三方よしカレンダー

2022年6月16日木曜日

第174回三方よし研究会開催のご報告

174回の三方よし研究会が開催されましたので、ここにご報告いたします。


【日時】令和4年6月16日(木) 18:3020:30

【会場】ZOOM活用によるWeb開催

【当番】東近江介護サービス事業者協議会在宅部門・施設部門(社会福祉法人六心会)



【GOAL】

1.外国人技能実習生の受入の実際を知る

2.居住支援の政策と実践を学び、取組の「きっかけ」を作る

3.顔の見える関係・ネットワークを作り、連携を深める

 


【情報提供】

●高齢者等療養施設「ホテルピアザびわ湖」について _滋賀県健康医療福祉部医療福祉推進課主幹 狩谷さん



・滋賀県でのコロナ感染者数の第6波までの状況(グラフで説明)。

・ホテルピアザびわ湖を安心して療養していただける祝初療養施設としてR4.5.2より供用を開始した。

・医師、看護師に加え、介護職も配置し対応した。

・部屋はパーテーションで個室のように配置、また食事は琵琶湖を見ながら、ロビーではレクリエーションも行えるようにした。





●東近江圏域介護職員初任者研修 受講生募集について 加楽理事長 楠神さん

・今年もR4.7.2〜10.23まで介護職員初任者研修を開催します。現在5名の申込者。多くの受講者をお待ちしております。




 

<進行>

六心会 堤理事長さんの司会



【学習会】

「高齢者福祉施設で外国人技能実習生を受け入れて~技能習得支援と生活支援の実際」

報告 地域密着型特養 きいと 施設長 高口誠さんより




・技能実習制度は、国際貢献のため、開発途上国等の外国人を日本で一定期間(最長5年間)に限り受け入れ、OJTを通じて技能を移転する制度。平成5年に創設された。

・団体整理型と企業単独型の受け入れのタイプがある。

・その目的は、①国際貢献、②多様な文化、人材の受け入れ、③介護人材の確保、にある。

・担当者としては、技能実習責任者、生活指導員、技能実習指導員、日本語講師がいる。

・主な関わりの内容としては、①介護職としての育成、②日本語の教育、③生活支援、があった。

・技能実習生の目的としては、①介護技術・知識の習得、②送金と貯蓄、③日本での生活、があった。

・技能実習はまさに「三方よし」〜技能実習生よし(技術や日本語習得、母国より高い給与取得)、施設よし(人材確保、日本人スタッフの負担軽減)、母国よし(若年層の失業対策、経済発展)〜である。

・その発展のためには、日本語習得への枠組みや生活面の細やかなサポート、また日本人スタッフ、利用者家族の理解、そして仕事を任せられるようになるまでの育成が必要となる。




 

<質疑応答>

・現場スタッフの負担は?〜現場の負担は多少あった。時間外も含めて。〜ただこれはとても良い取り組み。ぜひ継続して欲しい。



【事例報告】

「居住支援とは〜政策・価値・実践」

報告 一般財団法人高齢者住宅財団 企画部長 落合明美さんより



 1.居住支援とは

・高齢者住宅財団は1993年3月に当時の建設省・厚生省共管の財団として設立した。

・事業内容は①調査研究、②人材育成、③情報提供、④債務保証、⑤シニア住宅の管理運営、がある。

・その背景には、地域包括ケアシステムの基盤とされている「住まい」が、超高齢化により不安定化しているという現実がある。

・借家の取り壊し等で契約更新ができない、保証人がおらず転居できない、障害者に理解ある家主が見つからない、虐待、老朽化した家屋で暮らす高齢者世帯、長期入院者の退院後の住まい探し等々、様々なケースがある。

・滋賀県でも高齢単身世帯の民営借家率は15.2%、約3割の宅建業者が、家主から「高齢者は入居拒否」と言われたことがある実態がある。

・「住宅確保要配慮者」に対する賃貸人の一定割合は拒否感を有している。特に高齢者・障がい者・外国人に対しては約7割が拒否感を持っているという実態。

・直接拒否はしないが、「今空いている物件がない」等々、やんわり断る例が多いのが不動産業者の本音。

・孤独死と、亡くなった後の残置物の処理が一番の課題。

「住宅確保要配慮者」のマッチング・入居支援が『居住支援』

・厚労省老健局では、平成23年度より調査研研究に着手、平成26年度より「低所得者高齢者等住まい・生活支援モデル事業」を実施。令和3年度より「高齢者住まい・生活支援伴走支援事業」を実施している。

・まさに家主、不動産業者と社会福祉法人、社協、NPO等、行政が協働し、住まいと生活支援の一体的提供、体制を目指している。


2.居住支援プログラムと取り組みの現状

・全国15自治体で多様な取り組みが展開されている。そのうちの3例を紹介する。

・京都市老人福祉施設協議会の例

・こちらには、令和3年度に東近江市社会福祉法人六心会が行政と共に視察させてもらっている。

・岩手県雫石町養護老人ホーム松寿荘の例

・福岡市社協による包括的居住支援の例




3.居住支援の価値と、地域における居住支援体制の構築

・居住支援の目標は、地域生活の安定を見据えた住宅確保。その構造は①個別相談支援と②資源開発・ネットワーク化。

・入居支援として住宅確保のため登録住宅/協力不動産店の協力を、入居後支援として居住支援法人による見守り支援や死後対応を担うモデル。

・それにより、パワーレスな個人が人生の再出発に向かうための支援体制を目指す。

・座間市居住支援協議会からの学び〜つながりの仕組み化。

・東近江市六心会が参加した令和3年度厚生労働省高齢者住まい・生活支援伴走支援事業。

・これからの地域の居住支援体制構築に向けて取り組みを継続していく。



 

