三方よしカレンダー

2024年1月18日木曜日

第193回三方よし研究会開催のご報告

193回の三方よし研究会が開催されましたので、ここにご報告いたします。


日時;令和6年1月18日(木) 18:3020:30

会場:ZOOM活用によるWEBでの開催

(当番:国立病院機構(NHO)東近江総合医療センター)



【ゴール】

○ 問題点は何かを考える。

○ 問題点の改善(解決)方法や支援方法を考える。

○ 本人や家族に問題点を認識してもらい、必要な行動をして頂く。

○ 必要な支援を受けて頂き、地域で安心して暮らしていけるようにする。


全体進行 ; 小串輝男先生


【情報提供】 

一般社団法人 滋賀県医療ソーシャルワーカー協会研修会 令和6年210日(土)




○NPO三方よし研究会 市民公開講座 上映会 令和6310日(日)



 

進行:山本健さん(東近江総合医療センター)


30分学習会】

『東近江総合医療センターにおけるポリファーマシーへの取り組み』

東近江総合医療センター薬剤部 白崎佑磨さん 荒川宗德さん





①ポリファーマシーについて

・ポリファーマシーとは、多剤服用の中でも害をなすものをいう

・高齢者では6種類以上の投薬で有害事象の発生増加に関連したというデータがある

75歳以上の高齢者が1ヶ月間に1つの医療機関から処方される薬剤種類数は、約3割以上で6種類以上である

・ポリファーマシーべき取り組みによる服薬数減少は、アドヒアランス改善(飲み忘れの減少)、薬剤費抑制べき貢献になる

・日本の医療機関におけるポリファーマシーの認知度では、院内周知していない63.3%、手順書が存在していない93.6%にのぼる

・ポリファーマシー対策の指針・ガイドラインでは、『高齢者の医薬品適正使用の指針』『高齢者の安全な薬物療法ガイドライン』がある

・ポリファーマシー解消の取り組みに対しては診療報酬上の評価がある


②院内におけるポリファーマシーについて

・当院でも、持参薬を6剤以上内服している患者を対象に、薬剤師がチェックリストを用いてポリファーマシーについて評価を行っている

・また各種ガイドライン等を参考に、「特に慎重な投与を要する薬物リスト」一覧を作成し、電子カルテから閲覧可能とすることで、薬物有害事象の回避、アドヒアランス改善に繋げている

・また患者自己回答形式の「おくすり問診票」の活用について院内活用を準備中

20219月での新規入院患者266名の調査結果ではと、持参薬数6剤以上が40%、その中で75歳以上が占める割合は71%に上った

・入院中の解消患者に対し、個別の医師問い合わせ、各種診療科カンファレンスにおける自情報共有をもとに、退院時指導の時に併せて記録を作成している

・ポリファーマシーテンプレートで評価された患者のうち、特に介入機必要性の高い患者を対象に、週1回のカンファレンスを実施している

70代男性の症例報告では、8種類→6種類に減薬し効果が出ている



③地域とのポリファーマシー対策と今後の展開

・当院薬剤師と地域薬剤師との間では、入院時情報共有シート・退院時情報共有シート(薬剤管理サマリ)にて情報共有している

・また年1回東近江医療圏の病院薬剤師・保険薬局薬剤師が合同でポリファーマシーについて研修会を開いている

・地域でポリファーマシー対策を行っていく‘小さな芽を育てる会’の活動も行っており、ポリファーマシー地域合同カンファレンス(症例検討会)を開催している

・東近江医療圏の医師の先生方とも講演会・交流会を図りポリファーマシーについて考える機会を作っている

・地域へは、地域の老人会に訪問講演を今年は3回実施し、健康教室の一環として、当院薬剤師よりポリファーマシー対策の必要性について伝えている

・今後は当院だけでなく、地域に出向いて取り組んでいくこと、多職種と一緒に考えていくことを進めていきたい

・ポリファーマシー問題を進めるためには、多職種共同・情報共有がカギであるため、これからもどうぞよろしくお願いいたします



(質問/意見)

・症例、認知症・機能低下があるということでよかったか?‥そうです。

・ケアマネさんや地域包括支援センターは関わっていなかったのか?薬の数が多いことも問題だが、どの時間帯が飲み忘れがあるのかということも結構大事で、看護師やケアマネと一緒にカンファレンスを行っていくことが重要になってくるので。

・昨年の夏の薬剤師からのポリファーマシー発表の際には当院から来られていなかったようだが、薬剤師さん同士のつながり、特に薬剤師会とのつながりを聞きたい。また地域に出向いていく活動は非常にいい機会だと思うので、ぜひ継続してやっていただきたい。


 

【症例報告】 

『発達障害と思われる方とその家族』

東近江総合医療センター MSW 北村拓也さん



・関わることとなったきっかけとしては、母が当院へ救急搬送され、高度貧血と子宮頸部腫瘤で入院してきた際に、ケアにあたっている看護師より、経済的な不安や母に発達障害か知的障害あるかもしれないとの介入依頼があったこと

