三方よしカレンダー

2025年10月19日日曜日

第215回三方よし研究会のご報告

 第215回三方よし研究会を開催しました。今回も多くの方にご参加いただき、学びや気づきの多い時間となりました。その様子をご紹介いたします。

◇日時:令和7年10月16日(木) 18:30~20:30
◇会場:東近江敬愛病院(2Fデイケア ルーム)、またはzoomによるwebで開催
(当番:東近江介護支援専門員連絡協議会、東近江敬愛病院 )

ゴール
 〇入退院時の多職種連携を考える。
 〇シャドーワークの軽減・解消に向けて、取り組むことを考える。
 〇その人の望む暮らしを実現するために、多職種が連携して取り組むべきことを考え、日頃の活動に役立てる。

【情報提供】
〇多職種キャリアアップ研修会
11月9日、米原市役所で「第11回多職種キャリアアップ研究会」が開催されます。テーマは「つながりにより健康を支える―重層的支援と健康まちづくり―」。京都大学・高木大資氏による講演をはじめ、国スポ・障スポ記念の体験コーナーや多職種によるグループディスカッションも実施。医療・介護・福祉・行政関係者が集い、ウェルビーイングを高める地域づくりを学び合います。
是非、ご参加ください。

〇三方よし研究会 市民公開講座
12月13日(土)14時~16時30分、東近江市五個荘コミュニティセンターにて、市民公開講座を開催します。今回のテーマは「心の糸~写真記者の僕が認知症を見つめ続けて気づいた光~」。講師は、京都新聞社の写真記者として「人生」「社会保障」「ケア」をテーマに長期取材を続ける松村和彦さんです。
松村さんは、認知症の当事者や家族を撮り続け、その姿を通して人の心の強さやつながりを伝え続けておられます。国内外で高く評価され、世界報道写真展でも入賞されるなど、写真を通じた社会へのメッセージに注目が集まっています。
参加費は無料。どなたでもご参加いただけますので、ぜひご参加ください。

【挨拶】
東近江敬愛病院 院長 間嶋淳 先生


【学習会】
『入院情報提供書の改訂について』  

     しみんふくし滋賀 近江八幡居宅介護支援事業所:藤野純子さん  


入院時情報提供書が新しくなりました
― 連携を深め、安心して退院できる支援へ ―
東近江圏域介護支援専門員連絡協議会の会長を務めております、しみんふくし滋賀 近江八幡居宅介護支援事業所の藤野です。
滋賀県介護支援専門員連絡協議会では、皆さまから寄せられたご意見をもとに「入院時情報提供書」を改訂し、今年4月から新しい様式の運用を始めました。今回は、その改訂の経緯と内容についてご紹介いたします。

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急性期病床の現状とケアマネの役割

国は、増加する後期高齢者の入院ニーズに対応するため、急性期病床の在院日数を短縮する取り組みが進められています。
その中で介護支援専門員には、「退院支援」に積極的に関わり、要介護高齢者が安心して円滑に退院できるよう支えることが求められています。
私たちが行ったアンケート調査では、退院事例の約7割が急性期病床からの退院であり、肺炎や心疾患などによる入院が多く、その8~9割が要介護者でした。
また、退院前訪問指導が実施されているのはわずか1割程度で、病院側が自宅の療養環境や生活状況を十分に把握できていない現状も分かりました。
こうした結果から、「入院時からの情報共有と連携の強化」が必要であると考え、私たちは入院時情報提供書の改訂に取り組みました。

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入院時情報提供書の目的と特徴

この入院時情報提供書は、病院と在宅チームが情報を共有し、より円滑な退院支援につなげるためのツールです。
急性期病床だけでなく、回復期リハ病床や療養病床、転院・予定入院時など、さまざまな場面でご活用いただけます。
連携とは、互いの強みと弱みを理解し補い合うこと。
ケアマネジャーは入院前の生活や地域資源、家族の思いをよく知っており、医療職は病状や機能の変化、検査結果を的確に把握しています。
双方の情報をつなぐことで、退院後の生活を支える具体的な支援策が見えてきます。

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改訂のポイント
今回の改訂では、県内7ブロックのケアマネ、保健所、医療ソーシャルワーカー協会などからの意見を踏まえてバージョンアップを行いました。主な変更点は次のとおりです。