【東近江市における高齢者の居住支援の課題】

報告 東近江市地域包括支援センター センター長 河島克彦さんより



・令和3年度の住まいに関する相談件数は102件/7781件。

・生活困窮、障害、老朽化、将来への不安、新型コロナウィルス感染症→課題解決には他部門の連動が大切。

・居住支援への取組経過 令和2年度に六心会と東近江市が協働、その上で令和3年度より高齢者住まい・生活支援伴走支援プロジェクトをスタートさせている。

・実際に京都に現場視察を行い、った。また全国の取組例も確認した。

・東近江市健康福祉部内4課での情報交換を行った。緊急避難や一時避難、生活困窮から家賃が払えない、また住みたいところの選択肢がない現状がある。これらを福祉部局・住宅部局、法人とも連携し検討を進めていく。

・またケアマネジャーの連携会議にて意見を聞いた。

・まずは市役所内での横の連携、そしてケアマネジメント事業所との連携を通じて取り組みを進めていきたい。


 

【グループ別意見交換】

1.居住支援が必要な事例に出会ったことはあるだろうか。出会った場合、どのような対応をして、どんな結果になったのだろうか

2.居住支援をすすめるにはどんな取り組みや仕組みが必要となるだろうか

 


【発表】

1G.

・現状は共同生活より独りの方がよいという意見の住民が多いのではないか。集団生活が好きになるという仕組みが必要。



2G.

・東京では市が借り上げて貸し出しているということもされている。民間でも。

・上手く行かない時は行政の介入も。生活保護世帯だとすんなりといった例もある。

・今日の取り組みを聞き、地域でのやわらかな見守り体制ができてきているのはいいな。

・環境によっては帰れない人もいる。2回に這って上がらないといけないケースなども。

・退院と同時に住居を仕舞ってしまい特養へギリギリ入居したケースなど〜選択肢が必要。

・社会には住まいに困っていることに対してまだまだ理解がないのではないか。


3G.

・事例には直面したことがないという方が多かった。

・県が関わる例として、アパートの住み替え相談〜大家の代替えや住まいの老朽化の時など〜を紹介した。

・解決例が中々なく、関係者へ繋ぐことで何とか対応しているという現状がまだまだある。

・民生委員から社協、ケアマネジャーや行政へのつなぎなど。今も模索しているのが現状。


4G.

・12名の中でも、保健所や市、ケアマネジャーは経験あるが、他の方はないとのことだったが、「実は居住支援だったんだ」と気づけた、との発見があった〜独居送迎や空き家、入院退院支援の場などで。

・一つの団体・事業所だけではなくネットワーク作りが大事。


5G.

・電話がない方の事例や、訪問看護からダルク施設が解散された事例の紹介があった。

・竜王町はアパートがない〜生活支援ハウス、ケアハウスなどの施設などはある。

・不動産業者もこの三方よし研究会会員になっていただく事が必要。

・訪問看護はどのようなウチであっても訪問します。



【指定発言】

●滋賀県土木交通部住宅課 主幹兼企画係長 関幸さんより

・県では昨年度滋賀県住民生活基本計画を改定した。それが滋賀県での居住に関するマスタープラン。

・①住宅確保と居住支援、②CO2削減、③分譲マンションの維持管理、④空き家対策、が4本柱。

・人口減少の影響。令和12年を境に人口は減少、ただ単身世帯についてはまだまだ増加する予想がなされている。

・単身高齢者世帯の住み替え相談はまだまだ増えていくだろう。

・居住支援法人さんへの相談など、あの手この手で相談を受けている。

・大事なのは、家主さんなどへの理解を得ていくことと、社会福祉法人や行政などとの連携。

・圏域ネットワーク作りをこれからもすすめていきたい。



●(一財)高齢者住宅財団 企画部長 落合明美さんより

・グループ発表で「気づけた」との発見、気づきがあったのがうれしい。

・お金がない人は住む場所がない、との問題につながっていく、それならば地域の空き家などに住めればどれだけよいだろうと思うし、その意味で居住支援は大事だと思っている。

・人口が少なくなっていくと介護施設も持たなくなっている、職員が確保できない、ならばその空きスペースを集落化させて支援チームが訪問していくといった取り組みも出てきている。

・空きを使った安定的な住まいの確保は、空き家対策でもあり地域の活性化、住み慣れた場所で暮らしていく一つの手段なのだろうなと思っている点で、今回はとても学びの多い機会だった、ありがとうございます。




 

【自己紹介】

 

【連絡事項】

175回 三方よし研究会のお知らせ

当 番:八幡蒲生郡薬剤師会・東近江薬剤師会・東近江介護支援専門員連絡協議会





ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

次回はオンライン納涼会もあります。

どうぞよろしくお願いいたします。