三方よしカレンダー

2025年9月18日木曜日

第214回 三方よし研究会開催のご報告

 本日、第214回の三方よし研究会が開催されましたので、ここにご報告いたします。



日時:令和7 918 日(木)18302030

会場:ZOOMによるWEB開催

当番:近江八幡市立総合医療センター

 

ーテーマー

独居で認知症のある方の退院支援・地域との連携について~急性期病院の現状~

ーゴールー

認知症患者の理解を深める

地域での多職種による連携を考えることができる

 


【情報提供】

 ①11月15日(土)「東近江市社会福祉大会」五個荘コミュニティセンターにて



②11月9日(日)「第11回多職種キャリアアップ研究会」米原市役所本庁舎1階にて 

③10月11日〜12日「第32回日本ホスピス・在宅ケア研究大会全国大会inなにわ」大阪コロナホールにて




進行:患者総合支援課 山田明美さん


【ご挨拶】近江八幡市立総合医療センター 白山武司 院長


今日は認知症のケアということで、皆さん頑張ってご意見いただけると思いますので、期待しております。よろしくお願いします。 


【学習会】

「認知症患者のケアについて」

近江八幡市立総合医療センター 認知症看護認定看護師 中村亮太看護師


・急性期病院での認知症ケアとは、入院目的である疾患の治療効果を最大にして回復を図るとともに、認知症の悪化を予防し、1日も早い退院を実現する事

・認知症者が入院するリスク 入院すると認知症が進行する!?入院を契機に機能低下や活動性低下(転倒約2.5倍)、またはせん妄(4〜8倍)・BPSD(60%)が起こり、その結果として認知機能の低下が不可逆的に残ると言われる

・入院する認知症者への介入 病院スタッフは“生活者”としての能力が非常に低下した状態で出会うため、現状だけを見
て評価すると「出来ない人、わからない人」を作り上げてしまう

・その際のPOINTは、入院前の生活背景を知り、①現状とのギャップを埋める手助けをしていく、② “隠れ認知症”の発見、ケア介入

・入院前の生活を知るには、本人家族からの聞き取り、診療情報提供書、看護サマリー、入院時情報提供書、等がある

・認知症者を観察する視点には、OLD(初期認知症徴候観察リスト)がある

・認知症者の退院時支援として、入院前と後の生活機能のギャップを医療の継続や介護福祉サポートにより埋めていくこととなる。そのため移行期支援を手厚く、機能低下の理由を捉え介入していく必要がある




 

「近江八幡市の認知症に関する取組について」

近江八幡市東部地域包括支援センター 保健師 山本あい子センター長

・地域包括支援センターの役割 ①高齢者に関する総合相談窓口、②高齢者の生活を支える総合的な支援(介護予防・権利擁護・包括的支援)、③認知症の方への支援や取り組みは重要な柱のひとつ

認知症に関する相談内容(現状) 本人・家族からの最も多い相談例として、もの忘れの対応や受診、介護サービス申請や利用の仕方、家族の負担、介護疲れ、行動・心理症状(BPSD)への対応 などがある

・事例紹介<事例1>70歳代/男性 独居生活保護受給要介護2脳血管性認知症の方。金銭管理ができない、近隣友人への借金や薬の飲み忘れなど。デイ・訪問介護・訪問看護・短期入所・福祉用具利用し、社協地域福祉権利擁護、法テラス相談。成年後見制度申し立ての支援、地域ケア個別会議など。

・事例紹介<事例2>70歳代/女性 高齢世帯→独居要介護1 糖尿病にて受診中。近隣住民より、もの忘れが気になると包括に相談。本人物忘れの自覚なし。年金を夫婦でパチンコで使ってしまい日常生活上の支払いができない。社協地域福祉権利擁護事業につながるが本人は金銭管理支援を断固拒否される。社協や包括支援センターが訪問継続して対応。夫入院するが奥様ヒッチハイクで病院へ行く、面会したことを忘れて繰り返すなどを経て体調悪化で入院、その後養護老人ホームへ措置入所。

・支援内容として、①医療機関・ケアマネジャー・介護サービス等と連携した支援、②金銭管理に関する社協との連携・成年後見制度申し立ての支援、③近隣住民の理解・見守り体制、④本人への意思決定支援、生活支援、⑤認知症初期集中支援チームとの連携など。早期の受診や診断につながることが非常に大切。医療の対応、連携により支援がスムーズに。

・課題や困難に感じること 身寄りがない、親族の支援が得られない、家族の介護力が弱い/関わり拒否/経済面(金銭管理ができず、水道光熱費の滞納、サービス費や食費が確保できない等)/家族の孤立、介護者の負担感の大きさ・・・虐待に至るケースも/医療へつながるのが遅い。早期に診断をうけるがサービスにつながらない/地域の理解不足や偏見(行動の誤解など)/支援が長期にわたる。地域福祉権利擁護事業利用調整、成年後見制度の申し立て支援 など

・関係機関との連携 医療機関・薬局/ケアマネジャー・訪問介護・看護等のサービス事業所/民生委員、自治会、地域住民/銀行、郵便局、配食業者、スーパー/警察・行政部門など、相談経路は多様。支援も多職種チームで「切れ目のない支援」を目指したい

・近江八幡市の取組みとしては、認知症カフェの開催(勉強会、交流の場、家族の相談)/認知症サポーター養成講座/初期集中支援チームの活動/ネットワークづくり/啓発イベントへの参加や地域活動との連携などに取り組んでいる

・まとめ 認知症のある方への支援は、本人・家族・地域・専門職が一緒に考えて取り組んでいく(「新しい認知症観」)。本人や家族の暮らしを支えるためには、多様な関係機関との連携や取り組みが不可欠。










【事例報告】

「急性期病院から措置入所となった事例」

近江八幡市立総合医療センター 患者総合支援課 川本佐江子看護師


『事例1』70代 女性S 氏

【入院までの経過】

朝方、亡くなった夫の親戚が訪問時、便失禁し動けなくなっている状態の本人を発見。一旦ベッドに戻し用事を済ませて戻ったところ、再度、畳に便失禁し倒れている姿を発見。意思疎通とれず、発熱もあり救急要請。精査の結果、重症急性胆管炎で入院となる。

【社会的背景】

夫と2人暮らしで、夫とパチンコを打つのが日課だったが、数日前に夫が死去。※家族は救急要請された親戚は亡くなった夫の妹と甥。再婚のため、本人との血のつながりは無い。本人に子供がいたが、再婚し籍を抜いてから関わりが無く、入院されたことを連絡するが、急変時や死亡時の連絡も拒否。入院中のKPとなる方はいない状態。

※介護保険上は要介護1(夫が生前中に申請、地域包括の介入あり、ケアマネジャーなどの準備の段階であった)