・調べると、祖父祖母、父、息子それぞれに事情があることがわかってきた

・そこで息子については市の障害福祉課へ連絡を取ったところ、以前にも関わりがあったことが分かってきた

・その後は、母は退院して他院受診することになり、息子へも訪問調整の運びとなった

 


進行:花戸貴司先生


【グループワーク】

テーマ『 発達障害と思われる方への支援について 』

このままの生活を続けると、どのような問題点の発生が考えられるか。

今回のようなご家庭に対してどのように関わり、どのような支援につなげることが出来るか

 

【発表】

<1グループ>

・まず、このままの生活を続けていったらどのような問題の発生が考えられるかということについては、息子さんの方がこのままでは引きこもりになってしまうというか、社会との繋がりがなくなってしまうのではないかという話が上がりました。

・次のこのようなご家庭に対して、どう関わって支援につなげていくのがよいかという話については、病院のソーシャルワーカーさんだけで全てを解決するのは難しいと思うので、途中からは行政の方に引き継いでもらい、手帳を取得するとか、サービスにつなげていくようにして、家から出て、社会の繋がりの中で、生きていけるように支援していけたら、1番いいんじゃないかという話が出ていました。 

・ただあの一家全体が、理解力が低下していらっしゃることで現状の認識が難しい状態から、無理に介入して行政などへの不信感が増してしまったらいけないので、気を付けて介入していく必要もあるのではないかという話が出ていました。

・息子さんにとって居心地の良い居場所、発達段階にあった場所への参加を取っかかりに していけたりとか、お母さんが養護学校などにつなぐことも止めてらっしゃったという過去があったということで、障害などのワードに対して結構過敏になっていらっしゃる可能性があるので、そういうワードは隠しながら進めていくっていうのも1ついいのではないかという話が出ていました。



<2グループ>

・まずは、入院されたお母さんが言われていたように、経済的な問題がまずは出てくるだろうというところで、祖父母の健康のこともあるし、きっと祖父の年金をあてにしてたりというところから、その方たちが不健康になった場合に生活自体が成り立たなくなっていく可能性があり、早期に介入が必要じゃないだろうか。

・また、祖父母の健康のところというところで、そこら辺の健康状態を確認する意味で、高齢福祉課の訪問だったり、そのあたりの困り事を話せるような人を見つけてつなげらればなというところもありました。

・今後息子さんが生活していく上で、就労につきどういうサポートが必要かも問題になってくるんじゃないか、高齢福祉課からの訪問事業だったりとか、発達支援センターなりいろんな課が市にもあるので、総合的に訪問把握していき、しかるべきところにつなげられればよいのかなという意見も出ました。

・またSOSが出せない家とか、制度の隙間にどうしても落ちてしまう家が今後も増えていったりするので、そういうところもどう拾っていくか。こういう入退院のときに、家族構成の把握から、生活の再構築ができるような支援ができるようになればいいなという意見もありました。



 <3グループ>

・この方のお父さんやお母さんがまた不安定になった場合に、生活の支援であったり、介護ができなかったり、救急車が呼べなかったりするという問題が1つ。あともう1つは、息子への介入が遅れることによって、どんどん就労のタイミングを逃してしまって、社会から孤立してしまうというのが問題点かなと出ました。

・そこでやはり行政が介入していく必要があるんですけれども、その行政が介入するハードルとしまして、やはり本人さんが困っていないと思ってることであったり、障害であることを受け入れられないということで、市役所に行くハードルがなかなか高いのかなと。で、おそらくお母さんの病気が治ったら病院に来なくなるだろうと思われるのですが、それは解決したのではなくて、問題が見えなくなっただけなので、やはり今まで関わってきた人が、積極的に「ねえねえ」と声をかけて関わり続けることが大事、病気が治った後でも、ケアマネジャーさんとか、民生委員の方とかが、ねえねえと、根気よく関わりつきけることが大事なんではないかという意見が出ました。そして、信頼関係をしっかり築いた上で、最終的には障害福祉課や、地域包括支援センターなどに繋いで、サービスが受けれるような状態にしてあげることが目標であるという風に意見が出ました。



 <4グループ>

・まずお母さんが退院できなかったら家族がバラバラになっていたかもしれないなか、退院できたことが一番よかったこと。

・息子さんに対しては、えっと、社会参加や能力配備、開発の機会が失われてしまうと。また今回のような、お母さんが入院されたりなどの場合、生活をする上でより問題が出てくるだろうということが予測されます。で、今回情報を取っていただいている中でも、主に支援センターなど、関係機関の方に少しは関わっているところはあるんですけれども、継続して関わっておられる方がいないというところが問題だなと。

・継続した支援のところで、行政機関につなげる必要があるが、本人が障害の特性をどのように理解しているかわからないというところで、本人やご家族に困り事が出た時などきっかけがあった時に介入していく、その機会を捉えて関係機関がつながっていくのが大事なのではないかという意見が出ました。

