三方よしカレンダー

2021年1月21日木曜日

第157回三方よし研究会のご報告

 

157回三方よし研究会が開催されましたので、ご報告いたします。

◇日時:令和3年121日(木) 18:3020:30
◇会場:ZOOM活用によるWEBでの開催
(当番:独立行政法人国立病院機構東近江総合医療センター) 

ゴール
○在宅緩和ケアを望む患者さんへの病院薬剤師の関わりについて知っていただく。
○患者の意思決定支援に対する支援方法について考える。
○各職種が顔の見える関係を作ることができる。

【情報提供】 
在宅医療・介護連携推進フォーラムin湖東
最期まで目一杯生きる(萬田緑平先生):221日(日)13301610
会場、オンラインからの参加可。  楠神


 

30分学習会】

『在宅緩和ケアを望む患者さんに向き合うために』
 ~病院薬剤師の立場から~
 東近江総合医療センター薬剤部  畝 佳子薬剤部長


・病院薬剤師は対人業務と対物業務に分かれる。
・従来は入院患者70名あたり1名を配置で、対物業務が中心であった。
・近年、対物業務を安全重視で効率化したり、増員しながら対人業務を拡充している。
・臨床薬剤業務の変遷(対人業務)
・昭和63年入院調剤基本料、平成6年薬剤管理指導料、平成24年病棟薬剤業務実施加算
・病棟薬剤業務実施加算とは?医師等と共働で、主に投薬前の薬物療法適正化をはかる。(平成2610月より実施)→服薬指導、退院指導が増加している。

・症例
・在宅調整にあたって病院薬剤師の介入
・関りから2年で、積極的治療は中止。緩和ケアに以降した。
・疼痛コントロールをして退院に向けた相談。
・退院後の無菌調剤ができる薬局は東近江圏域で44薬局中、3薬局に留まる。
・退院が延期となる。
・携帯型PCAポンプには様々なタイプがあり、コストと機能のバランスを検討することが必要。
・退院にあたっては、薬の変更が必要な可能性あり。

・課題
 積極的治療中から薬剤師連携
 無菌調剤(TPN)
 医療用麻薬の副作用管理、用量調整
 疼痛評価などの情報連携、技術共有
 携帯型PCAの導入
 在宅につなげる処方設計

Q&A
・お薬以外の在宅の生活を知った上で面談できるのか?
・カルテ上からは知ることができる。今後より深めていきたい。

 【症例報告】
『がん患者とその家族の葛藤に寄り添って』
 東近江総合医療センター地域医療連携室  北村 拓也MSW
65歳男性、胆管癌、告知なしで退院。主に次女さんが看病。退院後在宅後最期を迎えられる


 

 

【グループワーク】
テーマ『患者の意思決定支援に対する支援方法について』
・各職種からの気付き
・在宅と病院が連携して意思決定支援をするために必要なこと

 【発表】
1G:患者さんが本人に言えないことがあるので、代弁することも大切。在宅の環境やリハビリの視点も大切。本人がどういった人生を完成させたいかが大切!
患者さんと本人の物語をまるごと見る。退院直前に兄が告知を受け、関わり方が難しかったのではと感じた。切り口を替えて、家族全体でどうすればコミュニケーションをとれるのではと思った。本人が病状が進んでいない時に、医療従事者と緩和ケアのサービスを受けることなども選択肢に変化があったのではと思います。

2G:今回の患者さんについては、若くて難しい症例であったと思います。本人が告知を受けられていないので、もし知っておられたら、どのように生きたかったのか?など知れたのではと思う。人と人との関りが在宅医療では大切だと感じた。

3G:本人のバックボーンを知ることが大切。本人の思いを知りたい。そこを知ることができると、地域のインフォーマルな資源とも結びつけることができる。
家族の不協和音を直す、チャンスだととらえることもできる。その為には本人への告知も必要。在宅で観るときには、訪問看護と在宅医は必須。

4G:今回はキーパーソンの次女さんがおられて良かった。今後は1人の方の支援も多くなる。今回の症例はもう少し兄に相談できても良かったのでは?
患者さんが若いので、まだまだ生きたいとの思いが強く、告知などが難しかったのではと考えさせられました。もっと沢山の手があれば、好転したのかと思いました。

5G:まず、リハビリの方から、情報を医療に頂けることがある。医師、看護師には言えないことも、栄養士、リハビリ職には言えることがある。意思決定支援の為に情報収集は生い立ちとか多方面の話を大事にした方がよいのではないか?
本人の意思決定支援であるが、残された家族の思いも同等に預かっていきたい。
退院前カンファレンスで本人と家族の思いを確認したかった。家族も別に仲良くならなくても明日に向かっていけるような支援もある。告知できないことも分かってあげたい。
最期にハッピーエンド7巻に仲の悪い家族が仲良くなれるお話があるので、機会があれば読んでください。

6G:予後の悪い患者さんであれば、分かりやすい言葉で伝える。生活レベル伝えることも大切。日本人特有のどういうふうに読み取っていくのか難しいと感じています。妻のことを聞くなどして、言葉に見えない気持ちを知ることができるのではと思います。
本人が告知を受けない中で、家族の思いが分かれた症例。なぜ、情報を共有できなかったのか?次女さんが情報を囲い込んだことも原因の一つでは? ドクターが最初に言うのが、よかったではないか? 人は思ったより強い。
・どん底に落ちても這い上がってくる力を信じることも大切。




【コメント】
八木様(滋賀県がん患者団体連絡協議会、オストミー協会、がん患者サロン)。

医療にかかわる方々には大変なことをお願いしていると思います。患者さんは、皆さん性格も在宅の環境も異なり、在宅に帰る為の条件が異なりますが、そのような中で支援して頂いていることに感謝します。地域包括支援センターと病院、薬局など、各地方で特色がありますが、そのようなことも考慮し、患者さんは自分の体を理解した上で、医療を受ける、受けないも選択してもらって対応するのが良いと思います。

 <自己紹介>
小串先生より初参加の方を紹介。 

【連絡事項】
・第158回 三方よし研究会 令和3年218日(木)18:30~20:30
 ○当番・会場  ヴォーリズ記念病院
コロナでどのような生活スタイルになったか? 他府県、県内でクラスターが発生したお話をお聞きすることにしています。

・花戸先生:繋がりがないと生きる力もすぼんでしまうように感じています。このような機会も通して、乗り切っていければと思います。又 八木さんには参加して頂き、又コメントを頂き、ありがとうございました。
36日に「ピア」上映会を住民さん向けにオンラインで行いますので、是非ご参加して頂ければと思います。