【入院からその後の経過】

重症急性胆管炎の治療と共に、ADL低下を防ぐため、リハ ビリテーション介入。入院当初は「主人どこ?」「3日前に亡くなったのよ」など混乱された発言あり。帰宅願望も強く、「もう帰るわ」とソワソワされる様子が続いた。認知症症状あり、ナースステーションで塗り絵や動画を見て過ごすことで、少しずつ落ち着いて過ごされることが増えていった。自宅退院での独居生活は困難と判断し、施設や転院先の相談をする方向で老健施設や近隣病院に相談。→施設や転院は、保証人の関係上で困難、特例での入所も施設の空きがなく入所困難。ケアマネジャーとも自宅退院を想定し相談するが、自宅生活は認知症があり、夜間などの安全や金銭的な問題も考慮すると困難と話し合いで決定。地域包括担当者より市に相談され、判定会で措置入所の方向となる。本人に入所の流れを説明し同意を得る。入所先施設、市、地域包括担当者とカンファレンスをおこない、養護老人ホームへ措置入所となった。入院中に地域包括担当者にて権利擁護の利用調整、成年後見人制度の申請をされる。


『事例2』80代 男性I氏

【入院までの経過】

数ヶ月前から両足首の疼痛があり体動困難となった。内服も服用出来ず、寝たさりに近い状態となっていた。ヘルパーが訪問された際、Spo2が測定できず、かかりつけ医に相談し救急搬送される。体動時に息切れあり、間質性肺炎の増悪で入院となる。

【社会的背景】

元々生活保護受給者だったが、制度の見直しにより生活保護から外れた低所得者。年金10万円/月家賃4万円/月 介護保険代。年金支給前になると生活が苦しくなり、近所の方から食事の援助もしてもらっていた。お酒が好きで、入院前は買い物に行き、よくお酒を買われていた。

【介護保険と家族】

要支援2ヘルパーを週3回利用入院中に区分変更。本人独居で妻とは離縁されており、妻との間に娘が2人おられるが、よっぽどのことがない限り連絡はしないでほしいと、地域包括担当者の前任者から申し送られていた。地域包括担当者や市からも連絡をされていたが、全く連絡が取れない状態だった。妻と次女の連絡先もわからず。

【入院からその後の経過】

間質性肺炎に対してステロイドパルス療法と共に、ADL低下を防ぐためにリハビリテーションの介入。治療方針の説明のため長女に連絡するが繋がらず、留守電に伝言を残しても折り返しの連絡が無い状態が続いた。本人の認知機能の低下も見られ、治療の決定権は医療者の判断に委ねられた。長谷川式 16点。認知機能の低下あり、自宅退院で独居生活は困難と判断。転院や施設入所へと方向性を決め近隣病院や施設に相談するが、保証人や金銭面のこともあり転院困難。地域包括担当者から市へ相談。措置入所の条件(お金無し、家無し、支援者無し、介護認定要介護3以上)により困難。地域包括と市で何度か相談。判定会で措置入所の方向で進めてもらえることとなった。本人に施設入所の説明をし同意を得る。本人は、「家に帰れないと思う。歩けないからね」と自宅退院に対して消極的。金銭面では、「年金があると思うんだけどなぁ」と入院中に手持ちのお金で買い物をし、残金が無くなっても買い物の要求あり。退院日は、地域包括担当者と相談し、年金が支給される前に退院とした。一旦、ショートステイでの入所となり、退院された。入院中の医療費は、自己負担限度額制度で制限。オムツや寝衣などはレンタルされていたため、入院費以上の自己負担額となった。施設入所費もあり、入院費は分割払いとされた。退院後に、権利擁護の利用調整をされた。


『事例3』80代 男性N氏

【入院までの経過】

点滴希望で受診されるが、保険の話しになり帰宅希望。受診するまでの1ヶ月間、お酒とビスケットのみ摂取。その後、近隣のスーパーで体動困難になっているところを発見され、救急搬送。脱水の診断で入院。

【社会的背景】

7年前に前立腺癌診断。近医での通院を続けていたが、本人の都合により通院されなくなった。自宅はビールや酎ハイ、ワインなどの空き金、瓶が散乱。自宅は埃や落ち葉が積もっている。エアコンは無く、送風機のみ。調理はされず、鍋の中には腐敗したものあり。車を運転し、買い物や銭湯など行かれていた。

【介護保険と家族】

介護保険なし。入院中に認定調査。独居。0県に兄が在住。20〜30年ほど連絡を取り合っていない。連絡先はわからない。

【入院からその後の経過】

脱水、体動困難に対して補液で改善。状態も安定したため、退院の方針となった。全身筋力の低下を認め、また失禁状態であり、自宅の2階で生活されていたことから、退院困難と判断。独居であったことから地域包括に連絡すると、介入されていたことが判明し情報共有おこなった。兄の連絡先はわからず、住所を元に地域包括に連絡。兄も介入されていることが判明し、連絡を取ってもらう。本人の事をお伝えすると心配される。入院手続きのため保証人の了承を得る。地域包括担当者から介護保険の認定調査を依頼。調査後にケアマネジャーを選定。退院場所について本人は「自宅は人が住めるような状態では無い。」「掃除もしていない」「先生が嫌いになったので薬も飲まなくなった」と言われる。今後の生活や退院の話しについて何度も説明していたが、「聞いていない」「知らない」と言われていた。入院中に無断外出をしかけたことも覚えていなかった。ケアマネジャーと退院前カンファレンスをおこない、自宅退院に向けての問題点を共有。自宅は、掃除をされていない状態のため、清掃業者に依頼。歩行はできるが階段昇降が危険なため、安全面から生活の場を2階から1階に変更。ベッドのレンタル。宅食などのサービスを提供。退院日に自宅のハウスクリーニングを実施。退院時は、看護師がタクシー乗り場まで付き添い、行き先を告げ、自宅でケアマネジャーに待機してもらい退院。



『まとめ』

独居・身寄り無しの方が入院されることが多くなった。介護保険が未申請で、ADLが急激に低下している。医療区分が無く、保証人がおられないと転院、施設入所は難しい。自宅退院となり、地域包括やケアマネジャーに頼らざるを得ない。低所得者と、生活保護受給者でも格差がある。入院はあくまでも通過点にすぎない。本人の意思が尊重され、住み慣れた地域で暮らし続けていける支援をしていきたい。



【グループワーク】各グループでの意見交換

―テーマー

・独居で認知症のある方が在宅退院に向けてどのような連携が取れるか

・その人らしく安全に過ごせるように各々の立場でどのような取り組みができるか


【発表】

<1グループ>

・一つは独居高齢者には在宅で生活が続けられる方と難しい方とおられるんじゃないか、困難になってしまわれる方には、本人さん家族さん自身に地域の方の受け入れの意識がなく、薄くなってしまわれている方。そして親族家族間の生活歴の中で関係性が非常に悪くなってしまっていて地域とも孤立してしまわれる方。私たちサービス事業者が入ることで地域との関係性が途絶える傾向も指摘されています。それに対して、いわゆる近所におせっかいさんがおられると、在宅生活もなかなか続けていかれるんじゃないかなという意見がありました。