•基本情報欄の充実
 「居宅介護支援事業所名」「担当者名」「電話番号」を右上に配置し、「情報提供日」を新設。誰が、いつ提供したかが一目で分かります。
 また、「身長」「体重」「測定日」を追加し、栄養状態の変化を把握できるようにしました。これは、常に最新の利用者情報を意識的に把握する姿勢づくりにもつながります。

•権利擁護の視点の明確化
 家族図の欄に「権利擁護に関する配慮の必要性」をチェックできる項目を設け、「認知機能」を基本情報欄に移動しました。
 入院時から権利擁護の視点を共有し、チーム全体で支援方針を統一できるようにしています。

•医療・介護の情報共有強化
 「義歯の使用」「嚥下機能障害」「歯科・薬局(訪問の有無、担当者名)」の項目を新設。口腔ケアや服薬管理など、入退院を通じた連携が取りやすくなりました。

•生活意欲や支援の方向性を明確に
 「退院に向けて自宅での生活継続に対する思い」を「入院前の在宅生活継続に対する思い」に変更。
 また、「退院後の在宅生活に必要な要件」「今後の在宅生活の展望」など、前向きに生活を再構築する視点を加えています。

•人生の最終段階への意識づけ
 新たに「人生の最終段階における医療・ケアに関する情報」を追加しました。
 この項目は意見が分かれた部分ですが、ケアマネ自身が早い段階から本人や家族の思いを意識し、ACP(人生会議)につなげていくきっかけにもなると考えています。

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おわりに
入院時情報提供書は、連携を円滑に進めるための“道具”であり、目的そのものではありません。
大切なのは、書面だけでなく、お互いの顔が見える関係と信頼を築くこと。
地域の実情に応じて工夫しながら、利用者とご家族が安心して退院を迎えられるよう、これからも丁寧な支援を続けていきたいと思います。


『ケアマネージャーのシャドーワークの実態について』                    ケアプランセンター加楽:楠神渉さん


本日は「ケアマネのシャドウワーク ― 見えにくい業務負荷とその解消策」について、お話しする機会をいただき、ありがとうございます。
「シャドウワーク」という言葉は、最近ではメディアや厚生労働省の資料などでも少しずつ取り上げられるようになってきました。制度の中では定められていないけれど、現場では“必要だからやっている”仕事――それがシャドウワークです。たとえば、緊急時の訪問、書類の代行、買い物の付き添いなど。誰かのために動くうちに、いつの間にか増えていく見えない仕事。これが、見えない負担=シャドウワークです。

今日お話しする内容は3つです。
1つ目は、ケアマネジャーの“見えない仕事”の実態について。
2つ目は、多職種との連携と役割分担について。
そして3つ目は、制度面と現場実践の両面から見た解決の方向性です。

まず、「シャドウワーク」とは何かを整理しておきます。
ケアマネジャーの業務には、介護保険制度で定められた“法定業務”――アセスメント、ケアプラン作成、サービス担当者会議、モニタリングなどがあります。一方で、それ以外に「制度上の位置づけはないけれど、実際には必要とされる仕事」が多く存在します。これが“影の仕事=シャドウワーク”です。
たとえば、書類の代筆や通院の付き添い、安否確認、死後の整理、行政との調整など。範囲はとても広くなっています。

では、なぜこうした仕事が生まれるのか。その背景には3つの要因があります。
1つ目は、高齢者の生活課題が複雑化し、支援が制度の枠を超えていること。
2つ目は、地域に十分な社会資源がなく、他に頼れる支援者がいないこと。
そして3つ目は、「ケアマネなら何とかしてくれる」という信頼と期待が高まっていることです。

こうした中で、ケアマネは「誰かがやらなければ生活が回らない」という思いから動かざるを得ない状況にあります。ですが、その“善意の仕事”が積み重なると、業務が過重化し、本来のケアマネジメントに支障をきたすこともあります。
この現象はケアマネに限らず、医師や薬剤師、訪問介護など他の職種でも見られます。

【厚労省の調査例】
郵便や宅配便の受け取り、書類作成、代筆、救急搬送の同乗、家事支援、金銭管理、入院時の衣類準備、徘徊時の捜索、死後事務、医療同意など。

【加楽での実例(先週1週間)】
生活保護利用者の受診証明書の受け渡し、医療券の受領と配達、独居高齢者の緊急支援や受診付き添い、デイサービス見学支援、家電廃棄、減免手続き同席、インスリン指導への付き添い、ネット購入代行、外国籍利用者の年金書類翻訳など多岐にわたります。

