三方よしカレンダー

2018年8月10日金曜日

第129回 NPO三方よし研究会のご報告


129回 NPO三方よし研究会が下記の通り、今回も盛大に開催されましたのでご報告です。

日時 平成3089()18:3020:30
会場 永源寺コミュニティセンター もみじホール
当番 チーム永源寺

【ゴール】
◯地域まるごとケアを知る
◯地域のつながり、ソーシャルキャピタルの有用性を学ぶ

【情報提供】
1.三方よし研究会主催、東近江県域介護初任者研修事業への実施について(楠神さんより)
※カラー刷りのチラシあり
 介護人材を何とかしようということから今年も実施することになりました。小串先生、花戸先生、石黒先生など豪華講師陣で、しかも研修費は地域最安値の45000円!ぜひ多くの方にお声がけ頂きたいと思います。


2.作業療法士会へのいざない(石黒先生より)
※白黒のチラシあり
 今年で4年目となります。作業療法士のことを広く知って頂きたく、夏休みに年一回行っており、今年も行います。皆さまからもお声がけよろしくお願いいたします。
 また風船バレーもまだ絶賛募集中です。


3.訪問看護ステーションぱれっとのご紹介(小原さんより)
小児・精神科の訪問看護を専門に8/1訪問看護ステーションぱれっとを開設しました。発達支援ルームPo.te.toひとくみで障害児を預かっていますが、そこに来られない障害児への訪問もできたら...とのきっかけからです。どうぞよろしくお願いいたします。



〜ここからは司会を小串会長から九里さん(民生委員)にバトンタッチして〜




30分学習会】
「多職種で感じる「地域の力」」(花戸先生より)

(以下抜粋)
・チーム永源寺って知ってますか?こんなパンフレットがあります(配布のパンフレットあり)。普通連携というと、医療・介護・行政くらいですが、永源寺は枠を広げ、できるだけ地域で繋がろうとしています。いわば地域まるごとケア。これはもっともっと日本中に必要なんだ、いろんなところでそうなればいいな~という話をします。
・よく講演に行くと「永源寺はいいですよね〜」と言われます。地域があったかい?在宅医療が進んでいる?いやそれだけじゃない、熱いスピリッツだ!?そうじゃないんです、誰でもできるんです!
・誰がやってもできる健康づくりの話をします。この人を知ってますか?あるおじいさんがすらっと答えましたね、そうルーズベルト大統領です。大統領、このヤルタ会談(スライドより)後、脳出血で倒れるんです。大統領、通常血圧は200/100あったそうで、ヤルタ会談じには何と300/200!そりゃ今の基準からしたら倒れて当然でしょう。しかしその当時の主治医は「それは晴天の霹靂だった」と。当時は血圧が健康にとって大事だとされていなかったんです。今は違いますよね。病を抑える、制圧する...が当時の医療でした。
・現在は「予防に勝る治療なし」です。「病気を予防するためには努力?」いえいえ誰にでもできます。医療だけで全ての病気をコントロールすることは難しいですが秘訣があります。
・今日は①健康格差について、②ソーシャルキャピタルについて、③チーム永源寺について話したいと思います。
・世界の死亡リスクを高める要因が5つあります(スライドより)。都道府県別平均寿命でいえば、滋賀県は男性は1位で81.78歳、女性も4位で87.7歳です。それにはやはり理由があり、それは滋賀県のホームページに書いてありますので見てくださいね。健康な生活習慣、また男性ではタバコを吸う人が少ないこと、多量飲酒がそれほどないこと、スポーツが適度に盛んなこと、労働環境、図書館が多いetc言われています。
・社会的要因による健康格差があります。経済、地域、職業、家庭...今日は地域のお話をしていきます。
・ソーシャルキャピタルとして、こんな患者さんがいました(症例のスライドより…89歳女性、2年前夫無くなる、家閉じこもりがち、長谷川式20/30、畑ができなくなった、1日をもてあましている、誘われればいくんやけどな~、また息子が預けようとしているのではないかと気がかりで)
・認知症についていうと、進行を遅らせる薬もあるが完全に治るものではないんです。必要なのは居場所、役割です。そういうことを考えると、本当に認知症は直さなければならないんだろうか?認知症の1/3は予防できるかも、とランセットの報告もあります。
・認知症にとって、社会関係は重要な指標です。人との交流は週1回未満から健康リスクになる、また月1回未満では1/3倍、早期死亡に至りやすいとの報告があります。食事では配食サービスよりも会食の方が良い、独居の孤食は2.7倍抑鬱傾向に至りやすいといったデータもあります。スポーツはグループでいった方が良さそうです。頻繁に運動していてもスポーツ組織に参加していない人は要介護に至りやすい可能性ありのデータもあります。頻度が少なくても組織参加者は有意にならない、ということはこの三方よしも来るだけでも介護予防ということですね。サロン参加者たちは要介護認定率が低いし、笑わない人は健康感の低い人が1.5倍以上多い、前向き感情で認知症リスクが半減する等々。
・結局のところ、誰がやってもいいんです!私たちが支えます、助けます、というのではなく、そこに住んで切ると自然と健康になれる地域作りが大切なのではないか、それが地域まるごとケアなんだと思います。
・ということでチーム永源寺についてです(パンフレットより)。病院の医者によると、社会との関係は健康とは関係ないと言われるかもしれません、しかしそんなことはありません。地域まるごとケアのイメージはこのようなもので(スライド)、この縦と横をうまく繋げることが大事なんだと思います。皆さんの身の回りにある問題、色々ありますし、専門職だから解決できるといったものではありません、前半の話でも合ったように予防できるものは予防した方がいいです。
・ということで、もう一人、患者さんを紹介します。81歳、視力障害(全盲)、一人暮らしの女性です。心不全で入院していましたが退院した方の事例です。掃除、買い物、調理はヘルパーで、惣菜は電話すると持って来てくれます。このおばあさん、節分草という絶滅危惧種に指定された花があるんですが、永源寺には群生している場所があり、その場所を知っているんです。
・「この近くにも咲いているんよ」ということで事例報告をチームきよちゃんによる寸劇で行いたいと思います。ご清聴、ありがとうございました。