・馴染みの場の継続という視点で、本人さんも変わっていく、馴染んでいくことがあるので、そのような場を作れる支援者になってほしいとの意見もありました。

・都会でしたらなかなか近所というものはないので、独居は独居でいいんじゃないか、独居で悪いのというご意見は私もハッとさせられました。認知症独居の母親を引き取ろうと家族がすると、そういうことをしてはいけませんよとケアマネジャーから指摘された、それが結果的に良かったというご意見を聞いてなるほどなと思いました。

・環境として精神病棟などはやはり全く違う環境なので、環境が違う場に行ってしまわれると本当に症状的にも変わってしまう、人格が変わってしまうという意味で、環境はとても大事だというご意見がありました。

・言葉もやはり大事、認知症患者というのと、認知症のある人、認知症のある方というのとでは、言葉一つですが大きな違いがあるというのは、本当に私もドキッとさせられました。

・いずれは自分も通る道なんだということを自覚しないとねというご意見もあり、本当に勉強になりました。

<2グループ>

・病院からは、入院前の情報をしっかりと在宅事業者等から得た上で、その情報をもとにもう一度在宅に同じようにつないでいくという視点がすごく大事で、なおかつそこを在宅の方が継続して支援できるように、病院側も一緒になって考えていくというところが大事だとの意見が出ました。

・在宅に帰ってからですが、おせっかいさんとの1グループの方の発言にもありましたが、在宅の家に帰ってから地域の方がお帰りなさいと迎えてあげられるような形で、場を整えてあげるということもすごく大事なのではないか、近所の方が見に行ってあげるとか、民生委員の方が少し関わってあげるというところも大事かなという意見がありました。

・あとは問題点になるのかもしれませんが、病院側としてもケアマネジャーさんにつないだら安心してしまっているような現状も少しあるのではないかというところで、ケアマネジャーさんの負担が少し多くなってきているのではないかなというところが挙げられています。話の中でも訪問回数が決まっている中でも、毎日気になるから、どうしても見に行かないといけない場面があるとの話もあり、そういった面では制度であったり行政的な関わりというところをもう少し整えていかないと、独居で高齢者の状況が増えている中では、限界が少し増えてきているのではないかなというふうにグループの中では話し合いました。


<3グループ>

・話し合ったことの一つに、認知症でパニックを起こしやすい方の対応ということで、最初はそのパニックに関して傾聴していき落ち着いてもらうというご報告だったんですけども、途中からパニックを起こしてもいい環境づくりの視点で、地域の方や関わっている方に説明していくというのも重要だとの意見がありました。

・ある事例では、家族がもう諦めましたということに対して、かかりつけの先生が諦めるということも当事者にとってはいいことなんだよという一言をおっしゃったというお話が出てきました。

・もう一つの事例は、認知症の方ががんになった時のオペの方針。急性期病院ではオペをしていく方針になっていくんですけども、その人の退院後の生活を考えると、特に食道系とか消化器がん、あるいは人工肛門を作るようなケースでは、そちらの方が大変なことになるんじゃないかということでお困りの事例が出てきました。その中でもっと入院前の生活のことをしっかり丁寧に情報を収集していくことによって、考え方が変わるのではないかと。ただ情報提供書だけでは薄いので、そこのところを関わっているかかりつけ医だけではなくて、薬局あるいは介護関係者などからしっかり情報を取ることによって変わるんじゃないかと。この事例を提供された方も確かにそういうことが起こって
くる可能性があるので、しっかりとそこのところを進めていくということでした。

・最後に医療者は患者の生活を邪魔するという一言がありまして、私も半分がん患者なので仰っている意味がすごくよくわかりまして、いつもがんサポ喫茶ではぶっちゃけた話をさせていただいてます。

 

【コメント】

◯グループホームほおのき 管理者 山田敦子さん

 はじめまして。社会福祉法人で、ただいまグループホームほおの木となっていますけれども、今現在はおかえりという方で管理者をさせていただいています。以前はこの医療センターで看護師でずっと勤めておりまして、今も看護師業務を兼務しながら管理者をしています。デイサービスとグループホームを併設していて、学童も併設しておりますので、看護師の前理事長が退任しまして、今看護師業務を全部引き受けたりしています。今日は久しぶりに参加させていただきました。私自身が知識不足で、なかなか皆さんのお話の中についていけないところもあったんですけれども、やはり病院で経験していた時とは今はずいぶん変わってきたなという気持ちがあるんですが、やはりその人を知るということがいかに大切か、特にやはり認知症の人は独居イコール無理になるという意見が出ていたんですけれども、確かにそれはあるかなと思ったりします。実際、認知症のグループホームの中でだと、やはりできることできないことがある。どこを助けたらできるのか、そのへんをいつも考えながらケアに入っています。入院されても在宅に向けて、今この方のどのへんを補助してあげたら生活できるのかという視点で考えていき、こういうことが支援ができたら在宅で行けるんじゃないか、こういうことをするためにどのような職種の方と連携を取ったらいいのかというところを皆で検討していきながらいけると一番いいのかなと思っています。

 私はグループホームなので、はっきり言ってお金がやはりある方、資金面で困らないというところで入っておられて、長年入っておられると、だんだん持っておられる資金なども減ってきたりして、そろそろ特養の方に行かないといけないかなと言われる方もおられます。その意味で生活困窮者の方などは本当に大変だなということを今回思わせていただいたということと、やはりケアマネさんに関しては、何でもケアマネさんという感じで、もう本当に頼ってしまっていますし、困ったことがあったらケアマネさんに報告して、ケアマネさんがなんとかするかなと思ったりしてるところも、すごく反省をしています。

 フィードバックカンファレンスがあるということも初めて知りましたし、そういうところへはぜひ参加させていただきたいと思いますし、入院されたら情報提供は惜しみなくさせていただきたいと思いますし、退院に向けてのカンファレンスなども積極的に参加をさせていただきたいと思っています。

 あと一人の地域住民として、地域のサポートというところで、自分自身がやっぱりその地域の中に、こういう職業でありながら、あまり介入をしていないな、おせっかいおばさんになってないなと思いましたので、地域づくりの何か参加できるきっかけがあればいいかなと思いました。皆さん頑張ってください。