こうした業務は、現場や制度に次のような影響を及ぼしています。
まず、業務負荷の増大。制度外の支援が増え、1件あたりの対応時間が大幅に増加しています。
次に、専門性の希薄化・役割の曖昧化。ケアマネが「何でも屋」になり、本来の専門的業務が後回しになることがあります。
また、責任の所在が不明確になるリスク。制度外での対応は、トラブル時に責任範囲が曖昧です。
さらに、モチベーションの低下・離職。報酬に反映されず、感謝だけで終わるケースが多く、「やりがいはあるが報われない」と感じる人もいます。
そして根本には、制度の未整備があります。必要な仕事であっても制度上の位置づけがなく、基準や報酬が定まっていません。結果として、各事業所が独自判断で対応しているのが現状です。

【国の動き】
厚労省でもこの問題は課題として認識されています。検討会では「法定外業務の増加」が指摘され、老健局長からも「制度の枠を超えた業務は整理が必要」との発言がありました。
一方で、国はICTやAI導入を進め、ケアプランデータの連携やAIアセスメントで事務負担を軽減しようとしています。業務範囲の見直しや報酬改定、包括支援センターとの役割整理も検討中です。

【今後の方向性】
制度面では、「法定外業務の線引き」と「報酬の見直し」が進められています。生活支援に近い業務は保険外サービスとして整理し、地域のボランティアやNPO、民間と分担していく方向です。
現場では、事業所ごとに「業務の線引き」をチームで共有することが大切です。どこまでをケアマネが担い、どこから他機関に委ねるのか。明確にするだけでも負担は軽減します。
また、地域包括支援センターをハブに、社協や自治会、ボランティアと協働する仕組みづくりも効果的です。ICTツールの活用も有効です。オンライン記録や打ち合わせで移動・事務時間を減らす工夫ができます。

【多職種連携の視点】
この課題は、ケアマネ一人では解決できません。医師・看護師・ソーシャルワーカー・介護職などがそれぞれの専門性を発揮し、「誰が・どこまで・どう関わるか」を共有することが必要です。
包括支援センターが地域ネットワークを束ね、制度外支援を調整し、ケアマネが専門的助言を行う。そうした体制が整うことで、無理のない支援が可能になります。利用者や家族にも、「どこまでが保険内の支援で、どこからは地域や家族の協力が必要か」を丁寧に説明していくことが大切です。誤解を減らすことで、結果的に支援全体がスムーズになります。

見えにくい仕事の中にも、たくさんの思いや工夫があります。
一人で抱え込まず、みんなで支え合う地域をつくっていけたらと思います。
今日のお話が、少しでも考えるきっかけになればうれしいです。
ご清聴、ありがとうございました。


『適切なケアマネジメント手法について』 ケアの本質を見つめ、つなぐ力へ
            ケアプランセンターカルナハウス:前田岳史さん 



介護を取り巻く環境が大きく変化し、ケアマネジャーに求められる役割はさらに広がっています。高齢者の暮らし方や家族のかたちが多様化する中で、社会資源の活用範囲も拡大し、より柔軟で的確な支援が必要とされています。そうした状況の中で、「適切なケアマネジメント手法」は、現場の実践を整理し、支援の質を一定水準に保つための新たな枠組みとして注目されています。

この手法は、長年にわたり積み重ねられてきたケアマネジャーの経験知を体系化したもの。支援の内容を「基本ケア」と「疾患別ケア」の二層構造で示し、それぞれに必要な視点や支援内容、アセスメント項目が整理されています。

「基本ケア」は、利用者の尊厳を守り、生活の継続を支えるための基盤的な支援を示したものです。高齢者の身体機能や心理面に配慮し、在宅生活を維持するうえで欠かせない視点を明確にしています。
一方、「疾患別ケア」では、脳血管疾患、大腿骨頸部骨折、心疾患、認知症、誤嚥性肺炎といった主要な疾患に焦点を当て、それぞれの段階や回復期に応じた支援の方向性が具体的に示されています。退院直後と数か月後では必要なケアが異なることも多く、その変化に合わせて支援を見直す重要性が示されました。