【事例報告】
「永源寺は日本の未来像」(チーム永源寺さんによる演劇)
<出演者>
司会:九里美和子さん
ご本人きよ子さん:村井清和施設長
娘:柴田遥さん
息子:中沼孝博さん
病院主治医:九里重義さん
在宅主治医:花戸貴司先生
薬剤師:大石和美先生
ケアマネジャー:今若久美子さん
ヘルパー:森二三子さん
福祉用具業者:村井和之さん
絆:川島富夫さん
民生委員:野田敏さん
演出:宮川こず恵さん
ナレーター:出口千鶴子さん





(その結末だけご紹介...)
〜目の見えないきよこさんの目に浮かぶ沢山の節分草〜



【グループワーク】
お題「事例報告を通して、地域の一員として自分ができることを話し合いましょう。自分の住んでいる地域のこと、活動している地域のことを紹介してください。(仕事のこと、プライベートなこと、なんでも結構です。)
高齢、認知症になっても、安心して地域で暮らし続けられる地域になるためには何が必要でしょうか?もっとどのような人達とつながればいいでしょうか?」










【発表】
Aグループ
・つながりがとても大事
・患者はなかなか言いづらいが、わがままが言えることが幸せ
・奈良県生駒から来ているが、こちらでは医者はまだまだ書面参加、その点で永源寺は素晴らしいと思う
・看取りについては孫やひ孫が立ち会える、好きな時に好きなことがしてもらえる、それが看取りの素晴らしさ
・歳をとったらキョウヨウ(今日用事がある)必要、それが一番大切なのでは



Bグループ
・地域の一員としてできること…買い物支援、料理教室、スポーツができる環境を整える、認知症予防のゲーム、サロンなど集まる場を提供できる、地域のつながりがあること。
・地域のつながりのないところは話し合えない、雪かきゴミ出しが困るなどの課題も話し合いました。 