◯小規模多機能型居宅介護事業所 木もれびの家 東森侑介さん

 小規模多機能このれびの家でケアマネジャーをしています東森と申します。ちょっと僭越はございますけれども、ご指名をもらいましたので、少しだけコメントさせていただきたいと思います。今日発表してくださった方、グループワークしてくださった方、ありがとうございます。本当に今回のテーマである退院する独居の認知症の方をどう支えていくかというのは、現実的で難しいテーマだなというふうに思い、色々と皆様のご意見を参考にさせてもらいました。各グループの発表を聞いている中でやはり共通していたのが、僕たち専門職一人の力では支えきれないけれども、チームであったり地域がつながれば可能性がかなり広がるという視点だったかなと思います。認知症の方で独居となると、安全面の確保や生活の支援、あとはご本人さんの望みというものをどのように大切にしていくかという課題はかなりあるとは思うんですが、最終的に残るのが地域の中での関係性づくりみたいな、気に掛け合う関係をどう築くかみたいなところかなと思いますんで、医療とか介護だけじゃなくて、民生委員さんであったりご近所の方とか商店の方、そういう認知症方を取り巻く小さいつながりというのが、本人さんの大きな安心につながっていく、認知症の方の安心につながっていくのかなと思いますし、今日発表の中で近江八幡医療センターさんがいろいろ取り組みしてくださっていることや、地域包括支援センターの方の取り組みなどを聞かせてもらい、僕も近江八幡に住んでいますので、八幡に住んでてよかったなというふうにつくづく思いました。退院は医療から介護への移行期みたいな部分かなというふうに思いまして、同時に地域での暮らしへの期間みたいなものかなというふうに思いましたので、その時に地域全体でおかえりというふうに言えるような環境をどのようにに整えていけるかというのが、僕もケアマネジャーをしていますけれども、専門職としての託された役割かなというように思いました。どうしても一人ではできなくとも、皆さんと一緒にいろいろと考えていくことで、ちょっとずつでも在宅生活を支えるということができるかなと思いますし、あとは認知症の方の生活というものを、できないことを補うということだけじゃなく、できることを活かしていくという視点も結構大事かなというように思いましたので、これからも連携をしっかりしながら仕事に活かしていけたらなと思います。今回僕も三方よし研究会に参加するのは3年ぶりぐらいでしたので、これからもう少し参加させていただいて、しっかり連携をとっていければなと思いますので、今後ともよろしくお願いします。


【次回】

第215回 三方よし研究会

10月16日(木)18:30~20:30

当番 東近江圏域介護支援専門員連絡協議会、東近江敬愛病院



今回は認知症の方の入退院の場面をテーマに議論が盛り上がりました。皆様ご参加ありがとうございました。

次回もまたどうぞよろしくお願いいたします。


2025年8月21日木曜日

第213回三方よし研究会のご報告

 第213回三方よし研究会を開催しましたので、ご報告いたします。

◇日時;令和7年8月21日(木) 18:30~20:30
◇会場:ZoomによるWEBで開催(東近江地域医療支援センター 多目的室)
(当番:八幡蒲生薬剤師会・東近江薬剤師会 )

ゴール
・薬剤師がおこなう在宅療養支援を理解する
・各職種との協力体制の強化




【情報提供】

 東近江市には「SIB(ソーシャル・インパクト・ボンド)」という、地域の支え合いを出資者と共に応援する仕組みがあります。今年度は2件が申請されており、1つは「親子のやってみたいを叶える体験とeスポーツで育む地域育成プロジェクト」、もう1つは太田さんと楠神で進める「感謝がめぐる〜子どもから高齢者まで〜愛とありがとうの循環プロジェクト」です。
 この「ありがとうの循環プロジェクト」説明会を8月30日(土)10:30〜11:30、東近江市文化交流センターで開催します。会場・オンラインどちらも参加可能です。地域で子どもが元気に育ち、医療と福祉が連携できることを願っています。詳細は後日メーリングリストでご案内します。
以上、東近江市SIBの紹介でした。よろしくお願いいたします。

合同会社集楽 楠神渉



【30分学習会】

・在宅医療分野の薬剤師領域における役割・取組と今後について
今後薬剤師に求められる役割は多くなってくると思われるが、今回は在宅業務にスポットを当てて解説したいと思います。

ゆうなみ薬局 金澤重幸先生
本日は、厚生労働省委託事業の資料「在宅医療分野における薬剤師の役割・取り組みと今後」をもとに、今後ますます重要性を増す在宅医療における薬剤師の役割についてお話しさせていただきます。

平素より大変お世話になっております。八幡蒲生薬剤師会の金澤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

・薬剤師に求められる役割の全体像
 まずは、これからの薬剤師に求められる役割の全体像と、日本薬剤師会のこれまでの活動についてご紹介します。その後、在宅医療における具体的な取り組みと課題、多職種連携の重要性についてお話しし、後半では滋賀県薬剤師会および地域薬剤師会の取り組みをご紹介します。
 薬剤師は、誕生から終末期まであらゆるライフステージで健康を支える存在です。服薬指導や管理にとどまらず、健康維持、予防、セルフメディケーション、栄養相談など、医療の入口としての機能が重要になっています。
 例えば、妊娠期には母子健康手帳への関与、小児期には誤飲防止や薬教育、成人期にはセルフメディケーションや栄養相談、高齢期には在宅医療や介護支援など、活動領域は医療・介護・予防・公衆衛生にまで広がっています。

・日本薬剤師会の取り組み
 日本薬剤師会は平成23年度から26年度にかけて「在宅療養推進アクションプラン」を立ち上げました。訪問薬剤管理指導業務の体制整備、地域住民への啓発、行政との連携、薬局リストの作成などが行われ、薬剤師の機能が可視化されることで地域の信頼構築につながりました。
 今後の医療計画においては、在宅医療の需要増加を見据え、地域に応じた体制整備が不可欠です。薬剤師には、急変時や看取り、災害時にも対応できる体制づくりが求められています。また、医師・看護師などとの連携強化やBCP(業務継続計画)の策定など、地域包括ケアの一員としての機能も期待されています。

・在宅医療における薬剤師の実務
 現場での薬剤師の業務は多岐にわたります。
 服薬支援:服薬状況が悪い場合、その原因を探り、剤形変更や理解促進のための説明を行う。
 アセスメント:処方薬がADLやQOLに悪影響を与えていないか確認し、必要に応じて処方提案を行う。
残薬整理:訪問初期の最重要課題。ケアマネジャーからの依頼も多く、服薬管理方法を個別に提案する。
 飲み忘れ防止には「一包化」「お薬カレンダー」「日めくり式カレンダー」や「服薬支援ロボット」などを活用しますが、重要なのは患者に合った方法を選び、継続的にフォローすることです。
 また、多剤服用によるポリファーマシー問題も深刻です。高齢者では副作用リスクが高まり、転倒や意識障害につながります。薬剤師が介入することで服薬アドヒアランスが改善し、生活の質が向上した事例が多数あります。

・多職種連携と事例
薬剤師は、医師・看護師・ケアマネジャーと情報を共有し、処方改善や副作用対策に貢献します。
実際の事例では、利用者が食欲不振に陥った際、薬剤師が抗コリン作用の強い薬を原因と特定し、医師に処方変更を依頼。その結果、食欲と体重が改善し、ケアプランも経口栄養補助から通常食へと見直されました。

・滋賀県薬剤師会・地域薬剤師会の取り組み
滋賀県薬剤師会では「在宅医療支援薬局情報サイト」を公開し、地域ごとに薬局の所在地や対応内容を検索できるようにしています。さらに「緊急時対応可能薬局リスト」も整備され、災害時や感染症流行時にも備えた体制を構築しています。
地域薬剤師会では、ケアマネジャー合同研修会、がん化学療法レジメン研修会、在宅薬剤師による講演などを実施し、会員薬剤師の研鑽を支援しています。また、簡易クリーンベンチの貸出や「在宅ホスピス薬剤師制度」も運用し、終末期医療に対応できる薬剤師の育成を進めています。