ケアマネジメントは“仮説”を立て、検証していくプロセスであるとされます。限られた情報から“あたり”をつけ、支援内容を見立てる。そのために必要な知識や思考の道筋を整理したものが、この手法の中核です。単なる手順書ではなく、考える力を育むための指針。経験豊かなケアマネジャーが無意識のうちに行ってきた判断や視点を、言語化し共有できるようにした点に大きな意義があります。
また、この手法はケアマネジャーだけのものではなく、医療・福祉・看護・リハビリなど、さまざまな専門職が共通の視点を持って協働するための“共通言語”として位置づけられています。地域全体で共有し、多職種が同じ方向を向いて支援にあたることで、利用者や家族の「望む暮らし」に近づける。その実現を後押しする枠組みといえます。

発表では、ケアマネジメントプロセスの流れに沿って、「適切なケアマネジメント手法」がどの段階で活かされるかが丁寧に整理されました。インテークからアセスメント、プラン作成、モニタリングに至るまで、すべての過程において支援の根拠を明確にする姿勢が求められることが強調されました。特にアセスメント段階での「見立て」と「情報整理」は、支援の質を左右する重要な要素とされています。

この手法は、日本総合研究所が厚生労働省老人保健健康増進等事業の一環として取りまとめた報告書を基礎に、全国的な普及が進められています。介護支援専門員の法定研修でも導入が進み、専門課程Ⅰ・Ⅱなどのカリキュラムにも反映されつつあります。現場での研修や実践を通じて、より具体的に活用されるようになってきました。

資料はA4で厚さ4.5センチにも及ぶ膨大な内容ですが、その一つひとつに、現場で役立つ知識と支援の視点が詰まっています。細部に迷い込みそうな情報の森の中から、何を拾い、どうつなげるか。その探究が、ケアマネジメントの本質を照らしています。

「適切なケアマネジメント手法を活用して、抜け漏れなく連携し、自立支援を、そして望む生活へ。」この一文に、この手法の目的と願いが込められています。

ケアマネジメントの根底にあるのは、制度ではなく人の暮らしです。支援の質を高めるとは、ひとりの生活に丁寧に寄り添うこと。現場での実践を理論と結び、地域の力へと変えていくが重要だと考えます。


【活動報告】  

『退院支援・シャドーワーク事例』:
        やすらぎの里ケアプラザ 管理者:高倉利幸さん 
                   東近江敬愛病院 地域医療連携部 社会福祉士 城尾紀子さん


独居高齢者への支援 ― 繰り返す入退院と生活再建への寄り添い

地域のケアマネジャーが関わった、ひとり暮らし高齢者への支援事例を紹介します。
対象の方は〇〇代男性、アパートで独居生活を送る要支援〇〇の方です。週3回の訪問看護と週2回の訪問リハを利用しながら暮らしておられました。

ここ数年、転倒や体調不良をきっかけに入退院を繰り返しており、そのたびに病院や福祉課との調整、入院手続き、生活物品の整理などをケアマネジャーが支援してきました。
入院中はリハビリの介入が遅れることもあり、退院後の生活に向けて、病棟・訪問リハ・訪問看護が連携しながら、段差昇降や歩行器の使用状況を確認。次の入院時には本人の歩行器を持参し、病棟での練習を行う計画を立てました。

退院当日にはケアマネジャーが同行し、住まいの準備や手続きの支援を実施。
訪問リハや訪問看護と協働して在宅での動作確認を行い、再入院までの短期間を安全に過ごせるように整えました。
しかし在宅中の夜間、玄関の鍵を閉めようとして転倒し、救急搬送される事態に。
再入院後には介護区分の見直しを病院と相談し、入院中に認定調査を受けて退院となりました。

この支援を通して、身寄りの少ない独居高齢者が増える中、ケアマネジャー以外の職種も生活を支える場面が多くなっていることを実感しました。
誰か一人の負担ではなく、地域の関係者が協力し合って暮らしを支える仕組みづくりの必要性をあらためて感じさせられる事例でした。


【グループワーク】 進行 花戸貴司先生

テーマ『退院支援時の連携とシャドーワークについて』

視点 〇退院支援を多職種で連携して行う際、どのような課題があるのか?
          〇退院前後の場面で発生するシャドーワークには、どのような課題があるのか? 
       〇利用者・家族の望む暮らしを実現するため、またシャドーワークの軽減・解消に向けて、多職種が連携して取り組むべきことは何か。



