三方よしカレンダー

2020年7月20日月曜日

第151回 NPO三方よし研究会(ZOOM-Web研究会)のご報告

151 のNPO三方よし研究会、今回もZOOMを利用し、全国より45名ばかりの会員さん達を交えて活発なディスカッションがなされました。ご参加の皆さま、ありがとうございました。


◇日時:令和2718()16:00~18:00
◇会場:WEB開催(ZOOM開催)
(当番:チーム永源寺、東近江薬剤師会、八幡蒲生薬剤師会)

ゴール
○病院に通院しながら実施する抗がん剤治療について学ぶ
○外来化学療法における病院・薬局薬剤師の連携事例を共有する
○チーム永源寺の活動

全体進行 ; 小串 輝男先生
今回は中野ヴィレッジからの司会進行でした。その後の恒例BBQ大会を控えて、密にならないように参集者も集い...


【学習会】
司会進行 (大石 和美さん)

『その①外来化学療法室について
その②外来化学療法患者における薬・薬連携について
~有効性、安全性をを高めるために~』
近江八幡市立総合医療センター 薬剤部
がん薬物療法認定薬剤師 山本 圭恵さん



〜以下スライドをもとに講義〜
   外来化学療法室について
・化学療法って何?
・レジメンって何? 抗がん薬の投与量、投与スケジュール、治療期間等が記載された治療計画書
・当院での化学療法治療人数と化学療法件数(R2.6月時点)
・通院での抗がん剤治療での良い点 通常の生活の継続/仕事等社会生活の継続/趣味娯楽の継続が可能な点
・外来化学療法室での治療の流れ
・投与方法 シュアーフューザーの使用など
・化学療法


   外来化学療法患者における薬・薬連携について
・通院での抗癌剤治療での注意が必要な点 自力での生活継続/家族援助が必要な場合あり/副作用時の対応/外来待ち時間
・抗がん剤の分類
・化学療法による副作用発現時期の目安
・抗がん剤治療にて出やすい様々な副作用 皮膚障害ほか
・薬薬連携について
・お薬手帳シール
・外来化学療法施設間連携レターの活用
・薬剤師による面談
・レターを渡すときの注意点
・症例報告 ○歳女性
・レターを使用することによって 安全で質の高い医療提供につなげる一歩に
・本日のまとめ 化学療法室を利用しガン薬物療法を受ける患者さんは多い。様々な副作用があるため、通院治療の継続のためには薬薬連携が重要


【事例報告】
『外来化学療法の病院・地域薬局の連携事例』
八幡蒲生薬剤師会 滝川政邦さん


・過去の地域薬局のがん患者さんとの関わり 退院後の抗癌剤継続には副作用があり、シビアな対応が必要だった
・今の地域薬局のがん患者さんとの関わり 病院外来で注射剤によるがん治療+内服抗癌剤
・近江八幡市立総合医療センターとの連携の始まり H28〜ガンとレジメン勉強会から開始
・お薬手帳で外来化学療法のレジメンを共有 → R2.5月からは施設間レターを活用し患者さん情報を共有している
・結果 外来化学療法を実施している患者さんに、施設間レターを活用し、病院・地域薬局の薬剤師の間で、患者情報を共有した場合の利点の確認、また薬剤師さんとの顔の見える関係ができた


【チーム永源寺より〜医療の不確実性】
花戸先生の講演


〜こんな患者さんがおられたらどうする?〜
症例1 78歳男性と75歳奥さんとの事例

またここで参加者への質問が。ホストと参加者一体となっての進行です。


◎状況が単純(Simple)な場合
ガイドライン(教科書)通りの対応=病状の把握→分類→対応でよい


症例2 70歳男性 ヘビースモーカー。65歳の妻と二人暮らしの事例
・糖尿病、心筋梗塞、肺炎、酸素使用。「コロナの影響で外に出られないのが辛い」
ここに来て「無理っぽい」との意見が出てきた...


◎状況が複合的(Complicated)な場合
病状の把握→分析→対応が必要
クネビン(Cynefin)のフレームワークより


症例3 78歳男性の事例
・寝たきり、77歳の奥さんが頼りない、県外の娘あり。
・総合病院の循環器科・消化器内科・泌尿器科・外科に通院、薬が余っている



症例4 70歳女性 夫、息子夫婦、孫と暮らす事例
・膵臓ガン進行性、抗がん剤治療6ヶ月ほどでだんだん効果なしに
・本人やめたい 夫「頑張れ」


・一人ではやはり難しそう=自分の守備範囲だけでは正解がわからない
・不確実性に直面したときの3つのパターン
   できること、わかっていることだけを話題にする=責任逃れ
   対策もリスクとベネフィットのみを説明、不確実性をぼやかす=わからないことをわからないと言わない
   目の前で起こっている事案に対し、時間と共に変化する優先度を考え、当事者とともに考える。=わからんけど
、とりあえずやってみる!