・まとめ
薬局は「医療と介護の橋渡し役」として、地域で様々なサービスを提供できる存在です。どうぞ今後も気軽に薬剤師にご相談いただければと思います。

【症例報告】
・薬局在宅訪問1症例の報告
 長年歩いて(約1km)訪問されていた患者さんですが足の痛みがひどくなり、長距離を歩けなくなりました。最近薬の量が合わなくなり、薬剤師在宅訪問の依頼がありました。

スマート調剤薬局 上野克彦先生
それでは、私の薬局で関わった在宅の一症例について、ご報告させていただきます。
本日は「スマート調剤薬局における在宅支援の一症例」ということで発表いたします。

・患者プロフィール・背景(個人情報を含む為、修正。)
 対象は今年●●歳になる女性で、独居です。20年来、約1kmの距離を歩いて受診されていました。服薬コンプライアンスは良好で、月1回程度の受診を継続されていました。
 しかし2022年11月頃から神経痛の症状が悪化し、さらに2023年9月には認知症治療薬が追加されました。同時期より足の痛みが強くなり、徒歩での受診が困難となり、ご子息の送迎で通院されるようになりました。
 また、訪問看護師より「コンプライアンスに乱れが見られる」との情報提供がありました。薬は大きく余ってはいなかったものの、整理が不十分であったため、2023年10月から一包化を開始しました。そして2024年1月より、2週間に1回の在宅訪問を実施しています。

・服薬経過
 患者さんの服薬歴を振り返ると、2006年の初診時は高血圧と高コレステロール血症のみでしたが、年月とともに神経痛や骨粗しょう症などが加わり処方薬が増加しました。2013~2014年頃から神経痛のコントロールに苦慮され、小杉先生のご尽力でタリージェ増量などが試みられました。
 最終的に2023年11月7日には、タリージェなど各種、さらにトアラセットが朝昼夕就寝前に追加となりました。その後2024年8月2日にはタリージェが削除されていますが、認知症症状の進行も影響しているのかもしれません。

・在宅での支援内容
 在宅訪問開始後は、2週間ごとに薬剤をお届けし、服薬状況を確認しています。服薬カレンダーを用いて整理し、当初はすべて一包化していましたが、患者さんの希望で就寝前の薬のみPTPシートのまま残しています。現在は大きな服薬エラーはなく、概ね順調に服用されています。ただし、痛みが強く残っているため、就寝前のトアラセットの減りが早い状況です。

・薬剤師としての関わり
 私が考える在宅薬剤師の役割は、単に薬を届けるだけでなく、適切に服用されているか確認すること。その結果として治療効果が得られているか、副作用が出ていないかを評価すること必要に応じて主治医へフィードバックすることだと考えています。

・まとめ
 在宅業務を実施している薬局は、県薬ホームページなどで検索可能です。当薬局も在宅対応薬局として掲示しておりますので、必要な際はご参照いただければと思います。
以上で症例報告を終わります。ご清聴ありがとうございました。

【質問&回答】
・花戸先生:上田先生、いつもありがとうございます。大変わかりやすく、患者さんに寄り添ったご対応をされていることがよく伝わりました。先生のお言葉の中で「とりあえず患者さんのところに行って、確認・評価をし、そして報告する」という姿勢は、まさに在宅薬剤師の鏡のようなご対応だと感じました。
 一点確認させていただきたいのですが、在宅での対応の際に、訪問薬剤管理指導として、ケアマネジメントのケアプランに組み入れるような定期的な取り組みは、先生のところでは実施されているのでしょうか。

・上田先生:参加して一緒に話し合いをする、ということですか。そうですね、それはまだ実際にはできていないのですが、毎月、訪問看護の事業所の方が予定表といいますか、プログラムを持ってきてくださっています。私のところには、電話での相談や、ケアマネジャーさん・訪問看護師さんからの相談を受けられる体制を整えています。比較的、訪問看護師さんからは頻繁にお電話をいただいています。

・花戸先生:他の薬局さんとかどうなんですかね。
・上田先生:そうですね。先ほど最後のスライドでもお示ししたように、在宅を標榜している薬局は多いと思いますので、その点を参考に判断していただければよいかと思います。
・金澤先生:最近はケアマネジャーさんから依頼をいただくことが増えており、依頼があった際にはできるだけ担当者会議に参加させていただくようにしています。担当者会議では、ケアマネジャーさんをはじめ、看護師さんや介護職の方など多職種の方々と一緒に検討を行います。私が参加した際には、残念ながらご家族は不在でしたが、患者さんやご家族を交えて話し合いを行う機会も増えてきていると感じています。現在、訪問薬剤管理指導を算定しています。医療保険での算定は訪問薬剤管理指導、介護保険をご利用の場合には居宅療養管理指導として対応しておりますが、当薬局ではいずれも算定させていただいております

【グループワーク】
テーマ『薬剤師の在宅療養支援について』
 〇それぞれの職種の立場から考える薬剤師の在宅療養支援とは?
 〇薬剤師が関われるタイミングは? その時どのように相談する?

【発表】
1G:


 第1グループを代表して発表させていただきます。ファースト薬局の薬剤師、金澤と申します。第1グループのディスカッションで出た意見として、まず薬剤師に求められる役割の一つに、オピオイドなど麻薬の調剤や、ポリファーマシーへの対応といった、専門的な知識が必要とされる業務にしっかり関与していくことが挙げられました。
 また、心不全の急性増悪など、緊急時の対応についても、契約をしている以上は24時間対応が求められることから、薬剤師が柔軟に、そして他職種と連携しながら関わっていくことが重要であるとの意見がありました。
 個人的に印象に残った点として、一包化の印字についての話がありました。中には1日6回服薬する患者さんもおられ、個別に一包化や印字で対応することは、在宅で薬剤師が関わる上で服薬アドヒアランス向上につながる大切なポイントだと感じました。以上で、第1グループの発表を終わります。

2G:


 訪問看護ステーション レイグナーシングで理学療法士をしております、吉田と申します。第2グループの発表をさせていただきます。
 グループのメンバーは、保健師1名、ケアマネジャー2名、医師1名、理学療法士1名、薬剤師4名、歯科衛生士1名でした。薬剤師の方が多く参加されていたため、さまざまな問いかけに対して幅広いご意見をいただきました。
 まず保健師の先生からは、精神疾患や結核、高齢者の方を担当する中で「薬の副作用が強く出るケースが多い」というご相談がありました。また、高齢の方では車の運転が難しくなり、「日常生活やお薬について、どこに相談すればいいのか」という声も寄せられるとのことでした。
 これに対して薬剤師の先生方からは、特に過疎地域においては一般的な薬以外にも風邪薬やビタミン剤を渡すことがある、といった実例が紹介されました(ただし東近江市地域ではなく、別の地域での事例とのことです)。また、注射薬が必要な場合には訪問看護師との連携が不可欠であり、空アンプルの回収なども薬剤師が対応しているとのことでした。さらに「薬が不安で飲めない」という声もあり、その際にはしっかりと説明を行い安心して服薬できるよう支援することが大切だ、という意見がありました。
 次にポリファーマシーへの対応についても議論がありました。心不全で20種類近い薬を服用している方では副作用としてかゆみが強く出ることがあり、その場合、病院の薬剤師は内科医に相談し、減薬の可能性をその都度見直しているとのことでした。最終的な判断は主治医が行うとしても、薬剤師が医師とともに適切に関与し、利用者やご家族の安心につなげていくことが重要だとされました。
 また、ある薬剤師の先生は必ず担当者会議に出席されているとのことで、その姿勢も紹介されました。私自身、訪問看護師として担当者会議に参加していますが、薬剤師と一緒に出席する機会はまだ少ないのが現状です。今後は認知症のお薬相談をはじめ、さまざまな場面で薬剤師さんと協力しながら関わっていければと思います。
以上で、第2グループの発表を終わります。貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。