【発表】
(会場3グループ、オンライン2グループからの発表の概要)

・各職種からの報告を通して、ケアマネをはじめ多職種が保険外の支援を担うことで、在宅生活を続けられている方が少なくないことが見えてきた。
・退院時などに多くの依頼をケアマネにしていたが、実は保険外の内容が多いと知り、これからは自分たちでできることも考えていきたいと思った。
・地域の有償・無償のサポートセンターとの連携を進めたい。また、そうした仕組みがない地域では、新たに立ち上げていく動きも必要に感じた。
・地域包括支援センターをハブとして、情報を共有できるようになると心強い。
・この課題の解決には、地域ごとにキーマンとなる人が必要。包括が担うのか、三方よしのような団体が担うのか、話し合いを重ねていきたい。
・薬剤師や訪問看護の現場でも法定外の業務が多く、それぞれのシャドーワークを見える化し、協議を続けていくことが大切ではないか。
・支援の基本は自助。何でも多職種で対応するのではなく、まず本人や家族ができることを考えたい。そのうえで、難しい部分をシャドーワークとして、互いの“のりしろ”を活かし合えればよいと思う。






【指定発言】

東近江市地域包括支援センター:河島克彦さん


「シャドーワーク」という言葉は、もともと家事や子育てなど、近代の産業システムやサービス経済を支えるために欠かせない“見えない労働”として使われてきました。つまり、資本主義社会を成り立たせるうえで必要とされながら、評価されにくい労働を指しています。

ケアマネジメント業務におけるシャドーワークの問題については、日頃からケアマネジャーの皆さんの支援に関わる中で耳にすることも多く、また今回、ミニ学習会で具体的な実例報告を伺い、改めて大きな課題であると感じています。
そもそも、サービスでは支援できない部分を家族や身内が担うという、現在の制度設計そのものに根本的な問題があると考えています。介護保険制度という社会保障制度が、自助や共助を前提としていることが、その背景にあるのではないでしょうか。

地域包括支援センターとしても、これまでケアマネジャーさんからの相談にできる限り対応してきましたが、やはりマンパワーの限界もあり、シャドーワークの解消には至っていない現状があります。その点については、申し訳なく感じています。
実際、地域包括支援センターでも通院支援やゴミ屋敷の片づけ、金銭管理など、本来業務の範囲を超えた支援をやむを得ず行うことがあります。運営マニュアルには記載されていないものの、ここにも“見えない労働=シャドーワーク”が存在しているのだと思います。

本来は、シャドーワークが生じない社会こそ望ましいはずです。社会保障は国民生活のセーフティネットであるべきで、今のようにシャドーワークが最後のセーフティネットになっている状況は、理念としても矛盾しています。

楠神さんの報告の中で、「地域包括支援センターがハブ機能を持つ」という提案がありました。包括として何ができるのか、非常に難しい課題ではありますが、そのようなことも、検討していきたいと思います。
まずは、ケアマネジメント支援においてケースの情報を丁寧に把握し、ケアマネジャーの負担軽減につながるよう、可能な限りサポートを続けていきたいと考えています。

また、身寄りのない方などの支援も含め、今後はセンターの役割を見直し、将来的に“調整ハブ”としての機能を持てないか検討を進めていきたいと思います。
本日は、このような貴重な機会をいただき、ありがとうございました。

【連絡事項】 
第216回 三方よし研究会 令和7年11月20日(木)18:30~20:30  ○当番・会場  東近江市役所、東近江社協、まちづくりネット東近江

次回の研究会のテーマは、「サービス利用における駐車場問題を考える」。
地域の現状を見つめ、暮らしやすいまちのあり方を一緒に考える時間になります。

当番は東近江市役所、まちづくりネット東近江、東近江市社会福祉協議会で、東近江市包括支援センターの河島さんによる情報提供や活動報告、花戸貴司先生の進行によるグループワークや発表も予定されています。
「駐車場がなくて困ったこと」「苦情につながった経験」など、専門職・行政・地域それぞれの立場から意見を交わしながら、地域支援の形を探っていきます。
皆さんのご参加をお待ちしています。


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