あるいは3月の三方よし研究会? 2月の健康の日に?
スタイル:市民公開講座に?



第105回三方よし研究会

105回三方よし研究会
◇日時;平成28818日(木) 18:3020:30
◇会場;特別養護老人ホーム カルナハウス
(当番:東近江介護サービス事業者協議会施設部門)
【ゴール】
・社会福祉法人、特別養護老人ホームのセーフティネットの役割を学ぶ。
・地域での生活が困難になる状況とその予防策・支援策を学ぶ。
・顔の見える関係・ネットワーク作り、連携を深める。

【情報提供】 
9/3()心臓血管外科市民公開講座
9/25()臓器移植市民公開講座
9/29()第3回摂食嚥下研修
10/22()脳卒中市民公開講座
10/30()腎臓病市民公開講座
以上、近江八幡市立総合医療センター嶋田さんより
10/23()ヴォーリズ記念病院ホスピス希望館10週年記念講演会
ヴォーリズ記念病院 細井先生より

30分学習会】
社会福祉法人、特別養護老人ホームの役割について
●セーフティネットとしての役割について
(特別養護老人ホームカルナハウス施設長 後藤清)
・施設紹介
・老人福祉法に規定される施設
・地域で生活できなくなるときとは
・カルナハウスでの措置入所の実績
・カルナハウスでの新規緊急ショートステイ実績
・受入れによって
・措置入所、緊急ショートステイの受け入れの難しさ
・地域の生活困難者について

●東近江市の虐待及び措置入所等の現状について
(東近江市 福祉総合支援課 副主幹 若林広之さん)
・高齢者虐待のとらえ方
・虐待の種別
・高齢者虐待対応の流れ
・措置とは
・東近江市の高齢者虐待の状況

【事例報告】  
「地域で住めなくなり緊急ショートから施設入所となった事例について」
NPO法人ケアプランセンター加楽 川上美恵子さん
・ケアマネジメントの依頼(市役所福祉総合支援家より)
・対象者82歳、要介護4、アルツハイマー型認知症の対象者の事例
・服薬対応、昼夜逆転、行方不明、サービス利用拒否、妻の認知症の進行
・妻と一緒のサービス利用開始、娘の関わり、車探し
・トラブルから地域ケア会議、入所申し込み
・ケアマネジャーとしての振り返り、まとめ

●東近江市地域包括支援センター 主任介護支援専門員 加藤伊佐美さん
・サービス担当者会議での意見
・妻の認知症の進行についての対応
・成年後見申し立てについて
・娘さんによる支援の開始とショートステイ利用について

【グループワーク】
「地域での生活が困難になっても、地域で過ごし続けるために必要な支援とは?」

【発表】
Fグループ:特にむずかしいのは老老介護→親戚兄弟等協力して、キーマンを探すのが大事。また介護サービスが充実している反面地域で孤立する。我々専門職が「無理」と言ってしまっては家族は余計に不安にさせる。ゴミ屋敷の場合は見て分かるので声かけ連携して対応すべき。地域コミュニティが大事。

Gグループ:本人の問題と地域の問題が絡み合って住めなくなるのではないか、社会資源だけでは解決しにくいので、身内的・制度的なキーパーソンが必要では。地域の空き家等を利用して新たなコミュニティを作るなど。地域で住み続けるには、個人のパーソナリティ、関係性を今から作っていくことが大事では。

Hグループ:精神科の先生から認知症をどこで診るかにつき「分からない」との意見で困った。措置入院や措置入所につき、本人の意思はどうなのか、人権はどうなのかについて意見が白熱した。

Iグループ:住めなくなる原因としては、住民との離反、関係性断絶などがある。また認知症の徘徊等だと地域から居られづらくなる。家族と地域との意識の共通化が必要?個人情報との兼ね合いはあるが、個人のルーチンワークの共有などがあれば地域で支え合っていけるのではないか。認知症カミングアウトなど。

Eグループ:住めなくなる原因としては、高齢者世帯で介護負担が高くなる場合など。本人が他の方に迷惑をかけたくないという場合も。早い段階から家族と民生委員などで話し合っておく必要がある。家族や本人とケアマネジャーが中心となって信頼関係を作っていく。また地域性はあるだろうが、民生委員などから地域ケア会議などで問題をあげていっていく必要がある。

Dグループ:今回の事例は施設側の人間としてみてもケアマネジャーの負担が大きかったのでは。地域ケア会議の存在も大きかった。24時間対応がないと支えきれないケースもある。昔の世話焼きの人などがいなくなり、地域のつながりが中々少なくなってきた。

Cグループ:奈良でも山なので、住めなくなる原因が歩けなくなり生活できずに下に降りていくということが多いのだが、それでも制度やサービスを知っているかどうかの面がある。行政の窓口を徹底活用する。通報する勇気も必要。救急救命士の立場からは、虐待ケースに遭遇することもある。将来当該者にとり救いの手となるように行政に連絡するなど連携していきたい。

Bグループ:行政の予防策が大事では。事前にコミュニケーションの場を作ることなど。

Aグループ:本人のみならず娘など家族の負担感も考慮すべき。気を使わない近所関係作りができれば。専門職のみならず地域住民も支え合いが必要では。

Lグループ:地域により事情は違うので、資源を知ることが必要。個人情報の面はあるが、それを乗り越えていく必要がある。絆貯金の話。

【コメント】
●東近江市 福祉総合支援課 副主幹 若林広之さん
・この場で皆さんの意見を頂けたことが良かった。家族は気持ちが揺れることを受け止めて頂ければと思う。また周知も大事だなと。小さな気づきを勇気を持って話すということで忙しくなる?まずは地域包括支援センターへ連絡を。


●社会福祉法人六心会 理事長 堤洋三さん
・駆け込み寺的な取り組みについて色々と教えてもらっている。また虐待についても、内情はスパッと割り切れない面がある。長い歴史を汲み取る必要がある。グループでは2人の医師がいた関係で、措置と人権・尊厳について改めて考える機会がもてたことはありがたかった。