3G:


 小串が発表させていただきます。
 私のグループは、ケアマネジャー2名、薬剤師2名、医師1名で構成されていました。
新規の患者さんでは残薬が多いことがしばしばあり、患者さんが自己判断で薬を中止してしまうケースが見られました。そうした場合、薬剤師さんに相談することで、対応が可能であるという意見がありました。
 また、複数の病院にかかって同じような薬剤が処方されていることも多く、直接医師に申し出ると嫌な顔をされることもありますが、薬剤師さんを通すとスムーズに受け入れていただき、重複する薬を中止できた、という報告もありました。
 軽度の認知症の患者さんが「こんな薬は飲めない」と拒否される場面がありましたが、その際に薬剤師さんが「なぜこの薬が必要か」を優しく丁寧に説明してくださり、患者さんも納得して服薬に至った、という安心につながるエピソードも紹介されました。
 薬剤師さんご自身からは「ぜひ現場を見てみたい」という強い思いが語られ、実際に現場訪問を望まれていることも分かりました。
 また、100円ショップのカレンダーを活用し、薬を貼り付けて間違いなく服用できるよう工夫されている取り組みも紹介されました。
 医師からは、難病の患者さんに訪問薬剤師を依頼し、丁寧に服薬支援を行っていただいたものの、残念ながら患者さんは亡くなられたというケースがあり、薬剤師さんにとっても非常に残念であったとの感想がありました。
 一方で、お薬手帳とケアマネの連絡帳を見ながら、患者さんの状態をタイミングよく把握できた事例や、往診に薬剤師さんとケアマネジャーが同席し、重要な情報を共有できたという報告もありました。
 最後に、金澤先生からも、患者さんとの連絡が途絶えた場合についてご発言を希望されていましたので、追加でお願いいたします。どうぞ。



 金澤です。患者さんが施設に入られたり、お亡くなりになられたりすると、それまでせっかく連携を取っていたケアマネさんとのつながりが途切れてしまいます。時々お電話をして、「どなたかお困りの方がおられましたらご紹介ください」とお伝えすることもあるのですが、継続的にケアマネさんとつながっていけるような仕組みや方法があれば、ぜひ教えていただきたいと思います。


【指定発言】
・社会福祉法人日野町社会福祉協議会 居宅介護支援サービスひだまり 後藤貴久子様(介護支援専門員)


 社会福祉協議会ひだまりの後藤と申します。ケアマネジャーをしております。
 本日は先生や薬剤師の皆さまのお話を伺い、大変勉強になりました。
 お薬というのは体に大きな影響を及ぼすもので、飲み忘れがあっても良くない場合があります。実際に訪問すると、薬をきちんと服用できていない方が多くいらっしゃいます。私たちも訪問時には「どうすれば飲んでもらえるか」を考えながら、カレンダーに入れるなど工夫していますが、薬剤師さんのように「なぜ必要なのか」を丁寧に説明しながら服薬を促すところまではできていないのが現状です。どうしても「とにかく飲んでもらわないと」という対応になりがちだと感じています。
 また、中には1回に10錠以上、20錠近くのお薬を服用される方もおられます。そのため薬を飲むだけでコップ2杯分のお茶が必要になり、ご飯が食べられなくなるほどで、実際に食事量を減らしてまで服薬されている方もいます。薬は大切である一方、副作用で体調を崩される方もおられ、この点は改めて重要だと実感しました。
 ケアマネジャーが十分に説明して服薬を徹底するのは、業務の多忙さもあり難しいのが現実です。そのため、訪問看護師さんやヘルパーさんに確認や説明をお願いすることも多いのですが、薬剤師の方に入っていただき、利用者さんへ直接丁寧に説明していただく機会はまだ少ないと感じています。
 今日改めて「薬の大切さ」を実感しました。今後は薬剤師の先生方にもより積極的に関わっていただき、利用者さんが少しでも良い状態で生活できるよう、私自身も意識して取り組んでいきたいと思います。
本日はありがとうございました。

・結の家訪問看護ステーション 所長 辰巳紀子様

 本日は先生方、貴重なお時間をいただきありがとうございました。改めて薬剤師の先生方の役割を認識することができ、大変勉強になりました。 
 私たち訪問看護に携わる者にとって、薬剤師の先生方のご支援は大変心強いものです。グループワークでも花戸先生がおっしゃっていたように、訪問看護の現場ではお薬に関するお願いが数多くあります。今後は薬に関しては薬剤師の先生方にしっかりとお任せし、私たちは「飲めていない」という事実を正しくお伝えすることで、より在宅での薬剤師の関与につなげていきたいと考えています。
 また、退院時から薬剤師の先生方に関わっていただけるよう、ケアマネジャーや病院の方々にも働きかけていきたいと思います。訪問看護の立場からも、薬剤師の先生方にもっと在宅へ入っていただけるよう積極的にアピールしていきたいと考えています。
 現在、24時間対応されている薬剤師の先生方もいらっしゃいますが、夜間や休日は難しいというお話もよく伺います。今後、24時間対応できる薬剤師が増えることで、在宅医療はさらに発展していくのではないかと思います。
 薬剤師の先生方には、今後ともぜひお力添えをお願いしたいと思います。簡単ではありますが、以上で私からの発表とさせていただきます。

【初参加者の紹介】

 パース薬局でお世話になっております、薬剤師の金澤と申します。
 先ほどは発表をお聞きいただき、ありがとうございました。
 本日初めて参加させていただき、多職種の方々と「薬剤師がどのように関わっていけるのか」というテーマでディスカッションできたことは、大変貴重な経験となりました。私は薬剤師2年目で、まだまだ薬について勉強中の身ですが、他職種の皆さんからいただいた質問やご意見は、普段薬のことばかりを考えている中では気づけない視点ばかりで、とても新鮮で刺激を受けました。
 これからは本日いただいた学びや気づきを活かし、さらに研鑽を積んで患者さんに還元していけるよう努力してまいります。
 貴重な機会をいただき、誠にありがとうございました。