・あと、お母さん自身が息子さんの障害を認めたくないという思いがあるのではないかというところで、お母さんがそういう思いになった根本原因を知ることで、適切な支援の側につなげることができるんではないかなという意見が出ました。

・このケースは家族含め関係機関にあちこち「掠っとる」状態。そこで今回MSWさんのように、ちょっと関係機関につなげる一歩を踏み出していく、多職種・関係機関が踏み出していくことでつながっていくのではないか。

・発達障害であろうが引きこもりであろうが人であることは同じなので、まずは気になったら声をかけるということが大事なのではないか。その意味で今回のケースは「成功体験」と言えるのではないか。



 <5グループ>

・やはり私たちのところでも、経済的な困窮ですとか、健康管理の面ですとか、色んな面でご家族の方々、心配だなというお話がたくさん出ておりました。その中でどこに課題があるのかを見極めてつなげていくということが大事なんだと思いました。

・ご家族にも、地域の中での長い歴史、生活の歴史があると思いますので、その中で、民生員の方ですとか地域のキーパーソンの方が、どう立ち現れて我々にご様子を教えてくださるのかなっていうことも大事だと思いますし、行政の方の印象的な言葉としましては、 高齢の方がいらっしゃったり、障がいの方がいらっしゃったり、ご病気の方がいらっしゃる中で、いろんな入り口があるという捉え方をすることで、支援につながっていくと思いました。そこで支援する方々が情報を連携し合って共有する、チームを組むことで、この方々の支えになる、伴走ができるといいなと。直接的に支援というよりは、伴走していくことで、いわゆる重層的な支援ということができるといいんではないかなというような話が出ました。



【コメント】

〜東近江市福祉政策課 福祉相談支援係 小林亜樹係長より〜

・皆様のご意見、色々聞かせてもらってありがとうございました。まずは、北村さんがすごく丁寧なつなぎをうちにしてくださったことが、本当に感謝しております。なかなかつないでくださること自体が難しいところ、ご本人さんと一見関係ないような、親御さんの入院から拾い上げ汲み取って市担当課につなげてくださったっていうことが、まずありがたいなと感じました。
・その中でうちが支援につなげられなかったのは本当に申し訳なかったなとは思うんですけれども、皆様からいただいた意見の中で、いろんな入り口があるというようなお話もありました通り、高齢者の支援というのを切り口にして、お家に入れるような機会を探ってみる、ちょっと障害需要できてないご家庭もあることは、皆さんからもご意見ありました通りで、もうちょっとマイルドなというか、うちのグループでは、サロンというお話もあったんですけど、 ちょっと軽い居場所で、若者が集まる場所があるよみたいなところのご案内などからできないか、うちの方でも探っていきたいかなという風に、今日参加させてもらって感じました。ありがとうございます。




〜東近江市永源寺診療所  所長 花戸貴司先生より〜

・今回、家族の障害が疑われる事例を発表していただいたんですが、まず我々医療職は、例えば病気があるとか、何か異常があるとかというと、何かこう治療をしなきゃいけないとか、元に戻さなきゃいけないとか、先にゴール設定を決めてしまうことが多いのではないかなということを常々反省しています。例えば、子供さんが働いていなければ働かなきゃいけないのかなとか、手帳を持っていなければ手帳を取らなきゃいけないのかなとか、課題が見つかったら、その課題は解決しなきゃいけないのかなとか、そのようなゴール設定をしてしまうんですが、そういったゴール設定をすること自体が、実は家族にとって、本当にそれが希望されていることなのかどうかを常に考えています。
・例えば、病気も、高血圧や糖尿病など、治療をすれば治る、良くなるという病気もありますし、認知症のような、あまり効果がないというか、治療するというよりもどちらかというと受け入れるというような病気の種類もあります。で、そういった家族の状況も、解決するんじゃなくて、こちら側が受け入れるというようなスタンスもやはり大切なんじゃないかなと思います。でも受け入れるのは、何もしないというわけじゃなくて、ずっと関わり続けるという態度が必要だと思いますので、今回病院のソーシャルワーカーさんがしっかりと市役所につないでいただいたっていうのは、今後、例えばお母さんがいなくなった時に、あー、つながっといてよかったなというようなことになるんじゃないかなと思います。
・だから今問題は解決しなくても、ずっとつながり続ける、何か困った時に、今日小林係長が来ていただいてるんで、何かあればねえねえと連絡すればなんとかなりそうな気が、皆さんこれですると思いますし、今すぐの解決にはならなくても、5年後、10年後に生きていくのではないかということを思いながら、今日の三方よし研究会に参加をさせていただきました。ありがとうございました。



 

【連絡事項】

・第194回 三方よし研究会 令和6215日(木)18:30~20:30

○当番・会場 日野町・日野記念病院 ZOOM活用によるWEBでの開催



ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

また次回もお待ちしております。


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