三方よしカレンダー

2024年9月19日木曜日

第201回 三方よし研究会開催のご報告

201回の三方よし研究会が開催されましたので、ここにご報告いたします。


日時:令和6919日(木) 18302030

会場:ZOOMによるWEB開催

当番:近江八幡市立総合医療センター


【テーマ】

在宅療養の場における効果的な口腔ケアを考える

【ゴール】

①口腔ケアの重要性やケアを理解し実践できる

②在宅療養の場で充実した口腔ケアを継続するための連携について考える

 

【情報提供】

「BCP研修会のお知らせ」

訪問看護ステーション連絡協議会第4支部&東近江圏域介護支援専門員連絡協議会より

10/19(土)13:30-15:00 講師…烏野先生


進行:谷川摩里子さん

【挨拶】

近江八幡市立総合医療センター 白山武司院長


【学習会】

「口腔健康管理を継続させる為に必要な課題は何かを考える」

湖東歯科医師会 口腔機能管理支援センター 主任歯科衛生士 溝井敬子先生


・口腔健康管理には、口腔機能管理、口腔衛生管理、そして口腔ケアの3本柱があり、口腔ケアについては、日常ケアとして他職種と協働していくことが大事になる。

・歯垢の正体は細菌であり、この細菌が誤嚥や血液を経由し全身へと流れて疾患を引き起こす。脳梗塞や誤嚥性肺炎、心筋梗塞、心内膜炎、動脈硬化etc…

・口腔健康管理を継続させるために必要な課題としての口腔内の観察ポイントがある(イラストでの図示、また多数の写真での解説)。

・口腔アセスメント…OHATを活用した評価がある。

・口腔ケアプラン作成の手順がある。STEP1で挿管、食事摂取、ADLの状態で基本ケアの回数を決定し、STEP2OHATの評価を行い、口腔の衛生状態が不良の方には、基本ケアに粘膜ケアを追加し、1日のケアプランを作成する。

・口腔ケアは誤嚥性肺炎、インフルエンザ予防にも効果的予防にも効果を発揮し、在院日数も減らす。

・口腔ケア用品の使い方として、口腔衛生管理=歯磨きだけでなく、粘膜ケアが大事だということを押さえる必要がある。

・誤嚥を防ぐ介助磨き〜口腔衛生管理の基本の5ステップとしては、①準備、②ポジショニング、③心構え、④始めのうがい、⑤口腔衛生管理、⑥仕上げのうがいの順で押さえていく。

・葉が1本でも残っていたら、歯ブラシは必須!その清掃用具の取り扱いも大事(イラスト図を元に具体的な解説あり)。

・誤嚥を防ぐ重要4つのポイント=口腔衛生管理は歯面や粘膜に付着した細菌の塊を剥がし落とすことであり、①姿勢(ポジショニング)、②可能な限り歯ブラシ等の汚れを落としてから使用すること、③歯ブラシ等の水分をきること、④うがいに始まりうがいに終わる
うがいの出来ない方には粘膜清掃が必須となる。

・口腔保湿剤の選び方が分からない時の方法

・固着した汚染物を除去するには、軟化→除去→回収の繰り返しを行なっていく。

・かかりつけ歯科が訪問しておらず、連携できる歯科医院にお困りの時は、湖東歯科医師会の口腔機能管理支援センターへご相談を!




 

【グループワーク】

進行:花戸貴司先生

先生各グループでの意見交換テーマ「口腔健康管理を継続させる為に必要な課題は何か」

①在宅療養を支えるために口腔ケアで工夫されている事や問題点がありますか

②在宅療養の場で充実した口腔ケアを継続するために、各々の立場でどのような取組ができるだろうか


【発表】

<4グループ>

・なかなか口腔ケアについて浸透していない現実、つまり病院では口腔ケアを丁寧にされているが、それが在宅に繋がっていない現状があり難しいなと感じた。

・まずは、それぞの職種が在宅での口腔、栄養について、その必要性を意識する必要がある。


<3グループ>

・退院カンファレスにマンパワーの問題で、病院の歯科衛生士が同席できない現状などがあるが、病院で取り組まれていたことを、如何に在宅につなぐことが重要である。

・在宅での多職種での気づきを如何に口腔ケアにつなげるかを考えていきたい。

・エピソードとして、ビールを飲みたいと希望された方に対して、どのようなトロミが有効であるのか薬剤師さんなどが中心となり検討して、美味しくビールをいただかれた事例がある。


<2グループ>

・口腔ケアの課題として、高齢の方でかかりつけの歯科医をもっていない方がいるという現実、女性の方だったりすると、あんまり口の中は見られたくないっていうことで、見せてくれない方もおられたりがある。