小串先生:薬剤師は私たちにとって非常に身近な存在ですが、改めてこうして顔を合わせて話し合うことで、多くの課題が見えてきました。やはり face to face、つまり顔と顔を見ながら話すことの大切さを、今日改めて実感いたしました。
 また、本日初めて後藤さんにご参加いただき、さまざまな学びを得ることができました。本当にありがとうございました。改めて「三方よし」の精神のもと、顔を合わせて話し合うことがいかに重要かを再確認できた一日でした。

大石先生:今回、病院の薬剤師の先生にもご参加いただいております。本来であれば地域の薬剤師も非常に多忙であると思いますが、こうして病院の薬剤師の先生方がこの時間に参加してくださったことを大変嬉しく思います。ぜひ病院薬剤部の先生方のお声もお聞かせいただければ、私自身、今後の取り組みに大いに役立つのではないかと考えております。

東近江総合医療センター(大井先生):今回の研究会は非常に刺激になりました。普段、ケアマネジャーさんや歯科衛生士さんと直接お話しする機会はほとんどなく、大変貴重な時間となりました。皆さんがどのようなことを考えておられるのかを知ることができ、とても参考になりました。私たちは病院の中で勤務しているため、地域の状況については十分に把握できていない部分もあります。今後、皆さまからの要望に対して、病院薬剤師としてできることがあれば積極的に対応してまいりますので、ぜひお気軽にご相談いただければと思います。

小串先生:大井先生に質問があります。
国立東近江総合医療センターの薬剤師の皆さまにお伺いします。ポリファーマシーについては本日も少し話題に上がりましたが、病院の先生方と喧々諤々と議論しながら、実際に薬を減らす取り組みを進めておられるのでしょうか。そのあたりについてぜひお聞かせいただければと思います。

大石先生:やはり私自身、入院時には病院の先生にお任せしながら「この薬はどうだろうか」「減らせるのではないか」といったお話をさせていただいております。そうした連携が、少しずつ病院の先生方と地域の薬剤師との間で築かれつつあると感じています。
今後もそのような関係を継続できることを願っておりますし、それこそが薬剤師、つまり薬の専門家同士がタッグを組むという姿ではないかと思います。
本日のような機会に、病院薬剤師の先生方にもお忙しい中、耳だけでも傾けていただけると大変ありがたく思います。ぜひ代表の方からもお声がけいただければ幸いです。今後もこうした取り組みを一緒に考えていければと思っております。

大井先生:現在、東近江総合医療センターでは「ポリファーマシーカンファレンス」を開催しています。入院時に6剤以上の薬を持参された方を対象に、内科の杉本先生を中心として「この薬は必要かどうか」を検討し、不要と判断された薬については主治医へ連絡し、減薬につなげています。本日は訪問薬剤師の話題ですので、関連してお伝えします。入院時に持ち込まれる薬を見ていると、訪問薬剤師が関わっている方の薬は整理が行き届いており、服薬調整もしっかりされています。一方、訪問薬剤師が入っていないケースでは、薬がバラバラで管理が不十分な印象を受けることが多いです。正直に言えば「きちんと管理されていない」と感じる場面もあります。
 訪問薬剤師の関与があると、薬が整っているため私たち病院スタッフの業務も非常にスムーズになります。今後もぜひご協力いただければと思いますし、先ほど大石先生もおっしゃったように、保険薬局の先生と病院薬剤師がより連携を深めることで、より良い薬物療法につながると考えています。
引き続きコミュニケーションを取りながら、一緒に進めていければと思います。以上です。ありがとうございました。

花戸先生:少しだけ時間がありますので、2点質問させていただきます。
1つ目は、先ほどディスカッションの中では答えが出なかったのですが、訪問看護師さんから「訪問薬剤管理指導や居宅療養管理指導を入れてもらおうとするとお金がかかる」と言われた場合、どのように説明すればよいのか、という点です。この件について薬剤師の先生にぜひお聞きしたいと思います。
2つ目は、先ほど八幡蒲生の金沢先生から「ケアマネジャーさんとつながりたい」とのお話がありました。これはぜひ薬剤師会に定期的に参加していただくことが一つの方法だと思います。毎回でなくても結構ですし、また地域の中で開かれている多職種連携会議、例えば永源寺であれば「チーム永源寺」など、他の地域でも同様の会議があると思いますので、そうした場に参加していただければ、自然と関係性が深まっていくのではないかと思います。
いずれにしても、居宅療養管理指導に入っていただく際に「費用がかかる」という点をどう説明するのがよいか、薬剤師の先生からご意見をいただければと思います。利用者にとっては負担を気にされる方が多いですが、先ほど東近江の服部先生がおっしゃったように、むしろ導入した方が自己負担が少なくなるケースもあると感じています。そのあたりが一番のメリットになるのではないかと、私自身は思っております。

大井先生:費用の件についてですが、居宅療養管理指導では518点で、1割負担の方の場合は518円となります。医療保険の場合は600点で、同様に1割負担で600円となり、いずれも1回の訪問につきご負担いただくことになります。
この点については、利用者の方に丁寧にご説明するようにしております。

花戸先生:やはり自己負担が増えるとはいえ、薬剤師に残薬をきちんと確認してもらうことで、残薬も減りますし、結果的に入院回数が減ったり、在宅で過ごせる期間が長くなると思います。逆に「もう在宅は無理だ」と言われてサ高住に入居することになれば、費用はむしろ高くついてしまいます。そう考えると、トータルで見れば安く済むということになります。



大石:このような説明でケアマネジャーさんにも納得していただけるのではないかと思います。また、先生方から「薬剤師さんに入ってもらった方がいいですよ」と一言いただければ、利用者さんやご家族も自己負担を受け入れやすいと思います。ですので、ケアマネジャーさんが悩まれる場合には、主治医の先生から薬剤師の関与を勧めていただけるようなお声がけがあると、とても心強いと感じています。

【メーリングリストへの登録】



花戸先生:ありがとうございました。そろそろ終了の時間が近づいてまいりました。
本日はお忙しい中、三方よし研究会 第213回にご参加いただき、誠にありがとうございました。
三方よし研究会では、このように月に一度、さまざまな職種や立場の方々が集まり、顔を合わせてディスカッションを行っています。
また、三方よし研究会ではメーリングリストも運営しており、日々の情報交換や事例の共有なども行っています。
まだご参加いただいていない方で、参加を希望される方は、今回の申込先メールアドレス宛に「三方よし研究会メーリングリスト参加希望」と明記のうえご連絡ください。即日、登録させていただきます。