Cグループ
・劇を見て、離れたご両親がいた場合に、最後どうしたいかについては、何回も聞くことで本音が出てくるんだという話をした。本人負い目もあったりするのでその点からも何回も聞いてあげることが必要。
・そしてまだまだ広報活動必要、キャラバンメイトでの認知症講座などでは子供は素直で聞いてくれるし、小さい時からの働きかけはとても大事


Dグループ
・家の近くでお一人でいられるので声かけをしている
・医療面でのサポート、ポランティアなどできることで支援を
・訪問介護は人材がなかなか集まらないが、この地域は横のつながりがある



Eグループ
11人中5人が永源寺の方
・外に中々出られない、また個人の方々を知られたくないといったこともある
・劇を見て、夏祭りやバーベキュー大会に積極的に出て、つながりを持っていきたい
・つながりある世代では、仕事を通じてスキンシップをとりたい、声掛けで感謝されたとの経験談を話してくれた
・永源寺の方々は、今自分にできることをしていき、そういう地域の力を活かしていく取り組みをしている
・次代につなぐ、若い方々がつないでいってくれるものではないか
・また介護保険はじめ制度の熟知も必要



Fグループ
・子供の頃からの教育がやはり重要、その点で永源寺は一つの大きな強み
・癌患者がつながりの中で、閉じこもり明るくなって来られた
・挨拶も大事
・リハビリの方から、(劇にリハ職がおられなかったので?)リハビリもいます!
・資源を発掘するのは難しいけれども、それぞれが関心を持つところからスタートではないか



Gグループ
・地域にはやはり居場所作りが大事かな~永源寺には縁側喫茶というボランティア団体があることを教えてもらった
・製薬会社さんからは見守りながら車を走らせたいとの意見あり



Hグループ
・病院に勤務しているが、地域の活動に興味があってやってきた
・地域で顔の見える関係を作ることがやはり大事
・今年は暑すぎて診にいけない状況があっただろうが、そんな中でもセーフティネットがしっかり機能しているなと感じた



Iグループ
・多職種だったので色んな意見があった
・共通して言えることは、本質的には楽しく!食べることetc…
・サポートする人達も元気よく活動すること、笑うことにつながっていくのでは


コメント① まちかどケア滋賀ネットワーク 楠神渉さん
・街かどケアでは10年間の活動の中で、大切なことは、地域のことをまず知ること、そして自ら地域の活動に参加することが大切だと思っています。
・東近江市でも広いし、お互いどんなことをしているのか分からないといったこともある現状、その中で今年度は19市町村、県内すべての市町村の色々な活動を一冊のデジタル冊子にまとめました。情報収集が終わりましたので、今年度末には、それが県庁のホームページに載りますので(このチーム永源寺や絆さんも出ている)、ぜひご覧いただき、自分たちの地域の活動のヒントにして頂きたいと思います。


コメント② 森野裕香里さん
・私は永源寺診療所でリハビリの仕事をさせてもらっていました。そして現在は湖東記念病院の近くで鍼灸マッサージの治療をしています。もともと湖東でしたが、盲学校で彦根の方に十何年住んでいました。永源寺診療所で働いていた時も八日市に住んでいましたので、久しぶりに地域に入り込んだ感覚がありました。今させてもらっている活動として、歌を唄ったりの他、地域の小学校に毎月一回読み聞かせに行かせてもらっている。最初は地域教育係からの依頼で活動を知りました。日常で助け合える人もいるんだということを知ってほしい。湖東地区は施設やスポーツクラブやまちづくり協議会のサロンもあるが、それをつないでくれるパイプ役、旗振り役が少ない。生活に密着したボランティアであったり連携役が必要だと思っています。そして私もそういう一員になって活動し地域につながっていきたいなと思っています。
(花戸先生より補足)
森野さんは生まれつき全盲ですが、鍼灸マッサージ師等多くの資格をもち、永源寺診療所で働かれていましたが、現在は自立開業され生活されています。