・退院時のカンファレンスの中で、ケアマネが口腔ケアまで配慮して計画を立てていて感心した、意識していくことは大事。

・多職種でこの口腔ケアの課題にどう取り組んでいくかについては、歯科衛生士の方に模型を用いて指導をしてもらった例が出た。

・病院でも口腔ケア加算があり意識が高まっているし、在宅でも訪問看護師や訪問歯科医、溝井先生など積極的につながり連携していくべき。


<1グループ>

・まだまだ口腔栄養の部分の意識が浸透してない。みてもらっている方そうでない方両極端。デイでも加算をとって積極的に見てくれるところがある。

・先生からも薬の副作用の問題で、口腔乾燥が進んだり副作用で治療がなかなか進まないなどの話もあり、骨粗鬆症についても、治療をやめずに口腔ケアの方も進めていけるような情報もほしい。

・ケアマネジャーの方でも適切なケアマネジメント手法が導入され誤嚥性肺炎の予防など意識が高まっていることは良いこと。

・歯科へちゃんと行ってますかと尋ねることが大事。状況をしっかりご家族にも伝えて歯科通院につなぐ必要がある。

・在宅に戻るとST先生につなげにくくなるなどがあるため、入院中にしっかり在宅チームに伝えていく。写真や具体的な数値で示していくことが大事なのではないか。

・最後に、若いうちからしっかり家族ぐるみで、歯科にしっかりかかっておくということが大事。


【コメント】

●居宅介護支援事業所むべの里 引間敬子さん

今日はありがとうございました。勉強になりました。現在ケアマネジャーは、適切なケアマネジメント手法という切り口で、口腔ケアについての評価が指摘されています。なんとなく業務の中で、経験でこうかな、ここを相談した方がいいのではと漠然と捉えてきていましたが、しっかり根拠をもってこういう項目を見ていきましょうという、すごく細かなアセスメントの項目に従って体系的にとらえていく動きがまさに今年から始まってきているところです。

それを踏まえて、普段の毎日のアセスメント項目も見直しましょうということで、課題分析標準項目が23ありますが、かなり細かくなりました。口腔衛生に関しても、義歯のありなしとか、歯磨きが自立か一部介助か全介助かぐらいの項目しかなかったところが、今回改定により義歯の上下のありなしや、総義歯か部分義歯か、噛み合わせや義歯が汚れていないか破損してないか、出血がないか等々、細かく評価していくことになりました。なかなか普段からそれだけの項目を全部聞くことはできませんが、私も今日は栄養の部分を集中的に聞こうかなど、テーマを決めて聞き取っていくなどして工夫しています。

実は、コロナ感染予防のために、今もそうですけど、マスクをしながら訪問しています。で、マスクをされてる患者さん、ご家族さんも多いのは事実で、外してくださいねと頼むこともなかなか言いづらいのですけれども、私は別に無理に1人で聞かなくても、例えばヘルパーさんが訪問されてたら、その時にどうされているかということを一緒に聞いて進めていく、連携していくというのも大切かと思います。

この改定された手法に従って、誤嚥性肺炎の予防のみならず、基本のケア、大腿骨折の場合、心疾患のある方の場合、認知症の方の場合など、状態場面に応じて見立てをたて聞き取りを行なっていくカリキュラムに変わってきていますので、新人で今年からという方もベテランさんも同じ目線、視点でしっかりと利用者さんの大事な生活を守ることができればと思いますし、今日のお話がそういうところでも活かして参考にしていければと思っています。ありがとうございました。


●ヴォーリズ記念病院 澤谷久枝さん

いつもお世話になっております。ありがとうございます。多分、溝井先生は私に管理栄養士の立場で、という風に認識しておりますので、ちょっとその辺から重点的にお話ができたらと思っております。本当に講義ありがとうございます。それと今ケアマネさんね、私のところも居宅事業所を持ってますけど、本当に多機能にやること増えてますよね。もうここまでやってくれてすごいなと思ってますけど、そこら辺を多職種で支える方法があればいいなと、本当にご苦労を思いながら聞いておりました。

私は滋賀県栄養士会会長も拝命しておりますけども、「多職種で栄養を考える会」を独自で作っておりまして、歯科衛生士さんとケアマネさんとで年に1回勉強会をしながら、苦労話やら色々な事例を通していろんなことを学んでいます。これまさに三方よしの考え方で進めています。まず司令塔のようにケアマネジメント、ケアプランを立てるケアマネさんが今の口腔ケアのことについても早く気がついていただくため私たち管理栄養士なり、歯科衛生士さんが登場していく方法で、意外に?このネットワークがしっかりできてきているなと思います。