◎状況が複雑(Complex)な場合 各々の問題解決を目指すのではなく、状況の最適化を目指す
=多職種でのコミュニケーション/失敗を恐れずできることを探す/うまくいったらラッキー、その調子で環境を整える
・クネビンのフレームワークでは 探索→把握→対応





PDCAに対するOODAObserve=情報収集→Orient=方向性判断→Decide=決定→Act=行動)の概念。
PDCAは権限がトップに集中(ピラミッド型)、OODAは権限を分散化(現場自立型対等組織)



症例5 60代姉妹の事例
・長女は経度発達障害、次女は明らかに精神疾患を患っている印象。
・長女は衰弱、発熱もあり入院が必要な様子だが断固拒否。


皆さんのご意見は?
・長杉さん 命の危険性から入るのは譲ってはいけないとろかなと。あとはなるようにしかならないのでは。
・四位さん 姉は措置入院もありかな?妹も検査入院、退院してきたら訪問看護、社協での金銭管理などもどうかな。 
・楠神さん 急にこうなる前の地域での関係性が大事なんだろうなと。ちなみに愛東地区では命のバトンを全世帯配布しており、連携できるようにしている。
・渡邊先生 一時的に引き取ってくれる病院があれば。でも断られる方もやはりいて、そのような場合は特に最初の一週間、医師看護師総動員で対応する必要がある。自粛しながらも腹を括っていくことかな。
・宇都宮さん 全ての事例が地域の方が気づいてという事例。 問題はどこ?医療者は「問題はどこ?」から入りがちだが、二人で生きてきた経緯を考えると、入院加療で行ったほうがよいのか、在宅でサポートしながら生活を再構築したほうがよいのか?精神的なアセスメントのできる場所でみるという方法もありかと思いました。
・これらの事例は全て私自身(花戸先生)が全て経験した事例。結局このお姉さんの場合は...
皆真剣にディスカッションに参加です



◎状況がカオス(Chaos)の場合
行動→把握→対応へ





症例6 80歳男性 肺気腫、早期膀胱がんの事例
・本人「手術はしたくない」、息子「望みがあるなら治療を受けさせてあげたい」、娘「お父さんの希望する通りにさせてあげたい」、かかりつけ医「本人の希望通りがいいのではないか」

皆さんのご意見は?
・仲先生 時々あることで、キーパーソンにしっかり説明させていただく。
・鹿島さん なんで治療を拒んでいるのか、本人の気持ちを意思確認してからかと。
・原田先生 手術しない方法もあるのかも。時間が過ぎれば気持ちも変わってくるかもしれない。
・武田先生 セカンドオピニオン的によく 治療を行った方が良い場合は、もう一度説明を丁寧にして勧めることもある。


◎Disorder
医療含め、人生は不確実なもの エビデンスのみを理由に人々を苦しめてはいけない。
情報は意思決定の道具である。


専門的な「正しさ」を振りかざして、自分の専門外のことに対して、「無理」「難しい」と決めつけていないだろうか。「とりあえずやってみよう」「走りながら考えよう」三方よしの楽しさは、そんなところにあるはず...

医療の不確実性、人生の不確実性


〜ほかご意見として〜
 ・宇都宮さん 専門家同士のディスカッションの必要性、どの辺で折り合いをつけるか、その調整の難しさと大事さ。

   加藤さん 地域での関係性構築から進められたら、そこに病院も入っていけたらいいのではないか。 
・武田先生 医療はジャッジが主だが、三方よしは走りながら考える、いいですね〜


<自己紹介>
初めての参加者を中心に自己紹介


<次回開催案内>
令和2820日(木)18:30~ 
主催 東近江市福祉総合支援課、東近江市社会福祉協議会、東近江市まちづくりネット



ここまで読んでいただきありがとうございました。
前回まではなかなかディスカッションの時間もとれなかった中で、今回はその時間もしっかり割きながら皆が考える時間を持てたかと思います。

今回のディスカッションのコロナウイルスに負けず、三方よし精神で皆と一緒に走りながら考えていければと思います。

来月もよろしくお願いいたします。



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