コメント③ 在宅ケア移行支援研究所 宇都宮宏子オフィス 宇都宮宏子先生より
・先ほどの劇を見てつくづく思いました。私は退院支援というものをしていますが、病気が治らないとか介護が必要になるとか、自分で出来ていたことができなくなることはすごくつらいことだし悔しいことだから「困ってんねん、助けてや」と呼ぶことは難しい、けれどもそれが言える地域にしていくことの重要さ、ヘルパーさんなどが来てくれるんやで〜今までの生活とはちょっと違うけれどもできるんやでといったことを地域に広めていかなければならないと思いました。
・どうしても病院のドクターや看護師は地域の事を知らないから「無理だよね~」となっちゃうが、もっともっと地域に出向き「大丈夫だよね」と言えるようにしないといけないし、地域からも発信していく必要があるなと京都から来て思いました。
・もう一回言えと言われているので言いますが、歳をとったら大事なことは「キョウイク(今日行くところがある)とキョウヨウ(今日用事がある)」ですよ!



コメント④ ケアマネジャーを代表して 亀岡市地域包括支援センターあゆみ 松本善則さんより
・永源寺には特別に思い入れがありまして、一人暮らしまつえさんとテツのドラマ、認知症になられても一人暮らしができているニュース番組の動画を花戸先生からもらいまして、京都亀岡での地域づくりでこの話をさせてもらっています。今日の話で社会資源に乏しいとあったが、おそらくそうだからこそ地域互助ができているんじゃないかと思う。テツの話でするのは、中途半端に社会保障が発達して、昔村八分という言葉があったが村十分ができてしまう、葬式も火事も誰かがしてくれる、という社会保障を思うかもしれないが、それは幻想ですよ、そういうことができない時代が来ている、また地域互助が必要なんだと。僕は予防を捨てましょうと言っています。それよりも「備え」です。特に認知症なんかはですね。「認知症にならへん、なりたくない」と思っている地域で認知症になるよりも「認知症になってもええやん」という地域の方が、なったときの自分が違うやろ、といった意味でテツの話をしています。だから認知症にならないように今から犬を飼いましょう、ではないですよ、やはり人とのつながりを大事にしていきましょう。



小串会長より、新しく来られた方44名!の紹介


山上小学校の川村校長先生より
・私たちは本当に色んな方々から支えられています、そして自然を題材に、永源寺を誇りに思ってもらえるように子供たちを育てていますが、今日来させて頂き、もっともっと誇れるものが見つかった!と子供たちに伝えたいと思います。



多賀町の地域おこし協力隊の石田さんより
多賀の方でチャリティー活動をしていますが、また来たいと思います。



生駒市の沢田かおるさんより
いつも温かく迎えて頂いています。なので三方よし研究会には30名ほどでバスをチャーターして見学に来させて頂いています。そしてなごやかにつながる子三方よしを奈良生駒の地でも作っていきたいと思います。



花戸先生より
メーリングリストの紹介



実行委員会(小原さん)より
感想を三方よしポストと年会費の募集と花戸先生の著書の紹介



次回(近江八幡総合医療センター近野さんより)
日時 平成30920日(木)18:3020:30
会場 近江八幡総合医療センター よしぶえホール
当番 近江八幡総合医療センター
 メインテーマ:アドバンスケアプランニングについての紹介と実際(ロールプレイ)


2 件のコメント:

  1. 楠神さん、前田さん、丁寧に報告してくださってありがとうございました。Aグループには、民生委員さん、学校の事務の方、そして花戸先生のところに来ている研修医と、様々なメンバーでした。お話をしながら、皆さんが経験されたことを思い出して、涙ぐんだり、、とってもいいワークでした。ありがとうございました!

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    1. コメントありがとうございます。またご来場本当にありがとうございました!ワークは素晴らしい時間となられたようですね。皆それぞれが当事者としてできることをやる、その積み重ねが住みよい地域につながっていくのでしょうが、モチベーションを維持し続けていくには、このような場で確認しあうことはとても大事なのでしょうね。実行委員もそのような心に残る研究会を続けるべく、これからも汗をかいていきたいと思います!

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