昨年はSTさんに来ていただいて、お話を伺いました。水飲みテストやら、聴診器を持ってとかいうように、本当に実際に食べるということに対してのエッセンスをいただき、食べる幸福の話を伺った次第です。で、私たち管理養士は、この在宅訪問栄養指導などで実例のお話をしたり、病院の中ではSTがおりますから、その人たちにその嚥下能力に合った食事をしていただくための診断をしたりしています。

やはり皆がそれぞれの問題を一緒に解決していく、チーム活動が本当にどんどん進んでいるなと思いましたし、今日お世話になってる近江八幡市立総合医療センターさんも、やはり急性期の中でしっかり患者さんに向いてくれているので、本当に心強いチームだと感じています。

口腔ケアというのは命に関わる重要な介護という風に認識しておりまして、無意識に私は食べたいものを食べたい時に食べていますが、口の中に入れるということは、安全であるのか毒物であるのか、そういうこと全て含めて自己責任で食べる行為です。これがいい意味では命を繋ぎ健康が得られるエッセンスを口から入れるわけだし、先ほど先生おっしゃったように、口の中が細菌だらけの中で食してしまい誤嚥してしまえば肺に届きますよね、そこがまた増殖して、結局誤嚥性肺炎を起こすという、そのプロセスの危険をも伴いながら毎日食事をしてるというところにこう一定集中を考えたいわけです。

その口の環境、口腔機能のデータに関わるこの低栄養が口腔機能の低下につながり、その筋肉量が低下することによって、結局基礎代謝が落ちていきます。その悪循環で消費エネルギーが減っていきます。その中で私たちが気をつけなければいけないのは、この筋力低下になった時の摂食・嚥下障害、それを少しでも減らすために適切な栄養を口に入れていただくということに繋がるんですね。

今ケアマネさんよりたくさんのアセスメントシートを見せていただきましたけど、そういうところで少し早めに、この人ちょっと食事量が減ったんじゃなくて食べる機能が落ちてるんじゃないだろうか、そういうところに着目した中で、少し早めにケアマネさんなりが気を付けてくださり、歯科衛生士さんにちょっとお願いしますとか、歯科先生も最近すごく熱心に診てくださるので頼むとか、やっぱりこれチームになって動かないとあかんなということは、しっかりと確認したところです。

私たちが普段無意識にやっている「食べる」ということを「美味しく食べる」に繋がろうとすると、今こうやってお話させていただいているこの行い全てが全部、美味しく食べる、イコールみんなと楽しく生きられる、そこに繋がると思うので、すごく今日のテーマというのは原点に戻ってるなっていう風に思いました。

それとこの歯を何年持たすんだという話については、管理栄養士の立場から申し上げますと、離乳食から関わるということで、つかみ食べとかいうことをさせないママさんたちもいますが、食べる、このところをしっかり鍛えられるように、歯科の中にも管理栄養士が入らせていただいて、合わせてやっていくことも必要になってくるかと思います。

これからも皆さんと力を合わせて、よろしくお願いしたいと思います。以上でございます。


●追加コメント…花戸先生より

今、退院支援の時に口腔ケアの指導ということを色々言われていたと思うんですが、指導されるのはおそらく家族だと思うんですね。でも今在宅で看ている家族は、高齢者がほとんど。多くの方が独居の方あるいは高齢者世帯の方が増えてきます。我々在宅の方としては、例えば入浴であれば週に1回、2回で大丈夫かな、排泄であれば2日に1回とか、毎日出ても誰かがケアすれば大丈夫かなというように、家族がいなくてもケアできる、そういうような支援を考えています。

口腔ケアでいうと、13回とか、結構大変なんですけど、我々在宅のチームとしては、家族がいなくてもなんとか支えられるよう、そういうようなチームを考えていきますので、 病院さんもそういった家族がいなくても大丈夫と、そういうようなケアを一緒に考えていただければな、そういうような同じ方向を見ていただけないかなというように思いました。在宅の立場からは以上です。

 


【自己紹介】

(初参加の方)


【次回】

202回 三方よし研究会

1017日(木) 18302030

当番 東近江市役所、社協、まちづくりネット

・滋賀県における子育て・子育ちの現状を考える。

・地域における子どもを中心とした「みんなの居場所づくり」の必要性や効果を考える。

・医療・福祉の専門職それぞれの強みを活かして、地域の居場所づくりに対して、できること、日々の連携について考える。


ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

また次回もご参加お待ちしております。


 

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