三方よしカレンダー

2022年1月20日木曜日

第169回三方よし研究会の報告


 

169回三方よし研究会を行いましたので、報告します。

◇日時;令和4年120日(木) 18:3020:30
会場:ZOOM活用によるWEBでの開催
(当番:独立行政法人国立病院機構東近江総合医療センター)

ゴール
○食事で健康寿命について考える。
○身寄りのない認知症高齢者の支援について考えるとともに、グループワークによる意見交換を通じて、理解を深める。
○各職種が顔の見える関係を作ることができる。

【情報提供】
・在宅歯科医療のための多職種連携推進研修会(湖東歯科医師会)


・第29回 日本ホスピス・在宅ケア研究会 全国大会in奈良 プレ大会
  日時:令和4227日(日)14001600


30分学習会】
 『減塩食で高血圧予防』
  ~食事で健康寿命を考える~ 
  東近江総合医療センター栄養管理室  西井 和信栄養管理室長


・高血圧の予防・治療が健康寿命を延ばす
 ・脳卒中は、多かい介護度になるリスクがあり、結構寿命を縮める原因となる。その脳卒中の危険因子は高血圧である。



・高血圧の予防は適塩だけではない
 1.食塩制限 6g/日未満
 2.野菜・果物の積極的摂取、飽和脂肪酸・コレステロールの摂取を控える
   多価不飽和脂肪酸、低脂肪乳製品の積極的摂取
 3.適正体重の維持:BMI(体重kg÷身長mの2乗) 25未満
 4.運動療法:軽強度の有酸素運動を毎日30分、または180/週以上行う
 5.節酒 エタノールとして男性2030ml以下(ビール1缶)、女性1020ml/日以下
 6.禁煙

 ・塩を控えることで血管性疾患を予防することができる
 ・高血圧の予防、治療には、肥満予防など、基本的な食生活の改善も必要

・適塩を無理なく実践するために
 豚肉の生姜焼き和膳などの外食は塩分量に注意
 牛丼のつゆだくは塩分量が多い減塩の味噌汁などを活用する。

※実施に向けて、減塩の食事には確実な方法はないが、まずは騙されたと思って1週間チャレンジしてもらいたい。

 Q:家庭の塩分摂取量を測るのはどうすれば?
A:家庭で塩分摂取量を測るのは難しいが、より少なくすることは可能。減塩に慣れていくのが一番大事だと思います。 

【症例報告】
 『身寄りの無い認知症高齢者の退院支援』
 東近江総合医療センター地域医療連携室  寺本 隆人MSW

【グループワーク】

 テーマ『地域で過ごすために私たちができること』
  ・在宅での寂しさや不安を取り除き、安心して在宅で過ごしてもらうには
  ・施設入所を選択された場合にどうすればよいか(緊急受診時等の家族代わりになる援助者は?) 

【発表】

G
出てきたキーワードは、地域どうしでの支え合い。一人暮らしの自分が一人になったときは嫁に頼りたい。ケースの方は何をもって寂しさを感じているのか?
MSW:インフォーマルな資源に頼りたいが、なかなか難しい現状がある。
保証人、身元引受人などこの先、きっとこういう方が増えてくるので、システムが必要。助けてくれる人の結びつけなどが、生まれるように努力している。金銭面では世帯分離などで制度を使用できるようにするなどして支援している。

 G
88歳のこの人には物語がある。この人に寄り添って支援するにも生きてきた物語を知ることが必要。救急車で病院に行って、そこのスタッフに寂しいと言わないといけない、この人を理解することができなくても、受け止めたい。根源的に持っている寂しさを知りたい。
88歳のこの人の地域での繋がりはどうであったのかな? 
ケアマネ、生活保護ワーカー、権利擁護の担当者で支援を行っていたが、この方々が持つ横の繋がりの中、ネットワークを駆使すると、寄り添っていくような情報が得られたのではと思います。社会福祉法人もいろんな形で、関われるので、お声をかけていただければと思います。

G
今までも出てきたが。この人のこれまでってどうだったのだろう。
生活保護などサービスが入っていることで、地域との関りが薄くなってしまっていたのかもしれない。要介護1で生活保護、権利擁護などを使っていたので、かなり密なお話をされていたのでは。私はこの利用者と重なりを感じました。強い女子は、この入院の時に、はじめて寂しいと言われたのではとも思います。
施設入所時の緊急時の付き添いについては、保証人や、緊急時の受診などを理由に体よく断れていたのかもしれない。

G
なかなか着地点を見出せなかったが、小串先生から貴重な意見をいただきました。
キーワードは、人とのつながり。人と人とのン繋がりの中で、どんな歴史があるのか?しっかりと掘り下げて、見直していかないといけない。繋がりの中で、緊急時の受診もカバーできるかもしれない。 

コメント:
・東近江総合医療センター地域医療連携室  寺本 隆人MSW
どんな人だったのだろうか?と皆さんいわれていた。
このようなケースの方に多いのは、好き勝手している人が多い。飲食店をされていたりとか。
この方の場合は仲のよい彼氏が来ていたとか、おそらく自分から地域とのつながりを切られていたのかと思いました。男前で金持ちとしか結婚しないなど。

 花戸先生:そもそも、この人の課題を解決しないといけないのか? それを解決しないといけないのが、専門職の役割。
最近、問題解決型の支援と、伴奏型の支援とがいわれている。問題解決型は解決に向けて教えたり、助言したりして支援する。それに対して、伴奏型は教えたり、支援するのではなくて、困りごとを聞き続ける支援。この人の場合、要介護4になったが、今後、介護度が下がったり、または寝たきりになった場合、サ高住に居続けれるのか?その人にとっては一つの課題を解決すると次の課題が出てくるのでは。
周りの支援者がいなくなってしまうことがあるが、もう片方で誰が必要かも感じないといけない。地域共生社会、地域のコミュニティなど、地域って言葉がでてきますが、地域の人々がキーワードになるのかなって思います。伴奏型の支援って本を牧師の奥田さんが書かれています。日本型の社会保障システムは、企業が家族を支えながら家族機能としてなりたっていたが、終身雇用が崩れ、家族も核家族になってきている。制度の隙間を埋める役割が必要かとかと思います。結論は、「その問題は本当に解決しないといけないのか」です。


<自己紹介> 初めての参加者を中心に自己紹介してもらう

 
小方様:社会福祉士の独立型の事業所でフリーで働いています。在宅医療にも関わっていす。今回、この研究会に参加したのは、去年のクリスマスに友達と飲んで際に、隣の席の方に三方よし研究会を紹介された。製薬会社のIさんです。長崎に観光に来られていました。縁があると思って、参加させて頂きました。

次回研究会の企画
 ・第170回 三方よし研究会 令和4年217日(木)18:30~20:30
  当番:医療法人医誠会 神崎中央病院