【連絡事項】 
・第214回 三方よし研究会  令和7年9月18日(木)18:30~20:30

来月のテーマは「独居で認知症のある方の退院支援、特に地域との連携について」とさせていただきます。

ゴールとしては、
・認知症患者さんへの理解を深めること
・地域で多職種の方々がどのように連携できるかを考えること
を目的に進めたいと思っております。

スケジュールですが、まずい医院長からご挨拶をいただいた後、学習会として2名の方にご講演をお願いしています。
お一人目は、当院の認知症認定看護師である中村看護師より、「当院における認知症患者のケアについて」ご発表いただきます。
お二人目は、近江八幡市東部地域包括支援センターのセンター長様から、「近江八幡市における認知症に関する取り組みについて」ご紹介いただく予定です。
続いて事例報告として、当院相談員より「急性期病院から措置入所となった事例」について発表いたします。
司会進行は小串先生、グループワーク進行は花戸先生にお願いいたします。
グループワークのテーマは「独居で認知症のある方が在宅退院に向けてどのように連携を取れるか」「その人らしく安全に過ごせるよう、各々の立場でどのような取り組みができるか」についてディスカッションしていただきます。
最後にコメントとして、グループホーム朴木の山田看護師様から総評をいただく予定です。また、お願いが一点ございます。実は発言者としてお願いするお二人目の方がまだ見つかっておりません。もし「こういう方がおられる」という情報がありましたら、ぜひご紹介いただければ幸いです。
以上、簡単ですが来月のご案内とさせていただきます。

是非、次回もご参加ください。


2025年7月12日土曜日

第212回三方よし研究会 市民公開講座開催のご報告

 今回、三方よし研究会は実行委員会主催にて第212回研究会を市民公開講座の形で開きました。


場所 滋賀県東近江市立
五個荘コミュニティセンター

日時 7月12日(土)14:30〜17:00

内容 映画『猫と私と、もう1人のネコ』鑑賞&監督と花戸先生のトークショー


映画の内容は、いわゆるヤングケアラーのお話。このようなポスターを作成し、各団体さんにお願いする、新聞にも取り上げていただくなどして周知に努めました。


当日は暑い盛りの午後でしたが、「暑いわ〜」と言いながら続々と映画鑑賞希望者が来場してくれました。

中で来場者を案内する準備をする実行委員会のメンバー。


時間となり、小串先生の挨拶と共に映画鑑賞がスタート。


最終的には100名を超える方々にご来場いただくことができました。皆さま、本当にありがとうございました。

この映画、主人公の父親に津田寛治さん、母親役に一青窈さんが出演(主題歌も一青窈さん)、主人公の吉名莉瑠さんは一般公募から選ばれたようですが、演技とは思えないその自然な振る舞いに、その過程を取り巻く関係者達も相まって、とにかくその世界に引き込まれました。

映画が終わった後の小休憩時間には、キーワードとなる2枚の絵が通路に...


休憩を挟んで、この映画を制作された祝大輔監督と、花戸先生とのトークショーが開始。


実行委員会の小原さんの司会で、監督からはこの映画を撮ろうと思われたきっかけや撮影秘話、花戸先生からはその感想から先生自身の生い立ちまで話が及びました。またこの映画が放映されるということで参加して頂いた、大津市にありますこどもソーシャルワークセンターの川崎さんからも滋賀でのヤングケアラーの実情のお話があったり、小串先生からの質問、会場からの質問も交えて、このトークショ-自体も白熱しました。

一応三方よしブログなので、その時の話の要点だけ記しておきます。

・映画作成しようとしたきっかけ:なぜ猫が出てくる?

・ヤングケアラーのストーリーとなった裏話

・日本にはどのくらいのヤングケアラーがいるか

・地域のつながりについて

・花戸先生の生い立ちとこの映画、ヤングケアラーとの関連について

・地域での支え合いが社会への還元となっていく

・映画制作にかかった時間は?

・主人公に吉名さんを選ばれたその経緯について

・滋賀県、全国でのヤングケアラーの実情

・『猫と私と、もう1人のネコ』私って誰?もう1人のネコって誰?

・この映画を製作してからの社会の影響


せっかくなので、現在滋賀県とタイアップしてヤングケアラー支援に取り組んでいます「こどもソーシャルワークセンター」のご紹介も(来場していただきましたのは川崎知穂さん)。

・ホームページはこちら

https://cswc2016.jp/

・ヤングケアラーのあなほりラジオ(つながるオンラインサロン:月1回ペース配信)

https://www.youtube.com/playlist?list=PLlGYmxKoWXa8uXyphsG3hSETYxFCk_9O4

・夏休み応援のクラウドファンディング

https://cswc2016.jp/2025/07/2025%e5%b9%b4%e5%a4%8f%e4%bc%91%e3%81%bf%e5%bf%9c%e6%8f%b4%e5%af%84%e4%bb%98/


最後は、監督のたっての希望で会場に残った皆さんとぜひ記念写真を撮りたいとのご意向で、皆での一枚を(顔出しNGの方を除く)。



その後、会場の皆さまへのアンケートをお願いしておりましたが、50名を超える方々から熱い感想、メッセージをいただきました。全部は掲載できませんが、その一部を掲載いたします。

・映画もトークショーも非常に良かったです。

・ヤングケアラー、報道でよく見聞きしておりましたが、やはり人間キツい時はキツい、声に出す事も必要だと思いました。

・お母さんと主人公のリアルな姿が印象的でした。ステキな映画をありがとうございます。

・久しぶりに泣きました。ヤングケアラーと聞き、もっとドロドロとした映画なのかなと思っていましたが、ソフトで誰にでも受け入れられてわかりやすい映画でした。校内カフェ初めて聞きました。

・切実な映画でした。

・ヤングケアラーはごく普通の家庭で起こりうることであると認識しました。もっと地域や公的機関に助けを求めてくれる環境が整えばよいと思います。

・ヤングケアラーについて知らなかったことをいろいろ知ることができ、来てよかったです。またすぐにできることもあると知りました。またぜひこの映画を見てみたいと思います。

・突然の境遇の中での人生の選択、若かりし頃にかえりました。

・とても良かったです。今一クラスに一人はヤングケアラーがいるとお聞きしました。’しんどい’と言えず頑張っている子どもたちがいるのかと思うと、何かしらお手伝いできる事はないのか?と思いました。多くの方々に観ていただきたい映画でした。ありがとうございました。



今回の研究会、市民公開講座の形でヤングケアラーについて、地域とは何か、社会のつながりとは何かについて、市民の皆さまと共に考えるよいきっかけになったのではないかと思います。ご来場の皆さま、祝監督、ありがとうございました。

最後は監督を囲んで実行委員会のメンバーと共に一枚。



次回は8月21日(木)18:30〜20:30に開催となります。

また次回お出会いいたしましょう。

ここまでお読みいただきありがとうございました。



2025年7月5日土曜日

三方よし研究会主催「東近江圏域介護職員初任者研修」の開講式

本日、三方よし研究会主催「東近江圏域介護職員初任者研修」の開講式および初日の講座を無事に開催することができました。

地域の介護人材確保に少しでも寄与できればとの思いで始めたこの研修も、今年で10年目を迎えます。オリエンテーションの後、小串先生よりご挨拶を頂き、あらためて地域で人材を育む意義を感じる開講となりました。

今年度は、近江八幡市・東近江市・日野町から6名の方にご参加いただいています。全131時間の研修を修了し、介護の現場での就労につながるよう、しっかりとサポートしてまいります。

初日の講義は、結の家ケアプラセンターの太田さんに「多様なサービスの理解」「介護職の仕事内容や働く現場の理解」について、日々の実践を交えながら講義・演習をしていただきました。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。